ただいま紹介にあずかりました、本田でございます。えー。僕の碁はザル碁、いや碁じゃない、将棋でございます。僕は「王様」なしで、いっぺん将棋をやってみたいと思っているんですよ。安心してやれるからね。

「王様」があるために、こっちは苦労してるんですよ。そうすりゃ角と飛車をしっかり守ってりゃいいんだからね。まあ、そのくらいのもん、そのくらいの程度のもんですよ、僕は。

そのとこへ、升田(幸三)名人がひょっと来て。「おー。お前のうちは、うまく『歩』を使ってるな」と、こういう話なんですね。「『歩』というものは、素晴らしいものだよ」と。

「『歩』というものは、敵陣に行けば『金』になる」と。だから、「取られても、相手が使うときにはもう『歩』だ」って言うんですね。「こんな合理性のあるね、ものすごい、いいものはない。これをうまく使うやつが名人だ」と、こう言ったんです。

その彼が、僕に3段をくれるって言うんですよ。「本田、お前に3段をくれてやるから」って。「そりゃいいな、大丈夫かな?」って言ったら、「ええよ、やる。その代わり、ひとつ条件がある」って言うんですよ。

「『絶対に、他人とやらん』という、アレを書け」って言うんですよ。

(会場爆笑)