G1カレッジ2015「テクノロジーが変えるビジネスの未来」

岩瀬大輔氏(以下、岩瀬):改めまして、よろしくお願いします。男性比率高いですね。テクノロジーということで、やはりそうなるのかなと思っています。

「自己紹介不要」と書いてあるんですが、最初にお三方から、今やられているお仕事のなかで、テクノロジーとビジネス、社会との関わりなんかも交えながら、簡単に今の取り組み等をご紹介いただけますか? では、大澤さんからお願いします。

大澤朋陸氏(以下、大澤):フォトクリエイトの大澤です。よろしくお願いします。簡単に会社の成り立ちとテクノロジーということで。

我々は写真の会社でして、みなさんも経験あると思うんですけども、学校に行っていた頃、修学旅行とか、運動会が終わったときに壁に写真が飾ってあって、茶封筒に「何番」って書いて写真を買っていたという経験があると思うんですね。

それってお母さんが学校に行って買わなきゃいけないし、先生もいろいろやったり、明らかに意味ないよね、これだけネットが当たり前の時代にそんなのないよねというところで、ネットに切り替えようというのが会社の始まりなんですね。

ネットになることによって、写真の数が増えたり、いつでもどこでも見れたりというようなところで、写真の撮り方とか買い方自体が変わっていったというようなビジネスを、2002年から立ち上げて今に至ると。まあ、そんな感じです。

岩瀬:競合がたくさんいると思うんですけど、最近とくに写真とテクノロジー、こういうふうに変わっていくとか、フォトクリエイトさんはこういう立ち位置で勝負していくというところ、少しお話していただいてもよろしいですか?

大澤:そうですね。簡単に言うと、この前も発表したんですけども、顔認識ですね。「写真がいっぱいあって選べないよ」「いったいどこに自分の息子がいるんだろう」みたいなところを、自分の顔、息子さんの顔をパシャって撮って登録すると、その写っている写真がバンっと出てくるみたいなところ。

今β版を出したんですけど、そういったことによって自分の子供がすぐわかる。つまり、5年前とか10年前、幼稚園だった頃の写真も、大人になってからパッと見つけられるような世界を目指して、今、単なる写真屋じゃないところに進もうとしています。

デジタル写真とプリント写真はどちらが人気?

岩瀬:大澤さんから見て、Instagramって企業価値いくらぐらいですか?

(会場笑)

大澤:(笑)。まあ、違う分野で戦っているので、なんとも言えないところではあるんですけども。個人が撮る写真とか、それを楽しむという世界があって、それとは別に自分の生きてきた証をプロが残していくと。

それをどうやって残していくのか、余計な手間を煩わせずに自動で集まってくる、そういったものを作っていこう、自分の人生を作っていこうというところなので、ちょっと違う部門かなと。

岩瀬:最近思うんですけど、写真ってデジタルじゃなくて、やっぱり現像しておかないと、20年後残っていないような気がして、実家に帰ると昔の写真が残っているじゃないですか。

大澤:はい、ありますね。

岩瀬:そのへん、デジタルの限界みたいなのってありますか?

大澤:そうですね。今、我々のサービス、学校で3000校ぐらいで取り引きいただいているんですけども、デジタルとプリントした写真って同じ値段で売っているんですよ。それで、プリントした写真の売上がまだ7割、データが3割。

私はもっとデータにくるかなと思ったんですけど、意外とほとんどプリントなんですよね。これ、ぜんぜん変わらないんですよ。3割まで伸びてから、そこからずっと横ばいで変わっていかない。

岩瀬:じゃあ、まだまだ。

大澤:まだまだ、そういった紙というものが浸透しているというか。

ネット業界の寵児・メタップス佐藤氏が手がける事業

岩瀬:ありがとうございます。では次、ご存知の方もたくさんいらっしゃると思うんですけど、メタップス佐藤さんですね。今、小澤さんとも話したんですけども、ネット業界で今一番注目されている、天才と呼ばれている佐藤さんですが、少しその天才の兆しをみなさんにシェアしていただければと思います。

佐藤航陽氏(以下、佐藤):今、だいぶハードル上がりましたね(笑)。

岩瀬:はい(笑)。

佐藤:メタップスの佐藤と申します。事業内容はアプリの分析と金融のサービスをやっていて、けっこう「わかりづらいよね」「御社ってなんの会社かわからないですよね」とよく言われるんですよね。それで、私たちは「テクノロジーの会社です」って、もう言い切っています。

アプリの分析のほうは、たぶんみなさんスマートフォンを使われていると思うんですけども、そこのアプリってほとんどはまだ儲かってないんですよね。

一部LINEさんとか、ガンホーさんみたいな、月何百億みたいな会社さんもいらっしゃいますけども、やっぱりマネタイズ、収益化というのができていなくて、けっこう世界中の企業さまが困られているので、彼らがマネタイズするために必要なものを、後ろ側で全部そろえるというのが事業内容になっていますね。

もう1個が金融ですかね。私は、今後インターネットと金融が融合していって、経済の仕組みが変わっていくと思っているので、そこのプロダクトを準備しているというのがありますね。ただ、ここはまだまだ新規事業なので。

早稲田に150万ぶっ込むより、会社を作ったほうがいい

岩瀬:今日はテクノロジーの話だけじゃなくて、学生さんからすると生き様みたいなものも興味があるかなと思うので、佐藤さんのこれまでの歩み、起業までのストーリーを簡単にシェアしていただいていいですか?

佐藤:ストーリーというほどの内容は、ないっちゃないんですけど。

岩瀬:学生時代に小澤さんの講演を聞いて感銘を受けたとか、そういうのないんですか?

佐藤:(笑)。

岩瀬:ないですか?(笑)。

佐藤:私は最初法学部に入って、六法全書を読んで司法試験を受けようと思っていたんですよね。3ヶ月ぐらい勉強して、「これ、ちょっとちげーな」と気づきまして。

それで、そこからもう事業をやろうと。授業料が150万円分ぐらいあって、来年の早稲田の授業料に150万円ぶっ込むのか、はたまた会社を作るのかで迷っていたんですよね。

どっちがROI(注:return on investment、投資収益率)が高いかと言ったら、やっぱり会社作ったほうがいいねという話になりまして、そこから行かなくなって、今の会社を作って辞めちゃいましたね。

岩瀬:大学、すぐ辞めちゃったんですか?

佐藤:はい。

司法試験をやめてITの世界へ

岩瀬:学生時代から商売をされている方って、親の影響とか、周りの影響がある方が多いような気がするんですよね。

小澤さん家もそうですし、(リブセンスの)村上太一さんもそうですけど。ご両親とか、おじいちゃんとか、実家が商売をやっていて、周りでそういうのをすごく感じていた人が多いなというのを。僕はうちがサラリーマンなので、学生時代にそういうのをやろうという発想がないんですよ。

佐藤さんの場合、どのようにしてそういう選択肢を考えたか、自分に誰がどのように影響を与えたかってわかります?

佐藤:そうですね。最初、高校生のときとかは、そんなに若者が会社をやるって知らなくて、できるとも思ってなかったんですよね。けど、2005年ぐらいにいろんなインターネット企業がメディアを賑わせていたじゃないですか。

なので、そのとき「若くてもできるんだな」というのが頭にあって、ただ自分はそのときは司法試験を受けると思っていたので、あんまり考えてなかったんですよ。

それで司法試験という選択肢をなくしたタイミングで、初めてあのときのことを思い出して、「そっちもあるかもしれないな」と考え始めたというのがきっかけですかね。

岩瀬:佐藤さんって、勝手にエンジニアっぽいイメージがあったんですけど。メタップスってすごくテクノロジーヘビーな会社のイメージがあるので。でも、法学部からそっち方面へのシフトはどのようにされたんですか? 自分でプログラミングを覚えたとかありますか?

佐藤:そうですね。パソコンを触ったことがなかったので、とりあえず友達で一番パソコン詳しい人間と一緒に秋葉原に行って、Dellのパソコンを買ってきて、あとはデザインとか、コーディングとか、一応全部一通りやれるようになったというのはありましたね。

ただ、それも最初受注してきてできないんですよね。できないんですけど受注してきて、受注したあとに学ぶんですよね。なので、やりながら学習していったというのがありますね。

岩瀬:ちょうど10年ぐらいやられている感じですか?

佐藤:そうですね、ちょうど8年前ぐらいにパソコンを触って、「ネットってすげーな」というのをそのとき知ったみたいな(笑)。

岩瀬:そうなんですね。また後ほど、お話を聞かせてください。