議論を整理する時に有効な質問の仕方

前田鎌利氏:ファシリテーターは質問力が大事なんですが、(議論を)整理する時に有効な質問をざっと並べてみました。整理する時に、よく途中で脱線しがちですので、脱線したり話が発散しそうになったら、「私たちが目指すゴールって、実際何なんだったんでしょうか?」と引き戻したり。

「この中で一番効果が出そうなものは、どれだと思いますか?」というふうに絞り込んでいくのもありますね。あと、「例えば○○を仮に置いてみたら、みなさんはどう思いますか?」という質問もすごく有効です。

僕はよく、視座をちょっと上げてもらって、みんなの意見を整理していくこともあります。「みなさんがもし部長さんだったとして、これをどう思いますか?」というような話をね。

そして4番目です。「あなた自身、本当にこれをやってみたいと思いますか?」。これは当事者意識を促すにはすごくいい質問です。結果、最終的には実行者が自分だったりするので、「本当に自分がこれをやり切れるかな?」というのを確認する意味でも聞いたりします。

ファシリテーターは管理職やオーナーがやらないほうがいい

あとはやはり、上位職の方が会議に出て、いろいろアイデアを言ってくれる時、ちょっと指示のように聞こえちゃうんですよね。そういう時、ファシリテーターが別でちゃんと立っていると、「すみません、部長。これは指示ですか? それともあくまで参考ですか?」と聞けるんですね。

それで(部長が)「これはあくまで僕の一意見だから、これで決めじゃなくて参考ね」というふうに言ってくれると、その後も議論や意見は出やすくなります。

なので、ファシリテーターは管理職やオーナーがやらないほうがいいんですよ。そうすると、仕切りは早いので会議も早く終わるんですけども、結果みんなの意見が出なかったり、自分が「これをやりたい」とある程度決まっているから、他の意見を排除するようなことが出てくるので、別の第三者にやっていただけるといいと思います。

あとは「別の観点から何か意見はありますか?」と、整理する上でも抜け漏れはないかとか。先ほど出たifクエスチョンや「本当にやりたいことって何でしょうね?」といった、本質にぐいっと触れるような感じでお話しするといいと思います。

僕はよく、わざと反対意見を述べるようにしています。これは海外だと「悪魔の代弁者」と呼ばれてよくやるんですけれども。ファシリテーターという役割を演じられるから、やはりこういった反対意見も言いやすいんですよね。「あえて言いますけれども」みたいな。これが意見を出し合う当事者だと対立関係になるので、ファシリテーターとしてあえて反対意見を述べてみるのもお勧めです。

意見をまとめる時こそ、ファシリテーターの腕の見せどころ

さあ、そして最後が「まとめ」ですよね。実はこの「まとめ」がけっこう難しいんですよ。多数決は使いやすいんですけれども、それだと当然、少数意見が埋もれちゃいますよね。みんなの合意形成で納得感はあるんですけども、「なんかとんがっているな。やってみたいな」というものが埋没しちゃう。

もう1つ、大岡裁きというものがあります。これはロジカルに合意形成を図っていくので、ファシリテーターの腕に懸かってくるんですね。ベテランのファシリテーターはうまくまとめるんですよ。ただ、折衷案になっちゃうので、これも当然とんがったものは出てこないんです。

要は使い分けが大事。それと「最後の手段」と書いてあるものを使う前の段階で、ある程度合意形成を図りながら進めていったほうがうまくいきます。

会議は意思決定する場ですから、(まとめは)一番合意形成を図らなきゃいけないところで、ここで活躍しなきゃいけないのがファシリテーターです。合意形成は何をするかと言うと、みんなにアイデアを出してもらう、意見を出してもらう。それを整理して、最後に集約する。この集約作業が合意形成なんですけど。

それぞれのプロセスでファシリテーターが何をしているかと言うと、質問なんですよね。とにかく何かしらの質問を投げかけることによって、最後の合意形成の集約を図るのがファシリテーターのお仕事というわけです。

例えば合意形成のプロセスをちょっと見ていくと、まず解決したい課題があるからみんなに集まってもらう。もう1回、この課題について質問してみました。みんながその課題感に対して、「そうそう、それが課題だよね」と思っていてくれれば、合意形成できるわけでしょう?

でも「いやいや、そうじゃないんじゃないですか」と、(課題の認識自体が)未合意の状態になっていると、そこから議論しても、そもそもの根っこの課題感が違うから合意形成に至らないパターンが多いんです。

なので、あらためて質問することによって、課題の合意形成ができてきます。これがしっかりできていると、解決策に向かってコンセンサスが得られやすくなります。

全員の合意を得るための「質問」を考える

例えば、リモート会議が多くて残業が増えたということで、質問をします。「リモート会議が多いのが残業の原因ですか?」と。「そうです。(みんな)合意です」と言うと、「じゃあとにかくリモート会議の回数を減らしましょう」ということがディスカッションの内容になってくると思うんですね。

でも、「実際どうですか?」と聞いた時に、2人が「リモート会議が増えちゃったから残業が増えたんです」と言っていて、残りの2人は「いや、そうじゃないんだよね」と言うと、どこまでいっても合意形成が図れないんですよね。そもそも課題感が違うから。

ここでまた、「わかりました。じゃあリモート会議の効率はいいですか?」と聞きます。「いや、悪いです」と言われたら、「じゃあ効率化を図るという課題解決を今からやりましょう」と。

こういうふうにしていくと、結果的に「残業を減らす」ために「効率化を図るべきだ」という議論に特化されていくから、その後の合意形成も図りやすくなります。

ファシリテーターの方がどういう質問をして合意形成を試みていくかが大事なポイントになってきます。ここを押さえておけば、ファシリテーションをやる時はそんなに怖くはないんですけど。

まずやっていきたいのは、全員の合意をどうやって得ていくか。そのためにどんな質問をすべきかを考えてほしいんです。

「AとBのどちらも選べない」という時に役立つ聞き方

合意形成に有効な質問がどういうものかと言うと、こんなものがあります。例えば、何かしらか合意点を探る時に、「AとBのどっちか選べないな」という時に、「許容できるのはどっちですか?」という言葉のチョイスもあると思います。

あと、僕はファシリテーターの方が答えを言う場面にけっこう遭遇するんですよね。特に管理職や会のオーナーの方がファシリテーターをする場合は、けっこう早い時点で答えを言っちゃうんですよ。

答えを言われると、その後の意見は出しづらくなるので、特にファシリテーターの方は意識して答えは言わない。あくまで「どうすればいいと思いますか?」という感じで、みなさんから引き出す。

それと「長期的な視点ではどうでしょうか?」という質問。ビジネスは短期的に終わるものではなくて、どうしても5年後も10年後も100年後も長期で続けていくものですから、「長期的な観点から見て、今のこの事象はどうなんだろうね」と。

ちょっと目先を変えてあげるだけでも出てくる意見(が変わったり)、合意形成に踏み切れる・踏み切れないというのも変わってきます。

あと最後に「まだ共有できてない点は何かありますか?」というふうに、きちっと出し切ってもらう。あとでああだこうだと言われないように、ちゃんと聞いて出す。

「良い未来」を想像してもらえるような質問をすることが大事

それと「未来像の想像」は、「実施するとどんな未来があなたに起きますか?」というもの。これはすごく大事なポイントです。僕らがビジネスやっていく上では、やはり良い未来を想像したいんですね。それで、良い未来ってワクワクするんですよ。

例えばみなさんが旅行に行くというと、ちょっとワクワクしません? 僕は先週奈良に行ってきたんですけど、「来週奈良に行くんだ」「京都に行くんだ」「紅葉のシーズンだ、すごくすてきな紅葉が見られるかもしれない」……みたいなことってちょっとワクワクしますよね。

だから、僕らが何か議論したり、喧々諤々やる時に、喧嘩で終わるんじゃなくて、「これを最終的に成し遂げた時に、我々に訪れる未来はどうですかね」というふうに確認していくと、やはりみんな良い未来を作りたいと思うんですよ。ひどいバットエンドはあんまり想像しないはずなので。良い未来を想像してもらうような質問や話しかけをしていきます。

最後は「誘導尋問にならないようにする」。これはもう当たり前なんですが、自分が思っている方向に持っていく、引っ張るのはやめたほうがいいです。

さあ、これはうまいことやっていく上で有効なツールなんですけれども。ツールとしては、反応ボタンや挙手など、リモートでも使えるものがたくさんあります。「みなさん、合意はいかがでしょうか」と聞いて「異議なし」「異議なし」とみんなで言ってもらうとか。

チャットに全部書いてもらって誰かを確認するよりも、手を挙げていただくのでも十分対応できますから。自分がファシリテーターとして今、何を得たいかなという時にうまく使ってみてください。

おすすめの会議の所要時間は30分

特にリモートにおけるファシリテーションで大事になってくるポイントを、5つお伝えしたいと思います。まず1つ目、ファシリテーターの方は、最初にゴールイメージをしっかり持ってほしいんですね。特に時間のデザインをしないで突っ込んでいくと、けっこう大変なんですよ。

僕はこの時間デザインは講義の中でもよくお話をしています。今日はあまり細かく会議の中身についてのお話はしていないんですが、例えば僕は、おすすめの会議の時間は30分とお伝えしています。

なんで30分かというと、人間の集中できる時間は15分刻みで、MAXでも30分ぐらいなので、その中でやり切りましょうと。それ以上の1時間、2時間と時間をかけてしまうと、やはりみんな疲れてくるので。なるべく30分単位で収まるようにするといいですよ、とお話ししてるんですね。

例えば、この中でみなさんが「会議やろう」と言うと、会議が始まってから何の話をして、どれぐらいでどういうことをして、最後にどれぐらいで何をするかを事前に決めておいたほうがいいんですよね。

例えば、冒頭5分で今日の会議のゴールや内容を説明します。ここで実際にみんなでディスカッションしてアイデアを出したりします。それで、最後の5分ではToDoのチェックや意思決定など、なにかしら確認作業が入る。こうやって大きくセパレートしておくのも大事ですよね。

この会議のデザイン以上に、もう1つ大事なポイントが最初に言ったゴール設定です。ゴール設定ができてない、アジェンダをしっかり送れていない。怖いですが、先ほどの越川さんのお話にもあったとおり、4割近くの会議でアジェンダがないという統計が出ています。

みなさんがファシリテーターとして会議設定をしたり、会議オーナーとして会議設定をする時に気をつけなきゃいけないのは、まずそもそものゴールですよね。何のために会議が招集されるのかがまず明確になっていることが大前提です。

これがない中で「とりあえず集まってください」「とりあえず来てください」だと困りますよね。「いや、忙しいんだけど」と。

そういう場合は(ファシリテーターに)事前に確認してください。「すいません、僕に何の役割を求められてるんでしょうか?」「何かアウトプットを用意していったほうがいいですか」と確認しないと、自分の時間もロスしちゃう。これはもったいないので、まず確認してください。

会議の事前準備で押さえておきたいポイント

それで、次はメンバーの誰が来るのかが大事なんです。オーナーとしては誰を呼ぶのかがすごく大事ですよね。だって議論してみんなにアイデアを出してもらう時に、一言もしゃべらない人を呼んでも意味がないですよね。その人の人件費、リソースがムダになっちゃいます。

だから、しっかり発言をしてくれる人、意見を言ってくれる人、アイデアを出してくれる人をアサインしなきゃいけない。それで、アサインした以上はしゃべってもらわなきゃいけないんですよ。

そのために、例えば「ナントカ部署のAさんにはこういうことを聞きますよ」「Bさんにはこういうことを説明してもらいたいんです。それで、こういう意見が欲しいんです」というふうに、事前にバイネームと何を期待しているかがわかってると、メンバーも出やすいですよね。

それで、最後に資料ですね。もし事前に読んでおく資料があれば、その資料を添付しておく。あとは「何分から何分までこういうふうにやって、何分から何分でこういうことやりますよ」というタイムラインが入っていると、なんとなく出る前に会議のイメージがつきません?

この会議のイメージがついてると、ファシリテーターもファシリテーションしやすい。参加する人も30分なら30分で、「ゴールに向かって協力しよう、一座建立しよう」という気持ちになるわけですよ。この事前準備ができているかどうかが大事ですよね。

特にリモートの場合は、参加者が「この人はリモートだ」「この人はリアルだ」とわかっていたら、ちゃんとリモートの人の意見をしっかり拾うことも意識してやります。

今日みたいに全員リモートだったら、当然ファシリテーターもリモートですけれども。もし会議室に4~5人が集まっていて、リモーターが2人とかだったら、会議室がやたら盛り上がるんです。

それで、こっち(リモートのメンバー)は蚊帳の外になるので、ファシリテーターは必ず会議室側に置きます。そうすると(会議室のメンバーも)暴走しないし、止められます。あとは、ちゃんとリモートで参加している人たちを拾えます。こういうことがすごく大事な役割、所作の1つになってきます。

リモート会議は「みんながついてこられているか」の確認を

今「ゴールイメージを持ちましょう」「時間をデザインしましょう」というお話をしました。2つ目はやはり、みんながちゃんとついてこられているかのチェックをすることです。だから、絶えず問いかけるんですよね。

これもみなさんも経験されてるかもしれませんけれども、リモートの場合にすごく難しいことがあります。今はもうコロナがちょっと明けてきて、会議室に出社してきてる人がいるわけですよ。会議室の中だと目の前にモニターや机があって、いろいろな人が座ってるんですよね。

そこから定点でカメラに映されても誰が誰なのか、よくわからないんですよね。引いてみるとていっぱいいて、誰がしゃべったのかも集音マイクで拾うからよくわからない。聞き取りづらい。結果、リモートでつながっている人たちはちょっと蚊帳の外になりがちで、何を言ってたかよくわからない。

なのでファシリテーターは「今〇〇さんが言いましたけども、今の内容は聞き取れていますか? もしわからなかったらすぐ、何かリアクションしてくださいね」と確認しながら進めていかなきゃいけない。

しかもAさんが言ったのか、Bさんが言ったのか、Cさんが言ったのかも、こっち(リモート側)はわかりづらいですからね。すごくやりづらいので、そういったところもファシリテーターがちゃんと気を配って「ありがとうございます、今Eさんがこういうことを言ってくれました。それに対してFさん、何かご意見ありますか」という感じですね。こういうことができてくると、良い会議の回し方になってきます。

そして3つ目がチャット、あと反応ボタンですね。こういったツールを本当に有効に使ってください。特に(会議で)カメラオフにしている会社はけっこうありますから、そういう会社ほど「わかる・わからない」とか、こういう反応ツールを使っていかないと難しいですね。

カメラオフにしている会議では、参加者の8割は別の仕事をしているというデータも出てましたので。もう8割の人はメールチェックとかしながら聞いてるんだなという感じです。会議に出る時はやはり、ぜひ集中して参加していただきたいなと思います。

出てきた意見を、書いて視覚化することのメリット

4番目。これも今日出てきた図解スキルやフレームワークをうまく使ってみてください。僕はホワイトボードを使っていますが、すごく有効なんですよ。今は100均で売ってるちっちゃいものですけど、後ろに大きなホワイトボードを置いていただいて、そこに書きながらというのもすごくいいと思います。

大事なのは「誰が何を言ったか」をしっかりと書き留めながら、ホワイトボード上でみんなの意見をまとめていく、視覚化していくこと。特に言葉は浮いちゃって、重しが何もついてないので、書き留めたり記録しないとみんなに伝わっていかないんですよ。あとで振り返りもできない。

これはリアル以上に、リモートの場合はすごく大事です。ホワイトボードでもいいですし、もしくは画面共有しながら書き込んでもけっこうです。なにかしら、言ったこと・言われたことを書いていくのはすごく大事ですよ。

「言われたことを書く」という時に、みなさんにちょっと思い出してほしいんですけど。小学生の時に先生が「この質問わかる人、手を挙げて」と言うと、ちっちゃい時は「はーい」ってみんな手を挙げるんですよ。それで「じゃあ〇〇くんどうぞ」と言われたら、〇〇くんが「ナントカだと思います」。「あ、いいわね」と先生が(黒板に)書いてくれる。

書いてくれると、めちゃくちゃうれしいんですよ。だから自己肯定感が上がる。「ほかに意見がある人?」と聞いたら、またその子が手を挙げるのね。(もう質問への答えを)言ったのによ? これは自分が言ったことを認めてもらえたことで、承認欲求が満たされてるわけ。

会社の中でなにかしら意見を出す時に、何も書かれなかったり、特段拾ってくれなかったりすると、どうですかね。手を挙げたくなくなりますよね、意見言いたくなくなるんですよ。

だからしっかりと拾ってあげたり、ある程度しっかり書いてあげる。何か一言でも、キーワードだけでもいいから書いてあげる。こういう「書く」という作業をすると「ちゃんと拾ってくれた」とわかるわけですよね。会議室でなかなかコンセンサスが取れないリモートだからこそ、しっかりと拾ってあげることがポイントになります。

「質問力」を磨くためのアドバイス

そして、最後の5番目は質問スキルです。今、Q&Aでも「質問するのがとても難しいと感じています。質問力を上げるために、ふだんから心がけると良いことがあれば教えてください」というのがあります。

まず1つはベーシックな質問事項、質問するためのフレーズを自分の中にストックとして蓄えてほしいんですよね。これは本(を参考にして)でもけっこうです。そのあとの質問にも「(事例が)まとまった本などありましたら」ということなので、こちらの『30分ファシリテーション』にもいろいろな質問の内容や項目が入っています。

ただ、本に書いてあるのはいわゆる一般的な質問事項だったりするんです。それよりもすごく大事なのは、やはり企業文化に即した、自社ならではの質問です。どういうトークをしたら、どういう質問を投げかけたら、みんなから(意見やアイデアが)出てくるのか。

いろいろな会議の中で、上手なファシリテーターの人はきっといます。もしいなかったら、ご自身が率先して、スーパーファシリテーターになっていただければと思うんですけども。とにかく質問スキルを盗む、もしくは自分の中にストックして増やす作業をしていってくださいね。

これは書籍でもネットでもいっぱい転がっています。ただ1つ言っておくと、全部使ったとしてもうまくハマらないし、全部覚えたとしても効果的に機能するかというとそんなことはないです。大事なのは、参加している人に合わせてちゃんとチューニングして使うことです。だからこそ、引き出しはいっぱい詰まってたほうがいい。

案件によっても伝える内容は違います。だから、そこもチューニングして使ってみる。最終的にはファシリテーターって、やはり場数の勝負です。なので会社の中でしっかり場数を踏んでもらいたいですね。

リーダーになってからファシリテーションのスキルを磨こうと思ったら遅いですよ。リーダーになる前に、役職がつく前に、バンバン自分で会議を回してみたりチャレンジしていかないと、新しい人がどんどん入ってくるので、若い人にチャンスをあげなきゃいけない。

なので、とにかくチャンスがあったら取りにいって、ファシリテーターをしてみてください。やったぶんだけ強みになります。自分の力になってきますからね。苦手でも、まずは会議の司会からやってみるとか。定例会議の司会からスタートしてみると、ぜんぜん問題ないです。

5人以上の議論・意思決定には、ファシリテーターが必須

今お話ししてきたファシリテーションは、「場作り」「引き出す」「整理する」「まとめる」。大きくはこの流れに沿って、会議は流れていくと思います。その中で「自分はこれが足りてないな」「これちょっと入れてみようかな」「ちょっと勉強してみようかな」というものは、ぜひまたUdemyや本などで身につけていただければと思います。

それとリモート・ファシリテーター。やはりある程度の人数が集まって議論や意思決定が求められる会議は、絶対にファシリテーターを置いておいたほうがいいです。目安としては、少なくとも5人以上で何かを議論する・意思決定する場合には、必ず置いたほうがいいですね。

コンセンサスを取る上で、ファシリテーターがいなくてもオーナーだけでしっかりと回って、みんなの意見が出せるような良いオーナーの方だったらいいんですけども。そうじゃないと少し難しい気がしています。

さあ、このリモートワークの会議のファシリテーションについて、ちょっとまとめます。とにかくチャットを有効に活用してみてください。特に声がけをしたり、質問やチャットをする時。今日もQ&Aを使っていただいてますけども、Q&Aでフォローしたり、チャットをしっかり活用してください。

それと画面共有やオンラインホワイトボード、こういったリアルのホワイトボード。これをファシリテーター側だけじゃなくて、リモートで参加する人も双方向で持っていると、実は意外と使い勝手が良かったりします。アイスブレイクでも使えるので、ぜひみなさんで持っていただけるといいなと思います。

そして3つ目。話についてこられているかどうかの適宜確認がすごく大事です。今Q&Aにも書いてありますが、質問を定期的に投げかけるのもいいですし、「Aさんの意見に対して、リモーターのBさん、どう思いますか」「これに対して何か意見ありますか」と、ちょっとかぶせてお話をしていただくとかね。

「別の切り口で何かありますか」というのも促してあげてください。特になければ「大丈夫です、特にないです」とか「OKです」と言っていただいてもぜんぜん大丈夫です。とにかくリアクションを確認することが大事ですね。

会議終了の5分前に、必ず「次どうする?」を確認

そして4番目。決定事項、アクションプラン、ネクストステップのチェックを必ず5分前にしましょう。いいですか? 会議って(終了の)5分前に「次どうする?」ということを確認するのが、実はすごく大事です。

ギリギリまでやって「時間ですね、すいません。今日の詳細をまとめた内容をあとでお送りしますので、みなさん確認しておいてください」と言って終わる会議が多いんですけど、こんなの確認する人はいないですよ。

だいたいあとで「聞いてないし、俺言ってないし」みたいに文句を言われるんです。そうじゃなくて、会議の最後にこのチェックをするだけでぜんぜん変わってきます。リモート参加の人も「そういうことだったのね」とか、聞き取れなかったとしてもそこで確認できたりします。なのでぜひ確認してみてください。

そして最後、5番目です。これもリモートならではですが、一言でいいので会議の振り返りをしてほしいんですよね。「今日はどうでしたか。何かちょっと聞き取りづらいとかやりづらいとか。特にリモート側で入ってる方は何かありますか?」と聞いてもらうと、「大丈夫でした」「こういうとこちょっと聞き取りづらかったです」「今日はマイクの環境がイマイチでしたね」と、いろいろ教えてくれます。

リアルの側にいると、うまく届いてるかどうか、わからないんですよね。なのでこういったのも最後、ちょっと確認してもらえるといいかなと思います。

まとめに入ります。今日は、会議・リモートのファシリテーションについてお伝えしました。特に会議で大事なのは、みんなで時間内にゴールを目指す。まさに一座建立ができるかどうかです。

この一座建立が徹底できるのは、ルール(があるからという)だけじゃないんですよね。ルールはあって当たり前で、さらにその上でファシリテーターがどう会議をデザインするか。これで良い会議になったかどうか、品質の高い会議になっていくかどうかが決まってきます。

ぜひみなさん、「参加する人も一緒にこの会議を作るんだ」「ファシリテーターだけが作るんじゃなくて、みんなで作るんだ」という意思を持って臨んでいただけると、ファシリテーターもめちゃくちゃ楽になりますから。ぜひ一座建立で臨んでいただければと思います。