2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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司会者:登壇者のみなさまをご紹介します。まずは「雑談の人」、桜林直子さんです。
桜林直子氏(以下、桜林):ありがとうございます。
司会者:文芸評論家の三宅香帆さんです。
三宅香帆氏(以下、三宅):よろしくお願いします。
司会者:そしてファシリテーターは、PARADE株式会社副社長でTakramJapan株式会社ビジネスデザイナーの佐々木さんが務めます。それでは、ここからファシリテーターの佐々木さんに交代させていただきますので、よろしくお願いします。
佐々木康裕氏(以下、佐々木):みなさま、よろしくお願いいたします。暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。今日はお二人をお迎えしています。「どうすれば『やりたいこと』が見つかりますか?」ということを知りたい人はたくさんいると思いますし、少しでもヒントになるようなことがお話しできたらいいかなと思っています。
セッションに入る前に、簡単に「LifestanceEXPO」についてご紹介させていただきます。会社にはいろんな関係者がいます。お客さんがいたり、取引先がいたり、もちろん働いている人もいたり、いろいろいると思います。
例えば消費者について言うと、会社の商品を買う時に、これまでは値段や見た目や機能といった観点で選ばれてきました。またその機能から、ブランドでいえば「ライフスタイル」のようなものが大事になってきて、世界観に基づいて消費することが増えてきたと思います。
そこからさらに一歩踏み込んで、会社の「ライフスタンス」と呼ばれる、ビジョン・ミッション・価値観に共感しながら、消費や物の選び方を進めていけるといいんじゃないかなと思っています。
佐々木:今年のテーマは「はたらく」です。例えば就職や転職の時に、「給料がいい」「会社の知名度がある」「友だちに自慢できる」という観点で選ぶのもいいと思います。でも、さらにそれを超えて、会社のビジョンやミッション、働いている人の考え方、雰囲気、つい出てしまう口癖に共感・共鳴しながら、会社を選ぶことができるといいんじゃないかなと思っています。
私から簡単に自己紹介をして、その後に桜林さん、三宅さんの順番で自己紹介いただいて、トークセッションを進めていきたいと思います。
私はPARADEの佐々木と申します。PARADEで活動しつつ、ふだんはTakramという会社で企業のコンサルティングなどもしています。あとは、世界の新しい価値観やカルチャーを日本の方々に紹介するメディアを個人で展開しています。それでは桜林さん、お願いします。
桜林:桜林と申します。今日はよろしくお願いします。私は自己紹介がとても難しいのですが、ここ数年は「雑談の人」という名前で活動していることが多いです。
今だとZoomだけですが、マンツーマンでお一人ずつ90分×5回のかたちで雑談することを主に仕事にしています。それに付随して、みなさんに雑談を聞いてもらうかたちで、トークイベントやPodcast「となりの雑談」をジェーン・スーさんとやっていて、これも雑談の仕事の1つとしてやっています。
ただその前に、プロフィールには書ききれていないのですが、クッキー屋さんを自分で経営・運営しています。メインではやっていませんが、今も製造委託というかたちで細々と続けています。
いろんな働き方や仕事をつまみ食いしてきたところがあります。今日は「働き方」や「やりたいこと」といったキーワードでお呼びいただいて、話したいことがたくさんありますので、よろしくお願いします。
佐々木:ありがとうございます。お願いいたします。
佐々木:それでは三宅さん、お願いします。
三宅:三宅と申します。よろしくお願いします。私はふだん京都にいて、今日も京都から新幹線で品川までやってきました。ふだんは大学で教えたりしつつ、「文芸評論家」というめずらしい職業をやっています。
最近は『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』というタイトルの本を出しました。「『働いていると本が読めない』という声を聞く。明治時代や大正時代の人はめちゃくちゃ労働していそうだけど、ちゃんと本が読めていたんだろうか?」「バブルの時期は長時間労働していそうだけど、そういう時に人はどういう本を読んでいたんだろう?」という疑問を持っていたので、その謎を解くために労働史と読書史を並べて語る本を書きました。
本を書きながら、「現代の働き方って今までの働き方とは違った難しさがあるよな」「本が読めなくなるほど忙しくなる原因をつくり出す、現代特有の働く人の困難があるよな」と思いました。ですので、今日はその本の経験も込めて、働き方の話ができたらと思います。よろしくお願いします。
佐々木:よろしくお願いします。先ほどお二人に控室でほぐしていただいたのでだいぶ和らいではいるのですが、私は今日めちゃくちゃ緊張しています。なぜ緊張しているかというと、三宅さんの本が新書大賞を取るんじゃないかと(思っているからです)。
三宅:がんばりたいと思います。
佐々木:「がんばりたい」ということで、今、本屋に行ったらいろんなところで平積みにされていると思います。僕は発売直後に読んでとても感銘を受けました。
また、桜林さんの本も読んだのですが、パワーワードがたくさんあって、すごく共鳴することが多かったです。なぜ自分がそう思えたかというと……読者の方をあまり想定していなかったかもしれませんが、自分が悩んでいることに対してダイレクトにいろいろと答えていただいた感覚があったからです。
佐々木:僕は今年で41歳ですが、新卒で入った大企業が家父長的で体育会系で、「女性の管理職ゼロ」という感じで、毎日のように飲み会があって。「とにかく自分ががんばらないと」みたいな価値観でずっと働いていたのですが、ある種、新自由主義的な「成功したら自分のおかげ、失敗したら自分の責任」という価値観に苦しめられてきた思いがあります。
僕は3年くらい前からカウンセリングを受けています。心に重たい病気があったわけではないのですが、ある友人のアドバイスを受けるようになりました。桜林さんの本にも書いてありますが、「心の蓋」を取る作業を3年間ずっとやっているんです。でも、3年かけても取れなくて。
「マンホールの蓋を徐々にずらそう」といったかたちでやっているのですが、たぶんまだ10センチくらいしか開いていない感じです。全部開けるにはまだまだ時間かかりそうですが、徐々に開いている感覚はあります。
中年に差し掛かる1人の男性としてそんなことを思っているのですが、もしかしたら同じような考えを持っている人が、今日はたくさん来ているかもしれないなと。今日は「雑談の人」として桜林さんがいるので、雑談しながらお話を進めていければいいなと思っています。
最初の問いは「そもそも、はたらく上で『やりたいこと』が必要とされるのはなぜですか?」です。これは「『やりたいこと』があるのはいいことだ」という前提を含んだ質問になってしまっているので、「そもそも、やりたいことがなくてもいいんじゃない?」ということも含めて、自由にディスカッションできればうれしいなと思います。
佐々木:その前に、お二人の本をご紹介いただいてから話をしたほうが前提が揃うかと思っているのですね。ですので桜林さんから、という本の触りを簡単にご紹介いただいてもいいですか?
桜林:はい。この本を出版したのは4年も前なので、いろいろと考えは変わってきているのですが、私は当時「『やりたいことがない』といえば私」というくらい、「やりたいことがない人の代表」のようなかたちで書きました。
私は中学生の頃から将来の夢を書かされるのが一番嫌いでした。なぜならやりたいことがないからです。自分のやりたいことがわからないし、やりたいことがある人がいるのはわかっているけど、とにかく自分にはない。だから、「なんでだろう?」と考えながら書いた本です。
この本では、「やりたいことがある人を「夢組」として、やりたいことがなくても、やりたいことがある人のサポートをする人を「叶え組」としました。やりたいことがなくても、好きな船に乗れば、楽しくサポート役ができる。やりたいことがある人ばかりでは行けないところにもチームを組めば行けるよと言っています。「やりたいことがない人」じゃなくて「叶え組」だと言えれば、やれることがあるんじゃないかと。ざっくり言えばそういう本です。
佐々木:ありがとうございます。個人的に勇気づけられたのは、「人は『叶え組』と『夢組』二分類されるんじゃなくて、ある人生のフェーズは『叶え組』、ある人生のフェーズは『夢組』、また同時期に両立させるなどいろんなバランスがあるよ」と書かれていたことです。
桜林:そうですね、締めはそんな感じです。「私は叶え組です」と言っても、一生そうではなくて。人のサポートをしていたら、その人を追い越すくらい「もっとこうしたらいいじゃん」というものが出てきたり。それが繰り返し交互に来るから「一生叶え組」ではなくて、「自分の中にも『夢組』と『叶え組』の両方がいるんだよ」と書きました。
佐々木:ありがとうございます。
佐々木:それでは三宅さん、よろしくお願いします。
三宅:ありがとうございます。「なぜ働いていると本が読めなくなるのか?」という問いに対して、実は働き方に問題があるんじゃないのかと回答を提示したのがこの本です。
『世界は夢組と叶え組でできている』を読んで、私は「自分は夢組だな」とすぐ思ったくらい、昔から「本に関わる仕事に就きたいけど、どうすればそれが叶うのか?」と考えながらやってきたんですよ。
自分の場合は文芸評論家をしているし、いわゆる「好きを仕事に」を体現する働き方をフリーランスでしています。一方で、実はそれって時代に要請されていたのかもと思っています。
自分の本の中で『13歳のハローワーク』がベストセラーになったことに触れているのですが。みなさん、『13歳のハローワーク』は実家にありましたか? 私は実家にありました。
『13歳のハローワーク』は、2000年代に日本でキャリア教育が盛んになってきた、「やりたいことを仕事にしよう」という時代の空気にうまく乗っかって、「どうやったら好きなことを仕事に結びつけられるか」という思想を綴った本。当時のベストセラーになりました。
その後、YouTubeの「好きを仕事にしよう」というCMが流行りました。こう見ると、自分の生きてきた1990年代から2000年代、2010年代は「やりたいことを仕事に」ブームの時代だったんだなと、歴史を俯瞰する中で思いました。(『なぜ働いていると本が読めなくなるのか?』は)そういう意味では、自分の働き方を俯瞰的に見られる本ではありますね。
佐々木:おもしろいですね。今はフリーランスで働かれていて、個人の選択のように思えるけど、実は時代の要請に合わせてきた面があるんじゃないかと。
三宅:そうですね。私はゆとり教育全盛期の人間ですし、「大企業に入ってバリバリ働いて上司の言うことをがっつり聞くよりも、副業やフリーランスがいいんじゃないか」という時代の流れがあったんだなと。自分はその時代の空気に乗っていますが、フリーランスになったほうがメンタルで苦労する方もいると思うので、キャリア選択は本当に難しいですよね。
佐々木:そうですね。
佐々木:桜林さん、そもそもやりたいことって必要ですかね?
桜林:この「やりたいことが必要とされるのはなぜですか?」の手前で、やりたいことが必要かどうかに疑問を持ちます。私が本を書いた時はすでに30代後半でした。それまではあまり気にしたことがなかったというか、それこそ「好きを仕事に」の世代ではなかったんです。でも今の私は外から見ると、きっと好きを仕事にしている人に見える。
ない仕事を勝手に作って、勝手に名乗って、勝手にやっているから、「好きなことをやっている」と思われるし、実際やっているんですが、そこを目指してきたわけではなくて。
私の場合は「稼がなきゃ」「シングルマザーで時間がない」「この時間しか働けない」といった制限や困りごとが多くあったので、それをどう打破していくかとなったら、結果的に「とにかく好きなようにやるしかないんだ」というところに行きつきました。だから、「やりたいことをしよう」と思ってきたわけではないんです。
佐々木:なるほど。
桜林:結果的にやっていることは似ているように見えるけど、動機がまったく別物だと思います。
三宅:その場合、例えばお子さんから「仕事に例えば迷っている」と相談された時に、「やりたいことをやったら?」と言いたくなりますか?
桜林:子どもが仕事について考える歳になってからだと遅いと思っています。みんな大学生の時に就職活動で、突然「あなたは何がやりたいですか?」と聞かれます。
今まで「みんなと同じことをやりなさい」と言われて、平均点を上げることをがんばってきたのに、突然「あなたの欲は何ですか?」と聞かれると戸惑います。みんなそこで急にやりたいことを問われますが、そこで初めて考えるのでは遅いと思っていました。
私の場合は「やりたい仕事に就くのがよし」ではなくて、先ほどのお話であったように「欲を抑圧する蓋がない状態のまま来られればベスト」だと思っています。だから、なるべく負担にならないようにと考えていました。一番は子どもが「何かをしたい」と言った時に邪魔をしないことです。
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