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パーティーグッズが兵士の命を救う? 「ひもスプレー」の便利な活用法

パーティーグッズが兵士の命を救う? 「ひもスプレー」の便利な活用法

「ひもスプレー」をご存知でしょうか? 今ではあまり見ることもないかもしれませんが、カラフルな糸が噴射されるスプレーで、「いたずらスプレー」とも呼ばれ、パーティーグッズとして人気を博しました。そのひもスプレーが、いたずらではなく戦場の兵士の命を守ったり、断熱材として使われたりと、各方面で大活躍しているのです。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、ひもスプレーのさまざまな実際の活用法について紹介します。

シリーズ
SciShow
2017年1月12日のログ
スピーカー
Michael Aranda(マイケル・アランダ) 氏
参照動画
How Silly String Saves Lives

ひもスプレーが命を救う?

マイケル・アランダ氏 モコモコの泡っていいですよね。シェービングクリームからラテアートまで、モコモコした泡はいたるところで役立っています。 Image01 こうしたモコモコした泡を表す英語の「フォーム」という単語は、気泡を含んだ液体や固体を意味します。子供の頃、牛乳に息を吹き込んでブクブクしたんじゃないですか? 気泡を含んだフォームは低反発マットレスなどいろいろ形を変えます。空気を含んでいる軽くて便利な素材なのでたくさんの用途に用いられます。 その中にはいずれ命を救うかもしれないものがあります。ひもスプレーを取り上げてみましょう。 Image04 ひもスプレーはイタズラやパーティで盛り上がるのに便利なだけではなく、スプレー缶の中で起きている化学反応がとても重要です。吹き付ける紐状のフォームは、プラスチック分子が鎖状に繋がったアクリル樹脂でできています。 ひもスプレーはもともと、プレキシグラスとしても知られるアクリル樹脂、ポリイソブチルメタクリートが使われていました。この樹脂は他の化学物質と混ぜ合わせることで、色付け、粘度、強度を加えることができます。そして高圧ガスと組み合わせることで、ノズルのボタンを押せば缶から噴射できるのです。 ボタンを押すと缶の圧力が下がり、圧縮されて液化していた物質が気体に変わって紐状になって吹き出してきます。 1970年にはクロロフルオロカーボンの仕様が禁止されていなかったので、ひもスプレーはオゾン層を破壊するフロン12が高圧ガスとして使われていました。現在は類似品であるハイドロフルオロカーボンが使われていますが、オゾン層を破壊しない代わりに温室効果の影響が強いことが懸念されています。 缶の中身が混ぜ合わされて吹き出ると界面活性剤のおかげで紐状に形成されます。界面活性剤は一般家庭のいろいろな製品に使われている物質です。親水性という水になじみやすい特性と、親油性という油や空気になじみやすい特性を併せ持っています。 ひもスプレーの内容物が空気中に吹き出ると、ソルビタントリオレエートなどの界面活性剤が内側の気泡をそのまま固定し、ふわふわした形に固めるのです。

ひもスプレーでトラップを見破る

吹き付けまくって騒ぐのは子供にとって楽しいですが、この軽いフォームは米軍の安全を守るため、爆弾のトラップワイヤーを検知するためにも使われています。 Image05 何もない部屋にひもスプレーを吹き付けてそのまま地面に落ちればその部屋は安全です。 Image06 しかしトラップワイヤーなどの罠が仕掛けられていれば、フォームは罠を起動させること無くワイヤーに引っかかります。 Image07 他の活用法として、吹付けウレタンフォーム(SPF)と呼ばれる断熱材もあります。 Image08 缶タイプで使えるものもあり、白や黄色っぽいモコモコを建築中の家やガレージで見たことがあるかもしれません。断熱効果や気密性を高めるために用いられています。 このフォームを作るために、2種類の物質が同時に混ぜ合わされて吹き付けられています。 1つはサイドAと呼ばれて、SPFの名前の由来にもなった、ポリウレタンの原料となる化学成分を含有しています。例えばイソシアネートという有機化合物は反応性が高い物質で、コーティング、接着剤、フォームなどに幅広く使われています。 サイドBはポリオールと呼ばれる別の化学成分で、ヒドロキシル官能基をたくさん含んでいます。サイドBには、耐火性物質、反応速度を上げる触媒、フォームを広げて厚みを持たせたり固くしたりする膨張剤など、いろいろな物質を使うことができます。 サイドAとBが混ぜ合わされてポリエチレンポリマーとガスが噴出し、吹き付けた場所で固まってしっかりしたフォームを形成します。ガスはフォームの中で気泡となってかなりの断熱効果を生み出し、その結果、壁や屋根に吹き付けることで断熱材としてや、隙間を埋める効果があるのです。雨風にも強く、光熱費の節約にもなっていいことずくめですね。

近未来的な金属にも使われる

最後に近未来的な発泡金属を紹介しましょう。 Image09 アルミニウムのような固形の金属に気泡や穴が空いています。 作り方には2種類あります。 1つは、窒素やアルゴンガスを溶かした金属に注入することで、固まった時に金属を膨らませたり、さらに硬くできるのです。 もう1つは、水素化チタンや炭酸カルシウムといった膨張剤を溶かした金属と混ぜ合わせるやりかたです。これらの物質は熱せられると分解して気泡を作ります。 発泡金属は耐腐食性、強度、電気や熱の伝導性の面で優れた母材でしかも軽いのです。そのため多くの用途に使えます。 例えば自動車部品を発泡金属で作れば軽量化でき、事故の際の衝撃を吸収して乗っている人を守れます。動物の義手や義足を軽くするためにも使われています。 さらに人口骨を発泡金属で作り、体内に埋め込んでも拒絶反応が起こらないようにする研究も進められています。ほかにもさらに硬い金属と発泡金属を組み合わせた防弾チョッキも研究されています。 フォームはパーティのひもスプレーだけではありません。命も守ってくれるのです。

  

SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

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