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「永遠のスタートアップ起業家であり続けたい」DeNA創業者・南場智子氏がSlush Asiaで講演

「永遠のスタートアップ起業家であり続けたい」DeNA創業者・南場智子氏がSlush Asiaで講演

若き起業家やイノベーター、オピニオンリーダーたちが集まるヘルシンキ発のイベント「Slush」が日本初上陸。2015年4月24日にお台場で開催された「Slush Asia」のステージでは、DeNA創業者・南場智子氏が登壇。創業当時のエピソードや人材獲得へのこだわりについて語りました。(2015年4月24日「Slush Asia 2015」より)

シリーズ
SLUSH ASIA > 南場智子・スピーチ
2015年4月24日のログ
スピーカー
株式会社ディー・エヌ・エー 創業者 南場智子 氏

成功の道は真っ直ぐではない

南場智子氏 このように起業家の皆さんが集まる場にいられることがとても光栄です。多くの良いエナジーを感じることができますので。まさか日本でもこのイベントが開催されるなんて思ってもいなかったので、このイベントを日本で行うために尽力いただいた皆さまに感謝申し上げます。 今日は起業家仲間の皆さんに、私が創業したDeNAでの経験を元に為になるメッセージをお届けできると思います。 1999年 1月、DeNAはただのアイディアに過ぎませんでした。仲間もいない、パートナーもいない、オフィスもありませんでしたが、私にはアイディアがありました。 マッキンゼーを辞めて自分の会社を立ち上げ、日本一のオンライン・オークションサービスを提供する会社にしようという。 15年後の今、DeNAはオンライン・オークションサービスもありますが、他のEコマースもしています。ビジネスの大部分を占めるゲームアプリビジネスに、旅行、コミュニケーションサービス、エンターテイメント・メディアサービス、更にオフラインではプロ野球球団も運営しています。 我々の会社の時価総額は30億ドル、2,000人以上のメンバーと一緒に仕事をしています。私達はここまで成長しましたが、これまでの道のりは容易ではありませんでした。 私はたくさんの間違いを犯してきました。皆さんが考えつくミスは全て犯したと言ってもよいでしょう。 ナンバーワン・オンラインサービス・プロバイダとなることが目標でした。つまり私達が業界最初にそれを仕掛ける仕掛け人でありたかったのですが、結局私達は最後にローンチすることになってしまいました。このアイディアが浮かび始めた当時は他に大きな競合がいなかったにも関わらずです。 この市場でナンバーワンになることを目標としていたのにも関わらず、業界2番手になってしまったのです。2番ならいいじゃないか、と思うかもしれませんがナンバーワンのプレイヤーの規模は私達の規模の30倍はありました。1年以内で絶対に利益を出そうと誓いましたが、最初の5年間は赤字でした。 成功の道はこのように真っ直ぐではありません。現実はそう上手くはいきませんので、波乱万丈に備えましょう。 (会場笑)

DeNAは人材に妥協しない

成功に必要なものはビジョン、お金、人の3つです。 ここにいらっしゃる皆さんは情熱的な起業家の方々でしょうから、恐らく素晴らしいビジョンをお持ちでしょう。 お金、これはあまり心配することではありません。今日資金を集めるのはそんなに難しいことではありません。 ビジネスに投資をしたいと考える資本家はたくさんいます。しかし、人を集めるのはなかなか難しいことで、成功するためにおそらく最も重要な要素でしょう。 振り返ってみれば、DeNAが成功したのは私達の元に集まってくれた人々の力が大きかったと言えるでしょう。 DeNAはマッキンゼー時代の同僚2人と始めたのですが、すぐに人手が足りないことに気がついたので人を増やすことにしました。1人のパートナーが詳細な募集要項を書き始めましたので、彼にそれはやめるように言いました。「もっと簡単に考えて。私達1人ひとりそれぞれが1人を連れてくればいい。そしてそこに募集要項はひとつしかない。自分より優れている人を連れてくるの」と私は言いました。 1人のパートナーは、IBMジャパンで最高峰のエンジニアをリクルートしてきました。もう1人は人を探そうとせずにこう言いました、「自分はとても優れているので、自分より優秀な人を見つけることができない」と。 (会場笑) 彼は結局自分の弟をリクルートしてきました。 (会場笑) 少なくとも同じ遺伝子を共有しているから、と言って。 (会場笑) このように3人が 6人に、6人が 10人へと増えていきました。 人材に関しては妥協することは許されません。人材に妥協しなかったからこそ、今日のDeNAがあります。 人は量より質です。特に最初の10人は、企業文化や仕事をする上での価値観を確立するのにとても重要です。もう10人以上雇ってしまった人は後戻りできないですけどね。 (会場笑) 人を雇うには時間がかかることを覚悟してください。人の質が重要だと言いましたが、それはスキルだけの話をしているのではありません。その人のエナジーレベル、コミットメント、そして恐らく最も重要なポイントは、その人と信頼関係を築くことができるかどうかです。 そして信頼関係とは透明性あるコミュニケーションに基づきます。人を雇う時は透明性あるコミュニケーションスタイルをその人と取れるかどうかと考えます。

採用候補者の母親とやり合ったこともある

先ほども言いましたが、これには時間がかかります。2001年のことです。ある素晴らしい人材を発見しました。1週間毎日過ごして、ついに彼をDeNAでの可能性にワクワクさせることができました。そしてこれを彼の母はとても気に入らなかったのです。 (会場笑) そこで我々はDeNAについて素晴らしいことが書かれている新聞や雑誌の記事をかき集め、資料にして彼の母親に渡しました。 (会場笑) これだけでは終わりませんよ。彼の母親はDeNAのエントランスまでやってきて、私に土下座をして息子へのオファーを取り消して欲しいと頼んだのです。そして私がオファーを取り消すまでその場を動かないと。 このように時間がかかるのです。素晴らしい人を一緒にやろうと説得するだけではなく、時に皆さんは狙った人材の母親ともやり合わなければならないのですからね。 (会場笑) 本当に時間がかかるのですよ、覚悟してくださいね。そして素晴らしい人を見つけたら、彼らを手に入れるまで1年がかかることだってあるのです。 「空いている」人の中からチームに迎え入れる人を選んではなりません。今どこかで仕事をしている人も含め、全ての人が候補者です。そして多くの場合、最高の人材は「空いていない」のです。恋愛と同じことです。素晴らしい人材を見つけたら、その人たちが準備ができるまで追い続けるのです。 3年かかることもあります。私が人材を追いかけた最高記録は5年です。現在も優秀な人を追うことをやめていません。素晴らしい人を見つけたら、彼らとコンタクトを取り続けます。言うのは簡単ですが、皆さんもお忙しいでしょうから実際に行動するのはなかなか難しいことです。 自分の中でルールをつくり、その人に四半期に一度は会うと決めましょう。そして優秀な人を見つけたら彼らをすぐに会社に誘ってこちらへ引き抜こうとしないこと。 連絡を取り続け、彼らの成長を見守るのです。彼らは変化するかもしれませんので、様子を伺います。メールを送ってみましょう。彼らがどんな成長を遂げているのか知るのです。彼らがどんなことを楽しんでいるか、何を楽しんでいないか、どのように成長しているかを知っておき、付き合いを途切れさせないようにしましょう。 そして、彼らが「そろそろ次のステップに進む時期だな」と思い始めた時が、皆さんがついにその仮面をはがして「こっちに来たらいいじゃない~」と誘うタイミングです。 (会場笑) そして人を会社に誘う時には、完全に正直になりましょう。隠し事はなしです。皆さんの会社はIBM以上に安定しているなどと言ってはなりません。そんなことはないはずですから。 (会場笑) リスクについても透明性を持って、正直に。彼らは人生でとても重要な決断を下そうとしているのです。直球で「あなたの助けが必要なのです」と伝えましょう。大抵素直に話をすると上手くいきます。 そして、彼らが皆さんの会社の仲間になってくれると首を縦に振ったら彼らを信じましょう。これが最も重要です。これが私のリクルート、チームの人々との付き合い方のルールであり、これに従ったので今日のDeNAがあります。

「条件付き」のお金は受け取るな

先ほどお金についてはあまり心配しなくても良い、たくさんの投資家が世に溢れていると言いました。お金についてひとつだけ注意してほしい点があります。「条件付き」のお金は受け取らないことです。 「条件」とは皆さんの会社の未来の選択肢を制限する可能性のある全てのことを指します。特に会社のシェアを制限するものです。ビジョンがあって、今は株式公開せずに独立した立場でいたいと考えている方もいるでしょう。しかし、物事は変化します。状況が変わるかもしれないし、ビジョンが拡大するかもしれません。 将来どうなるかわかりません。つまり「条件」とは皆さんの会社のシェアを制限する可能性のある全てのことを指します。 多くの起業家がトラブルに巻き込まれるのを見てきました。新しく見つけたパートナーにシェアを売りたいと思っても、以前結んだ契約内容と相違してしまうので売ることができないというトラブルです。 始めてすぐはエンジェル投資家に相談するのがよいでしょう。皆さんのビジネスに真に興味を持ち、素晴らしいビジネスをしようとしている起業家を心から支援したいと願っているエンジェル投資家を探しましょう。 そして後に大きな投資を他から受けようとする時にもまたエンジェル投資家にその契約内容に落とし穴がないかどうかチェックしてもらいましょう。これだけがお金について私がアドバイスできることです。 DeNAが起業家とどのように付き合っているかについてお話しましょう。こちらは最近合併したビジネス創業者たちです。彼らのビジネスはどれもとても成功しています。株式公開をするのも1千万を集めるのも彼らにとっては容易だったでしょう。 そんな彼らが我々とチームを組む理由はビジョンです。私達は様々なライフシーンを網羅する巨大なコンテンツ・キュレーション・プラットフォームをつくりたいと思っています。ファッション、不動産、インテリア、医療、旅行等々です。 それだけではありません。DeNAは創業15年で2000人のメンバーがいます。私達のビジョンはフレッシュな若さを保ち続け、永遠のスタートアップであり続けることです。つまりこのようなフレッシュな起業家の皆さんと一緒に仕事をすることは私達にとってとても意味のあることなのです。 先に言った通り、これら起業家の皆さんは彼らだけでも十分な実力を備えた優秀な起業家集団です。そんな彼らがDeNAに加わってくれた理由はこちらです。雑誌インタビューでの彼らの言葉の引用をご紹介します。村田マリさんはこう言っています、 「IPOのため、資金繰りのために書類と顔を突き合わせているのではなく200%の時間、力、能力を自分のプロダクト、自分のビジネスに捧げたい」 そして彼らはひとつのカテゴリーに留まらず、活発に大きなビジョンの一部でありたいと願っています。皆で力を合わせて大きなことを成し遂げようじゃないか、という考え方を私達は共有しています。 そして人材のリクルートの話に戻りますが、これは本当に時間がかかります。若い起業家たちはプロダクトづくりに集中したい、でも最高の人材も確保したいというジレンマを抱えています。最適な人材を仲間に入れることは成功するために最も重要なことですがとても時間がかかる。 私達と一緒にやっていくことで、例えば特定のスキルを持った人、エンジニアが必要なのであれば、彼らの元へ信頼できる最適な人材をすぐに送ることができます。これが彼らにとってはプラスに働いています。 彼らと一緒に仕事ができて、本当にうれしく思っています。「CEO」というタイトルやステータス、経済的な成功を得ることだけを目的にするのではなく、自分の仕事を心から楽しんでいる彼らと。私もずっとその心を忘れたくないのです。 ビジネスをしていて最も喜びを感じることは何か? アイディアが浮かぶ時期、これはとても興奮する時期です。今日も私にはアイディアがどんどん浮かび、それが私をワクワクさせます。そしてそのアイディアが「成功」すると達成感を感じます。 それは良いことですが、私が最も楽しいと感じるのはアイディアから成功までの途中の一喜一憂、四苦八苦する「過程」です。 ちょっと試してみては失敗したり、とてもワクワク興奮したと思ったら次の瞬間にはひどく落ち込んだり。この一喜一憂する過程がビジネスの中で最も心躍り、楽しいことなのです。 「成功」したいと思ったら、新しいビジョンや新たな成長機会を生み出そうとします。そしてそれに向かって頑張り続けます。始めたばかりの起業家と同じです。 私は永遠のスタートアップ起業家で有り続けたいと思っています。この滅茶苦茶に辛い過程がビジネスの楽しい部分であるということを心に刻み付けておいてくださいね。 ありがとうございました。

  

※続きは近日公開

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