「狼王ロボ」にインスパイアされた楽曲を製作中

司会:じゃあそろそろお客様からの質問を受け付けたいと思います。いらっしゃいますでしょうか? せっかくのチャンスですのでお三方に、それぞれでもいいですし。

金原:金子さんに聞けるチャンスはまずないですよね?

金子:僕、でも半分お客さんですからね。

金原:いやいや(笑)。

金子:完全にユーザー枠で来てますから(笑)。

司会:いらっしゃいますか? じゃあ私が1人目で。金子さんは『狼王ロボ』からインスパイアされて実は楽曲を作っているっていうのを少し聞いたんですけど、どうでしょうか?

金子:それを10月に出そうかなと思って。

清川:すごいですよね。

金子:言っちゃった……(笑)。

(会場笑)

金子:実は、さっきちょっと聞いてもらったんですよ。

清川:そうそう。感動しますよね、そういうのって。これを見て、すごくいいと思ってくれて、作ることにしたっていう。このテーマがまたおもしろいんですよ。言っちゃダメですよね?

金子:いいよ、全然。

清川:2曲あって。

金子:それこそロボとブランカをイメージして、2曲。

清川:めっちゃかっこよかった。

金原:そうなんだ。

清川:もうすごいかっこよくて、なんかこのイメージがこうなるんだっていうのがまたおもしろくて。

金原:それは楽しみですね。

金子:ちょっと遠吠えしてるような音とかを、パソコンと向かい合って2日ぐらいでバーッと作って。ギターの音を逆再生したりしてね。声みたいにして作ったりとかして。また(絵本を)読まれる方がいたら、読んで、この絵を見て、最後に音につながってくれたらそれはすごいロマンチックかなぁと思いますね。もし出た時にはぜひお願いします。

清川:すごいうれしかったんですよ。私が聞いたのはたぶんロボの曲なんですけど、ブランカの曲はどうなるんだろうっていう。

金子:やっぱり一番最後のブランカのイメージですね、亡くなった後のイメージで作ってます。それで最後受け止めるという。

清川:おもしろい。

金原:それは楽しみだなぁ。ということだそうです。

司会:じゃあ他にいらっしゃいますか? はい、じゃあどうぞ。

アーティストの作品づくりに必要な環境とは

質問者:皆さんは作品を作られている時に「必ずこれがそばにないと」とか、手放せないもの、作品を生む時にエネルギーにつながるようなものが何かあるか教えていただけないでしょうか?

金子:僕は夜じゃないとできないです。

金原:へぇ~。

金子:いつも夜。昼はもう、なんか全然ダメですね。

金原:そもそも起きてるんですか?

金子:起きてないですね(笑)。

清川:狼だ。

金子:夜行性です、作る時は。音楽作る時は特にそうかもしれないですね。

金原:夜がそばにないとできない?

金子:うん、なんか。きっと何かあると思うんですよね。月の引力みたいな話もあるじゃないですか。満月になったらちょっとエッチな気分になっちゃったり、みたいなそんな感じで。

金原:知りませんけど(笑)。

(会場笑)

金子:カーッとなるんでしょうね、夜は。

金原:「夜がそばにないと何かできない」っていうのいいなぁ。何か使えそうだなぁ。

清川:私、真逆ですよ。私は朝。朝です。朝の6時ぐらいから。

金原:朝の5~6時っておばあちゃんが起きる時間ですよね(笑)?

清川:そうです、そうです。おばあちゃんと私しか起きてないです。

金原:ラジオ聞きながらね。

清川:朝の光って本当に嘘つかないんですよ。自然光で見た時に、一番クリーンに見える光は朝なんですよ。

金原:天気に関係なく?

清川:関係なく。そうなんです。うちの大きい窓の下で再確認しながらいつも作るんですけど。前日に作ったものが、起きたらあんまりおもしろくなかったなぁとかっていう発見ができるのが朝。

金原:朝の光がそばにないと仕事ができない?

清川:朝の光と、あと私は音楽が結構大事で。絵本シリーズは特に、無音の時もあるんですけど、気持ちが入らない時は音楽をかける。音楽をいろいろ選んで、そういう気持ちに入るための音楽を探して、入り込んで作ったりとかすることもあります。

金原:どんな音楽とか、決まってるんですかね?

清川:「人魚姫」の時は、なかなか入り込めなくて、それでいろいろクラシックとか聴いてました。いろんな昔のものとかをほじくり出して聞いて、そういう気持ちにさせて、入り込んで作る。

金原:朝の光と。

清川:そう、朝の光と音楽。

金原:きれいだよね。

清川:金原さんは?

金原:僕はね、2人と違って1日中仕事してます。朝起きて朝ごはん食べたら……。

清川:ロボットみたいだね、やっぱり。

金子:ロボ違いです(笑)。

(会場笑)

金子:そっちのロボじゃない。

金原:パソコンがないと仕事ができません。

金子・清川:(笑)。

金原:もう1つは、夜11時を過ぎると、そばに日本酒がないと仕事ができない。

清川:お酒ですね?

金原:その時間はやっぱりお酒がそばにないと。

清川:私もある。おやつ!

金原:おやつ~?

(会場笑)

金原:おやつは何ですか? おかきですか? ドーナツですか?

金子:パイの実?

清川:アイスが好きです。ずっと食べてる。

金原:ずっと食べてんの?

清川:本当に作ってる時はずっとお菓子を食べてます。ケーキとか食べてますね。

金原:そのわりに太らないね。

清川:すごい頭使うからじゃないかなぁと思うんですよね。

金原:頭使うって、自分で言うかそこ! だよね。

(会場笑)

清川:えーっ、使うよ?

金原:僕、3年ぐらい前は日本酒飲んでなくて、ビール2缶とポテトチップス2袋だったんですよ。

金子:2袋ってすごいですよね。

清川:結構すごいですよ、それ。

金原:それがいつの間にか日本酒になったんだけどね。

金原:ちょっとレベルアップした。

清川:私もそうなります。

金原:レベルアップすると何になるの?

清川:シャンパン。

金原:あぁ、シャンパンもいいかもね。もう1つはね、僕もやっぱり音楽か何かないと。有線引いてるんですよ。何を聞いてるかっていうと、1日中落語をやってるチャンネルがあって、いつも僕は落語を聞きながら翻訳をやってるんですよ。

清川:(金子くんと)落語つながりですね。

金原:あれ、落語好きなんですか?

金子:そうです、好きですね。

金原:好きな噺家さんとかいますか?

清川:やばいやばい、それ、楽屋でやってもらっていいですか(笑)?

金子:実家の祖父が葬儀屋さんなんですけど、葬祭組合っていうのがあって、そこが立川流と縁がすごいあったんですね。それこそ大きな法事みたいなのがあると、談四楼さんが司会やってたりとか。

金原:談四楼さんが来てたんだ。

金子:子どもの時は落語なんて座って聞いてらんないじゃないですか。大人になってから改めて聞いた時に、ものすごい昔の町の情景とかが浮かんでくるようで、これは素晴らしいと思って。ライブの後に僕は決まってアイシングをするんですけど、氷をバーッと敷き詰めてその上に寝ちゃうんですよ、全身痛いから。その時にちょうどいい噺をかけて、それが終わるまで冷やすんです。

清川:すごい。動物みたい。

金原:何の噺が一番いいです?

金子:あんまり長いのはやっぱりあれなんで……。

金原:寒いから?

金子:冷えすぎちゃうんで。「抜け雀」とか「へっつい幽霊」とかですかね。すごい脱線しちゃってるんですけど(笑)。

金原:落語の話はまた後で(笑)。ということです。

質問者:ありがとうございました。

清川あさみ絵本シリーズに込められた思い

質問者:清川さんに質問したいんですが、先ほど作品を作る時に作品の真ん中から描き始めるというお話をされてたと思うんですけど。最後のロボとブランカの描写っていうのは、最初からイメージがあってそこに向かって描いていったのか、描いていった中で入り込んでいって、最後にあの描写になったのかっていうところを教えていただきたいです。

清川:今回は最初に真ん中ぐらいから描き始めて、やっぱりだんだん入り込んでいって、最後のシーンを描いたっていうほうです。

自分の中で今回すごい挑戦なお話だったので、さっきも話したかもしれないんですけど、いつも最後をとっても大事にしているので、とにかく入り込んでいって、何度も確認しながら、最後はどういうイメージで終わったらこの物語的にいいかっていうのをすごいやっぱり考えながら作りましたね。

質問者:ありがとうございます。

質問者:お話ありがとうございました。物事の見方についてなんですけど、今回の『狼王ロボ』についても、ブランカの視点があったり、作者シートンの視点があったり、ロボの視点があったり、皆さんそれぞれの見方があると思うんですけど。それは無意識にその視点になっているのか、それども普段から意識して、例えば「作者の視線から考えよう」とかっていうようなことを考えているのか、その辺をちょっと聞きたいです。

金原:僕はもう作品を読んで、あんまり僕ロボットではなくて、その辺は計算せずに普通に読んでこの話はおもしろいなぁと思った時に、ふと自分はどの視点で読んでるのかなっていうのを自分で自覚することはあるんですけども。だからどの視点で読もうとか、どういう視点で訳そうとかは考えないですね。普通に、自然に、ふっとこういうふうに読んでしまうという感じです。

清川:私の場合は、物語があって絵があるっていう作品がいろいろあるんですけど、絵本シリーズもそうだけども、普通に小説の表紙を作ることもあるんですよ、現代作家の。例えば湊かなえさんとか。だいたいいつも現代の人は作者の性格とか、作者側に立ったりとかして、寄って考えちゃうんですよ。

金原:湊かなえさんの性格って、どんな性格なの?

清川:めっちゃおもしろいんですけど。(ここでその話をしたら)それだけで終わってしまうぐらい。

金原:その視点でやっぱり表紙も作るの?

清川:かなえさんがどういうことをみんなに訴えたいのかなっていうのを最初に考えて、最初はいつもかなえさんが今までやったことない感じをやりたいって思っていて、最後に読者の方のことを考えるんですけど。

絵本になると、どこかで未来に残したいなっていつも思っているので、これを初めて読む子どもの皆さんとか、子どもの時に読んで改めて大人になってから見たっていう人とか、そういう読者の方の視点、視線もすごい意識もするし。だけどさっきもちょっと話したかもなんですけど、書きながら、結局入り込んでしまって、中の登場人物に入らないと結果描けなかったりするので、全ての視点が入っているのが絵本シリーズですね。

金原:なるほどね。

清川:しかもロボだけじゃなくてブランカの視点、人間の視点、シートンの視点が全部。特に世界の名作になってくると、いろいろちゃんと残したいというイメージがすごくあるので、ちょっと金原さんとも近いかもしれないですけど、わりと俯瞰して見てる気がします。最後は俯瞰して見る。

金原:少しロボット的に見てる?

清川:そうです、最後は。で、入り込むのに、結局最後はすごい引いて見るので、朝の光で「あれ、これ言いたいこと違うかな」とか「あれ、これなんかこの文章に合ってないな」とか「これを見ても興奮しないな」と思うとポシャるっていう。もう1回描き直ししてます。

金子:僕はもう完全にユーザーなので。ストーリーテリングに身を委ねて、それで何を思うかっていう。特に今回は絵があって文章があってっていうことで。僕は芸能人もやってますから、やっぱり映像作品とかだとちょっと邪推が働いたりする時もあるんですけど、今回は特に完全に体を預けて体感することができたので、すごくよかったですね。僕はこの時はもう単純に、普通に読んで何を思うかっていうのは完全に任せちゃってます。

金子ノブアキの音楽活動と俳優業

質問者:金子さんに質問です。俳優と二足のわらじでかなり大変そうなんですけども、俳優をやっていたから音楽にこういう影響が出てしまったとか、もし俳優を全くやってなかったらもっとこういう音楽ができたのにっていうのって何かありますか?

金子:どうでしょうね? これはもう、基本たらればになっちゃうんですけど。現状で言うと、今のスタンスになった背景に、音楽マーケットがすごくバーッと強い流れの中に入ってきて状況が変わってくるっていう時に、何らかのアクションを……。

良くも悪くもヘイトみたいなものが集まってくるだろうし、的にもなったりするので、それが僕に対してじゃなくて、ちょっと跳ね返りが少しで終わればっていうのが始まったんですけど。もともと子役だったりしたので、今の事務所にもずっとお世話になってて、人の縁が恵んでくれたという、本当にこれは恩恵でしかないなと感じるんですけど。

今すごく時代には寄り添えて、ちゃんと自分が発信したいものも(発信できている)。発信することさえも音楽に関しては難しくなってきてる時代だったりもするので、そこに対しての、っていうことですかね。そもそもの話なんですけど。

これをやってなかったら音楽が変わってたかって言うと、音楽が変わらないためにやってることなので、そこはちょっと切り離して考えているのかなぁと思いますね。

でも今はすごく充実しているし、最近は昨日初めてドラムセミナーみたいなのをやったりして。年齢的にも30代中盤に差し掛かってきて、だんだんまた変わってきてますね、感覚が。その時の自分に正直に、とは思ってますので。心配してくれてありがとうございます、最近はちゃんと寝れているので大丈夫です(笑)。

(会場笑)

光や音、空間を利用した「体感する絵」を作りたい

質問者:清川さんの作品が好きで、個展とかに行って見るものがとっても好きです。あと金子さんのソロライブにも先日行きました。もともと音楽も好きだったんですけど、光の感じとかもすごく大好きで。お二人の作品がすごく好きなんですけども、今後お二人はどういうものを作っていきたいと考えていらっしゃるんでしょうか?

金子:どうですか?

清川:いつも突発的に作りたいなぁって思った瞬間に作り始めているので、うーん……。今後作りたいものっていうのは、もう結構今作っているところもあって。次の個展で見せるものとかも、実際やってみたかったっていうものなんですよね。

光を作りたいなぁってふと思ったので、光を生む機械をやってみたいって。ちょっともう話しててもちょっとわかんないんですけど、光のインスタレーションっていうのをすごい作りたいなぁって思ったので、それを今実験で作っているのと、これからはもっともっと何か体感するものにしていきたいなぁと思っていて。

いつも皆さんに見てもらってるのはやっぱり平面だったりとか、半立体みたいなオブジェっていうのもあると思うんですけど、実際一番やりたいことは「体感する絵」なんですよね。それは空間だったり、インスタレーションもそういうものがあるかもしれないんですけど。音だったり、自然だったり、いろんなものを巻き込んでいって、自分も体感して育ってきたので、体感できる作品作りっていうのにもっとシフトしていけたらいいなぁって思っています。

金子:僕のこの間のライブをよく知ってる音楽ライターさんが見てくれて「音楽はインスタレーションである」っていう話をすごいしてくれたばかりなのでおもしろくて。個人的にそうやって新しい現場ができて、自分の名義でやってますけど、ライブをやり始めて現場を作っていくっていうことに僕はすごいいい「乾き」を感じていて、すごく本当にバーッと集中してる感じがするので、何度目かの青春みたいなものが来てるなぁと思って。

バンド活動をずっと10代の頃からやってきたりしてたんですけど、何十年も変わらずにあるものも素晴らしいことなんですけど、一方でどんどん転がって変わっていくっていうこともすごく好きだし、自分の中で大事かなと思うので、そういった形であのライブは、この間開催してまた今度もあるんですけども、そこはちゃんと育てていきたいなぁと。

音源は発表していたんですけどライブはやってなかったっていう状況で、ライブまでやりだしちゃうと、もうキックスタートで止まれなくなるんですよね。腹を括って始めるっていうことだったので、今後たぶん40代とかに突入していくまでまだ集中して、何か新しいものが芽生えてくれればなと思います。

今後は「古典」や「落語」の翻訳に挑戦してみたい

質問者:金原さんにお伺いしたいんですけれども。新しく日本語に訳すものもあれば、今回のロボのように昔からある翻訳 物を新たに新訳するっていう場合もあると思うんですけれども、訳す作品ってどのように決めていらっしゃるのか、選んでいらっしゃるのか、また出会っていらっしゃるのかっていうのをお聞きしたいです。

金原:今回は清川さんから「ロボ。」と一言来て「はぁ。」と……。

(会場笑)

金子:「ロボ。」「はぁ。」(笑)。

金原:「あっ、そう」っていう感じで。好きでなかったらゴメンで終わりだけど、ロボは好きだったので、じゃあやりましょうと。あとは、昔は8割以上は自分で探してきて、おもしろいものがあったら要訳をまとめて出版社に持っていって。そういう形ですよね。本当に。

清川:訳されたのは全部で何冊でしたっけ?

金原:450冊ぐらい。

金子:すごいなぁ……。

清川:すごい。超人ですね。

(会場笑)

金原:年をとるとね、増えるんだよ。

清川:あっ、そっか(笑)。

金原:ただそれだけの話。最近おもしろいと思ってるのは、忠臣蔵と、雨月物語と、あの辺を翻案してるんですよ、中高生向きに。それが好きで。特に「雨月物語」と「牡丹灯籠」、まぁ落語なんですけど、あの辺の語り直しがとてもおもしろくて。最近は翻訳なんかよりも自分の好きな日本の古典を自分の好きなようにアレンジして書くのが楽しいなぁと、落語を聞きながらいつもパソコンを打ってます。

清川:日本語を日本語に?

金原:日本語を日本語。それもかなり内容を変えたりするんだけど、おもしろいですね。これからはその世界がいいかなぁと思ってます。もう新しい作家の書いた、若い人が主人公の作品を訳すのはしんどい!

(会場笑)

清川:それはどうしてですか?

金原:言葉がないんだもん。本当になかなか進まない。

清川:つまんないですか?

金原:つまんないじゃなくて、自分がおもしろいと思って要訳まとめて出版社に持ち込んで。おもしろい、やろうか、じゃあやるねって言って訳し始めたら訳せない。言葉が出てこない。若い言葉が。

清川:それはなんでですかね?

金原:そのボキャブラリーが、語彙が自分の中にないから。それは絶対にダメですよね。自分で読み返してみても「おじさん頑張ってるね」としか思えないから……。

清川:俯瞰目線(笑)。

金原:なるべくそういうのはやめて、古典の翻案なんかに行くかもしれない。

清川:おもしろい。

金原:うなずかないでよ。「まだ大丈夫ですよ」とかさぁ……(言ってくれないの?)。

(会場笑)

清川:「あ~、そっちに行くんだろうな」と思ってました。

金子:あさみちゃん、時代劇とかやってみたらいいじゃないですか。

清川:時代劇。

金原:まだやってないでしょ?

金子:忠臣蔵みたいなのとかさ。

清川:日本のものはやったことないからやってみたい。

金原:考えますか。考えましょう。時代物ねぇ。

金子:見たことないなと思って、今。

金原:いいねぇ。

金子:僕が発案しました。

(会場笑)

清川:すごいすごい!

金原:いいかもなぁ。

清川:こういうのがきっかけで本当に生まれたりするので。

金子:夜の景色とかきっときれいになりそうじゃない?

清川:おもしろい。

金原:ちょっと考えましょう。ありがとうございます。

仕事をしていて一番楽しいと思う瞬間

司会:最後いらっしゃいませんか? はい、お願いします。

質問者:皆さんがお仕事をされていて、一番楽しいなぁって思う瞬間を教えてください。

金原:僕はやっぱり金子さんとか、一番羨ましいんですよ。自分がやった反応が目の前にあるから。

金子:そうですね。ライブはやっぱり。

金原:僕は音楽も好きだけど、実は芝居が大好きで、芝居によく行くんだけど「なんで役者にならなかったのかな」って……。

(会場笑)

金子:演劇にはまる方って多いじゃないですか、役者さんでも。それは「ライブ」だからでしょうね。映画とかテレビドラマはレコーディングなんで、それが大きな違いですよね。

金原:生のリアクションが返ってくるのって、すごい憧れるんですよ。僕なんか翻訳じゃない。リアクションがない。

(会場笑)

金原:リアクションペーパーつけて送りたいぐらいですよ。何が楽しいって言われると、翻訳してる時にはもう苦しいだけで目が痛くなるし、あんまりおもしろくないし、本ができあがった時におもしろいかって言うと「あぁ、本になったなぁ」っていうだけ。読者から熱烈なファンレターが来たらちょっとうれしいけど「あぁ、3人かぁ」とかね。

(会場笑)

金原:そんなんだから、楽しさを翻訳家として実感することってあんまりないような気がするんですよ。その点は金子さん、どうですか?

金子:僕はやっぱりライブですかね。制作物を作ったとして、それをライブでやることによってまた曲が成長していくようなところがあって、アレンジが変わっていったりとか。それはもうナマモノだなぁと思って、生きてると思うと楽しいですね。

金原:お客さんとの勝負みたいなもんですね、ある意味。

金子:イベントに出るのか、ワンマンライブをやるのかでまた全然違うんですよね。フェスとかはもう道場破りっていう感じでエイッて行くんですけど、ワンマンだとおもてなしもあるので。その辺も違うかな。僕はもう、ライブかなぁ。

金原:皆さんもナマモノのこういうもののほうがいいですよ。翻訳なんかやらないほうがいい。清川さんはどうですか?

清川:私も、作ってる時は苦しいだけしかないですね。

金原:あんまりおもしろくないよね。

清川:うん、つらい。マラソン状態なので。「ゴールまだ?」みたいな感じ。

金原:わかるわかる。

清川:「まだあと何文字もある」みたいな。

金原:金子さんなんかは「もう終わりかよ、もっとやりてぇよ」って思えるところがあるよね。

金子:ライブはそうです。でも制作に関してはやっぱり産みの苦しみはあります。産むのは苦しいですね。

金原:こっちは「まだあるのかよ」っていう感じだもんね。

金子:でも個展とかやると、それこそ報われるような感じはあるの?

清川:みんなに見てもらいたいし、見てもらった時の反応もすごいやっぱりうれしいんですけど、自分の場合は自分がすごい「いいのができた」って思えた瞬間が結局一番気持ちよくって。本当にいいものができたなって思う時は絶対伝わっていくんですけど。

金原:そういうもんなんだ。

清川:はい。ちょっとここ抜いちゃったかなぁっていうのは明らかにお客さんに伝わるので。だから自分が「よし!」って思えた瞬間、完成した時が一番自分の中では気持ちいい時ですね。

司会:はい、じゃあ、最後にお三方から締めの言葉をいただけたらと思います。

金子:今日は本当にお招きいただいて、参加させていただいた形だったので、本当に素晴らしい作品で、もう最高だった。「今から曲書いちゃう!」とかそんなこと言ってたら、こうやって本当にお会いできましたし、近くで話を聞けて、みなさんと同じぐらいの角度で感じられたのですごい楽しかったです。またこういう機会があればと思います。ありがとうございました。

(会場拍手)

金原:僕は清川さんと何回もコラボレーションしているんですが、あまり翻訳を読まないうちに作っちゃうような、とてもおもしろい人なんです。今回ロボでやっと僕のほうに近づいてきてくれたかなという感じがして、とてもうれしいですね。次は何になるか、今から待ち遠しくてならないので、早く決めて次の作品に取り掛かりましょう。皆さんその時まで乞うご期待です。どうもありがとうございます。

(会場拍手)

清川:今日は雨の中ありがとうございます。なんかね、この2人とこんなに……盛り上がるかもと思ったので呼んだんですけど(笑)。やっぱりいろんな視点で物事が見れたし、本当にいろんな質問を投げかけてくれて、これがきっかけで今度は日本のものにも挑戦したいなっていう気持ちがすごく……。

金子:俺が考えたやつですね?

清川:そうですね(笑)。

(会場笑)

清川:本当にこういう瞬間が作ってよかったなって思える瞬間です。次の7月の個展はロボの原画も全部飾りますし、ちょっと遠いですけど、本当に森の中で、それこそさっき話したような体感してもらいたい場所だったりするので、お時間がありましたら夏休みをきっかけに来てください。ありがとうございました。

(会場拍手)