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その会議は本当に必要か? 働き方を改革するために考える生産性向上の方法

その会議は本当に必要か? 働き方を改革するために考える生産性向上の方法

リクルートホールディングス主催のイベント「iction!働き方改革セミナー」に、リクルートワークス研究所の石原直子氏が登壇。残業や長時間労働が当たり前になっている日本人の働き方を改革するには、個人、マネジャー、経営陣それぞれが生産性を向上させるための工夫が必要であると述べました。会社員が長時間労働をする理由は多岐にわたりますが、「取引先が海外なので時差に対応する必要がある」「職場の雰囲気が帰りづらい」「会議が多く、時間も長い」といった問題にどう対応するか、具体的なアドバイスも語りました。

(提供:株式会社リクルートホールディングス)

シリーズ
iction! 働き方改革セミナー > なぜ、いま、働き方改革なのか
2015年11月18日のログ
スピーカー
リクルートワークス研究所、Works編集長、「ホワイトカラーの時短研究」プロジェクトリーダー 石原直子 氏

残業は個人、マネジャー、経営陣がそれぞれ考える問題

石原直子氏(以下、石原) 「なぜ私たちはこんなにも残業をしてしまうのか、残業をせずに会社が成長する方法はないのか」といろいろ考えていく中で、プロジェクトの最終的なアウトプットは、皆さんにお手にとって読んでいただくために小さめのA5版冊子にしようと思い、今みなさまのお手元にあるサイズで作りました。 0022 この冊子は赤、黒、青の本があり、社内ではそれぞれ赤本、黒本、青本と呼んでいます。なぜ3種類あるかと申しますと、生産性を上げる、あるいは働き方改革を進めて行こうと考えた場合に、3種のプレーヤーがそれぞれに果たす役割があると考えたからです。 3種とは経営陣、それから中間であるマネジャー、そして個人です。「生産性を上げよう」「働き方を変えよう」と言って個人にばかりそのプレッシャーをかけても、限界があります。 しかし、「どの人も10パーセント生産性を上げよう」であれば、努力でできると思いませんか。革新的なことをしなくて自分の生産性を10パーセント上げるのは、集中力を高めたり、ダラダラする時間をなくしたり、朝少しだけ早く起きたりすることで達成できる様な気がしないでしょうか。 また、マネジャーにも生産性を上げることに責任を持ってもらいたいと考えています。ではマネジャーはどのようにして生産性を上げればよいかというと、無駄な業務をなくしていくことや、会議の進行をスムーズにすることなどが例として挙げられます。
それ以外には「こちらの方が優先順位が高いよ」と教えること、あるいは「その業務を上手くやるためにはこういうやり方がいいんだよ」と経験の少ない従業員に対して指導をすること。
そういうマネジャーの努力があれば、10パーセントくらいの生産性を上げるのはそんなに難しくないのではないかと思っています。さらに、経営陣も自分たちの責任で「10パーセント生産性を向上します」と言えるのではないかと考えています。 それは何かと言うと、例えば、今まで手書きでやっていた精算業務効率化のためにシステム投資をすると決めることや、あるいは生産性の低い部門のビジネスから撤退すると決断するなどです。 それぞれの階層の人が10パーセントずつ生産性を向上させると決めれば、あっという間に30パーセントの生産性が向上するのではないか、というのが我々の問題意識でした。

労働時間改革への反論を潰すための本を作った

それをきちんとお伝えしたいと考え、赤い本、黒い本、青い本を作りました。青い本は働く個人が「どうして残業してしまうのか」と残業の原因をチェック出来るようにしていて、「その原因のタイプ別に処方箋をお渡ししましょう」という軽い読み物になっています。 黒い本は、マネジャーの方たちに向けて「業務プロセス改革をどのようにやるか」ということを説明しています。赤い本は、タイトルをご覧いただければわかると思いますが、「人事のための」冊子です。 私たちが働き方改革をしようと思い、動き出すと、「長時間働かなければならない理由がこんなにある」と様々なところから様々な反論がきます。 例えば、経営者の中には「うちはそんなこと言っていられない。利益が大事だ」と言う人もいるでしょうし、マネジャーの中にも「いやいや、若いうちは死ぬほど働かないと成長できないよ」と仰る方もいると思います。 それから、若者自身も「別に予定ないので働いても平気です」と言ったり、やる気があって前向きな若者であればあるほど、「仕事が楽しいので大丈夫です」と言ったりします。
こういった「労働時間改革、働き方改革をしましょう」と言った時に、起こりうる反論に対応するためのロジックを解説しているのが赤い本です。赤い本に書いたいくつかのことを今日お話ししようと思います。
なぜ私たちは長時間労働になるのか。「長時間労働になってしまうのは仕方がない」という「言い訳」はいくらでもできます。

長時間労働をする理由はこんなにある

0023 例えば、「取引先が海外だから時差に対応するのはしょうがない」「任された仕事を完璧にやりたい」「そもそもどんなに頑張っても仕事が終わらない、次々仕事がふってきて、忙しすぎる」などはよく聞かれる言い訳です。 それから「職場の雰囲気が帰りづらい。帰ったら上司が嫌な顔をする」というのもよくあります。 これはある会社でのことですが、「私は長時間労働が物理的に可能です。うちでは奥さんが専業主婦で彼女が家庭を守ってくれているから、私が働いてしっかり出世することがうちの家庭としては一番いいんです。」と仰った方がいらっしゃいました。 それから、「日中は会議が多く時間も長いので、自分の仕事をするのは夜になってからなんですよ」という話。これもよくある話だと思います。 その他では、これはある銀行の方に言われた話なのですが、「完成したとか、これでできたという完成のクオリティがよくわからないから、終わったと言えないです」と。「いつまででも何個でもやることがあります。これでいいのか自分では判断できないです」ということもあります。 また、これはあるサービス業の方が仰るように、「残業代が生活のためのお金になってしまっているので、早く帰ると収入が減って暮らしに困ります」という人もいます。 同じサービス業である小売店の店長さんにはこうも言われました。「店長なので、朝のオープンから夜のクローズまで見届ける必要があるでしょう」。 しかも、この小売店の店長は皆さん、地元ではない地域にある別会社に出向しておられて、単身赴任で来ていらしたのです。「別に家族が待っているわけではないし、何時に帰ろうが温かいご飯があるわけではないから、朝から晩までいても全く問題ない」と仰っていました。 「店長として責任を持ちたいから放っておいてほしい」とも仰っていました。このとおり、いくらでも我々が長時間労働から離れられない理由は言えます。でも、そういうものは少しずつ話し合って解決していったほうがよいと考えています。

海外との時差対応、「本当に半日後の回答では遅いのですか」

皆さんも会社に帰ったら、経営者とかマネジャーの方々が、「いやいや、うちでは長時間労働は仕方がない」などいろいろな言い訳を仰っていると思うのでそれをどう解決すればよいのかという一例を今日お話させていただこうと思います。 例えば、さっきの海外との時差がある話で、「時差のある海外とのやりとりはグローバル企業の基本だから、深夜や早朝の業務は仕方がないんですよ」と言われた時の対応方法です。 それは「本当に半日後の回答では遅いのですか」そして、「あなたのお客様は、そんなにも今すぐ回答の必要のある火急の用件ばかりお持ちになるのですか? たぶんそんなことないと思います」ということです。 0024 そして、もう1つ。来るかもしれない電話やメールを待って残業時間を使うのは無駄だということです。 これは黒本に書いたのですが、「お客様の無理に答えなければならない時はもちろんありますが、お客様からの無理に答えることばかりを仕事にするのは上司が悪いです」ということです。顧客からの無理にNOを言うのは上司の役目です。 あるベンチャー会社の社長が仰っていたのですが、「ベンチャーで上場を狙っているというと、残業は当たり前、皆長時間働いていると思われているかもしれないけれども、僕らはそういうふうにして会社を上場させたくない」のだそうです。 「上場の時だからとか、建て直しの時期だからとかいう言い訳のもとに長時間働く文化を定着させてしまうと、それは会社のDNAに染みついてしまうと思うんです。僕はそれが嫌なんです」と。 もちろん、どうしてもお客様のニーズに応えるために残業せざるを得ない時や、夜中までかかってでもお客様の指定した条件のために商品を出荷しなくてはならない時もあります。 でも、それに対応した時にお客様に、「うちはこれはやりたくないです」と必ず言うと仰っていました。「こういうオーダーにお応えするのは本意ではないです。以降はどうか勘弁してください」と。 やはり、それくらい言えるようにならないとダメなのだと思います。「それは言えません。なぜならば価格競争が厳しくて、うちが断ってもいくらでも競合がいるから」と、感じるのだとすると、そのビジネスは早晩、価格競争の中でもっと条件が悪くなっていくと思います。だからこそ、「やらなくていいんですよ、そんな仕事は」と気持ちを切り替えなくてはならないのです。 もちろん実際のビジネスではそんなに簡単にいかないのは私も重々承知していますが、そういう発想の転換をする努力が必要なのだと思います。

遅くまで残っている人を評価する上司はそんなに多くない

「帰りづらい職場の雰囲気があります。上司や同僚が残っているのに帰るわけにはいきません。人事考課にも影響がありそうな気がします」という話があります。 これも、ある会社の方に実際に言われましたことです。「上司が残っている時に帰ってしまって、もし上司が僕に質問があったらどうするんですか」と仰るんですね。 でも、時間外労働中の上司からの質問に即答しなくても問題はないのです。上司も大人ですから、「あいつ、いないの。じゃあ明日にするか」と思います。それに、本当に今すぐ知りたい内容であれば、電話がかかってくるはずです。だから、安心して帰ればよいのです。 0027 「遅くまで残っている人のほうが評価される」と私たちはよく言いますが、本当にそうなのでしょうか。人をそのようなものさしで評価している上司は実際には、そんなに多くないと私は思っています。 遅くまで残っていなくても業績を上げた人は評価されていると思います。そう言えるくらいに、無条件で信じてしまっている「遅くまで残っていないといけない」という考え方を疑ってほしい。 一方で上司の人には「偉い人ほど早く帰りましょう」とお話させていただいています。なぜなら、上司の行動は部下の行動にものすごく大きな影響を与えるからです。 あなたの部下が、「自分の上司はこうだったし、その上司の真似をしたら自分は評価された」と学習してしまうと、その人は上司になった時に同じことをしてしまいます。 「自分が残っている間は部下も残っているのが当たり前。自分が残っていた間ずっと残っていたやつがかわいくて評価に値する部下だ」と考えてしまうのです。このように上司の行動は部下、いわゆるネクストエイジの行動を決めていくわけですから、上司になったらさっさと帰ることが重要です。

会議を30パーセント削減するのは難しいことではない

「会議が多い、時間も長い」という問題があります。日中はほとんど会議で、自分の仕事は夜にならないと取り掛かれない。 みなさまもご記憶にあると思いますが、会議というのはやはり無駄が多いです。会議を30パーセント削減するのは実はそんなに難しいことではないと思っています。 0029 多くの方々は会社でスケジューラーを共有していて、会議の申請をWeb上でできるようになっているのではないでしょうか。何でもすぐ申請できるので、逆に会議が多くなってしまうのかもしれません。 でも、本当に会議室で会議をする必要があるのでしょうか?会議となると、30分は必要ですし、30分の会議のための資料を準備するのに2時間くらいかかります。 でも、もし立ち話で「これを進めていいですか?」「こういうふうにやろうと思っているんですけど」と言って、「いいよ」と上司に返事をもらえば2分で終わるような案件はいくらでもあります。 ですから、私はまずは会議招集の習慣を見直す必要があると思っています。 それから上司の方には「会議のクオリティに神経質になって下さい」とお話しています。会議を刷新したいというのは、我々は常に何度も遭遇するテーマですから、会議のアジェンダとゴールを決めることはどこの会社もやっておられると思いますが、それだけでは不十分です。 アジェンダとゴールはもちろん、「一つひとつのアジェンダに何分かけるのかまで決めましょう」というのが1つ。 それから「会議の長さに神経質になりましょう」ともお話しています。我々はすぐに30分、1時間を単位に会議を設定したくなりますが、ぜひ25分や、45分などの会議を設定して、少しずつ会議にかかる時間を短くしたほうがいいと思っています。 一気に生産性を上げるための大きな秘策はありませんが、今お話しした様にいろいろなところから少しでも無駄を削り取る作業をしなくてはならないと考えています。

労働時間の長さと売上高、利益率は相関関係がない

今お話しさせていただいたような話を「労働時間は絶対に減らない」と言っている会社の方々に共有して、そういう方々の意識を変えていく。今日ここにいる我々自身がチェンジエージェントになっていただきたいと考えています。 これは赤いマニュアルにも掲載しているデータなのですが、横軸の労働時間が長くなればなるほど、縦軸の数値が高くなり、転職意向は強くなっています。もうひとつ、労働時間が長くなればなるほど、職務満足は下がっていることがわかります。 0033 こういった事実を無視して、「我々の会社の新入社員はやる気に満ちあふれていて仕事に対する成長意欲もすごく高いから、残業時間が増えても何も問題がない」と言ってしまうのはよくないと思いませんか。 「労働時間が長くなればなるほど勤務モチベーションは下がり、仕事満足度も下がる」という単純な事実に我々は謙虚に向き合う必要があります。 0034 これももう1つ大きな事実です。横軸が労働時間の長さで、縦軸は売上高と利益率です。長時間労働が行われたからといって業績が良くなるわけではない、ということがこのグラフでは表現されています。ドットがばらばらに散らばっていて何の傾向もないです。 0035 例えば、このグラフが右肩上がりに並んでいれば、「長時間労働をすればするほど利益が出るのだな」という感じがするのですが、実際にはこのように赤いドットがバラバラに散らばっています。 長時間労働と利益率に何の相関もないということです。ですから「長く働かなかったら業績低下が怖い」というのは気のせいだということです。

時間以外の資源を模索する必要がある

20年か30年くらい前に、「24時間戦えますか」というCMがありましたが、あの時のような一握りの企業戦士だけで勝つ時代は終わったと私は考えています。長時間働くことを厭わない企業戦士という人の割合はこれからどんどん減っていき、早晩半分以下になります。 0036 にもかかわらず、「そういう人たちじゃなければうちの会社の業績は上げられない」と言ってしまったら、いわゆるレッドオーシャンに飛び込んで行く競争になるわけです。長時間働けない人たちでも勝てる、そういう会社に早くなりましょうという話です。 これからの勝ち方は、仕事もそれ以外の生活も大事にする、多くの人たちの総合力で勝つ以外にないのですね。 もう1つ大切なのは、いろいろな形の能力を持った人がそれぞれに活躍できるということなのですが、そのためには、「長時間働かなくても大丈夫」という組織ができあがっていることが大切です。 これからの時代は職場では磨かれない能力が重要になってきます。イノベーションというものを必要ではないと言っている産業や会社はこのご時世ほとんどないと思いますが、イノベーションを生むには職場では磨かれない能力が重要になってきます。 時間をかけた分だけ、お客様の言ったことに応えたら応えるだけ利益が上がり続けるようなビジネスは減少していきますし、そういうビジネスは早晩、より人件費の安い日本以外の国に流れていくでしょう。 足で稼ぐ仕事は遅かれ早かれ淘汰の対象になるので、我々は時間以外の資源を元手に付加価値を高めるようなビジネスを模索するしかありません。時間以外の資源の代表例が、アイデアとかネットワークとかフットワークです。 こういう資源は会社の中でデスクの前で座っていても絶対に磨かれません。社員の方にもっと会社以外の場に行ってもらったほうがよいのです。

働く時間が減った分は何をやってもいい

これらを踏まえて、我々が実現したいサイクルをご紹介します。労働時間が少なくなった分の点線で囲んだ青いボックスに相当する時間は、個人が自分の選択に基づいていろいろなことに使います。 0037 これは別に「働く時間が減った分を、家事育児に使いましょう」と言っているわけではありません。「毎日映画を観ています」や「毎日お酒飲んでます」など何でもよい、何をやってもよいのです。 でも、いろいろな社員が全然違うことをしている、そういう人たちの集団であることが重要です。1つのサイクルは個人が成長して「仕事をもっと頑張ります」という左側に戻るサイクルで、もう1つは、この様々な経験を持つ人たちが集まることで起こるイノベーションだと考えています。 これが上手くいくようになれば、「みんな会社にずっと張りついている様な働き方したくないよね」ということが正しかったという証明になります。 いろいろとお話させていただきましたが、これでなぜ働き方改革が必要なのかという話について、終了したいと思います。どうもありがとうございました。 (会場拍手)

  
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