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自宅でひっそりと亡くなった26歳の熱血教師 過労死を招いたのは「知らず知らずの無理」

自宅でひっそりと亡くなった26歳の熱血教師 過労死を招いたのは「知らず知らずの無理」

2017年8月18日、教員の長時間労働を考えるフォーラム「保護者の立場から考える!教員の長時間労働」が開催されました。仕事量が多すぎるため、教員の過半数が過労死ラインを越え、メンタル不全に陥っている現在の学校教育。教育や働き方のエキスパートが集い、その知見を語りました。

シリーズ
保護者の立場から考える! 教員の長時間労働
2017年8月18日のログ
スピーカー
学校マネジメントコンサルタント/文部科学省「学校業務改善アドバイザー 妹尾昌俊 氏

PTA副会長と学校のコンサル、2足のわらじ

司会者 学校マネジメントコンサルタント、文部科学省の学校業務改善アドバイザーの妹尾様より『学校の長時間労働、なにが問題か? どうするか?』のテーマでご講演をいただきます。よろしくお願いします。 IMG_2994 (2) 妹尾昌俊氏(以下、妹尾) みなさん、こんにちは。もうだいぶお腹いっぱいかもしれませんけど(笑)。もうしばらくお付き合いいただければと思います。妹尾と申します。今日はどうぞよろしくお願いします。 今日は保護者の立場からということで、僕も、4人子どもがおりまして。中1と小6と小3と保育園の年長でございます。毎朝保育園になかなか行きたがらないので連れて行くのが大変でしてですね。いろいろ苦労しております。 小学校のPTA副会長をやっています。妻からは「あんた学校のことでいろいろ偉そうなこと言うてるらしいやん。ほな自分の学校のことなんとかしなさい」というふうに言われてまして(笑)。 僕はこの問題は本当に当事者になります。僕は教員ではなくてよそ者なんですけれども、保護者の立場でもありますし、こういったいろんなアドバイザーの肩書きもいただいてますけれども。 ほぼ毎日のように学校を訪問したりとか、教育委員会の方とディスカッションをしております。 僕は学校にとってはアウトサイダーなんですけどインサイダー情報をいっぱい持っています(笑)。そんな感じで日々暮らしております。昨日まで夏休みで子どもと遊んでおったんですけれども。 ちょっとした本を書いておりますので、『変わる学校、変わらない学校』という本と、あともうすぐ2週間から3週間したらこの2冊出る予定ですので。

こういうふうに宣伝するとAmazonのランキングがググっと上がりますので。ぜひみなさんよろしくお願いします。『「先生が忙しすぎる」をあきらめない』という本を書いております。

不慣れな競技の顧問になった先生の苦労

ここから本題です。最初なにから話そうかなと思うんですが。 IMG_3009 真っ黒な写真ですけれども。これは何の写真でしょうか? ある中学校のまさにこういう感じの体育館の風景なんですけれども。これは何の写真でしょうかと言われても、真っ黒でわかるわけないですよね。何だと思いますか? 何か思いつくことありますでしょうか? たぶんみなさんの思い浮かんでいることは外れると思うんですけど。これ実は真っ黒な中学校の体育館の中で1人先生が写っているんですね。学校の先生が1人でバスケットの練習をしている風景です。 この先生は実は新人の先生なんですけれども、バスケットを経験していないということで、でも顧問になったということで1人練習をしていました。でも1人なので電気付けるのがもったいないと真っ暗な中で練習してました。撮らせてもらっていいですかって聞いて写真を撮りました。 これは1つの象徴している風景でしてね。学校の先生は本当に一生懸命で、ある意味、先生たちの献身性に支えられているというか非常にそういうところがある面がございます。ただこういう風景、僕も知らなかったですし、おそらく保護者の方も、下手すると教員の同僚すら知らないという感じじゃないかなと思います。 保護者の立場から学校の長時間労働を考える意味は、ちょっとずつでかまいませんので、「先生たちって、がんばってる人もいるんやな」とか「一生懸命やな」と、まずは知っていくという相互理解からと思いまして、今日はその話から始めさせていただきました。 これは特異な例ではなくてけっこう当てはまると思います。僕は全国を回ってますけどあんまり都会とか田舎とか変わらずそうだなと思います。 実際そういうデータが出てます。これはあとでご覧いただければと思いますけれども。非常にたくさんの先生方が長時間労働をしています。 みなさん親の立場あるいは企業人の立場あれば、ご自身が1週間に何時間働いているか見ていただいて、どれくらい自分はいったんだと。小学校中学校の先生それぞれありますが、あとで見ていただければと思います。

どこよりもブラックな学校の労働環境

IMG_3016 (スライドを指して)それからこれはちょっと表が小さいんですけどね。労働力調査という総務省の調査で、各業界で、もちろんパートタイムの方もいらっしゃいますけど、常勤の週35時間以上働いている人を集計しております。私の方で再集計したんです。 週35時間以上働いている中で、週60時間以上。週60時間というのは過労死ラインの1つの目安ですね。 その過労死ライン以上の人がどれくらいいるかというのを出したんですけど、各業界見ていただければわかる通り、学校という業界は残念ながらどこよりもブラックだということになりまして。これはよく教育委員会とか校長会とかでもこの話をするんです。 ワタミの問題とかいろいろ話題になりました飲食業界、あるいは佐川とかヤマトとかの運輸業・流通業。こういった業界は確かに企業の中では忙しいんですけども、そういう業界よりも教育業界が1番やばいということになりますね。 実際この個別のデータ、これはお手元にも資料がありますけどちょっと小さいのでわかりづらいと思いますけど。ある名古屋市の中学校の時間外勤務の実態です。 例えばですね、27番3年C組の先生、国語の担当でソフトテニス部の顧問で4月の残業時間205時間。次が221、6月が171、180、8月のこの時期になってやっと65。それでも65時間なんです。月にこれだけ残業しています。 秋口にまた237というとんでもない数字になりますけどね。これまたあとで見ておいてください。非常にたくさんの方が長時間労働であるということであります。 先ほどのプレゼンでもありました電通の問題はみなさんよくご存知ですね。高橋まつりさんがどれくらい働いていたかご存知の方いらっしゃいますか? 知ってますか? 残業時間。労基署が認定したのが月105時間ですね。ICカードで弁護士が推定しているのが135時間くらい。 見ていただければわかる通り、この中学校、130時間超えなんてザラにいますよね。もちろん比較の問題じゃなくて、労働の質の問題もあるんですけれども。非常にこの状況は、はっきり言うとひどい。 あんまり言い過ぎると先生のなり手がどんどん減っちゃいますので、いけないんですけども。そういうことも含めて、お子さんをもつ保護者目線あるいは企業、NPOの方の目線としても見ておいていただきたいなと思います。

過労で死亡したある教師のエピソード

じゃあ、多忙化はどんな影響があるのか。まぁ具体的な話をしたほうがわかりやすいですね。堺市の前田先生という方は26歳の若さで自宅のアパートで亡くなってしまったんですね。 IMG_3032 この写真を見ていただくと、これはバレー部の生徒がクラブノートといって振り返りをするんです。 赤字の部分は前田先生が手書きでコメントを仕返してあげている部分ですね。こういう先生いらっしゃるでしょ? けっこう丁寧に。小学校なんかこういうのするでしょ? 日誌に返事書いてくれる先生いらっしゃいますね。あるいは学級通信を毎週発行する。非常に熱心なタイプですけれども。 こういう方はたぶん職場でも「熱心にがんばってるな」「2年目なのにがんばってるな」って褒められてたと思います。保護者はどうですか? 熱心に部活指導してくれる前田先生に「すごいな」「感謝してます」って言ってたと思うんですよね。たぶんね。 あんまりクレーマーとかそんな人はいなかったと思いますよ。みんな褒めてたんですけどね、亡くなってしまったらもう終わりですからね。 僕が言いたいことの1つは、保護者とか同僚とか、あるいは教育委員会が良かれと思ってこういう先生に「いいな、いいな」って言ってて、知らず知らずのうちに無理させてしまってることがあるんですね。 だからこういうところは注意していただければと思います。働いている方も良かれと思って倒れてしまってはダメなんですね。注意していただければと思います。 あるいは51歳の山口聡美先生なんかはですね。産休の影響などで残業が重なって、校内の研究会中に倒れました。これは石川の話ですけれども、みなさん東京近辺の方が多いかもしれませんが、都会だと今急速に若手で働き方が変わってきている。どこにでもある話ですよね。産休育休が悪いと言ってるわけではまったくありませんが。 こうやって無理をしている先生方がいらっしゃるという、こういうことに対して保護者の立場からここまでケアすることはなかなか難しいと思いますし、内情はわからないので難しいと思いますが、場合によってはこういう人もいるかもしれない目線で学校を見てやっていただきたいなと思いまして、ご紹介しました。 あるいは、倒れるだけじゃないんですよね。先生たちヘトヘトだと言ってますし、僕の好きな言葉で、1番上ですけど、「長時間労働のもたらしている最大の弊害は能力開発の機会喪失である」。先生たちの自己研鑽の機会が失われています。こういうことも心配になりますね。こういうことも考えていただければと思います。

保護者や地域が一体となって先生のサポートを

ほな、どうしていこうかという話ですよね。これはなかなか、川島さんも僕もいろいろ学校を訪問してますけど、残念ながら特効薬がある世界ではありません。みなさんそれぞれにできるところを探していくということですね。 これは生重さんからも話がありましたけど、本当に地域の人とかと一緒になって教育活動を盛り上げようとね。学習指導要領に求められているようなところで、NPOがコーディネートして僕も関わってやっていますけど。残念ながら手間かかるんですよ。時間かかるんですね。 これを教員がやるとまた手間になりますので。みなさんもし企業の立場、NPOの立場、保護者の立場からなにか手伝えることがあればどんどん手伝っていただけると嬉しいですね。 あるいはですね、先生たちが何に時間を使っているかというと、給食、掃除、部活動、成績処理、こういったものはけっこう時間かかってますね。こういうことも削減できるかもしれないです。 例えば、丸つけとかも生徒もできると思いますけど、一部は保護者のみなさんがやるかもしれないですね。そういうことも考えていただければと思いますね。 問題はですね、保護者のみなさんの視点からすると、学校がなにに困ってるかわからりませんよね? 学校の先生というのはそういう商売です。4月になったら教壇に立って偉そうにしゃべらなあかん商売ですので。なかなか弱みを見せづらいんですよ。 なので、聞いてあげてください。「先生、このごろ困ってることないですか?」って。PTAでも保護者会でもなんでもいいですよ。コミュニティスクールとかあれば、そういう委員になっていただくのもいいですけど。 どういう場でもいいので、「何か困ってることないですか?」とか「何かできることあったら言ってくださいね」と。まずはそういうことからやっていかないとと思ったりしてますね。 地域の方とか保護者の方に手伝ってもらえるとすごく助かることになりますので。長時間労働の問題は看過できないと言いますか、みなさんで、教員もがんばるし、教育委員会もがんばるし、文科省もがんばるんですけどね。 それだけだったらあかん。家庭、地域も含めてぜひ盛り上げていきたいと思っておりますので、今後もみなさん関心を持っていただけるとありがたいなと思っています。今日はどうもありがとうございます。 (会場拍手)

  
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