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「正社員なら転勤は当たり前」は正しいか? 米国との比較で分かる、日本型雇用の問題点

「正社員なら転勤は当たり前」は正しいか? 米国との比較で分かる、日本型雇用の問題点

2017年9月19日、文禄堂高円寺店にて、書籍『下流予備軍』刊行記念のトークセッションが開催されました。登場したのは、著者で公認会計士の森井じゅん氏と、フリーアナウンサーの天明麻衣子氏。そして後半からは、商社からタレントへ転向した堀口ミイナ氏もゲストに迎えて、格差や女性の社会進出など、日本が抱える社会問題について、熱いトークを繰り広げました。単なる貧困とは異なる「下流予備軍」とは一体なにか? かつての一億総中流社会から変わりつつある、日本の「今」を読み解きます。

シリーズ
『下流予備軍』刊行記念トーク・セッション
2017年9月19日のログ
スピーカー
公認会計士/ファイナンシャルプランナー 森井じゅん 氏
フリーアナウンサー 天明麻衣子 氏
タレント 堀口ミイナ 氏

大企業にたまる同調圧力の膿

堀口ミイナ氏(以下、堀口) 私は、「ミイナちゃんは帰って好きなことをやって、それで元気でいられる子だからしょうがない、日中がんばってもらおう」みたいな。とにかく、そういうキャラを理解してもらってということにすべてをかけていたんですけど。やっぱりみんながそれをできるわけじゃないし。 天明麻衣子氏(以下、天明) そうですね。 堀口 私はハーフで、見た目もちょっと外国人ぽいというか、そういうやりやすさも多少あったんですけど。なかなかこの同調圧力が強い日本において。本にも書いてあったんですけれど。 天明 長時間労働による間接差別。 堀口 はい。これがまさに私の言いたかった。女性ってしかもそんなに長時間労働ってやりにくいじゃないですか。体力もないし毎日9時まで働けって言われたら。外資へ勤めてる友達なんかは「割とそんなの当たり前でしょ」って感じなんですけれど。 天明 深夜1時2時が基本なんで。9時に帰れたらめっちゃテンションが上がります。 堀口 ありえないと思います。 森井じゅん氏(以下、森井) でも私も外資の会計事務所に、大きいところにいたことがあって、そういった大きな会社のちょっと膿みたいなのが少しわかるんですけど。やはり海外と取引なんかをしている場合には、お昼頃会社に行って朝方タクシーで家に帰るみたいな形だったりもするんですよね。 天明 そうですね。シャワーだけ浴びてまたそのタクシーで戻るみたいな。 森井 そんな感じだったりもするので、会社に合わせて何かをしなければいけないっていうデフォルトが大きいですよね。自分の裁量で何かができるっていうのがほとんどないというのが、下っ端の特に下っ端の場合の現状なんだろうなと思います。

スーパーエリート並みの対応を求められる日本の正社員

天明 特に私が日本の企業で気になるのが転勤ってあるじゃないですか。正社員の総合職の人とかなると。やっぱりいつ転勤でどこに行くかわからないとなると、なかなか結婚とかそういう長期的なプランって描きづらくないですか? 森井 いや、それはまさにそう思っていて。例えばアメリカとかで転勤ってないわけじゃないんですよね。でも、あるのはスーパーエリートの一部で、その人たちはいわゆる日本の正社員的な「どこでも行きます、なんでもします、いつでも働きます」っていうような働き方をしてるんですが、それは一般的なことじゃないですね。 選ばれし者たちがすごい報酬を得てやることなんですよ。日本では当たり前に「ここに行きなさい転勤です」っていうのがまかり通っていて、転勤を断って会社が解雇した場合、その解雇を「正当です」って認めた判決もあるんです。 堀口 本当ですか? 森井 そうです。転勤を断るっていうことは会社の指示に従わないということで、それは解雇の理由にすらなるっていう事実がある。そういった中で、じゃあ転勤を断れるかっていうとまた違いますよね。 天明 そうですよね。 堀口 転勤を断って解雇になるのは、もはや違法なんじゃないですか? 森井 直接的な解雇ではないですけれども。 堀口 転勤も気になるし、あとは私の場合だと、毎日行く場所が変わってくるっていうのもわりと気になりました。私は別にそこまで気にしていませんでしたが人によっては「私は丸の内OLになったのに」みたいに思う人もいるのかもしれない。 天明 それが都心部周辺くらいだったらいいですけど、多摩とかだと結構遠いなあみたいな。 森井 そうですよね。相談するなかで、いきなり「三重県に行け」って言われた、でも、その家賃補助が出るのかというと出ない。「どうしたら良いの?」って話じゃないですか。 ある程度の補助を出すことは会社がしてくれたとしても、人生設計が狂ってしまうような転勤というのはちょっと今後、人材確保の面でも会社としてもやるのは難しくなってくるんだろうなと思うんですが。それを断れない側のこちらの労働者の事情もあるので。なかなか解決が難しいところでありますよね。 天明 そうですよね。友達でご主人が沖縄で奥さんが北海道に転勤になったっていう。これは偶然なのか本当に? みたいなこともあったりして。 堀口 どういった思惑があって? 天明 一応希望は出せたらしくて。それで、友達は「海のあるところならどこでもいい」って言ったら奈良になったらしくて。 森井 フフフフ(笑)。 天明 もう1人は「九州がいい」って言ったら仙台になった。 堀口 そんな、嫌がらせともとれるような人事はやめてほしいですよね。 天明 ねえ、そうですよね。 森井 それはちょっと経営者の方にも聞いたことがあるんですけれど、最初のうちは我慢をさせることが修行期間みたいな感覚があったりもするようで。 天明 正直に書いたら損をしたってパターンですよね、本当に。 森井 こちらとしては交渉力のない部分で決まってしまうっていうのは、ちょっと厳しいところではありますよね。

「空白」に求められる大義名分

天明 いざ転職を考えたとしても、やっぱり次の職場が決まる前に辞めるのってちょっとためらいません? 履歴書のところに空白はできたらどういうふうに受け止められるんだろうな? みたいな 森井 ほんと、それは私が言いたかったところで、空白期間っていうのがマイナスになるっていうのはどうなんだろう? 例えば今で言うと介護だったりとかいろいろな問題が出てきてますけれど、空白期間っていけないの? 私が就職最初にしたのはアメリカなので。アメリカの感覚から言うと、間が空いててそのときに そのときのことなんて別にたいしたことじゃなくて。 「旅行に行ってました」、「世界をちょっと見てきてました」でも良いし、「ボランティアしてました」とか「いろんなところでアルバイトをしてみました」とか。なんでもいいわけなんですよね、本来。 なぜ空白期間ができることにそんなにこだわるのか? 日本に帰ってきて会計士になる前から働いてはいるんですけど。その最初の就職の時に聞かれたのは「アメリカで働いていた。どうやって働いていましたか?」「正社員でしたか?」。 堀口 それ答えようがあるんですか? 森井 ないんですよ。だって、アメリカには正社員という言葉がないので。 天明 そこから説明しなければ。 森井 それから説明しなければいけない。子供を産んだブランクもあるので、ブランクがある。「このブランク何してましたか?」、「子供産んでおりました」みたいな。 堀口 よくそんな質問もできますよね。信じられないと思う。 森井 空白とか正社員というタイトルにこだわってしまうっていう今の採用活動っていうのはちょっと難しいなって。だって、これから介護ってもっと大きな問題になってきて少し職場を離れなければならないことって必ず出てくるんですよ。 介護だけじゃない。自分の体調の都合かもしれないし、会社を辞めることも出てくる。その中で、空白期間がそんなに問い詰められるものであれば、もうみなさん動けなくなっちゃいますよね。 天明 そうですね。だって、介護なんて育児と違っていつ終わりがくるのかとかわからないじゃないですか。そのときに辞めるとなると、もう本当に決死の覚悟で辞めないと。空白期間ができることを覚悟の上で辞めないといけないということになってしまう。 森井 そうなんですよね。今知り合いが就活をアレンジするような仕事をしていて。その中でブランクの空白期間をなんとかうまい言葉で埋めさせるらしいんですが。それもどうなのかなって。結局、採用側がどういう印象を持つかってことになってくるんですが、こういったものがマイナスになるような人事じゃなくなればいいなっていうのは、やはり願いですね。 天明 空白を作らないようにするっていうのは具体的にどうすればいいんでしょう? 森井 「これこれこういうことをしていました」って、うまく取り繕っていました。「何々をしました」というようなことを、本当か嘘かわからないけど、とにかく「空白ではない」、「ここに何かをしてました」って言う。「休憩してました」って言うのは空白になってしまうので。 天明 なしで。何か大義名分が。 森井 大義名分をつけないといけないっていう今の状況があるなと思います。 堀口 なんだか、でも馬鹿らしいですよね、本当に。 森井 そうなんですよね。

  
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