司会:GMOインターネット株式会社 代表取締役会長兼社長 グループ代表の熊谷正寿さんです。よろしくお願いします。

熊谷:よろしくお願いします。

司会:毎回、熊谷さんはIVSにスピーカーとしてご登壇されてると思うんですけれども、かなりお忙しくされてる中で、札幌や京都という割と離れた所で開催される「Infinity Ventures Summit」に登壇されるメリットであり価値というのは、どのようにお考えでしょうか。

熊谷:はい。このIVSっていうのは僕らの業界にとって最大のベンチャーカンファレンスじゃないですか。ここに来ると、業界のキーマンほとんどの方に一度にお目にかかれるし、商談も進むし、皆さんのお話から刺激も受けるし、本当にこの時間を有効活用できるんですよね。ですから、IVSは時間の許す限り参加をさせていただきたいと思っております。

我々の産業というのは、やっぱりまだまだ発展している産業なので、どちらかというとレース型で、参入した人皆がですね、それぞれ大なり小なり成果がでる産業なんですね。こういうレース型で拡大してる産業というのは情報共有というか情報交換が非常に重要で、その大きな情報交換の機会になるので、私はIVSには今後も、小林さんその他皆さんにお許しいただけるんだったら、参加を続けたいという風に願っております。

司会:実際、今回2013 Springでまたご登壇されるかと思うんですが、今回に限って言っていただくと、伝えたい内容であるとか、こういう内容を話したいと思われている事はございますでしょうか。

熊谷:はい。今回、日経の関口さんに司会をお願いして「日本からイノベーションをどうやって起すんだ」みたいなテーマだったと思うんですね。どういうお話が出るか分かりませんけれども、私自身はこのインターネット産業×ベンチャーという立ち位置で、一度しかない人生をそこに投じてるわけですけど。

みんな寿命があるから、時間って人生じゃないですか、命じゃないですか。命をそこに投じて悔いが一つも無いんですね。生まれ変わっても、またこの産業でベンチャーやりたいと思うくらい、自分自身で仕事も人生も楽しんでまして、この私の姿や生き方を、何らかの形で皆さんにお伝えできたらいいなと思ってます。もうそれそのものがイノベーションなんで。

司会:実際やっぱり拝見していましても、非常に礼儀正しさというか気品とか、そういうものを感じるんですね。いちスピーカー、いち観覧者として。やはりそれはある程度、熊谷さんを手本に、鑑にと思ってる経営者も参加してるだろうなという、ある種の前提があるんですかね。

熊谷:いえいえ、そんな事は考えた事ないんですけど。でもどうなんでしょうかね。それはもう皆さんに聞いてみないと分かんないですから。でも僕も今ベンチャーやってますけれど、先輩経営者の後姿を見てずっと走ってきたんですね。ですから、ああいう先輩方の経営者、色んな方になれたらいいなっていうイメージをすごい持ってきたので、逆に今の若い方々が、私なんかをみて、あるいは森田さんや田中君、三木谷さんだと思うんですが、ご登壇されるそういうベンチャーを見てですね、私に限らず色んな方に自分の将来のイメージを合わせてもらったらいいんじゃないかなと思いますね。

司会:熊谷さん、新経済連盟で理事をしておられるかと思うんですけれども、先日開催された新経済サミットで「いかにイノベーションを生み出していくのか」「いかにこの日本をまた活性化させていくのか」という事に関して、色んなご意見を提示されていたかと思いますけれども、それを振り返りつつというか、そこでも発言された内容をもう一度この番組でもお聞かせいただければと思うんですけれども。

熊谷:僕はですね、日本でイノベーションをもっと起していくためには、一つじゃなく色んな事をしなきゃいけないと思うんです。一つは、子供の頃から、今英語の教育をするじゃないですか。同じように技術の教育をしたらいいんじゃないかなっていう事をすごく思ってまして、やっぱり今後電気の繋がってるもの全てにネットが繋がっていく。おそらく来年普及するであろうグーグルグラスじゃないけど、ありとあらゆる所がネットの入り口になると思います。

そこでやっぱイノベーションを起こせるのは、エンジニアさん達なんですよ。クリエーターさん、エンジニアさん。だからすごいクリエーターさん、エンジニアさんがたくさん生まれるような国にする事が重要で、それがベースは教育ですよね? だから自然言語の英語を教える、機械語のコードを教える。で、日本中を活性化してくって事が出来たらいいんじゃないかなって思ってます。そんなお話をあの時にさせていただいたと思います。

司会:ありがとうございます。その新経済サミットの大きなイベントを、今回このIVPの小林さんに依頼されたと思うんですけれども。

熊谷:そうなんです。小林さんしかいない! と。

司会:やはりそれはこのInfinity Ventures Summitの内外を通じて、IVPの小林さんというものに対しての信頼が。

熊谷:もちろん、実績。日本最強です。カンファレンスを開いて、それこそ人脈で日本中のベンチャーに顔が利くのは小林さん、IVSの皆さんですから、もうそれ以外ないと。だからとりあえず今回、成功っていう風にメディアでは言われていますけど、これは小林さんがあったからです。そう思います。ありがとうございます。

司会:実際それ以外のInfinity Venture Partnersの皆さん、小野さんや田中さんと交流される中で、お感じになられてる印象やイメージっていうものはありますか?

熊谷:つまりIVSのみなさんは、日本最大のコネクターなんですよね。人とお付き合いする上ですごく大事なのは、皆さんのようなコネクターを大切にする事だと思うんです。だってコネクターの方と親しくしていれば、どなたにでも繋がれるから。それだけの人脈をお持ちで、なおかつすごいシャープだし、人としてもすごく素敵な方々ですしね。日本のインターネット産業にとって、かけがえのないチームの皆さんだと思います。

司会:ありがとうございます。ちょっと時間が迫っているので、先に重要な質問を。普段から経営者としてのご発言の中で、夢であるとか目標、こういうものをきちっと定義した上で、それを常にぶれずに、それに向かって努力を重ねていく事が重要だという風に言っておられると思うんですけれど、今日これを見ておられる主に起業家の方に向けて、それを含めてメッセージをください。

熊谷:そうですね。僕は2004年に「一冊の手帳で夢は必ずかなう」という本を出させていただきましたけど、そこに書いてある事なんですが、二十歳ぐらいの時に自分で事業家になりたいという15年の計画を立てまして、1ヶ月遅れたんですけれども夢を描いたように上場ができて、その後、今55年計画という計画を立てて、グループ一丸となってその55年計画を追い求めていますけれども、やっぱり夢を、遠いゴールを決めて、そこの最短距離を行くんだという思考を。あるいは、ゴールを決めて細分化して、それを淡々粛々と毎日こなしていくと。これってすごい大事で。

まぁ例えて言うと、大海原に船で行くわけですよ。ナビがなかったら迷っちゃいますよね。あと大草原で、遠くに1本の木を見て歩くのと、自分の背丈以上の林の中で遠くに1本の木を見て歩くのと、ただ木を見ないで目先歩いてたら、上から見てたらまっすぐ歩けないですよね。

やっぱ木を見るとか灯台を見るとかっていう事は、人生にとってもとても大事な事だと思いますね。僕はそれをやってきたから今がある。起業家の皆さんには、夢を定めて、それを皆と共有して、仲間と共有して、日々活動される事をお勧めいたします。

司会:ありがとうございます。実際、起業家の方は壁にぶちあたったり、挫折を味わったり、もう無理なんじゃないかと諦めの気分になる事もあるかと思いますし、熊谷さん自身も、もちろん時々のタイミングでそういう事が訪れたと思いますけれども、それを乗り切る時にどんな事を考えて、どういう事をされたのかなと。

熊谷:僕も2007年に400億円の損失を出してですね、会社潰れるんじゃないかと皆に言われた時期があるんですね。そんな時も誰一人として会社を辞めなかった。それはなぜかっていうと、みんなで夢をずっと語り続けたものをその時も曲げずに、自分達で協力して皆で協力して切り抜けて、夢を実現するんだっていう気持ちがすごい満ち溢れてたんですよ。

事前にそういうのがなかったら、崩壊しちゃったでしょうね。やっぱりどんな時も最初に決めた夢、ビジョン、そういうものをずっと言い続けて信じ続ける事が大事ですよね。それがなかったら、やっぱり大波が来たらひっくり返っちゃってたと思うんですよね。

司会:ありがとうございました。