殺たんを効果的に使う方法

西澤ロイ氏(以下、ロイ):うん。それで、単に楽しんで読むだけでなくて、さらにこの『殺たん』を効果的に使うための方法を、ちょっと今日ご紹介できたらなと。

暗殺教室 殺たん (JUMP j BOOKS)

上村潤氏(以下、上村):おぉー。ロイさんならではのポイントですね。

ロイ:はい。でも、まずはやっぱり「興味を持つ」ってすごい大事なんですよ。この本を使えば「ちょっと読みたいな」とか「覚えたいな」って思えるんなら……もともと「覚えなきゃいけない」っていうのはあるじゃないですか、試験があったり、受験があったりで。

上村:はい。

ロイ:そこで、やっぱり「これだったら楽しめる」っていうのはすごくいい要素ですよね。

上村:はい。……なかなか机に向かうとね。ついマンガの棚かなんかを見始めちゃうと、「あ、整理しなきゃ」みたいなね(笑)。

ロイ:そうそう。

上村:それで持ってるうちに、「あー懐かしいなこの漫画」みたいに読み始めちゃうんですよね。

ロイ:うーん。

上村:ただそれが、マンガを読みながら、かつ勉強ができると言うか。自然と身に入ってくる、っていうところですかね。……うん、楽しみながら覚えられるって最高じゃないですか。

楽しみながら覚える3つのポイント

ロイ:そういうポイントが3つくらいあるのかなぁと思って。その1つ目が、「興味を持つ」っていうことなんですよね。

上村:入り口として、まず。

ロイ:はい。やる気がぜんぜん違いますからね。

上村:ですよね。

ロイ:じゃあ2つ目はなにかって言うと、「繋げること」なんですよ。

上村:「繋げること」。

ロイ:例えば、単語覚えるときってまず綴り、スペルがありますよね。そして、日本語訳があって、音があると。それがちゃんと繋がってることが大事なんですよ。

上村:ふーむ。

ロイ:けっこう学生の時って、読み方わかんない単語とかなかったですか?

上村:あー、いっぱいありました(笑)。

ロイ:そして、読み方はスペル、綴りを書くために語呂で覚えてたりとか。

上村:あぁーやりましたねー。

ロイ:例えば“sometimes”とか、「ソメチメス」とか言って覚えておいて、「正しい読み方何だっけ?」みたいな。そういうのけっこうありますよね。

上村:やりましたねー。……瞬間的に出てこないですけど(笑)。

ロイ:(笑)。

上村:確かにありました。日本語で言うとぜんぜん違うようなかたちで、書くときに覚えてましたね。

ロイ:そうそう。そこでちゃんと正しい発音。今ネットだったら、「辞書」とかで検索するとすぐ音も聞けるので。

上村:そうですよね。

ロイ:そういうので……これにCD付いてればいいんですけど、付いてないので。ネットでちゃんと正しい音を聞いて、こういう音なんだ、と。スペルはこうで、訳はこうなんだ、と。意味はこうなんだ、っていうのをちゃんと繋げて覚える。まずそうやって繋げることが大事で。それだけじゃなくて、他のものもいろいろ繋げるといいんですよね。

上村:ほうほう。

いろいろなものと「繋げる」

ロイ:例えば、語呂合わせとかあるじゃないですか。あれも知識として繋がることで、非常に覚えやすくなるんですね。まぁ語呂合わせ「だけ」やる人も多いんですけど、そこにこだわる必要はなくて。いろんなものを繋げるといいんです。繋げれば繋げるほど、記憶として残りやすくなるんですよ。

上村:そうですね。元素記号とかもう覚えてないですけど、「水兵リーベ」は今でも覚えてますからね。

ロイ:あっそうそう。

上村:それが何かはもうわからなくなってしまいましたが(笑)。

ロイ:そうそう、そういう感じそういう感じ。あと、例えばですけど、類義語とか派生語とか。

上村:はい。

ロイ:ちょっと似た単語とか、そういうのも「あっそういえば!」みたいな感じで繋げるとか。そういうこともいろいろよくて、どんどん本当、そうやって繋げていくことなんですよね。

上村:ふーむ。

ロイ:だから例えばですけど、“beautiful”って言ったら「美しい」。で、名詞だと?

上村:“beautiful”……ん? “beauty”。

ロイ:“beautiful”は形容詞。そうそう、“beauty”で、「美」ですよね。それって派生語じゃないですか。そしたらすごく楽に2つ3つ覚えられるとか、そういうのもありますし。

上村:ふんふん。

ロイ:あとですね、似た分野の単語とか。例えば、ここです。「殺せんせー」の感情のことが書いてあって。この先生は、感情によって顔の色が変わるんです。普通の時は“neutral”とか書いてあって、「怒ってる」……「怒り」って、英語で言うと?

上村:怒りは“anger”。

ロイ:“anger”とか、“angry”とか。じゃあ、「ナメてる表情」とか。

上村:「ナメてる」……? えーっとそれは……「物理的に舐めてる」わけじゃないですよね?

ロイ:そうそう。「人のことをなめ腐ってる」みたいな。

上村:あーなるほど……。

ロイ:って言うと、出てこない。

上村:出てこないですね。

ロイ:それも“contemptuous”っていうのが出てきて。

上村:あー、はい。

ロイ:そしたら、「あぁそうなんだ」って、繋がって覚えられるんですよね。

上村:はいはい。なんかこう、「ナメてる」って言うと、すごく身近な感情になりますよね。これたぶん英語の単語帳とかだと、別の表現になるんですかね? 「ナメてる」……「ナメてる」ってなかなか。

ロイ:そもそも単語帳に載ってない。

上村:あっ、そうなんですね!(笑)。

ロイ:だって大学受験で「ナメてる」とか使わないからなぁ。

上村:まあ、使わないでしょうねきっと(笑)。……はぁーそうなんですね、“contemptuous”……確かに初めて聞きましたね。

ロイ:例えば「怒り」にしても、「激怒」みたいなものだと“rage”って単語があったりするので。そういうのも「そっか、そうやって違うんだ」っていうふうに繋がっていくと、やっぱり覚えやすいですよね。

上村:なるほどね、そっか。「怒る」のと「激怒」は、また言葉が違ってくるわけですもんね。

ロイ:そうそう。

上村:なるほど。それは確かに非常に有益と言いますか。なかなかその、普通の英単語帳では出せない視点と言うか……に、なってるんですかね。

ロイ:うんうん。で、これを、学ぶ側が自分で繋げようとすることが大事なんですよ。だから興味を持って、「この場合どうだろう」とか、「そういえばこういう単語もあるよね」とか。そうやって自分で繋げることができると、本当に記憶に残りやすいので。だから2つ目のポイントが、いろいろと「繋げる」、ということですね。

覚えるのではなく「思い出す」

上村:はい。そして……もう1つポイントがあるということで。

ロイ:はい。3つ目のポイントは、「思い出す」っていうことなんです。

上村:「思い出す」?

ロイ:多くの人が「覚えよう」とするんです。じゅんじゅんもそうじゃないですか? 「覚えよう」としませんか?

上村:そうですね。

ロイ:でも、大事なのは「思い出す」ことなんです。

上村:ほう、「覚えて」いるのではなく、「思い出す」?

ロイ:「覚えよう」とすると例えば、同じものを繰り返し見たりしますよね。

上村:しますね。

ロイ:あと、繰り返し書いたりしますよね。

上村:しますねぇ。

ロイ:そこで、「思い出そう」と繰り返すと、記憶に残るんですよ。

上村:ほぉー……「覚えよう」とするのではなく「思い出そう」とする。

ロイ:そうそう。だから例えば、この本の最後に赤いシートが付いてるんですね。「赤殺(あかころ)シート」って名前がついてるんですけど(笑)。こういうシートでかぶせると、赤い文字って見えなくなるじゃないですか。

上村:あー、なりますね。

ロイ:それで、自分で「これなんだったっけ」って考えて、思い出そうとする。それが、記憶するためには非常に大事なんですよ。それは記憶の仕組みとか考えると、理にかなってることなんですけど……ちょっと説明すると長くなるので、そこは割愛しますけど。「思い出そう」とするということが非常に大事で。

上村:なるほど。まぁでも確かに……ちょっと前の時期ですけど、やっぱりみなさん電車に乗ってる学生さんたちは、みんな赤いシートを使って。ずーっと読んでましたね。

口に出すとなお良し

ロイ:そこで、頭の中で思い出すだけじゃなくて、口に出すと更にいいんですよ。

上村:あぁー。

ロイ:電車の中だと怪しくなっちゃうんですけど(笑)。

上村:そうですね……いくらマスクしてても、やっぱりちょっと怪しいですね。

ロイ:そうそう……でもそこで、目で見るだけじゃなくて口に出すことで、いっぱい五感を使うことになるので。そうやって口に出すこともいいですね。

上村:なるほど。今、目で見て覚えるのもそうですし、いろんな本にCDが付いていて、っていうのも多くて。今、僕、電車乗るときとかは聞きながら乗ってるんですけど。やっぱりこう、聞きながら英文と言いますか……口に出したくなりますね、すごく。

ロイ:うんうん。

上村:まぁ実際出すと、不審者的な感じになってしまうんでしょうけど(笑)。でもやっぱり、口に出すってすごく印象に残ると言うか。その時の口に出したことを、思い出しているような感じなんですかね。それで余計、身体に落とし込まれるような感じはしますね、確かに。

……なるほど。「覚える」のではなく、「思い出す」。