「必ずしも海外に行く必要はない」 日産・カルロスゴーン氏、グローバル・リーダーについて語る

ゴーン社長インタビュー グローバル・リーダーについて語る #1/2

日産やルノーの目覚ましい業績回復の立役者となり、今や世界的経営者であるカルロス・ゴーン氏。東京大学で開催された学生とのパネルディスカッション後に行われたインタビューにて、グローバル・リーダーに必要な経験について語っています。

学校で学べることはたった5%

質問者:本日参加した学生の中には近い将来日本のリーダーとしての役割を担っていく学生もいたわけですが、どのようなお話をされましたか? また、彼らの将来についてどんな印象を持ちましたか?

ゴーン氏:今日の講演では、誰も生まれながらのグローバル・リーダー、生まれながらのグローバル人財ではなく、教育・経験等、時を経て作られるものだというポイントについて話をしました。学生の皆さんには、良い教育を受ける、ということは全体の5%だということに気づいてほしいと思います。極めて重要な5%ではありますが全体の5%にすぎません。

あとの95%は仕事を通じて培っていくものなのです。企業が人財に求めることの大部分は、入社して最初の数年間で身につけるものです。言い換えると、学校は学ぶ方法を学ぶ場です。これが学生にとって最も大事なことです。就職すると、仕事をしながら学ぶことになります。日本の若者は今後、数多くの課題に直面するでしょう。 どうかこれをストレスに感じるのではなく、やりがいのある機会として捉えてほしいと思います。意欲を引き出す、刺激的なチャンスです。これは変わるための絶好のチャンスであり、変化は必要です。

女性はまだ十分に活かしきれていない重要な人財

質問者:日本の企業や政治は、若い世代のリーダーを受け入れることができているのでしょうか? また、女性は国を代表するリーダーとして今後どのような役割を担っていくと考えていますか?

ゴーン氏:現在、若いリーダーが求められています。若いリーダーは変革を促す存在であり、多くの場合、変革は必要です。業績不振に陥った企業を立て直すためには変革が必要であり、若い世代には変革を担うことができるでしょう。

同じくらい重要なのは、ダイバーシティ(多様性)です。だからこそ、女性の役割が益々重要になってきます。日本の人口は減少しており、今後、社会を支えるためにはあらゆる人財を活かす必要があります。その中で、女性はまだ十分に活かしきれていない重要な人財です。さらに、お客様により喜んでいただくためには商品のデザイン、設計、生産、そして販売に至るあらゆるプロセスに、より多くの女性の参画が必要です。今後、社会には変化が訪れるでしょう。そして、その変化を支えるのは若い世代とダイバーシティの向上です。

必ずしも海外に行く必要はない

質問者:海外留学する日本人が減っていると聞きます。このことで海外から来るリーダーが今後増えてくるなど、日本のリーダーシップの構造に対して影響を与えるでしょうか?

ゴーン氏:必ずしも海外に行く必要はないと思います。必要なのは、グローバルな環境に身を置くことです。インターネットの爆発的な広がりのおかげで、国内にいながら世界とつながることができるようになりました。技術の進歩で、20年前と比べると物理的に海外に行く重要性は減りました。

しかし、自国にこもっていてはグローバルな人財にはなれません。ある時点で外に出ていく必要があります。とは言っても、物理的に海外へ行かずして、業務を通じて海外経験をすることはできます。例えば、日本に拠点を置く企業で海外事業と接する部署で働くことは、実際に海外事業に携わるのと同じくらい大切です。

海外出向者として現地で仕事をするほどではなくても、海外で実行され、発展するプロジェクトに関わり、人と接することで学べることは沢山あります。無論、キャリアのある時点では、海外出向者として現地で生活しながら、プロジェクトに参加することに代わる経験はありませんが、昔ほど重要ではなくなったことは事実です。日産自動車が相手にしているのは世界市場です。従って、自国にいながら海外の多種多様な人々と関わりあう機会があります。

企業のトップが替わることについて

質問者:先日、日本では選挙が行われましたが、もし日産やルノーのパートナー(企業)のリーダーが 6年毎に代わることがあれば、共に成長するビジネスーパートナーとして考慮しますか?

ゴーン氏:パートナー会社はあまり気にしていないでしょう。誰がトップになるかよりも好業績を維持することが求められます。一方、誰がリーダーになるかは従業員にとって大事です。従業員は、明確なビジョン、明確な指針・決定・裁定・プロセスを求めています。そしてこれらは、安定した経営層によって担保されます。指導層が頻繁に入れ替わることで、一番苦労するのは企業の場合はその従業員、国の場合はその国民です。しかしながら、パートナーにとっては相手の会社が好業績である限り、問題にはなりません。

<続きは近日公開>

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