人は初対面の人と話す時、10分で3回嘘をつく

ハンク・グリーン氏(以下、ハンク):今日はみんなに「嘘」についての真実を教えるよ。これから僕が言うことの中から、嘘を選んでね。

「僕の家には普通の水を炭酸水にする機械がある」「僕はカードゲーム『セット』がとても下手だ」「マイケル・ジャクソンは僕の叔母だ」

嘘だってバレバレだよね。

スタッフ:確かに。

ハンク:ああ、僕は本当にゲームがへたくそだ!

さて、「嘘」についてです。人は多くの嘘をつきますし、自分で思うよりも嘘が上手です。僕が認めたように「マイケル・ジャクソンは僕の叔母」などの嘘もすぐにわかってしまいますよね。

ちなみに「僕は嘘が下手だ」と言うのは嘘です。

人は、初対面の相手と話す時に、10分間で平均3回嘘をつくと言われています。嘘についての研究によれば、こういった嘘はほぼ無自覚のようです。

では、なぜ、どのような目的で、人は嘘をつくのでしょうか。

嘘をつくのは人間だけではない

まず知覚の観点から見て行きますと、まず注目したいのは、自然界で嘘をつくのは人間だけではないと言うことです。

人間以外がつく嘘で、僕の印象に残っている逸話があります。1970年代、手話を教えられた雌ゴリラのココは、ペットの子ネコを「洗面台を壁から引きはがして壊した」と叱った、というのです。「まあ、なんて悪いピンポン玉でしょう!」

このように、自然界では嘘はありふれたものなのです。しかし、なぜ人間だけが、これほどまでに多くの嘘をつくのでしょう?

以前の「SciShow」でお話ししたように、人間は最初にして最も顕著な社会的動物です。人間同士で常に交流し、そのための巨大な脳を持っています。人間にとって、うまく社会交流することは、うまく生きるための鍵なのです。

第1位のボスに警戒しつつ、複雑な社会構造をうまく回すには、嘘は大変うまい手段なのです。

属している社会をハッピーにできれば、食糧や高い地位、よりたくさんのより良いセックス・パートナーを得るなどの利益を獲得することができます。

例えば「君のその腰布、おしりが大きく見えるね」とか、「あなたがマストドン狩りに行っている最中、私はあなたの弟とセックスしていたの。だから洞窟で育てているその子は、実はあなたの甥なのよね」などと言ったら、恐らく友達はできないし周りの人にも話を聞いてもらえなくなるでしょう。

ですから、嘘をつく能力と嘘を見抜く能力は、初期の人類には大切なことだったのです。嘘をつくことは、脳にとって簡単なことではありません。お互いに巧みな嘘をつくために競ったため、人間はますます嘘をつくことがうまくなりました。

巧みに嘘をつく者は、よりよい獲物を手に入れます。こうして、コミュニティの中でよりよい立場に残れる者は、嘘を見抜くのが巧みな者で、伴侶に浮気をされたりラクダの交易でだまされたりすることが遥かに少ないのです。

こうして人間はますます嘘をつくことがうまくなり、下手な嘘を見抜くことがうまくなりました。

人は生後6カ月から嘘をつきはじめる

一方で、社会が洗練されてくると、「もう嘘はたくさんだ!」ということになってきます。なぜなら、結束の固いコミュニティや構造が安定した社会で暮らす方が、ずっとメリットが多いからです。

しかし、厚顔無恥な嘘がまかり通り、育てているのが自分の子か、買ったばかりのラクダが「事故車」かがわからない社会は、安定しているとは言えません。無政府状態です!

そこで人間は、社会を整備するにあたり警戒を解き、宗教は「神は正直者に褒美を与えて慈しみ、嘘つきを罰する」と強調し始めました。こうして神は、お払い箱にされる危険を免れました。

真実を言う限り神は味方です。あからさまな嘘をつけば、中世ヨーロッパの裁判制度が待っています。これはとても面白い代物なのですが。

現代でも、虚言を禁じる法は存在します。言論の自由より優先され、法に基づいて収監される例もあります。軍の名誉勲章を受賞したと虚言するなどがそれです。悪人でなくても、みなさんはやってはいけませんよ! なぜそんなことをする人がいるのでしょうね。

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