リクルート史上最年少で執行役になった男

田中研之輔氏(以下、田中):今日は、Kaizen Platform、スドケンさんをお呼びしました。拍手。

(会場拍手)

田中:後でご自身からご紹介をしてもらうということなんですけども、スドケンさんはもともと、リクルート出身。みんなリクルートに憧れるじゃないですか。

須藤憲司氏(以下、須藤):(笑)。

田中:実は僕の父親もリクルート出身で、勝手に親近感を覚えていて。親族の、父親とか近いところでリクルートに勤めてるってどういう経験かって、思い浮かべやすいじゃないですか。

どういうことかっていうと、自分が小学生の時に「働くってどういうこと?」という原体験を親父からだいたい学んだので。うちは名古屋ですけど、バリバリしてた時で、夜中に帰ってきて朝早く出勤していました。それぐらい企業戦士として働いてて。リクルートの人は、楽しく働いてたイメージがあって。それでも、「大変なんだな」っていうのがあって。

そのリクルートっていう会社で、うちも今何人か働いてるんですけど、史上最年少の執行役になった、っていう方で。後になってからですけど、その頃から追っかけてて。

スドケンさんにお会いしたのは、スドケンさんがリクルートをお辞めになって、独立されて起業されたKaizen Platformという会社を建てられた時に、ご友人から紹介してもらってお会いしました。Kaizen Platformはアメリカに登記したんですよね?

須藤:はい。

田中:そのへんがちょっとおもしろい話で。だいたい日本に会社作ろうとするじゃないですか。そうじゃなくて、アメリカに直接登記されて。今、何年目になるんですか?

須藤:今、4年経って5年目になります。

田中:5年目。もう会社には今、何人ぐらい?

須藤:今、100人ちょっとですね、はい。

ITを駆使し、受付をよりスムーズに

田中:100人ぐらいですね。そのまだ成長の段階のところで、みなさんと話を聞きたいなと。今日はできるだけみんなとの質問をスドケンさんが答えていって、そこからちょっと議論を作っていきたいと思ってるので。一応僕のほうで流れはあるんだけど、自由にいろんなことを聞きたいなと思ってます。あと、特別ゲストで……(笑)。

橋本真里子氏(以下、橋本):そんな……(笑)。

須藤:次回なんでしょ?(笑)。

(会場笑)

田中:スドケンさんの後輩ってことで、スッと来られることに。橋本真里子さん。拍手。

(会場拍手)

田中:橋本さんはホヤホヤの起業家で。もともとはGMO系の受付を含め、10年ぐらいやってたんですか?

橋本:11年です。

田中:11年。

橋本:はい。ミクシィとか、USENとか、IT系の企業の受付を中心に、11年で5社ほどやってきました。

田中:橋本さんが受付にいると、みなさんがお会いしたいからって行くじゃないですか。社長が自分の会社から出ていくじゃん。でも、橋本さんは現場で疑問を感じていて、ITを使って受付がよりスムーズに、っていうことで起業をされて。ディライテッドというところで今、会社の社長をやってます。

橋本:はい。

田中:じゃあちょっと、オープニングで須藤憲司さんからなにか一言。

須藤:はい(笑)。

田中:なにか自己紹介的な。

須藤:まず、設定がぜんぜんわかんなかったので。だんだんつかんできてますけど、須藤と申します。

田中:(笑)。

須藤:今ご紹介があった通り、リクルートっていう会社に、大学を卒業してそのまま就職しまして。新卒で入って、10年間勤めたんですけど。

最初の3年間は、僕はマーケティングの仕事をしてまして。リクルートは当時は雑誌、『ゼクシィ』とかわかりますかね、結婚する時に読んだりする雑誌。あと『じゃらん』とか。ああいう雑誌のマーケティングを3年間やってまして、その後、新規事業を3年間やってました。

会議と研修の日々

須藤:その後2年間は、いわゆるマネジメントみたいな仕事をしてまして。要は、新規事業がけっこう大きくなってきて、事業部だったので、そこの事業の中間管理職を、課長とか部長をやってました。

最後の2年間は役員になりまして、リクルートが上場するっていうので、一応その……ブラックじゃないように、どんな人事制度にしていったら夢があるかっていう制度設計をやりながら、会社を上場に耐えうるようにルールをつくったり、戦略をつくったりとか。あとは、今はホールディングスというのになってるので、会社を分割していったんですね。事業部、部署を会社にしていくっていう、そんなことを執行役員としてやってました。

大企業の役員ってどういう仕事をするかって、きっと興味があると思うんですけど、だいたい朝から晩まで会議なんですよ。自分の時間とかなくて、一応秘書がいるんで、みんな時間を取りにくるんですね。「須藤さんに相談したい」とか、「投資の決済をやってくれ」とか。

「28億円」って書かれてて、「本当に28億円かかるの? これ」っていうのを、いろいろ聞いたりさばいたりしながら。だから、毎週50本ぐらいの会議があるんですよね。1日10本ぐらい。それで、だいたい会食とか接待とかも行かなきゃいけないんで、飲みに行って、自分の仕事はその後なんですよね。もう、毎週そんな感じで。

あと、土日も研修があるんですよ。「あなたは将来えらくなる可能性があるから、ちゃんとそういうことを勉強してくださいね」っていう研修が、だいたい毎週土日に入ってるんですよ。

田中:他社さんと一緒みたいなやつ?

須藤:いろいろあります。他社さんと一緒の研修もあるし、会社の中だけの、いわゆる役員・幹部候補研修です。それがだいたい中間管理職になった時からありがたくも目を付けられて、4年間ぐらいずっとやってたんです。それで、いろいろ考えた結果、「これはもうまずいな、おっさんみたいな仕事してるな。会議室でずっと仕事してるのイヤだな」と思って、まあ、起業しまして。タナケンさん……タナケンさんとか言っていい?

田中:どうぞどうぞ。

須藤:田中教授とか(笑)。

(会場笑)

田中:いやいや(笑)。

須藤:田中先生とか。

田中:タナケンで大丈夫です。ログミーは、全部タナケンでやってますので(笑)。

スドケンとタナケンの出会い

須藤:そうですか(笑)。タナケンさんと最初に会ったのは、ボクシングの試合ですね。

田中:そうですね!

須藤:ボクシングの試合を見に行って、隣で超うるさい人がいるなと思ったら、タナケンさんだったんで(笑)。

(会場笑)

田中:小原さんのね。

須藤:そうそう。

田中:この前、世界戦で負けちゃったけど。村田さんも今、ちょっと判定でもめてるんだ。あれ、東洋(大学)の先輩後輩なんですよね。

須藤:そう、そうなんですよ(笑)。「めっちゃうるせーな」って思ったら、田中先生で。

田中:タナケンで大丈夫(笑)。

須藤:タナケンさんで。僕はアメリカで起業したんで、アメリカに行く時の飛行機で、たまたま知り合い4、5人と同じ便だったんですよね。

田中:え、あれ、ボクシングの後でしたっけ?

須藤:あれ後ですよ。

田中:たぶんそう。後です、後。

須藤:僕らはアメリカで起業したんだけど、ボストンマラソンでテロがあった時で、ビザが取れなくて。アメリカのビザを取るのが大変になるから、日本でも登記しようと。アメリカで登記したんだけど、速攻で日本でも登記をして。

それで、日本から事業を作っていって、1年ぐらいかな。1年ちょっと経った時からアメリカにオフィスを構えて、ビザを取って、みたいなことをやってまして。その時に向かう飛行機で遭遇しました。

田中:(笑)。

須藤:それで仲良くなったんですよね(笑)。

田中:そうですね。これはなんか、この出会いには意味があるって勝手に思いまして。それで、アメリカに最初に立ち上げられた素敵なオフィスの、最初に入り込んだ日本人ですからね(笑)。

(会場笑)

須藤:「わー、いいですねえ」とか言って、オフィスに寝転がったりして(笑)。

(会場笑)

田中:壁になんか書こうとしたり、いきなり(笑)。

須藤:そう。壁に書こうとして、落書きをし始めたり。「とんでもない訪問者が現れた」と、アメリカのスタッフが動揺する、っていう(笑)。

(会場笑)

須藤:「大丈夫か? あいつ」って(笑)。そういう感じでした。

田中:ブレずにやってる、っていうことですね。

須藤:はい。

(会場笑)

リクルート=何それ?

田中:時間が限られてるので、ちょっと、みんなからもちょこちょこスドケンさんに。スドケンさん、どんなパンチが来ても返せるんで。

須藤:(笑)。

田中:どんな質問でも受け止めてくれるので、なんか聞きたいことでいいよ、自由にいきましょう。はい、いいよ。

質問者1:リクルートに入ったきっかけっていうか、リクルートを選んだきっかけって?

須藤:就職活動とかするじゃないですか。あれ、みなさんはまだ2年生だから、これから? 来年?

田中:彼女は3年生。3年も混ざってます。

須藤:あのですね、友達が「おまえ、リクルートに向いてるよ」って言ってくれて。そもそも僕、リクルートを知らなかったんですよ。「何それ?」みたいな。「とりあえず、じゃあ、行ってみようかな」って思ったのがきっかけで(笑)。

田中:今のは、嘘っぽくないですかね?

質問者1:(笑)。

田中:何年まで知らなかったんですか?

須藤:リクルートっていう会社があることを僕は知らなくて(笑)。

田中:いつまで?

須藤:就職活動してても知らなかったです(笑)。

田中:えー!

須藤:あ、リクナビは知ってますよ。「リクナビを作ってるからリクルートなんだ」、そんな感じ。

田中:就活はぜんぜんそういうこと知らずに始まっちゃった、ってことですか?

須藤:始まっちゃってましたね。

田中:スドケンさんの時って、4年生の時でしょ。4年の夏ですか? 時期的に。3年じゃない?

須藤:え、3年でしたよ。3年。

田中:3年か。じゃあ、時期的には同じか。3年の後半?

須藤:そうそう。僕、会社のことをよく知らないから、とりあえず全部受けようと思って、知ってる会社は全部受けようっていう派でしたね。

田中:リクルートとどこを受けたか、聞きたいですね。

須藤:え、受けた会社? いっぱいありますよ。

田中:あれがありましたよね。インタビューで……バンダイか。

須藤:バンダイも受けましたね。

田中:バンダイがけっこう良かった、って。

須藤:あ、そうですね。バンダイと、あと何だっけ。サイバーエージェントも受けたし、商社とか、外資系コンサル、銀行……。銀行とかヤバかったですね(笑)。

田中:ヤバいってどういうこと?(笑)。

(会場笑)

須藤:いや、なんか、「明日、白いYシャツを着てきて」って言われて、「受けるのやめよう」って思って(笑)。

田中:(笑)。

須藤:「なんで白いYシャツを着なきゃいけねーんだ」みたいな(笑)。

田中:あー、そこからイヤだ?

須藤:いや、なんか「合わないな」って。

田中:リクルートしかダメかもですね。

須藤:いやいや、そんなこと言わないでくださいよ、社会不適合者みたいな(笑)。

(会場笑)

面接だけで判断するな!

田中:だって、面接官に「なんでそんなこと聞くの?」とか言っちゃうタイプって書いてあったけど。

須藤:そうそう、怒って帰ったりとかしましたね。ブチ切れて帰るとか。

田中:え?

須藤:帰りました。すごい有名なゲームの会社があって、たぶん採る気がなかったんだと思う。わざと意地悪な質問をしたり。なんだっけな、「英語はできるの?」って、5人並ばされて聞かれるんですよね。まあ、だいたい「英検何級です」とかなんか言うじゃないですか。

「会計の知識はあるの?」って聞かれて。でも大したことなかったんですよ、僕も含めて。「今時、英語も会計もわからない奴らは使い物にならねえ」みたいなことを、人事のおっさんが言うから、「じゃあ、できるんですか?」って、「どれぐらいできるんですか? 今英語でやりましょうよ」って全然英語喋れないのに(笑)。そうしたら、「なんだ、君は」って。

(会場笑)

須藤:「失礼だろ」って言うから、「いや、おまえも失礼だろ」って言って。

(会場笑)

須藤:「面接して、まだわかんねーのに、使い物にならないとか言ってんじゃねーよ」って言って帰っちゃったんです。

田中:えー! 「おまえ」と言ったんですか? 「おまえ」は言わないか。

須藤:言った、言った。

田中:うわ、怖いわ!

(会場笑)

失礼なことは我慢するべきか?

須藤:だって、失礼じゃないですか。面接に来て、サンキューぐらい言えよと思って(笑)。これから面接とかするから、みんなもたぶん思ったほうがいいと思うんですけど、結局面接って、する側もされてるし、されてる側もしてるから。会社を面接してるでしょ。

だから、「この会社、イヤな会社だな」って思ったんですよ。本当に採る気があってそれを言ってるんだったらいいんだけど、そういう感じがしなかった。たぶん、その年は採用ゼロとかだったんだよね。不景気だったし。

田中:採れないから絞ってたんだな。

須藤:そうそう。そういう意味もあったんだと思う。だったら呼ぶなと思いませんか?

田中:うん。

須藤:っていうのもあって、イラッとして。

田中:正しいですね。でも、なかなかそうなれないよね。たぶん今聞いてるかぎり、みんなはすごい下から言ってきますね。「面接、本当よろしくお願いします」とか。それで、向こうが座ってるんだけど、すごい上からくる。

経験があるから、もちろんそこで働いてる方だから、それなりの知識があるんだけど、年配の人ってそれを基準にものすごいえらぶるよね。っていう面接にけっこう遭ってるかな、みんな。それはやっぱりおかしい?

須藤:身近な大人って、あんまり大学生だと近くにいないじゃないですか。先生とか、親とか。でも、所詮たかが10年ぐらい先に生まれたとか、20年ぐらい先に生まれただけじゃないですか。

田中:これ、出ちゃって大丈夫?(笑)。

須藤:え?

田中:出ちゃって大丈夫ですか? ログミー、大丈夫?(笑)。

須藤:だって、別に……。いや、もちろん敬ったほうがいいと思うんですよ、ベースとしてね。でも、向こうが失礼なことをしてきた時に、「なんで失礼なことを我慢しないといけないのか?」って、僕はそう思ったから、それはちょっと怒りましたよね。

田中:すごい大事な、そういうの忘れなくていいよね、そういう感情を。

須藤:そうそう。