モラルがあるチームは主体的に動く
青野慶久氏(以下、青野):後半戦にまいりたいと思います。改めまして、ゲストのみなさんよろしくお願いします。
(会場拍手)
みなさんのご質問をお受けするという予定だったんですけど、若干予定外のことが起きています。質問が100個以上来ています! これは拾いようがないぞということになっておりまして、心を鬼にして選ばせていただきたいと思います。
先ほど控え室でもお話ししていたんですが、やっぱりサッカーチームでも生き生きしているチームとそうでないチームがあると思います。岡田さんが感じるティール組織との共通点はありますか? サッカーチームを作るときに、生き生きするチームってどうやって作るんですか?
岡田武史氏(以下、岡田):……。
(会場笑)
青野:岡田メソッドをちょっとお聞きしたいです。
岡田:それだけで1時間くらい講演してるのに、それをここで?(笑)。
(会場笑)
まあ、1つはチームモラルみたいなものを作るんですよ。モラルというのはルールじゃないわけ。ルールというのは絶対守らなきゃいけない。モラルというのは自然とみんながやるものです。
例えばうちのオフィスが変わったときに、若いやつが「オフィスルールを作りました!」と言ってきた。「えらいな、お前。見せてくれよ」と見たら、「最初に来た人はどことどこの窓を開け、空気を入れ替え……」と。「お前、これがルールか!? こんなことはみんなが自然とやれるようにならなきゃいけないじゃん」と。
文化みたいなものとして、モラルを作らなきゃいけない。ロッカールームは自然ときれいになってるとか。
僕が最初に横浜F・マリノスの監督で行ったときに、初日にフィジカルコーチがコーンを四隅に置いて「ここを1周1分40秒で走れ」ってやってるのを見たら、3分の2くらいの選手がちょっとコーンの内側を走ってるわけ。それで、まじめに走ってる奴がちょっと小馬鹿にされている。でも僕が行って1ヶ月もしたら、1人も内側を走らない。練習生が来て内側を走ったらそいつが馬鹿にされるわけ。これがモラル。
でもコーンにコーチを立てて「そこ回れ!」と回らせたんじゃ、これはルールになる。自然と外を回るチームにしなきゃいけないんです。そういうモラルをまず作って……この作り方は長いからまた(笑)。
チーム哲学の最上位は「エンジョイ」
岡田:その次に、僕は代表チームであってもどのチームに行っても、哲学というものを作るんですよ。チームの哲学というのは、例えばエンジョイとか、だいたいチームによって変えていたんだけど、今は6つに収斂しています。その一番に常にエンジョイというのを持ってくるわけ。