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長時間労働が美徳だった時代は終わった “人間のがんばり”に頼らない働き方改革で変わる社会

長時間労働が美徳だった時代は終わった “人間のがんばり”に頼らない働き方改革で変わる社会

「Advertising Week Asia 2017」に、「Women Willプロジェクト」の平山景子氏、女性のライフイベントに関する著書を多数執筆してきたジャーナリストの白河桃子氏が登壇。「働き方の未来 - 広告業界にとって大切なアクションは何か?」というテーマで、長時間労働が常態化している広告業界の働き方改革について語りました。

シリーズ
Advertising Week Asia 2017 > 働き方の未来 - 広告業界にとって大切なアクションは何か?
2017年6月1日のログ
スピーカー
グーグル合同会社 サーチ&ブランドマーケティング統括部長 Women Willプロジェク
ト統括 平山景子 氏
作家/相模女子大学客員教授/少子化ジャーナリスト 内閣官房「働き方改革実現会
議」有識者議員 白河桃子 氏

日本の働き方をスマートにしていくために

平山景子氏(以下、平山) では、改めまして、みなさんこんにちは。 このセッションでは、「The Future Of Work Style:スマートな働き方のために」と題しまして、「日本の働き方をスマートにしていくためにはどんなアクションが必要か?」というテーマで議論していきたいと思っております。 私、本日の司会進行を務めさせていただきます、Googleのマーケティングを担当しております平山景子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 (会場拍手) 平山 そして、今日は専門家からの意見をおうかがいしたいと思いまして、白河桃子先生にもお越しをいただいております。スライドに書いておりますけれども、白河先生は少子化ジャーナリスト、作家、相模女子大学客員教授と、幅広くご活躍されてらっしゃいますけれども。 最近では内閣の働き方改革実現会議の有識者議員としても大変ご活躍されていらっしゃいまして、日本の働き方改革への提言を行ったり、さまざまなメディアで発言をされていらっしゃるので、そういったところでご覧になった方も多いのではないかと思います。白河先生、今日はどうぞよろしくお願いいたします。 白河桃子氏(以下、白河) 今日はよろしくお願いします。 (会場拍手) 平山 本日のセッションですけれども、今日はまず白河先生のほうから、日本全体の働き方改革の現状をまずお話していただきまして、その後、私のほうから、白河先生にもアドバイザーとして入っていただいているんですけれども、Googleの「Women Willプロジェクト」というのがございまして、そこで行いました実証実験の中から、みなさまの会社のアクションになるような、そういった知見、ラーニングがございましたので、それをシェアさせていただきたいと思っております。 その後、今日会場にいらっしゃる方、広告業界、メディア業界の方が多数いらっしゃると思いますので、その業界にもっと的を絞ったかたちで、この業界における働き方改革にはなにが必要かというところをもう少し詳しくうかがっていきたいと思っております。 それではさっそく、白河先生のほうからお話をうかがいたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

“人口オーナス期”に変わる働き方

白河 はい、よろしくお願いします。今日はまず最初に私から、働き方改革って今すごいメディアに言葉が踊ってますよね。いったいこれはなんなのか、いったいなにが起きているのかという話を共有させていただきます。 (スライドを指し)私はこんな本を書いている者で、どちらかというと女性のライフイベントに関することをずっとやってきたんですね。結婚とか、子供を持つとか、子育てとか、今なにが重要かっていうと、やっぱり女性がどう仕事と向き合うか、そして、男性が仕事とどう向き合うかっていうことが、実は一番大事だということに気が付き、さまざまな働き方についての取材をするようになりました。 働き方改革って一口に言いますけど、これは経営者が人手が豊富だった頃のビジネスモデルを改めるということが1つ。 それからもう1つは、働き方が変わると暮らしも変わる。後でGoogleさんのセッションのお話もしますけれども、やっぱり「テレワーク入れます」とかいうと、必ず出てくるのは「妻が家に帰ってこないでくださいって言うんです」と、「家で子育ての邪魔になるって言われます。どうしましょう?」っていう話が必ず出るんですね。なんか笑ってる人いますよね(笑)。 テレワーク、働き方が変わって、例えば旦那さんが今まで12時に帰ってきたのが7時に帰ってきたらどうなりますか? 本当に暮らしも変わるわけですよね。そんなことなんですね。 人口ボーナス期、オーナス期というのがあって、人口が豊富だった高度成長期の働き方、日本は長く変わりませんでした。正社員は24時間働いて、そして、いつでも転勤可能、やっぱり長時間がんばることが美徳だとされてきたんですけれども、これはこの時代の正解だったんですね。均質な人が長時間働くことが。 でも、今は人口オーナス期。養う人のほうが養われる人の数よりも少ないという時代になると、多様な人が多様な時間や場所で働いて、付加価値のある商品を出すことが重要になってきます。 そうなってくると、今のワンオペ育児の流れが難しくなってきて、どうしてもチームで育児をしなきゃいけない。やっぱり女性も働くようになりますから。子育て期の女性というのが、日本の場合、やっぱりダイバーシティの要になってくるんですね。今まで参画してなかったので。 それから、じゃあ、男性はどうなのか、と。1人で一家の大黒柱背負って、ワンオペ稼ぎだった。今度ワンオペ稼ぎが女性と一緒に、奥さんと一緒に、チームで稼いでいくようになる。このようなことが起きてるわけです。 政府のほうは、残業時間の上限規制というのを初めて入れようとしています。今まで日本は残業時間の上限がなかったんですね。これ、ヨーロッパは、フランスなんか週に42時間以上働かない、……あ、35時間か。と決まってますし。あと、インターバルといって、「11時間開けないと次の仕事をしてはいけないよ、健康のために」というのが、もうEU全体で決まってます。 アメリカはなんでないかというと、もっと自由な働き方が可能なのと、それから残業代が日本は1.25なんですけれども、向こうは1.5なので、残業させるとお金がかかっちゃうんですね。だから、「早く仕事を終えて成果を出す人が有能な人だ」という評価にもなっています。

働き方改革とはマネジメント改革

このようなことを、9つの課題というのを話し合ったんですが、やっぱり法律までいく一番メインのトピックは同一労働同一賃金。メディアの業界は非正規の方も多いので、このへんはたぶんすごく興味のあるポイントだと思います。それから、時間外労働の上限規制というもの。今まで働かせ放題だった日本に、初めて働く時間の上限が入る。 じゃあ、どんな上限かというと、けっこう厳しいもので。今まで経営者は無限の労働時間っていう社員の資源をあてにできたけど、それはできなくなるってことなんですね。経営者はみんな反対でしたが、やっぱり、……ここで大きな声で名前言っていいのかな、電通の事件から本当に流れが変わりました。 ここで経営者の側からも「これ、社会課題だよね」と、「過重労働、過労死問題」。過労死って、そのまま通訳さんは「karoshi」って訳してると思います。日本にしかない言葉なので。これをやめようよということで、いろんなところからアピールが出てきました。 で、署名運動も始まり、結局実行計画というのが3月に決まったんですけど、「年間はどんなに残業しても720時間まで、時間外」というふうに決まりました。実際にこれもっとやってる人もけっこう多いと思うんですよね。 それからもう1つは、これは今までは大臣告示といって、法的強制力はなかった。今回は720時間の残業を1年間に1人でも1時間でも超えたら罰則が入るという、非常に厳しいもので。しかも、それは誰に来るかというと事業場の長、つまり支店長クラスの人にも来るんですね。このように非常に厳しいものが入った、ということなんです。 で、注目される潮目としては、まず資生堂ショックというのがあって、これ女性だけがワンオペ育児をして、女性を雇ってる企業だけが育児の分を負担するんですかという限界と、それに女性が両立支援してやさしくされて働くだけの限界というものを示唆したのが資生堂ショック。 それから、電通のショック。これは経営者が引責辞任したということで、経済界へのショックが大きかった。 それから今、ヤマト運輸のことが非常に問題になってる。Amazonでイノベーションが日本で成功したけれど、それを支えるのは日本の労働者のがんばりとかサービス残業とかというところで、やはり人がいっぱいいて無限に時間が使えた頃のビジネスモデルの限界というものが今来てると思います。 じゃあ、これを経済界はどう受け止めてるかというと、4割が「年間720時間しか残業できない、まずいな」と思ってる。7割が「なんらかの働き方改革をしなきゃいけない」と思ってます。 ただ、見せかけの労働時間規制、「10時に帰れ」とか、「パソコン、シャットアウトします」とか、「ノー残業デー決めました」とか、それだけだとしわ寄せが来るだけなんですね。それの限界が今来てると思います。 誰がやらなきゃいけないのかというと、経営者もやらなきゃいけない、個人もやらなきゃいけない、そして、上司はやっぱり改革の要で、ビジネスモデルを変えるのはもちろん経営者の役目ですけれども、現場のマネジメントをするのはやっぱり直属上司なんですね。「マネジメント改革が働き方改革ですよ」と言う人もいます。

働き方改革自体は目的ではない

それから、リモートワーク、自動化ツール、AIなど、こういったものの導入に今まで投資してこなかったのは、人間のがんばりがやっちゃってたからですね、今までは。ですから、これがもうできなくなる。労働時間が厳しくなるということで、今さまざまにIT化、リモートワーク、自動化ツール、AIなどの導入が進んでいます。 これはすごく簡単なことでできることもあるし、お金をかけなきゃいけないこともあるんですが、私がけっこうびっくりしたのは、トラックの荷積みっていうのがあって、荷積み待ちのトラックっていうのが、みんなトラックヤードに並んで、早く荷積みをしたいので、みんなそのトラックの中で寝てたんですね。 平山 へぇ。 白河 それがあまりに健康に悪いじゃないですか。しかも、その後、長時間運転するんですよ。で、荷積みの予約待ちアプリっていうのを入れたら、みんなお家で寝て、ちゃんとその時間に来ればよくなる。やっぱりITの力でできることも、すごくたくさんあるんですよね。 だから、このように全員で取り組んでいくと、まあ、1年半から2年ぐらい経ってやっとマインドが変わってくるのが日本の企業なんですね。やっぱり時間を長くがんばるのが「がんばる」っていう風潮が長かったので、そのマインドが変わるのに1年半から2年ぐらいはかかる。 そして、やっぱりアクションチェンジとマインドセットどっちが先かっていうのがあるんですけど、まずは「○時に消灯します」とか形を決めるのは、日本人は何をやっていいかわからないので、横並び意識が強いので悪くはない。ただ、それを支える制度とか、ITとか、評価と報酬を変えるとか、さまざまなことを決めないと、やっぱり「○時に帰りましょう」っていうのもだんだん形骸化してくる。 最後は、評価と報酬の設計っていうのがポイントになってきて。結局、今みなさん長時間働いて、すごくいいもの作ってる。けれど、本当にそれってお金と合ってますか、っていうところも問い直さなきゃいけないんですよね。 アクセンチュアは時間に依存しない評価、完全アウトプット評価になりましたし、働き方改革をやる前にまず給与を上げて、1年半かかって、あの長時間労働のコンサルタント業界だいぶ変わりました。 それから、リクルートスタッフィングさんもすごく労働市場なので、人材市場なので残業が長かったんですけど、「一定の時間内に出なかった成果に関しては、表彰の対象外にします」と。 そうするとなにが起きるかというと、今まで、「どうせ私たち時間で勝てないよね」と思っていたワーキングマザーがすごくがんばって、ブルージャケットという表彰台に立つようになったんですね。このようにフェアな競争ができるというのも、女性にとっては大きな効果があると思います。 それで、AIとか自動化ツールも非常に働き方改革を加速するものなので、IT業界はまさに今チャンスだと思っていて。まずは自分の社員が何時間働いてるのかっていうのを管理する勤怠管理アプリとか、サービス残業をあぶり出すアプリとかも入ってるんですよ(笑)。こういうのもやっぱりすごく重要なところなのかな、と。 あとはAIを入れて、10年目のベテランがやるような業務を1年目の新人ができるようにするとか。とにかく人材不足なので、このようなこともあります。 働き方改革自体は目的ではありません。単に「時短して、残業代浮かそうね」っていうことではないんですね。その会社を魅力的にして、会社の抱える問題を解決するため。例えば、労働力不足、人材が流出してしまう、イノベーションが起きない、生産性の向上をしなきゃいけない、女性が活躍できない。 それから社会課題としては、少子化とか、男性が家庭にぜんぜん参画する時間がないよねとか、ワンオペ育児は限界だよねとか、そういったさまざまなことを解決するためにやることが働き方改革、というふうに私は思っています。というところで、私の話は以上ですね。 平山 ありがとうございました。

  
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