西洋美術のド変態レオン・ジェローム

乙君氏(以下、乙君):ここから始まりますから、近代日本画のエロス。

山田玲司氏(以下、山田):でも、俺としては、西洋美術って言わば、もうスケベ大会ですから。

乙君:まあそうですよね。

山田:スケベ大会ですけど、いわゆるクールべ先生あたりから始まって、マネから印象派になりつつあるみたいな裏で、アングルさんがいて。

乙君:アングルね。大好き。女体、女体、女体。肉、肉、肉みたいな。シミズ、シミズ、シミズ。

久世孝臣氏(以下、久世):うるせえな、お前。

山田:肉、肉、肉じゃないすか。で、そのときに「ヴィーナスですよ」とか言ったりするわけですよ。これは神様ですよとか、天使ですよとか、それから神話の1シーンですからとか言って、なぜか全裸みたいな。それを貴族が喜ぶみたいなことがマネによって茶化されるわけですけど。その時代に、本格的なド変態がやっぱりいるんですよ。

乙君:いますか。

山田:あの時期に、ヴィーナスと共にもう1つ、わりと使われるのが奴隷市場なんですよ。奴隷商人がローマ時代に買ってきた女奴隷を品定めするっていうテーマで、みんな当時、ハァハァだったわけですよ。

乙君:ハァハァだったんだね。

山田:ハァハァだった時代だったわけですよ。それで、そうなったらわかりやすい。レオン・ジェロームさんですね。みなさん大好きな。ジェロームさんつったら、ド変態ですよ。

乙君:うわぁ、これはまた来た。

山田:これは、みなさんご存じだと思います。だけど、これちょっと一周してます。なんでかって言うと、これ実は奴隷ではないんですよ。これ、フリネっていう有名な話で。彫刻家の人とか、いろんな人と親交が深くて、彼女がいろんな人の援助を受けていい暮らししてたわけなんだけど。あるエレウシスの秘儀っていう、人間を神とするっていう秘儀があるんだけど、それを侮辱したみたいな罪で、その裁判にかけられたシーンなんだよ。

乙君:そうなんだ。

山田:それでこれまた無茶苦茶なんだけど、この後にいるおっさんが彼女をかこっている男なんですよ。

乙君:へえ。

山田:俳優なんですよ。こいつがこの彼女をやわら裸にしてみんなに見せるわけだよ。なんのためにっていうと、これほどの美に罪はあるかっていう、これ争点口論出ました。

乙君:なるほどね。

山田:これがいわゆるジェロームの争点口論です。ならばよし、ならばよし、っていうね。それで、このジェロームさん、なかなかド変態ですけど、これだけでは済まないのですよ。

乙君:まだある。

彫像が命を吹き込まれた瞬間を描いた1枚

山田:とにかく、今の現在日本に通じる変態性というのを、とにかく見せた人で、これ有名なやつですよ。彫刻に恋した話って知ってます?

乙君:これ知ってる、知ってる。

山田:これ超有名。ニューヨークにあるでしょ。これいわゆるピグマリオンです。ガラテアって言うさ、自分のバーナード・ショーの戯曲を題材にしているんだけど、彫刻に恋してしまった。それで女神、アフロディーテが願いを聞き入れて、命を与えた瞬間なんだね。だから、ずっと大好きだった、その彫像が命を吹き込まれた瞬間に、この状態になっていくから、やっぱりジェロームはド変態。

なにしろ、ねちっこく、しっかり描くんです。おもしろいのがこれ実はこれ、こっちすごい人気なんだけど、別カットあります。これです。

もうね、これぞ、西洋人のドスケベ西洋人の真骨頂的な感じで。

乙君:なるほどね。

山田:そうですね。じゃこれ、後ろに回してもらっていいですか。

乙君:全然違うな。

久世:お楽しみください。

山田:みなさん御存じですけどね、美術部でこれは有名なんでね。

乙君:ちょっと待って、映像止まっているけど。

スタッフ:配信は大丈夫です。

乙君:配信は大丈夫。じゃあいいや。

山田:じゃあ勝負しますか。1回戦目。

乙君:でも3枚出すのずるくないですか。

山田:だってあの。ごめん。

乙君:俺それだったら、まあいいか。ごめん。

山田:ジェロームのことは。

乙君:どっちが本当にエロイかですよ。体のラインとかっていうのは確かにそうなんだけど。

山田:もうね、ジェロームなんかね、エロいじゃなくてスケベ。スケベ代表として、引っ張り出しました。

乙君:わかりました。

山田:じゃあお願いします。

乙君:よろしくお願いします。

山田:どん。

乙君:わー! 僅差。

久世:すごい、名勝負ですよ、これ。

山田:良い勝負。いいですね。

乙君:まじか。

山田:よし。