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「仕掛けて待つ姿勢」が社会を変える キッズライン経沢氏×弁護士ドットコム元榮氏対談

「仕掛けて待つ姿勢」が社会を変える キッズライン経沢氏×弁護士ドットコム元榮氏対談

常に最前線に立ち、戦い続けている人たちの背景には、それを支える「恩人」の存在があります。起業家たちは恩人からなにを学び、活かしているのでしょうか。本企画は、そんな起業家と恩人が当時を振り返りながら対談する、ログミーオリジナル企画です。第1回目はキッズライン・経沢香保子氏と弁護士ドットコム・元榮太一郎氏が登場。同じ「社会を変える」を目指して事業を立ち上げた両者。「出会いは最悪だった」と話す経沢氏が、元榮氏を恩人と呼ぶ理由とは?

シリーズ
ログミーオリジナル企画 > キッズライン経沢香保子×弁護士ドットコム元榮太一郎
スピーカー
株式会社キッズライン 代表取締役社長 経沢香保子 氏
弁護士ドットコム株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 元榮太一郎 氏

「弁護士ドットコムの元榮です」で心を閉ざした最初の出会い

――本日はよろしくお願いします。まずお2人の今の関係性に至るまでの流れというか、経緯からおうかがいしたいのですが。 経沢香保子氏(以下、経沢) 最初の出会い……あのとき私、ノーメイクで元榮さんにお会いしたんですよね。 元榮太一郎氏(以下、元榮) うんうん。 ――(笑)。 経沢 「モーニングCROSS」というテレビ番組に、お互いレギュラーで出ていたんです。その番組には何人かの識者が出ていて、1回の放送で3人呼ばれるスタイルだったんです。 元榮さんと私が同時に出ることはそれまでなかったし、確率としても低かったんですけど、その日はたまたま一緒に出演することになっていたんです。 そのとき、女性が先にメイクする段取りになっていて。私がメイクしていたら、なんだか爽やかな人が後ろから風を切るようにヒュッて隣に座って「元榮です、どうも」みたいな(笑)。 元榮 そうそう。あそこのメイクルームはけっこう狭いんですよ。2人しか座れないくらいなんですよね。 経沢 そうそう。だから、本当に近い距離で(笑)。当時、私が前の会社(トレンダーズ)の社長を退任した後だったんです。無職な私。そして、そのときは弁護士さんに苦手意識が強くて。 というのは、それまで弁護士さんはみな誠実な人ばかりだと思っていたのに、そうでもない恐ろしい経験もして。だから「弁護士」と聞けば無意識に警戒(苦笑)。そんなところへ元榮さんから「弁護士ドットコムの元榮です」って言われて、その瞬間、心を閉ざした(笑)。 のちに素晴らしい弁護士先生に出会い、元榮さんにも力になってもらうことも増えてその気持ちは乗り越えられたのですが。当時はまだ……。 元榮 「弁護士」って入ってましたからね(笑)。あのときの経沢さんは、わかりやすくそっけなかった。すごく覚えてますよ。 経沢 過剰反応しちゃって(笑)。

次の再会は知人の結婚式。でも……?

――元榮さんは経沢さんのことをご存知だったんですね? 元榮 知ってましたよ。いつも番組側から、前日か前々日に共演者を発表されるんです。そのときにも事前に共演することを知って「あ、あの噂の経沢さんだな」と思って。 経沢 あははは(笑)。 元榮 当時ホットな(笑)。それもあって「あ、あの人だな」と。 経沢 かわいそうな人が来ると思っていたんですか?(笑) 元榮 いえ、そんなことはないですよ(笑)。自分が創業した会社を卒業し、そのうえアイスバケツもかぶるという。そこで多少、労りの気持ちを持って「弁護士ドットコムの元榮です」と言って挨拶しにいったら、なんとそっけない。 経沢 (笑)。そこでいったん終了したんですよね。 2回目は、その番組のメインキャスターの結婚式に呼ばれたんです。そこで再会したんです。当時は弁護士ドットコムが上場するということだったんで「おめでとうございます」「一緒に飲みましょう」と私から話しかけたんですけど。「僕、禁酒中なんです」って、今度は冷たくされてしまった(笑)。 元榮 たまたまですよ。あのときは上場前で、朝から晩までたくさんの機関投資家様とミーティングやプレゼンを重ねて、弁護士ドットコムの未来を確信してもらうための大事な時期だったのです。そんなときに二日酔いなどもってのほかなので、その期間中は禁酒していました。僕、大事なときはいつも禁酒することにしていますから。 ……そんなに冷たくなかったですよね?(笑) 経沢 禁酒するほど気合を入れていて「どんな上場になったのか」と興味があって、それからずっとウォッチさせていただいて。結果、すばらしいかたちで上場されたので「お祝いさせてください」と再度連絡したんですよね。

共通点は「身近でないものを身近にする」

私はいろいろ問題を抱えていたし、あのときはすでにキッズラインを起業していたのかな? その件も含めてお話を聞きたくて。でも、すごくいいアドバイスをいただけたんですよね。そこまでの経緯はちょっとギャグなんですけど、それからずっと相談に乗ってもらえる恩師なんですよ。 ――具体的に、どんな相談をされているんですか? 経沢 はじまりは今の会社の起業に関してでした。私が起業したのが7月で、弁護士ドットコムが上場したのが12月くらい。当時は登記だけしていて、仲間集めや事業の方向性を模索していたんですよね。元榮さんに「こういう事業をやるんです」とお話したとき、すごく似ているなと感じたんです。 キッズラインは「ベビーシッター」という世の中で身近でないものを身近にするビジネスです。弁護士ドットコムも「弁護士」という身近でないものを身近にするビジネスです。 元榮さんと話しているうちに、共感とともに尊敬の念が深くなり、そこからどういった苦労や努力をしたのかを教えていただくようになったんです。 元榮 僕自身は、弁護士ドットコムの事業において、改めて振り返る、顧みるいい機会になるなと思いまして。要するに、志しやサービスに、共感性の高い理念がある。僕らのやっていることは、ともにマッチングですしね。 そもそも僕がなぜ弁護士ドットコムをやろうと思ったのかというと「弁護士を身近にしたい」がスタートでした。そこから、困っている人と、その力になりたい弁護士をつなぐ場所作りを目指したんです。 そういったWebサービスがどうやってトラフィックを増やすのか、訪問したユーザーにどういった体験をしてもらうのか。あとは、収益モデルをどうすればいいのか。 基本的なテーマや領域は違うんですが、共通する課題と言うかポイントが多いので、話していて面白いなと思うようになって。僕も関心を持っていろいろ聞いたりするようになりました。 経沢 志の持ち方ばかりでなく、そういったテクニック的なこともいろいろ教えてもらうようになりましたよね。

「まだないもの」を仕掛けて待つということ

先ほどもお話しましたが、そのときの私はゼロから作ってまさに16年間自分のすべて心血注いだ会社を辞めたタイミングでもあり、真っ暗闇にいました。その出来事を噛み砕き、自分自身を振り返って言語化するのがすごく難しかったんです。 ですので、次のスタートについて、新しい事業や会社を成功させるために、自分は次からどういった経営スタイルで、どういったビジョンを持ち、どんな哲学をもって組織を作っていくのか。経営者としてゼロからやり直さなければいけませんでした。その時、元榮さんのスタイルが私にとって大きな参考になったんですよね。 言葉を選ばずに言うと、テクニックに関してはほかの人でも教えてくれます。でも、元榮さんは「社会を変える」という同じビジョンを持つサービスをやっている。これまで私がやってきた事業はBtoBだったし、今度は命を預かるサービスだし。 つまり、創業者である自分の考え方を根本的に変える必要があるんですよね。でも、それって普通は簡単にできない。それを見て学ばせてもらえたのが、一番感謝しているポイントですね。ちょっと抽象的かもしれないですけど。 元榮 いやいや。 経沢 元榮さんから学んだなかで、大きなインパクトがあったものが3つあります。 1つ目は「自分のやり方をとにかく貫け」。 例えば、以前の私は上場を目指していて、資金調達や資本政策のトレンドみたいなものに振り回されていたところもあった気がします。当時、若かったこともありますが。会社を始めるとき、資本政策を本質的に理解していなかったのかもしれません。 でも、今進めているものは、子供の命を預かる仕事です。会社がきちんと安定するまでは、自分の持っているお金でやろうと決断できました。元榮さんも、けっこう長い間、自己資金でやられてましたよね? しかも8年間は赤字でした。それでも「仕掛けて待つんだ」みたいな姿勢があった。 私たちに共通するのは、明らかにマーケットがあり、何年かけてどういうカタチにでやるのか……というものではなく、まだないものを仕掛け続けて、タイミングがきたときに盤石な状態でビジネスをスタートさせるというやり方です。それをガツンと教えてもらったのが、すごくよかったなと思っているんですよ。

「見栄じゃなくて、すべきことをとる」を学ぶ

元榮 孫正義さんの言葉に学んだまでですよ。時代を読んで仕掛けて待つ。その順番でいくと、価値を最大化しやすい。時代が動いてから追いかけても、そのフィールドで活躍するのはなかなか難しい。とはいえ、待つ時間はけっこう大変なんですけれども。 僕自身、弁護士ドットコムは弁護士が増えて競争が進むはるか前の2004年に着想を得て、2005年にサイトをスタートしました。 当時の弁護士って、本当に待っているだけで仕事がくる牧歌的な時代だったんです。だから「インターネットで顔も名前も知らない一見さんとつながるなんて」という、一見さんお断りという料亭のようなスタイルでした。 しかし弁護士の数は増え続ける。弁護士も依頼者と出会うために一生懸命にならなければならない時代が来る。一方でインターネットは急速に普及して社会に浸透するようになる。そして、困っている人達はネットを使って弁護士を探す時代が必ず来る。 その2つの確信のもと、あとは時代が来るのを待った。そういう感じでしたね。だから今、弁護士を探すプラットフォームとしてはパイオニア的な立ち位置をいただけているのです。 ベビーシッターも、一般的に言うと一部の人が使っているけれど、まだ「自分の大事な子供は自分で育てるべきだ」という感じです。もちろん、その考え方も悪くない。 しかし、それこそ女性がどんどん仕事と育児、家庭を両立しながらやっていくことが求められている今の時代、あらゆる選択肢の1つとしてベビーシッターはこれからもっと普及してよいと考えています。 今は本当に端境期というか、ターニングポイントに来ていると思うので、まさに時代を読んで仕掛けているところに、僕は共感したんですよね。 経沢 とにかく長期戦で考えるということ。それまではわりと「がんばって営業すればすぐに売上が上がる」とか、そういったやり方だったんですけど。 そうじゃなくて、基盤をコツコツ作る。その間は、自分の意思を爪の先まで浸透させる、など。元榮さんもそうですけど、最初の何年間は利益とかではなく、なにをどういうふうにするのかが大切。だから、調達することも、あまりメリットがない。 でも、ITベンチャーでスタートアップというと、どこか「調達してる会社がすごい!」みたいな雰囲気がありますよね。そうすると目立つし、かっこいいし、優秀な人が集まりやすくなる。 でも、それが適切ではない事業の場合は、その誘惑を断つ。見栄じゃなくて、すべきことをとる。それは1つ、学んだなかで大きかったですね。

長期戦になるからこそ、社長が前へ出る

前は上場企業の社長だったから、マネジメントという名の空気をコントロールする仕事が中心になっていって。そういったことに、どこか慣れちゃっていたんですよね。 現場仕事の大切さや苦労、たとえすべてを失っても、自分が1人で稼げるかという基本を忘れていたんです。前の会社を辞めて収入がゼロになって、すごく怖くなったんですよね。 しかも、これからやる仕事は長期戦で、会社の運営には毎月お金がすごくかかる。そんなとき、軍資金をどうするのか。 そこで、私は自分でサロンを運営したり、noteで記事を書いたり、あとはテレビに出たり。そういったことで毎月いくらの売上げを出そうと自分で決めたんですよね。でも、それを両立するのはけっこう大変で……。 それはキッズラインのためだけど、端から見ると「2足のわらじで事業に集中していない」「自分ばっかり前に出て、結局目立ちたがりでしょ」という意見を持つ方もいらっしゃるとわかりました。 「自分で売上げを出すことをやめるべきなのか」とすごく悩んだんですけど、元榮さんご自身も、最初は弁護士の仕事をしながら弁護士ドットコムをやっていました。 だから、私が迷っているとき「他人の声を気にするな」「発信することは大事だ」と言われたのがけっこう心に残っていて。 元榮 僕がテレビに出るときは出演料を求めなかったんですが、経沢さんはすごいんですよね(笑)。 経沢 なにを言ってるんですか!(笑)。 元榮 弁護士は専門家枠ですからね。経沢さんはタレント枠でしたよね? 経沢 そんな、私は文化人枠なので安いですよ(笑)。 元榮 そうやってまた言いわけするでしょ? これ、全部ログミーに載せておいてください。 (一同笑)

  
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