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クラウドストレージ「Box」が、個人消費者を切り捨てた理由–創業者が悩ましい二者択一を振り返る

クラウドストレージ「Box」が、個人消費者を切り捨てた理由–創業者が悩ましい二者択一を振り返る
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クラウド環境のストレージサービスとして、米国を中心に急成長を続けている「Box」。その創業者であるアーロン・レヴィが、スタンフォード大学で開講されたスタートアップ養成講座・第12回に登場。事業を進めていくなかで個人消費者向けと事業者向けの決して戻れない二者択一を迫られたとき、どのような理由から現在の道を選んだのかを語りました。(How to Start a Startup より) 【スピーカー】アーロン・レヴィ(Aaron Levie) 氏 Box, CEO 【動画もぜひご覧ください】
Lecture 12 – Building for the Enterprise

「これまでの講師たちは間違っている」

アーロン・レヴィ氏(以下、アーロン) 私はアーロン・レヴィ、BoxのCEOで共同創業者です。エンタープライズ系ソフトウェアのつくりかたの回へようこそ。これまでこのレクチャーに登場した講師達が間違っていて、エンタープライズ系ソフトウェアを立ち上げるべきだと皆さんを説得する為にやって来ました。 エンタープライズ系ビジネスの素晴らしさを少しでも伝えられればと思います。この中でエンタープライズをやりたいという人はいますか? はい、わかりました。このトークの最後に今手を挙げてくれた人の数が減らないことを祈ります。むしろそれが今日の私のゴールです。 今日は三つのことについてお話します。まずは簡単にBoxのこれまでの経緯をお話します。始めた当初は、私達がエンタープライズ系ソフトウェアをやることになるなど思ってもいませんでした。そこで私達がエンタープライズ系ソフトウェアをやることに至った経緯と、現在の事業内容をご紹介します。 そしてスタートアップがエンタープライズ系ソフトウェアに参入出来るようになった理由、主要な変化についてお話します。最後に、スタートアップを始める際に知っておく必要があることをお話します。

フォーチュン500の99%が使っているBoxとは?

現在Boxは約240,000のビジネスで使われています。ユーザー数は約2700万人で、フォーチュン500の企業の99%に使ってもらっています。残りの1%はマイクロソフトで、彼らは私達のプロダクトは使いたくないようです(笑)。かなり良い数字が出せていると思います。 様々な業界の方に使っていただいています。製造業、消費者向けプロダクト、そしてスタンフォードヘルスケアには医療研究とのコラボレーションの一環として私達のプロダクトを使っていただいています。ヘルスケア、メディア、製造業界等で広く使われているプロダクトです。 では、どのようにしてここまでたどり着いたかです。最初はエンタープライズ系ソフトウェアをやろうと思っていませんでしたが、結果的にこのようになりました。私達は2005年に会社をローンチしましたが、会社のアイディアは2004年、まだ大学生だった頃に思いつきました。 覚えている人もいるかもしれませんが、2004年のインターネットはまだまだでした。つまらなかったですよね? FacebookもSnapchatもまだ誕生しておらず、今当たり前になっていることが出来なかった。Yahooは今では進化していますが、当時はまだまだでGoogleも始まったばかりでした。 何が言いたいかというと、2004年大学生だった私達は、インターネットでファイルをシェアするのがとても困難であることに気がつきました。現在では当然のことになっていますが、10年前はファイルをシェアするのに多大なコストがかかったり、ネットワーク内でデータを動かすのがとても難しかったのです。 当時インターンシップをしていましたが、私のデータに関わる仕事と言えば、プリントアウトされた紙べースのデータをキャビネットに仕分けすることでした。そこで私はとても上手にコピーを取れるようになりましたが、残念ながら今ではそのスキルはあまり役に立ちません。 データをシェアすることが本当に大変でした。学校内でもそうです。大学の個人メールアカウントはたった50MBの容量しかありませんでした。ファイルを保存してシェアすることが本当に困難であったことをお分かりいただけたかと思います。 そこで、どこからでもデータ、ファイルを保存・シェアできるようにしたらいいじゃないかと思いつき、当時このアイディアをbox.netと呼んでいました。

世界の変化を見逃すな

ソフトウェアの世界が大きく進化、変化するだろうと気がついたのです。大きく変化したひとつめの要因は、ストレージのコストが劇的に下がったことです。ストレージコストが下がったことで2、3年前には実現するのが経済的に不可能だったことが、瞬く間に実現可能となりました。 そしてパワフルなブラウザが誕生しましたね。Firefoxが世に浸透し始め、自宅でも学校でもより速度の速いインターネット環境が整い始めた。そして様々な場所で情報やデータを保管したりシェアしたりするようになった。始めた当時これら三つの要因があったわけです。 ここでのポイントは、変化しつづけるテクノロジーを見逃さないということです。このように大きく世の中を変える要因が重なれば、その市場も劇的に変化をします。データをクラウドに保存するという需要があったことで、私達のビジネスは幸運なことに成長することができました。そしてコストの低下と、環境的に実現可能となったことで成長の速度も上がりました。 このようにしてBox.netが立ち上がりました。私達が目指したのは、簡単にファイルをシェア出来るようにすることでした。

大学を中退し、本格的にビジネスの世界へ

マーク・キューバンからエンジェル投資を受けることになり、投資を受けることも出来たし、絶対に上手く行く、大学は辞めて、シリコンバレーに引っ越して……よし! やってやろう! という感じでした。 しかし皆さんは大学を辞めてはいけませんよ。ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズ等を筆頭に、成功した人は大学を中退しているのだから、大学を中退して大きく成功してやる! と夢見る人が多くいます。しかし大学を中退することが成功への確証となるわけではありません。 私達は大学を中退することを決めて、まずはバークレーに引っ越し、その後にパルアルトへ移りました。そして私達のプロダクトを無料で提供することにしたのですが、毎月何千万の人がプロダクトにサインアップしてくれるようになりました。Box.net上で無料の1GBのオンラインストレージスペースを提供出来るようにしたのです。 2006年当時、これはかなり画期的なサービスだったのです。ユーザーがたくさん集まったところで、よくある問題にぶち当たりました。個人の消費者にとっては素晴らしいものでも、法人にはまだまだだったのです。 私達のプロダクトは、個人消費者にとっては「そんなにたくさんの機能があっても使わないよ」と言われてしまう、法人にとってはセキュリティーが充分でない、そして企業規模になると充分ではない許容量のものになってしまったのです。 つまり個人消費者には使いこなせないほどの機能性であるが、企業にとっては不十分という中途半端な狭間に陥りました。そこでしっかりとここからこのビジネスをどの方向に向かわせるべきかを考える必要がありました。

個人消費者を取るか、エンタープライズを取るか

私達は個人消費者を狙うビジネスの道を行くか、エンタープライズを狙う道を行くかの分岐点に立っていたのです。当時2006年で私は23歳で、共同創業者は22歳。一緒に始めたチームの中には私達よりも若いメンバーもいましたし、全員大学中退です。それでも、個人消費者を狙う道と法人を狙う道、この二つの道は交わることがない、全く違う世界だということは理解していました。 個人消費者向けのスタートアップをやれば、楽しくて、いつもパーティ三昧で、絶対に楽しいことが待っている。反面、法人向けエンタープライズビジネスを取れば険しい道が待っている、と考えていました。 と同時に、個人消費者向けビジネスをすれば常に「どのようにマネタイズするのか?」「どのようにプロダクトに対してお金を使ってもらえるようにするのか?」という問題が付きまとうこともわかっていました。 個人消費者向けのビジネスモデルは二つしかありません。アプリに課金してユーザーに支払ってもらう、またはアプリに広告を出す、このいずれかしかありません。 大体の状況を掴んでもらう為に、現在の数字をお伝えしましょう。個人消費者向けのアプリの世界は、毎年350億ドルを生み出す市場です。とても大きな金額ですよね。対してデジタル広告の世界は1350億ドル。つまり個人消費者向けのビジネスをやる場合には、狙う市場は約1700億ドルとなります。これだけ大きな市場であれば、たくさんのチャンスがあるでしょう。 しかしエンタープライズ、法人向けITビジネスの場合の国際市場は、3.7兆ドル。サーバー、インフラ、ソフトウェア、ネットワーク、サービス等全部含めて毎年数兆ドルが使われるのです。ここで私達は、個人に毎月数ドルを使ってもらう為に頑張りたいか、法人がいつも気にしている生産性を上げる為に頑張りたいかという風に考えました。 この二つはまったく性質が異なるので同じ秤にかけられるものではありません。個人消費者向けにやるのであれば、単価がとても低い中でどれだけのものを提供できるが試行錯誤することになる。その反面、法人、エンタープライズ向けにやれば、このテクノロジーで何が出来るかという風に挑戦できる。

B2Bはつまらない?

私達にとっての問題はエンタープライズ系ソフトウェアがあまり楽しくなさそうだということでした。競争率は激しいし、ビジネスとして成り立たさせるのも難しい。エンタープライズ系ソフトウェアは、朝一番に「よし、エンタープライズ系ソフトウェアをつくってやるぞ!」とわくわくするような類のものではないというのが引っかかっていました。 その理由は簡単です。ソフトウェアをつくるプロセスはとてもスローで、セールスのプロセスもとてもスロー。カスタマーはテクノロジーを買うのにとても時間をかけます。企業にソフトウェアを売るのに数年かかることもざらにあるからです。 それは買ってもらうことだけに対してかかる年数であり、買ってもらえたらまたそこから数年かけてその企業向けのプロダクトを構築することになる。つまり多くの企業が、数年はそのテクノロジーなしでいるということなのです。それがとても大きな問題だと思い、そんなことはしたくないと思ったものです。 もちろんテクノロジー自体が複雑ですし、それを使いこなすのもなかなか大変です。なんでこのデザイナーは47個ものボタンをこのページに置いてしまったんだ!? なぜこんなに面倒でわかりにくいプロダクトなんだ!? と思うことはざらです。 これがなぜかというと、つくっている人が情熱を持って、つかう人達のことを考えてよいものをつくろうとしていないからです。 しかも更に面倒な問題は、ソフトウェアをどのようにして売ればよいのか考えなくてはならないことです。人を雇って、彼らに国内の企業を回ってもらい、彼らに会社の、またプロダクトの顔となって営業をしてもらう。これが法人向けソフトウェアの売り方だと私達は考えていましたので、本当につまらないと思っていました。 私達はそのやり方ではなく、インターネットの力を使って自分たちでセールスの営業もしていきたいと思いました。これが当時、法人向けビジネスをやることに一歩踏み切れない理由でした。

「絶対に成功出来ない」と言われていた

2007年に投資家達から「君たちは法人向けビジネスで成功することは出来ない」と言われました。皆20代前半で、誰もエンタープライズの経験がない、他の大手に潰されるのがオチだと。彼らが正しい点もありました。確かに経験不足の若者だけのチームでしたし、まだキャリアを築き始めて間もない。私の共同創業者は13歳に見えないこともなかったし。 (会場笑) どうせ投資しても、そのお金でディズニーランドに行って遊ぶんだろ? と思われても仕方がありませんでした。 (会場笑) それでも出来る限りやってみようと思いました。幸運なことに、私達と同じ位に若い投資家が私達に賭けてくれました。彼も私達と同じように、エンタープライズ系ソフトウェアビジネスが今後変わっていき、上手くやれるかもしれないと信じてくれました。 エンタープライズを狙うのであれば、既存のやり方とは違う新しいルールに乗っ取ってやっていくと決めました。ソフトウェアが複雑すぎるという現状をどのように変えていけばいいのか? セールスのプロセスがとても遅いという現状をどのように打破すべきか? ユーザー、顧客に直接働きかけるには? ユーザー・エクスペリエンスにフォーカスしたものをつくるには? これらエンタープライズの現状の様々な要因を変える、現状を打破できる新しいソフトウェア会社をつくろうと、8年前に決めました。これが私達が今の私達のビジネスにたどり着いた理由です。 ※続きは近日公開!

  
ビジネス現場の一個人、誰もがデータを意思決定に活用できる時代。人任せから脱却してみませんか?
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