生命の始まりはいつ?

ハンク・グリーン氏:私たちは地球の歴史についてたくさんのことを知っています。地球が大体46億歳であることも知っています。元は小惑星であって、彗星が衝突してでき上がったということも知っています。

しかし、私たちの惑星について、1つわからないことがあります。それは、生命はいつから生じたのかということです。

今までで発見された最古の化石は35億年前に微生物がいたことを証明しています。しかし先日、ある科学者たちのチームが「ネイチャー」に報告したことによると、彼らは以前の化石より2億年も古い化石を発見したようです。

いつ生命が存在し始めたかということに関する討論は、約38億年前に起きたことと関係があります。地球に小惑星が降り注いできた、「後期重爆撃期」という期間があります。

オーストラリアで発見された古代の石のなかには非常に小さなクリスタルが見られ、そのなかには41億年前の二酸化炭素が含まれています。それは、「後期重爆撃期」より前のものですから、とてもベーシックな生命から生じたものかもしれません。ですから、生命は40億年以上前に生じた可能性があるのです。

しかし、そのような初期の生命にとっては、たくさんの物が地球にぶつかって来るような状況で生き残るのは難しかったでしょう。それゆえ多くの科学者は生命が「後期重爆撃期」の後に生じたのだと考えています。

それら35億歳の化石は、重爆撃期が終わってから生命が生じるまでに時間がある証明になるので、そのアイデアを支持していました。その化石は「ストロマトライト」と呼ばれ、増殖するバクテリアのマットのような堆積物の層でできています。

堆積物の層はただ単に時間が経つにつれてできるものですが、ストロマトライトのなかにある、その形や科学的サインは、それが微生物により作られたことを証明しています。

史上最古の化石が発見

ですから、そのような化石のおかげで、私たちは少なくとも35億年前にその生命体があったことがわかります。しかし今、なんとその微生物がそれよりも前に存在していたという証明があるのです。

先日発表された論文によると、オーストラリアの研究員たちは、グリーンランドの37億年前の古代の石の中にストロマトライトがあることを発見したのです。

この石は地球上でもっとも古いものの1つです。これらの古代石は「変成堆積岩」といって、熱と圧により変成した堆積岩です。そのなかにある岩の層の形や質感、そして科学的配合により、岩の中にある微生物によって作られたストロマトライトがあるという証拠がつかめます。

ですから、それらは史上最古の化石であると言えるかもしれません。そして37億年前のものですから、「後期重爆撃期」の1億年後に形成されたことがわかります。

これは、重爆撃期間後に生命が生まれたという考えに対しては問題を生じさせます。1億年という期間は、単純な生命が、マットを形成するバクテリアのような複雑な形になるには十分な時間ではありません。つまり、その生命体は重爆撃期間が終わる前に存在していたかもしれないということです。

研究者はそのなかでも、ある生命はそれより前に生存していた可能性があると述べており、その生命体は「後期重爆撃期」の騒動を生き残ったのです。

ですから地球上の初期の生活は私たちが予想するより大変であったかもしれません。私たちはまだまだたくさんこの惑星について学ぶ必要があります。

しかし、あるものはいつも私たちの身近にあり、私たちの宇宙のなかですべてがどのように関わるかに影響を与えています。それは、4つの自然界の基本の力です。

ノーベル賞級の発見?

それは「強い相互作用」「弱い相互作用」「重力」「電磁力」です。物理学者はこれら4つの力によって測定することにより宇宙からグルオンまで、すべてのものを説明することができます。少なくとも今までは、です。

1月に、あるハンガリーの核物理学者のチームが、自分たちの実験のなかで変則的なことを発見したと発表しました。つまり、まったく新しい種類の分子です。

それ以来、カリフォルニアの理論物理学者のチームはそのデータについて詳しく調べていて、その変則は自然界の基本の5番目の力によるものであると説明できるかもしれないと述べています。

その研究員たちは不安定なベリリウム核が崩壊し、光子という光の分子になるのを観察していた時、その変則を発見したのです。

時々、光子は電子と陽電子に分かれます。陽電子は電子と反する物質で、質量は同じですが、正電荷です。実験では、ほとんどの場合で電子と陽電子のペアが分かれる時、それぞれの間に微量の角度があるということが、研究員の道具により発見されました。

しかし時には電子と陽電子のペアが分かれる時に、間にそれよりずっと大きな角度が見られ、それらはずっと遠くに離れていくことが見受けられました。それが実験上の変則です。

彼らは光子がペアを大きな角度をつけて放さないということは知っていましたが、その変則を既知の物理学を使っては説明できませんでした。それゆえ、まったく新しい分子がそのような分かれ方をさせているのではないかと提唱したのです。

今年の4月と8月にカリフォルニアの理論物理学者チームが「ARXIV.ORG」にこれらのデータの分析した論文を投稿しました。彼らはその変則は、彼らが暫定的に「X粒子」と呼んでいる新しい分子と、5番目の基本の力によって説明できるという仮定を立てています。

これは大発見かもしれません。ノーベル賞、歴史を塗り替える、物理学を揺り動かす発見ですよ!

しかし、この理論はこの実験が、5番目の力があるという証拠になるとはまったく言っていません。今のところは可能性を裏付ける説明にすぎません。それに、その変則を発見したハンガリーの研究員たちは、過去にいくつかの珍しい報告をしていますがそれはまだ精査されていません。

ですからその変則が存在するかどうかを確証するか反論する、さらなる研究が必要となるのです。

今のところほとんどの物理学者は、当然ながらこのことに関しては懐疑的です。しかし、さらなる研究がされることにより、この発見が私たちの基本となる宇宙の働きに関する理解を覆すことになるかもしれないのです。