『君の名は。』は昭和風タイトル?

山田玲司氏(以下、山田):そうそう。ただ本当に、この時期、本来は目を覚まさなきゃいけない。それで、「目を覚ませ」ってずっと言ってきた。それに対して、「眠っていたいんだ。ファンタジーでいさせてくれ」っていう叫び。これが相克でぶつかり合う状態。これこそ、まさに、本格的な昭和の終わりの予感、っていう。まあ、終わりですよね。

乙君氏(以下、乙君):まだ終わってないの? 昭和。

山田:いや、終わらせたくないから、『君の名は。』みたいな名前になるわけでしょ。

乙君:あー、そういうことか。

山田:これ、昭和の名作ドラマでしょ? 名前が。

乙君:あ、そうなんですか?

山田:そうそう。昭和の名作ドラマなんだよ、もともと『君の名は』っていう。

乙君:あ、そうなんだ。

山田:そうそう。そこで、その1個前、ハヤオ・ミヤザキがやってたのが、あれじゃないですか。

乙君:『風立ちぬ』。

山田:『風立ちぬ』でしょ。もうだから、本当に。昭和初期頃にいく。「どこに戻ろうとするの?」っていう。

乙君:あー。

山田:それぐらい、もう、嫌なんだよ。この先は嫌なんだよ。

乙君:そうそう。

山田:この先は冬になるから、っていう。その後は、どうなるかというと、川村(元気)チューニングでは、やっぱり最高のピークは、その後のリアルが来る前。

乙君:出会って……、探して。

山田:出会った瞬間で終わる。

乙君:うんうん。

しみちゃん氏(以下、しみちゃん):あー。

山田:だから、その先っていうのは描けない。

乙君:描けないですね。

山田:描けない。だから、三葉のその後は、野暮(笑)。

乙君:うん。

山田:野暮って言いましたけど。言っちゃいけない、みたいな感じかな。これは、日本中にいる、王子を待っている女の子や、姫を待っている男の子たちが、待ち合い室で観る映画っていう。

(一同笑)

新ジャンル「待ち合い室映画」

山田:新しいジャンルできました。待ち合い室映画。

乙君:ほうー!

山田:新ジャンルって感じかな、と思う。

乙君:アイドリングタイムなんですね、これは。

山田:タイムです。ただ、最後に言いますけれど、これは若い世代、恋愛をしていない若い世代が、この映画をどう思って観てるのかなと考えると、やっぱり恋を知らない人間、挫折を知らない人間にとっては、「はいはい、そうだよね」と思って観てる。「俺、こういうの待ってたし。つーか、いるし」。

乙君:あー、なるほどね!

山田:そうそう。でも、これ、よく似てるんだよ。団塊世代が失敗して、ずーっと暗い70年代があって、いつまでも陰鬱な空気の中で俺なんかが育っていたから、その後の80年代で、「イェーーイ」ってなった瞬間に、バブルがはじけるわけ。その時に、サザンが出てきたり、ユーミンとかが、時代の空気をニューミュージックで変えていく。そこからの、ポップみたいな。

その時の空気感みたいなものは、「もう演歌みたいな、暗いフォークいいよ」って。「あがた森魚はいいですよ」と。そういう、「さだまさしはいいですよ」みたいな空気から一転、明るくなる、みたいな。この時代のループが、今来てる気がするのね。

乙君:へぇー!

山田:だから、『進撃の巨人』みたいに、「もう食べられちゃうよ! 限界だよ!」みたいな、ずーっと苦しい話が続いてたじゃん。もう若い世代は、「知らねーし」。

乙君:あー。

山田:「じじいたちがやった話だべ」「俺たち、これから恋愛とかするんだからさ、やめてくれよ」っていう空気が、すごくあるような感じがするんだよね。

だから、どう思ってるかというと、「絶望? 知らないっすよ。じじいたちの話でしょ」って(笑)。「うちらにはないから、おばさんたちの話なんじゃないですか」みたいな感じで、女子高生は「うん。うちらは三葉だから」みたいな(笑)。「瀧くん、会うし」みたいな。本当に信じてんだろうな、って思って。

乙君:ほうーー!

山田:それはそれですごくおもしろいな。いいかな、って思って。……すっげー時間になっちゃった(笑)。

乙君:いやー、なるほどね。

山田:っていう感じですよ。

乙君:以上で?

山田:……そうですね、以上です。はい、『君の名は。』でした(笑)。

乙君:ありがとうございました。

山田:ありがとうございました。

努力したほうがいいんじゃないですか?

乙君:いやー、そうか。

山田:いやいや。

乙君:すごいきっちり終わったな。

山田:きっちりで59分。

乙君:ちょっと、ツッコみたいところもあると思うんですけど……。

山田:(コメントの拍手を受けて)ありがとうございます。収めたよ。この後も、いろいろと。

乙君:(コメントにて)「2人の恋愛になんか乗れない理由が解けた」って。

山田:本当に?

乙君:うん。

山田:だって、東京に恋してるんだもん。カフェなんだもん。(コメントにて「で、江川(達也)さんは?」)江川さん(笑)。そっとしておいてあげてください。

(一同笑)

山田:時々、ああいうことが起こるんですよ。発作が起こるみたいなので。さびしいのかもしれない。やさしくしてあげてください。

乙君:はい。

山田:ありがとうございました!

乙君:なるほどね。いろんな人が観れるようなチューニングに、バーンと合わせてきたがゆえに。

山田:うん、っていうか、切ないよね。ここに乗っかって泣いているすべての人たち。それから、この国の状態みたいなもの。未来が暗いからこそ、さびしいからこそ、バーチャルであきらめないといけない。本当はやっぱり無理なんだよ。「バーチャルで我慢しろ」って、無理なんだよ、みんな本音は。

乙君:これは夢物語だと。だから、みんな乗れるんだと。

山田:だから、でも、可能性はなくはないんだよ?

乙君:なくはないですよ。

山田:なくはない。ただ、問題は、残念ながら、無条件っていうのがあるんだよ。努力しないで会えるっていう、80年代の名残りが残ってる。延長線上にあるわけだよ。だって、(諸星)あたるはなにもしてないんだから。

乙君:うん。

山田:でも、ラムちゃん来るんだから。一方的に愛してくれるんだから。ああいう幻想みたいなものの延長上に、まだあるんだよ。だから、「努力したほうがいいんじゃないですか?」ってことですよ。俺がやったのは、努力しようって。『Bバージン』は、まさに努力の話。

乙君:そうそう。

山田:努力して手に入れよう、っていう話なんだよ。でも、その後も否定され続けてるよね、ずっと……。

乙君:苦い顔になった(笑)。

山田:だから、残ってるんだと思うよ。でも、努力って実は楽しいんでね。ただ待っているのに疲れたら、努力したらいいんじゃないですかね、って思います。

乙君:ありがとうございました。

山田:ありがとうございまっす!

しみちゃん:ありがとうございました。

どうすれば三葉に会えるのか問題

乙君:じゃあ、公式はこのへんで。あと、ニュースめっちゃあるんで(笑)。

(一同笑)

山田:やります。

乙君:パッパッと、後半もやっていきたいと思います。

山田:はい。

乙君:それで来週のお話をさせてください。来週は……19日かな? 水曜日夜8時から、普通のヤングサンデーになります。こちらは、最近、お祭りが続いたので、ちょっと落ち着いて、たまってる質問とか、そういうものも含め、玲司さんが最近、『君の名は。』とかワッてなっちゃうと、それやらないといけない空気になるじゃないですか。今日もそうだけど。

山田:いや、だから、失礼があっちゃいけないじゃない。感動した人もいるわけで。

乙君:そうだけど……、熱いうちにやったほうがいいしね。

山田:うんうん。

乙君:それもあったんですけど、玲司さんが、実はこっそり観ていたおもしろい映画が何本かあって。あと、『コップ・カー』の話もしてないんじゃない?

山田:えー。『コップ・カー』の話するの?

しみちゃん:なつかしい(笑)。

乙君:えー、だって、俺、観たもん。

山田:あと、俺、「どうすれば三葉に会えるか」ってこととか、真剣に考えようって思ってるんだよね。

乙君:え。三葉に会う方法?

山田:うん。

乙君:三葉はどこにいるのか?

山田:うん。

乙君:……ほう。

山田:クラスの何パーセントが三葉なの、って話。

乙君:はーん……。

山田:ちゃんと考えようよ、という(笑)。それで、どうすれば会えるの、って話。それで、三葉は、三葉同士でくっついて一緒に仲良くしてるのか。もしくは、すっげーめんどくさい女とつるんでるのか(笑)。そういう問題も。

乙君:リアル三葉を考えてみよう、ってことなんですか?

山田:え。だって、みんな、三葉に会いたいんでしょ? リボンしばりたいんでしょ? こうやって(笑)。やりたいんでしょ?

しみちゃん:はい(笑)。

山田:縛ってほしいでしょ? こうやって、手に縛りたいんでしょ?

乙君:ここに?

山田:うん。……自分でやってるのか、あれ。

乙君:うん。あれ、自分でやってるんですよ。

山田:自分でやってんのか。

乙君:でも、なんで、それ……。まあ、いいや。

山田:まあいい、まあいい。

しみちゃん:(笑)。

『CICADA』好評連載中です

乙君:はい、わかりました。そんな感じで、来週は落ち着いてざっくばらんに、「中2ナイトニッポンvol.21」です。よろしくお願いします。

山田:(コメントにて「縛られたい」)縛られたいか(笑)。(コメントにて)「どっちでもええわ」、そうですか。

乙君:それで、もう1個はなんだっけ。ええと、……あれは?

しみちゃん:なんですか? ……あ! しまった。そうでした。

乙君:しみちゃんのカバン取ってください。

しみちゃん:あ、すみません。じゃあ、僕が行っちゃってもいいですか?

乙君:いいよ。

しみちゃん:すみません。忘れてた。

乙君:それで、このすきに言いますと、『月刊スピリッツ』で玲司さんの『CICADA』第2話が連載中です。『CICADA』のせいで、売り切れ続出という噂を。

山田:本当にみなさん、申し訳ないです。

乙君:なので、ぜひ取り寄せ、もしくは、書店を回って、ぜひ。

山田:(コメントにて)「最高におもしろい」、ありがとう!

乙君:(コメントにて「どこにも売ってない」)どこにも売ってないよね、マジで。

山田:バナーイ君、がんばろうね。僕もがんばる。明日も打ち合わせがんばる。

乙君:そして、先週番組に出てもらったんですけど、我らがドレスコーズ、志磨遼平のシングルが、昨日発売になりました。……今日か?

しみちゃん:今日です。

乙君:今日発売になりました。

乙君:『GANTZ:O』の主題歌ですね。「じゃんじゃんじゃかじゃか」でおなじみの、『人間ビデオ』というシングルが出ております。非常に、アグレッシブな、ソリッドな曲なので。『GANTZ:O』も今週公開かな?

しみちゃん:はい。

乙君:なので、それも観たりして、みなさん、盛り上がっていきましょう!

山田:うん。

乙君:ヤンサンの全面バックアップで、奥先生がんばってください。

しみちゃん:(笑)。

山田:『CICADA』、すごい評判よくて、うれしくって。

乙君:はいはい。

山田:ただ、一番最近すごくうれしかったのが、わりと若い人が喜んでくれてるみたいで。

乙君:ほう!

山田:けっこうクラシカルな漫画を出しているだけに、「大丈夫だろうか?」と思ったら、ちゃんとついてきてくれていると。

乙君:はいはい。

山田:「おいおい、やってくれんじゃない」と思って。ありがたいですよ、本当に。

乙君:ありがとうございます。

山田:ありがとうございます!

乙君:そして主題歌、先週終わったんですけど、ヤンサン美術部が来月(11月)の頭、3日から始まります。3日の1日前の2日(水曜日)に、ギャラリーから我々生放送ということで。

山田:うんうん。

乙君:ヤンサン美術部スペシャルという感じで、やっていきたいと思っています。それもお楽しみにしててください。ぜひ、みなさん、足を運んでいただければ、玲司さんの作品も、(東村)アッコ先生の作品も、だろめおん先生の作品も、いろんな人のが。

山田:愛まどんなさんも出ますからね。

乙君:愛まどんな先生も出ますので、よろしくお願いします。

山田:愛ちゃんも来てくれました。

乙君:ではでは、いきますか? 有料に。

山田:はい。

乙君:有料というか、会員限定に。普通のヤンサンに戻ります。ニュースもいっぱいあるので、楽しみにしていてください。それでは、チャオ!

山田:チャオ!