まるで結婚のような、相思相愛の資本業務提携

前澤友作氏:(発声練習で)あ、あ! 聞こえてますかね。すみません、何度も出たり入ったりして。それでは私から、5分程度お話しさせていただきます。

改めまして、株式会社ZOZOの前社長であります前澤でございます。ついに“前”社長ということになってしまいまして。今日の資本業務提携契約締結と同時に、私の代表取締役辞任を発表させていただきました。

まず今回の資本業務提携契約につきましては、ヤフーさんとZOZO社、ものすごくシナジー効果の効いた提携になるんじゃないかと、僕自身、自信をもって進めてまいりました。当然、ZOZO社の経営陣も全員賛成、ヤフーの経営陣も全員賛成で、これからどんなことができるか、どんな効果が出せるか、そしてともにどうやって成長していけるかという、非常に楽しみが多くあるのが現状です。

詳細は今日は控えさせていただきますけど、今後もいろいろな業務提携を予定しておりますので、それは楽しみにお待ちいただければと思います。

僕自身としては、21年間ZOZO社の代表取締役ということで社長業を務めさせていただきましたけれども、この最後の最後で、一番大きな決断をできたことを大変うれしく思うと同時に、今後のZOZO社並びにヤフー社の成長を心から祈るばかりです。

朝8時45分に情報を開示させていただいてから、ネット上でいろいろと見ました。「すばらしいシナジー効果がありそうな提携だね」とか「ものすごくいいパートナーシップだね」「まるで結婚みたいじゃん」とか、いろいろポジティブな意見が散見されています。うれしく思います。

ちなみに「前澤社長の言動は不安だったから、やめてもらってせいせいしたわ」といった応援のコメントもいただいておりました。

(会場笑)

トップダウン経営なんじゃないかと思うところも、実はあった

まぁ、それはいいとしまして(笑)。さきほど澤田からも少しありましたけれども、ZOZO社は新経営陣に体制が変わるんですけれども、こちらも簡単に触れさせていただきます。

澤田から、前澤のやり方はトップダウン、ワンマン経営だったんじゃないかとご指摘ありました。自分自身も実はそういうふうに思う節がありまして、この21年間、自分の好きなことを仕事にということでひたむきに突っ走ってまいりました。

社会に出て就職した経験もなければ、それまでは社長になったこともないですし、MBAだとか難しい勉強をしたわけでもありません。好きなことを突き詰めてやっていたら、気づいたら社長になっていて、気づいたら多くのお客さま、多くの取引先さま、そして多くの株主さまに応援していただける上場までしてしまったと。この21年間、いろいろありましたけれども、本当に夢のような時間を過ごさせてもらいました。

ここにきて、ZOZO社にはいくつか課題があったんだと思います。とくにこれからの成長をしていくうえで、ファッション好きのみなさまだけではなくて、あらゆるみなさまに届けるサービスにしていかなくてはならない局面を迎えていたと思います。

そういった意味で、ヤフー社との今回の提携によって、ZOZO社の未来というのは大きく開かれるものと思います。同時にヤフー社から見ても、ファッション領域が苦手だなとか、若い方たちは最近ヤフーを見てくれているのかなという課題もありました。

そういった意味でお互いの弱点を補い合い、そしてお互いの強いところを伸ばし合えるような、本当に結婚のような提携になるんではないかと。独身の僕が、偉そうにすみません、失礼します(笑)。

(会場笑)

これからのZOZOにはチームワークや総合力が必要になる

僕の経営手法というのは感性に基づくものでした。時代の香りといいますか、匂い、みなさんの動きだったり考え方、雰囲気……そういったものを直感的かつ野性的に感じ取り、それを経営に生かせないかという経営手法をとってまいりました。ですので、時には読み違えたり、自分が調子が悪いときに失敗を犯してしまったり、いくつかそういったこともあったと反省しております。

そういった意味で、今回の澤田新社長は、その感性的な経営とはある意味真逆な手法をとっていただける人なんではないかと思っております。感性的経営と真逆とは、一体何でしょう? ロジカルな経営というんでしょうか。データや繰り返し行うテスト、そういったものに基づいてはじき出される、きわめて機械的でロジカルな経営戦略、そして手法。そういったものを澤田は得意としています。

感性の部分で澤田を助けるかたちで、現場のファッションが大好きなスタッフたちが補っていかないといけないと思うんですけども。澤田からもありましたとおり、チームワーク、総合力、そうしたものが今後ZOZO社には問われると思っております。

逆にいうと、僕はチーム力・総合力っていうのを、自分自身で活かしきれてなかったんじゃないかと思うところがあります。なぜなら、ワンマンであり、「自分がこう思うんだからこうやって」っていうスタイルでやってきたもので、現場の権限や裁量も十分に与えられてこなかったようなことがありました。

そういった意味でZOZO社っていうのは、いろんな課題に直面している今、経営の考え方や体制が、抜本的に変わるべきタイミングだったと思います。