2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
The Strange Blue Glow That Saved Lives(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:1862年、アメリカの南北戦争で戦っていた兵士たちは、ちょっと奇妙なことに気づきました。
戦争で負った傷が青く発光する現象。そして、その青く光る傷を負った人々はなぜか生存率が高かったのです。兵士たちは、この奇妙な光を「天使の輝き」と呼び、神に守られている印だと思っていました。
そして、この発光の原因は100年以上にわたって不明で、2人の高校生がそれを解明するまで謎につつまれていました。実は、この光る傷を負った兵士たちはバクテリアに守られていたのです。
南北戦争は 過酷な戦争でした。新しい武器が開発によって、戦闘はより血みどろで残虐なものとなり、両軍に膨大な数の死傷者を出しました。なかでもシャイローの戦いはとくに悲惨で、2日で23,000人もの死傷者を出し、当時のアメリカの史上でもっとも血生臭い激戦となりました。
両軍の軍医は、これほどまでの死傷者を予想していなかったので、負傷した兵士たちが手当てを受けるまでに数日かかることもありました。そして、戦場での初めての夜に、淡く青い光に包まれた傷を見て兵士たちは驚きました。この闇で光る傷を負った者たちは、まるで青い光に守られるように生き残り、発光のなかった兵士よりも傷がきれいにふさがったのです。
2001年、17歳のビル・マーティンは、この「天使の輝き」について知り、すぐに彼の母親がアメリカ農務省で研究している発光バクテリアを思いつきました。母親のフィリス・マーティンは、地中の中で発見され、青白く光る発光生物の1種のフォトラブダスルミネッセンスとして知られる細菌の研究をしていました。ビルと彼の友人であるジョン・カーティス は、青く光った兵士の傷と、この発光バクテリアに関係があるのかどうか調べてみようと思いました。
P.ルミネッセンスは 回虫や線虫と共生関係にあるとわかっていました。また、ここで重要なのはこれらの虫は昆虫に寄生するという点です。回虫が昆虫にたかり、体の中に溜まっていたP.ルミネッセンスを吐き出します。バクテリアは毒素を出して昆虫を殺し、酵素が組織を分解します。回虫とバクテリアはそろって、昆虫をおいしい夕ご飯として食するのです。
高校生の2人組は、この研究を実験室へと移し、異なるな環境条件でさまざまなバクテリア株を観察し、細菌にとってどの環境が最適かを調べました。そして、その観察結果を史実に記されているのシャイローの戦場の環境と比較したところ、彼らはバクテリアと回虫が繁殖するのにおそらく適していたであろう土壌を見つけました。
バクテリアが兵士の傷の中に生息していたのだとしたら、「天使の輝き」の説明がつきますし、なぜ発光のあった兵士が生き残ったのかも納得がいきます。そこで2人は以下のような仮説を立てました。
おそらく、シャイローの戦いの後で、野外に横たわっていた兵士の傷の中かそのそばに昆虫がいて、それに寄生した線虫が昆虫を殺すためにP.ルミネッセンスを吐き出し、そこから毒素を放出されたのでしょう。
しかし、この時に成分がもっと危険な傷の中のバクテリアをも殺し、兵士を感染から守ったのです。そしてその後、線虫は次の獲物を求めてどこかへ移動しましたが、その間にもP.ルミネッセンスは淡い青い光を放ち続けました。
マーティンとカーティスはこの謎を解いたように見えましたが、はっきりさせなければならない疑問がもう1つありました。
人間の平均体温は36.5度から37.2度で、P.ルミネッセンスが活動するには熱すぎるのです。では、どうしてバクテリアは兵士の傷で生きていることができたのでしょうか? しばらくの考察の後、2人は答えを見つけました。
シャイローの戦いは、まだ夜は冷え込んだであろう4月の始めにテネシー州で起こりました。負傷兵は冷たくぬかるんだ地べたに座って治療を受けるのを待っていました。このような状況下では、 すぐに低体温症になりやすく、兵士の冷え切った体はP.ルミネッセンスが活動するのに、最適な温度になっていたのでしょう。そして、兵士が処置のために室内に運ばれると、体温が再び上昇し、P.ルミネッセンスが増殖して人体に悪影響を及ぼす前に消滅したのです。
この研究結果によって、ビル・マーティンとジョン・カースティンは2001年の国際科学技術フェアにて最優秀賞を受賞しました。歴史の知識と微生物学を掛け合わせ、独自の実験を経て139年にも渡る「天使の輝き」の謎を解いたのです。
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