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アメンボのように跳び、タコのように色を変える–生物を模倣して作られたロボットたち

アメンボのように跳び、タコのように色を変える–生物を模倣して作られたロボットたち

ロボットを作る技術は目覚ましい進歩を遂げていますが、まだまだ進化する余地は十分に残されています。エンジニアが技術開発を行う場合、自然界からヒントを得ることは少なくありません。自然界はこれまで長い時間をかけて、目を見張るようなデザインや機能を進化させているからです。100年前であれば飛行機が飛ぶ仕組みは理解できないものでしたが、虫は1億年も前から空を飛んでいるのです。今回は、YouTubeの人気科学系チャンネル「SciShow」より、空を飛ぶロボットから水中を泳ぐロボット、さらには色を自在に変えるロボットまで、生物模倣によって生み出された驚きのロボットの数々をご紹介します。

シリーズ
SciShow
2015年9月16日のログ
スピーカー
Hank Green(ハンク・グリーン) 氏
参照動画
Robots Inspired By Animals

虫のように飛ぶロボット

ハンク・グリーン氏 エンジニアが技術開発を行う場合、自然界からヒントを得ることは少なくありません。自然界はこれまで長い時間をかけて、目を見張るようなデザインや機能を進化させているからです。 100年前であれば飛行機が飛ぶ仕組みはなかなか理解できないものでしたが、1億年も前から虫は空を飛んでいるのです。 なにかを実現させたい場合、研究者たちは自然界からその仕組みを見つけ出そうとしてきました。そうすればそれを真似るだけで済むからです。 技術開発を行う際に生物学を参考にすることは、どんな分野でも行われています。「生物模倣」と呼ばれるこうした研究は、特定の仕事をさせるロボット開発の分野でとくに有効です。人質救出や空を飛ぶといった仕事は、すでに人間や動物が行っているからです。 日進月歩で進むロボット工学の1つの分野を取り上げて、エンジニアが改良を加えるために自然界を観察する様子を考えてみましょう。 「空飛ぶロボット」といえば、アイアン・ジャイアントやウォーリーに出てくるイブ(両者ともアニメ映画に出てくるロボット)を想像するかもしれません。ところが現実には鳥や虫を模したロボットもあるのです。 スイスの研究チームが設計した「Airburr」というロボットは、羽ばたきではなく、虫の動きを真似しています。 Image01 未知のエリアを探索する際にぶつからないようにする、というロボットにとっての難問をクリアしようとしたのです。 通常、ロボットがぶつからないようにするには目的地を設定したり、そのための地図を作り上げる必要があります。しかし地図を作る作業は複雑ですし、装置は壊れやすい上に高価です。ロボットがぶつかる原因は多々ある上に、ぶつかれば壊れて大惨事です。 そのためのヒントを虫から見つけ出そうとしたわけですが、あっさり解決したわけではありません。なぜなら虫は思ったより飛ぶのが下手なのです。 夏の夕暮れに屋外の電灯目がけて、虫が何度も飛んでいき、ぶつかったり跳ね返ったりするのを見たことがあるでしょう。その理由の1つは、虫の認識能力には限界があるので、明るい光があればそれは目の前に障害物がないんだ、と考えてしまうのです。 このように自らのナビゲーション機能が当てにならない場合、フェイルセーフの機能が必要になります。ほとんどの虫は、空中でなにかの障害物にぶつかっても、その場で停止してしまったり墜落したりせずにそのまま飛び続けられます。 Airburrには衝撃を吸収できるフレームが内蔵されていて、壁にぶつかったり転がったりしても問題ないように設計されているのです。 Image03 地面に転がったとしても、4本の足を伸ばして正しい天地の向きに戻ってもう一度飛べます。家の前で飛び回る虫を参考にした結果、ぶつかった時のための複雑な仕組みは必要なくなったのです。 Airburrの最終目標は、瓦礫に覆われた侵入できない場所でも飛び回って、ロボットによる探索救助を支援することです。見た目こそアイアン・ジャイアントではありませんが、同じ仕事をできる日が来るでしょう。

アメンボを真似たジャンプするロボット

不整地を進むために自然界から見つかる妙技は、ジャンプです。アメンボが池や小川で見せる、度肝を抜かれるジャンプの仕組みを科学的に解明してみましょう。 Image05 韓国の研究者グループはアメンボのジャンプをロボットに活かそうとするにあたり、まずアメンボが移動する仕組みを調べました。アメンボは、水分子が表面でしっかりと結びつく、表面張力という現象をうまく利用します。表面張力によって水面からの抵抗力を長い足に受け、足が水面を突き破って沈むことなく浮かび続けていられるのです。 Image06 アメンボが飛び上がる様子をハイスピードカメラで撮影してみると、突然飛び上がっているように見えていたジャンプには長い準備運動がありました。私たちが地面を蹴ってその反発力を使ってジャンプするのとは違い、アメンボは足を互いに内側に寄せていたのです。 伸び縮みするゴムシートのようになった水面の上をアメンボの足が動きながら、水面にわずかなへこみを作るために足を押し下げます。へこんだ水面は元の平らな状態に戻ろうとし、その時の力がアメンボを空中へと押し上げるのです。 アメンボロボットは電気制御によって素早く足を動かせるようにし、1センチ程度の大きさで14センチ飛び上がれました。 Image09 ジャンプする、という技術は、ソフト・ロボティクスというロボット工学の別の分野でも重要な役割があります。ほとんどのロボットは、その構造の組みやすさから固い金属やプラスチックでできていますが、壊れやすくもあります。さらにジャンプして空中に放り出されるということは、当然ながら地面に何度もぶつかってしまうわけです。スマホにそういう扱いをしたらたちまち保証対象外ですね。 そこで柔らかいロボットは、外装が押し潰れる設計にしたのです。ハーバード大学、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者チームは、衝撃吸収の設計思想を発展させて、ジャンプする柔らかいロボットを開発しました。 柔らかいロボットであったとしても、動かすためには電子部品といった固いパーツが必要です。問題となったのは、柔らかい部分と硬い部分の境界にかかる力で壊れてしまう、という点でした。しかしここでも自然界が解決のヒントをくれます。 研究チームは、生物が肌のような柔らかい部位から骨のような固い部位まで滑らかにつながっていることに着目しました。両方の部位は多層的に結合されているため、しっかりと結合されつつも柔軟な動きができるのです。 そこで3Dプリンタを用いて、柔らかい外側と固い内側がなだらかに連続しているプラスチック製ロボットを作ることにしました。剛性がそれぞれ違う9種類のプラスチックを使って、電子部品がある中心部分は固く、外側に近づくほど弾性が上がるようにしたのです。 空気で膨らませるおもちゃのように、柔らかい外側は内側を保護し、また跳ねやすくなります。ブタンガスと酸素に着火して、ロボットを急激に空中へ放り出してみましょう。 Image12 ロボットは75センチメートルの高さまで上がり、15センチメートル前方に落下しましたが壊れませんでした。さらに1.2メートルから落としても壊れず、さらに34回以上繰り返しても問題なく動作したのです。 研究チームは、速さとパワーを両立しつつ壊れないようにするためには、硬い部分と柔らかい部分を両方持つロボットが将来主流になるだろう、と言います。

泳ぐロボットから色を変えるロボットまで

ただ、こういったただ飛び上がるだけのロボットにはあまり価値がないと思うかもしれません。では泳ぐロボットについて考えてみましょう。 まだそれらしい名前はついていませんので、「スイマノイド」とでも名付けてみましょう。「スイマー」と「ヒューマノイド」を合わせて「スイマノイド」です。 泳げる人は多いですが、水の中における体の動きや泳ぐ仕組みはとても複雑です。そこで日本の研究チームは、センサーを取り付けて泳いでもらって、体の各部にどういう力がかかっているのかを解明しようとしましたが、水の中でセンサーが外れないようにすることができませんでした。そこでスイマノイドは泳ぐ動きをシミュレーションすることにします。 泳いでいる人の動きを3Dスキャナで読み取って、同じ動きができるようにスイマノイドのモーターを動かすのです。人間と同じような関節を作るのはかなり難しいため、スイマノイドに同じ動きはなかなかさせられません。スイマノイドの肘を前後に動かし、肩を回して前後にストロークをかけることやバタフライはできますが、スムーズに平泳ぎをさせることはまだできませんでした。 スイマノイドは1秒で64センチと、競泳100メートル世界記録の3分の1程度の速さで泳げました。研究チームは泳ぐ際の仕組みをさらに解明し、スムーズな泳ぎを実現させたいと考えています。スイマノイドも、生物が生きていく上で改善してきた動作を読み取る生物模倣のひとつですね。 空を飛んだりジャンプしたり泳いだりといったロボットはある意味普通ですが、生物の中には特異な動きをするものもいます。研究者たちは、その1つである自分の色を変える生物を真似たロボットを開発しました。 Image13 ハーバード大学の研究者が開発したこのカモフラージュロボットは、タコを真似て作られていますが、足は4本だけで、それぞれが違う動きをします。 タコをはじめとした色を変えられる頭足類は、色を持った細胞である「色素胞」の色を変えることができます。色を変えることで捕食者から隠れたり、威嚇したり、お互いにコミュニケーションをとったりするのです。 そんな細胞を文字通り作るのはほとんど不可能ですし、そこまでする必要はありません。その代わりに、ロボットを何色かの染料が入った機械に接続し、特定の目立つ色を混ぜ合わせて送り出すようにしました。 Image15 Image16 Image17 染料の温度を変えることもでき、周囲に溶け込ませるだけでなく、赤外線でだけで見えるようにしたり、暗闇で光るようにもできるのです。足に空気を送り込むことで、ぎごちないながらも前に進むこともできます。 色を混ぜ合わせて周囲に溶け込むことは偵察などでは有用かもしれませんが、むしろ救助の行う際には目立つことの方が重要です。海で遭難しても目立つ色なら見つかりやすいですよね。 人が操作するタイプの試作品なら、10ドルほどで簡単に制作することができます。しかし染料をポンプで送り出し、ロボットの色を変えるには30秒ほどかかってしまいます。将来的には、本体との接続なしの小さなポンプを内蔵した独立型になるでしょう。さらにはすべての装置が組み込まれて、地面の色を検知して自動で変色する、まさに本物のタコのような動きをするでしょう。 今回取り上げたのは、自然界が数十億年かけて進化してきた技術を真似た、ほんの数例です。生物学とロボット工学を組み合わせると、こうも便利で精巧で、興味をそそることができるんですね。

  

SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

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