2024.12.19
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IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO 株式会社komham(全1記事)
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西山すの氏:こんにちは、komhamの西山です。私たちは、生ごみを高速分解する技術を提供しています。この技術のベースは、堆肥化(微生物を利用して生ごみなどの有機物を発酵・分解させ、有機肥料を作ること)と呼ばれている、昔ながらのごみ処理方法で、燃やすよりも環境負荷もお金もかからない、すばらしい技術なんです。
この特徴だけ聞くと、なぜ焼却処理と並ぶインフラになっていないか、不思議に思いませんか? 海外では当たり前にインフラとして使われているんですが、そこには根深い課題があります。
こちらの写真をご覧ください。困り果てて弊社へ問い合わせがあった、堆肥化施設と生ごみ処理機の写真です。この写真を見て、生ごみが分解されたように見える方はいらっしゃいますか? いないですよね。
残念ながら、国内では、「生ごみを分解する」とうたいながら、科学的根拠のない微生物や、微生物の知見がないメーカーが開発したごみ処理機など、「微生物は生き物だから」を言い訳に、スペックどおりに作用しない製品の温床となっています。
そんな課題を解決してくれるのが、弊社独自開発の微生物群「コムハム」です。この「コムハム」、私の父が15年前から廃棄物処理業者に技術提供し、生ごみを分解させ続けたことで変異した微生物なんです。
スタートアップとして経営し、最速で経済と社会インパクトの相関を築きたかったので、別法人としてkomhamを作り、研究体制を構築、知財を権利化してきたバックグラウンドがあります。
一代では決して確立できなかった技術で、追従できる企業はありません。ちなみに、このバックグラウンドの話をすると、けっこう父との不仲説を疑われるんですけれども、父とはとっても仲良しです。ご安心ください。
この「コムハム」、通常の堆肥化が数週間から数ヶ月かけて生ごみを分解するところを、最速1日で分解が完了します。分解の様子を見てみましょう。
コマツナの茎を、何も添加しない液体と、「コムハム」の濃縮液に漬けます。2日後の経過を見ると、右のほうだけ、どんどんコマツナが見えなくなっているのがわかると思います。
振るとこんな感じです。生ごみは分解して、残った無機物分が沈殿しているのがわかります。新種の微生物として、特許取得も完了しています。
この特徴あふれる「コムハム」を、どうしたら廃棄物処理事業者以外にも使ってもらえるか考えた結果、スマートコンポストを開発するに至りました。このスマートコンポスト、「環境負荷なんて考えて事業運営していられない」といった方でも、設置するだけで簡単に「コムハム」を飼育し、生ごみと環境負荷を減らせる装置です。
頭に付いているソーラーパネルの発電で自動駆動でき、通常の生ごみ処理機が必要な排水や給電の設備は不要です。使い方も簡単で、ドアを開けて、生ごみを入れて、ドアを閉めると、自動で生ごみの投入量が検知されます。これだけです。生ごみの投入量だけでなく、生ごみの分解状況や温室効果ガス排出削減量まで、すべて遠隔でデータを確認することもできます。
他社はどうしているのか? 一般に世の中で販売されている生ごみ処理機は電気と水を使うので、みなさんがふだんインフラとして使っている、収集して燃やされるよりも、10倍以上の温室効果ガスが排出されている製品しかありません。せっかく環境負荷を考えて導入を決めても、「グリーンウォッシュ」(環境に配慮しているように見せかけて、実態はそうではなく、環境意識の高い消費者に誤解を与えるようなこと)と評価されてしまいます。
私たちは生ごみを分解するだけでなく、処理過程で排出される温室効果ガス(の削減)までこだわった唯一の企業です。このスマートコンポストは、環境負荷を抑えることがKPIとなっている大手企業や、ごみの収集が困難な離島を持つ自治体への設置が進んでいます。「コムハム」の効果は実証済みです。
このスマートコンポストで市場拡張を狙いつつ、実は私たちの本丸は、すでに自前の大型の堆肥化施設を持っている事業者への「コムハム」の販売です。
我々のビジネスモデルは、廃棄物の処理量に合わせて「コムハム」を買っていただくサブスクリプションモデルです。例えば1日50トンを処理する事業者の場合、初年は1億円、その後、処理性能を維持するために毎年4,000万円いただきます。この金額感でも高くないんです。
現在取引している廃棄物処理業者の例をお話しします。微生物が生ごみを分解しないことで、現在の稼働率は50パーセントの施設です。せっかくごみ処理のニーズはあるのに、処理スペースを確保できないことで、機会損失している状況です。
「コムハム」を導入することで、処理が安定し、生ごみの受入量を上げられることで、設備投資なし、今の設備のまま、売上を倍にできる。しかも、「コムハム」の導入初年度に投資分は回収でき、リスクヘッジにもなるんです。
生ごみだけでは終わりません。生ごみの研究を進める中で、生分解性プラスチックの高速分解細菌も見つけました。生ごみを運ぶ時は必ず袋が必要になりますが、この特許取得によって、生ごみと袋の分別をなくせる可能性があります。
市場規模です。現在、国内の8割が焼却で、堆肥化はたったの0.4パーセント(220億円)にとどまります。ただ、政府は堆肥化を含むバイオマス処理を増やしていく計画を進めています。
海外の堆肥化設置平均である5パーセントまで伸長できれば2,700億円、日本以外のOECD加盟国の平均である14パーセントまで伸長できれば、7,800億円まで市場規模は膨らみます。グローバルに見れば、120兆円の規模感です。
国内で20パーセント、海外で1パーセントにリーチできれば、削減できる温室効果ガスは1,000万トン、現在のJクレジット価格で300億円、EUの市場価格で1,200億円に相当します。ポテンシャルの固まりなんです。古くから使われている処理方法だからこそ、最新技術で便利にできれば、社会のインフラに立ち戻れると信じています。
莫大な社会インパクトを生む、めちゃくちゃ儲かっている企業を築いてみせます。komhamの西山でした。ありがとうございました。
(会場拍手)
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