2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
Antimicrobials Inspired by Animals(全1記事)
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マイケル・アランダ氏:動物の世界は、多様で魅力的でとてもびっくりさせられます。研究者を含む多くの人々が、これを感動的だというでしょう。
動物は、いまロボットの新世代に刺激を与えています。では医学の世界ではどうでしょうか?
私たちは、常にウィルスと抗生物質耐性菌の脅威にさらされています。研究者たちは、抗菌薬やその材料を作るため、動物が持つ自然界での病気との闘いの能力を学んでいます。
これらの抗菌薬のうちで最初に発見されたのは、未消毒の水槽の中でツノザメが全く感染しないということに、研究者らが1993年に気がついた時でした。
研究者たちは、ツノザメのスクアラミンと名付けられた組織を分離し、それを研究施設ですぐに合成することができました。最新の研究でスクアラミンは、人間の細胞をウィルス感染から防ぐことを示しています。
ウィルスは、例えば人間自身の中にあるタンパク質を呼集するなど、さまざまなトリックをつかって細胞膜を通過し、人間の細胞を感染させます。
これらのタンパク質でRac1と名付けられたものは、通常、細胞膜の中の負電荷にあり、そこでタンパク質の正電荷と結合しています。
Rac1は細胞への出し入れなど、まるで用心棒のようにさまざまなプロセスをコントロールしています。ウィルスは、Rac1を取り込んで人間の細胞に忍び込みます。しかしスクアラミンはそのような反逆を阻止することができるのです。
スクアラミンは電荷が正になっており、ある細胞が運搬者を使って、スクアラミンを細胞膜内に通過させます。そしてスクアラミンは、細胞膜内の負電荷に鍵をかけ、Rac1やその他のタンパク質をしばらく追い出して、ウィルスの細胞内への侵入を防ぎます。
こうして細胞外にさらされたウィルスは、体内の免疫システムによって殺されるのです。残ったスクアラミンは数時間後、肝臓によって血管から濾し出されます。
このように、スクアラミンがツノザメをウィルス・フリーにしているのかもしれません。そしてさらなる研究によって、いくつかの危険なウィルス感染からスクアラミンが私たちを守ってくれる日がくるかもしれません。
私たちはまた、微生物を殺すために、目の赤いうるさいセミを研究しています。地上に出て数週間叫び続けて、交尾して死ぬ前までは、ほとんどの期間を地中で暮らしてるあのセミです。
うるさい彼らですが、2012年に研究者たちは、セミの一種、クランガーゼミの持つ素晴らしい抗微生物パワーを発見しました。
このセミの翅(はね)は、とても小さな釘に覆われていて、微生物がこのクギに触れると破裂します。これらのナノピラー(微小のクギの柱)は、微生物を泡のようにはじけさせるというよりも、むしろ生物の細胞の表面を薄く薄く、破裂するまで延ばします。
この事実に興味を駆り立てられたイギリス・ブリストルの研究者グループは、これらのナノピラーが医学に適用できるかどうかを知ろうとしました。
例えば、人工股関やペースメーカーはしばしばチタンから作られています。この金属は強く、丈夫で軽いのですが、抗菌ではありません。そのためバクテリアが表面にコロニーを作りやすく、これが深刻な感染をもたらしてしまいます。
この場合、通常の抗生物質がバクテリアを殺菌できなかったら、そのインプラントは、外科的に取り換えなくてはならなくなります。
しかし、人間の細胞自身を傷つけることなく、そのような殺人クギを金属の表面に作り出すことができるのでしょうか? この場合、そのサイズがポイントとなります。
研究者らは、クランガーゼミのナノピラーと同じサイズで、バクテリアの細胞にとって致命的な二酸化チタン・ナノワイヤーを作りました。人間の細胞は約10倍ほど大きく、でこぼこの表面を(ナノワイヤーが)滑っていくので無傷なのです。このようにセミの鳴き声はうるさいでしょうが、彼らの翅は多くの医学的なことを教えてくれます。
抗菌ペプチド(AMPs)は、アミノ酸の短い鎖で、多くの動物が防御戦略に使っています。研究者らは強力な抗菌ペプチドをとても不思議な場所で見つけました。ゴキブリの脳のなかや、ワニの血の中です。
ペプチドにはさまざまな形状や大きさがありますが、一番よく知られている形状が、まるで伸び縮みするスプリングのおもちゃのように螺旋を形成し、主に正電荷になっているものです。
このペプチドは、微生物の細胞膜の表面の負電荷に引き付けられ、細胞の表面に大きな穴を作ります。バクテリアにとって、細胞に穴が開くのは致命的で、微生物は数秒で死んでしまいます。一方、人間の細胞は表面がほとんど電荷を持たず、無傷のままです。
もし、わたしたちがこうした自然界の抗菌ペプチドを医学に使用することができたら、とても素晴らしいことでしょう。しかし現在のところ、それは難しいでしょう。抗菌ペプチドの一部には毒性があり、その他のものは、人間の免疫システムによってすぐに破壊されてしまいます。
そこで研究者らは、生体工学を試用して抗菌ペプチドをより安全で効果的にしようとしています。例えば、人間由来の抗菌ペプチドを短めに強く電荷するよう微調整しました。
この新しいペプチドは、鼻スプレーとして使用した際、抗生物質に耐性があるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を殺すことに成功しました。
ですから、この他にも改造された抗菌ペプチドが、私たちの役に立つかもしれないですよね。
数年は、サメの肝臓、セミの翅、バッタの脳などに触発された科学が有害な微生物を退けることができるかもしれません。自然がこのほかに何を提供できるか、まだ誰も知らないのです。
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