RGBは三原色の足し算

カリン・ユエン氏:新聞に印刷された画像を近づいて見てみると、小さな網点の集合でできていることに気づくでしょう。もう少し近づいて見てみると、シアン、マゼンタ、黄、そして黒という、たった4色の網点しかないことがわかります。

TVやコンピューターの画面に近づいても、同じようなことが起こると思うかもしれません。しかし、網点ではなくピクセルがあり、先ほど述べた4色の代わりに、赤、緑、青の3色を見つけるでしょう。

これらは、RGBとCMYKという2つのカラーモードです。この2つのカラーモードはどのように違い、どうして2つとも必要なのでしょうか?

RGBは、赤(Red)、緑(Green)、そして青(Blue)を表しています。一方、CMYKは、シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、黄(Yellow)、そしてキー(Key)カラーでもある黒を表しています。Photoshopを用いると、2つのカラーモードのうちのどちらかで編集でき、カラーバランスを調整する際にスペクトラムの両端が示されることがわかります。

2つのモードは似たような色の幅を持っています。しかし、この両方がある理由は、それぞれが違う事柄に長けているからです。

RGBは、三原色の配列から異なる色をつくり出す、足し算によるカラーモードです。今日、大部分の電子機器やコンピューターで用いられていますが、初期の写真の三原色の仕組みに由来しています。最初のカラー写真は、赤、青紫、緑という、それぞれのカラーフィルターによる、3つのモノクローム写真と同じ原理で始まりました。この3つフィルムを重ねると色のついた写真ができるのです。

RGBは、3色の光を黒い表面の上に重ねることにより、色を作り出します。光が強ければ強いほど、色は明るくなります。光を暗くするほど、色は暗くなります。十分な光ですべての色を合わせると、白が得られます。

CMYKは引き算のカラーモード

一方CMYKは引き算モードであり、しばしば染色やプリンターに用いられます。RGBの光と違い、CMYKは、吸収される特定の波長によります。つまり、吸収されないものは、見えるものとして残るのです。CMYKはもう少し直観的なのです。より少ない色が塗られると明るくなり、多くの色が混ざると暗くなります。

では、黒はどうでしょうか? Kの文字は、「Key」を表し、印刷のプレスの名残りで、圧の「調子を強める(key up)」ことを意味しています。黒を用いることは、いくつかの利点があります。

シアン、マゼンタ、黄色だけでは、全部合わせても純粋な黒は作り出せず、一種の茶色に近くなります。暗い色調に達するには、黒のインクが必要になります。これは、写真を印刷する際には重要なことで、黒が暗いほどコントラストが強くなり、イメージの輪郭が鮮明になる効果があります。

もう1つの利点としては、白黒のデータファイルで印刷する方が簡単です。3色でテキストページを印刷するのは実際には困難です。というのは、そのうちの1つが、万が一ずれてしまうと、あちこちに色が散らばってしまうからです。

とりわけ活字体のような細かい印刷物では、小さな印刷範囲に大量のインクを用いて印刷することは、用紙に対して色飽和(彩度が高く、インクが余剰である場合に、色の階調や細部が見えにくくなってしまうこと)を起こしたり、インクのにじみやかすれの原因になります。

そして、最後の利点として、カラーインクは比較的費用がかかります。黒は、求められるインクの総量を減らすことができます。よって、暗くしたい範囲や、色飽和を抑えたい範囲に黒いインクを用いることは経済的なのです。黒いインクは、CMYだけより実践的であり、安あがりで早くできます。

2つの使い分けと変換

でも、ちょっと待ってください。RGBは、ほかの色を作り出せる3原色ではないのでしょうか? どうして、RGBは引き算モードにはならず、RGBのインクでは印刷できないのでしょうか?

場合によっては、RGBのほうが優位にあるかもしれません。ただ、一般的な原則としては、物理的な粒子を混ぜると現れる色彩は鈍くなります。粒子は、光と違い純粋なものではないからです。RGBによっても色の飽和が起こります。暗色は上手くできますが、黄色のような明るい色は作り出せないでしょう。つまり、みなさんが画面で見ているような色を正確には期待できないのです。

では、それぞれのカラーモードはどのような時に用いるのでしょうか? 一般的には、Webサイトやビデオ画面で見るようなものを作りたいのなら、RGBは適しています。ただ、それを出力して印刷すると、プリンターに指定しない限りはCMYKのフォーマットになるでしょう。

では、どのように2つのカラーモードが変換できるかご存知でしょうか? 今のところ、RGBとCMYKの変換はまだ完全ではなく、エラーの余地があるため、カラーマネジメントプログラムを経る必要があります。1回のみの変換であれば、そこまで大きな違いはありません。しかし、何回か2つのカラーモードの変換を繰り返すと、精度を欠いてきます。

RGBフォーマットでCMYKプリンターに写真を印刷してみると、プリンターはフォーマットを適切に読み取ることに手こずるでしょう。その独自のカラーマネジメントプログラムで色を変換してしまい、PhotoshopやIllustratorほどの正確さはありません。

みなさんが、これをどれだけ気にするか、気にしないかの問題です。プロジェクトの性格にもよりますし、なにが必要かにもよります。では、スキャニングについてはどうでしょうか?

スキャナーは、たいていRGBですが、印刷するのなら、PhotoshopやIllustratorで開くまで、ファイルを変換するのを待ちましょう。というのは、これらのソフトは色の変換にいい仕事をしてくれるからです。そして、色を編集する前に、ファイルを変換したほうがいい理由というのは、最後にファイルを変換すると、カラーバランスやすべての工程がやり直しになるからです。

さて、これがCYMKとRGBの違いでした。みなさんのお役に立てばと思います。なにか抜けがあったり、疑問があったりしたら、私にお知らせください。また次回お会いしましょう。さようなら。