司会:株式会社セプテーニ・ホールディングス 代表取締役社長 佐藤光紀さんです。よろしくお願いします。

佐藤:よろしくお願いします。

司会:まずは簡単に自己紹介と言いますか、お仕事の内容などを簡単にご説明ください。

佐藤:我々セプテーニ・ホールディングスという会社、セプテーニグループと言っていますが、20数社のインターネット企業からなる企業集団でして、主にインターネットの広告であったり、マーケティングサービス、またメディアだったり、コンテンツ、ゲームなんかも手がけ、割と幅広くインターネットサービスを手がけている、そういう会社です。

会社としては「起業家人材を育てる」という事を会社のミッションの中心に据えていまして、当事者意識を持った起業家人材である社員自身が、自分たちで新しい事業を作って、会社を大きく成長させていく、ドライブさせていくというような、人を中心に据えた経営というのが特徴です。

司会:実際このIVSには、いつぐらいからご参加されていますか?

佐藤:実は割と長くてですね、IVSがまだ前進のニルスというイベントだった頃に、ふとしたきっかけで主催者の小林さんに出会ったのがきっかけです。私たまたまブログを色々と読んでいる時に、ちょっと面白い記事に出会いましてですね。特に誰が書いているとか、そういうバックグラウンドは気にせずに、書いている内容でこの人面白いなというので興味を持って、それでブログのコメント欄にメールを打ったんですね。「これ面白いですね」と打ったんですけど、後にも先にもブログに直接レスしたのは、その一回だけなんですけど、それが小林さんだった。

なので、小林さんがニルスというイベントを主催されている時に、僕がブログの読者としてレスを返したというのがきっかけです。それで小林さんからすぐご連絡をいただいて「今度こういうイベントがあるので来ませんか?」というお誘いをいただいて、出始めて…。そこからIVSに形が変わって、以降今に至るまで、基本的には毎回参加させていただいています。

司会:ということは、まだ代表取締役になられる前からニルスに?

佐藤:そうですね。たぶん最初なんで、8年くらい前ですかね、ずっとです。

司会:その時はすでに肩書は経営者?

佐藤:そうですね。25の時からずっと経営をしているので、ここ10数年はずっと仕事をしています。

司会:お仕事柄、色んなカンファレンスであるとか、色んなイベントに参加されていると思うんですけれども、まぁ場所は一つ違いとしてあるとして、それ以外でInfinity Ventures Summitと他のイベントで特に感じられる違いであるとか、あるいはこういう所が特徴的だなと思われる事はありますでしょうか。

佐藤:一つにはネットワークの質というか、回数を重ねても割と小林さんたちが手作りで、細かい所まで目を行き届かせて、参加者の質であったり、セッションの内容であったり、割と手作りでしっかりと作っていっているというのが、規模を拡大したり、回数を重ねても、質が保たれているというか。

そういう意味で、すごく優れたイベントに成長してきていると思いますし、またやっぱり何よりも志というか、その私自身もよくセッション等で話させていただく機会があるんですけれども、やっぱり業界を盛り上げていくというか、インターネットの産業であったり、業界というのを、より大きな魅力的なものに育てていこうと。こういう意思が、最初のIVSが始まった頃から今に至るまで、当初の志というのがずれずに、しっかり磨きあげられているというのが、このイベントの特徴だと思いますね。

司会:今、名前の挙がった小林さん。この主催者のInfinity Ventures Partners のメンバーですけれども、佐藤さんから見られて、IVPのみなさんの印象というか、それぞれ個性的な方だとは思うんですけれど、どういう印象をお持ちですか?

佐藤:最初に小林さんが独立されるっていう話を伺った時に、小野さんと田中さんと一緒に始めるんだという事を聞いて、ユニットとしてはある意味理想的というか、パートナーとして自分一人で始めるというよりは、同じように信頼できて、それぞれにとんがった部分を持った、違った個性を持った人たちでは、すごく理想的な組み合わせなんだろうなと。

小林さんだったり、小野さんとプライベートで親しくさせていただいているので、やっぱりすごく芯がしっかりとしているというか。でありながらやっぱり変わってますよね、ちょっと普通じゃない(笑)。なんかそういう普通じゃない感じがとても良いと思いますね。

司会:少し経営の話に戻りますと、僕らから見ると、佐藤さんってものすごく経営というしくみ作りに対してのエネルギーの注ぎ方とか、そこが重要なんだっていう認識がかなり、いわゆるベンチャー企業とは違うというか。

ベンチャー企業の代表者の方ってどっちかというと、自分がプレイヤーとして現場に出たりするのが大好きという比重の方が多い中で、佐藤さんはわりかしすごくバランス感というか、自分がプレイヤーとしてもちろん抜群のパフォーマンスを出されるんでしょうけれども、それよりも組織づくりという事をしっかりやっていくのが経営者の仕事であり、それをやらなければならないんだという決意みたいな所が、相当高い水準をお持ちだと思うんですけれども、そういうのを持つに至ったきっかけであるとか、それを成し遂げるためにどのような形で学ばれたのかというのをお聞きできればと思います。

佐藤:優れた企業づくりっていうのは、割と奥の深い道、一つの道だと思っていて。そういう優れた企業づくりという道を究めるのは、生涯かけて取り組むに値するような、すごく意義のある仕事だなぁというのが、これが一番なんですね。ある種のものづくりみたいなものだと思っていて、会社とか、企業づくり、組織づくりというのは、形は人が織り成しているものなので、目に見えるものではないんですけど。

実はその会社とか経営とか組織というのは、その目に見えない人の集まりで、パフォーマンスというのは、結果としては大きく変わってくる。同じような事業をしている会社が2社あって、同じような人数で、同じようなソースで仕事をしていても、出てくるパフォーマンスというのは大きな差がでる。そういう意味では、ある意味経営っていうのは、自分なりには人が織り成す総合芸術のようなものだと。総合的な芸術作品みたいな、そういうものだという風に捉えていて、そういう意味では、自分はある意味作品づくりを、長い時間かけてじっくり取り組んでいくっていう。

そういうつもりで、そういう認識で経営を捉えている。ある意味アートとして経営を捉えるという、そういう考え方がまず前提としてあって、そのうえで50年100年、場合によっては1000年とかそういう長い期間、成長を続けるとか発展し続けるようなそういう作品、そういう企業がもし作れたならば、すごくそれは自分にとっては充実したものだし、一生かけてやり抜くような、そういうロマンのあるような仕事だなぁという考え方が基本ですかね。

司会:その境地に至ったのは何歳ぐらいの事なんですか?

佐藤:元々僕は音楽をずっとしていまして、ミュージシャンとしての活動をある時ずっとしていたんですけど、音楽をしていても、曲を作ります、で、それを演奏します、というプレイヤーとしての役割ももちろん楽しいんですけど、それ以上に、自分がこういう曲を作った、あるジャンルでこういう曲を作った、これはどんな人たちが演奏したら楽しいだろう、っていう事を想像して、そのふさわしいような人材をプレイヤーとして集めてきて、チームを組んで一緒に練習して、アレンジをして、作品を作り、発表して、みなさんに聴いていただくという。

こういうどちらかというとプロデュースワークみたいな事が、すごく好きだったんですよね。なので、感覚的にはその音楽を自分がしている時の感覚と、今、事業とか経営を通じてバリューを出すという行為は、割とこう似ていてですね。そういう意味では趣味の延長線みたいな捉え方をして、仕事なのか、趣味なのか、というのは境目がかなり正直曖昧なぐらいミックスされているという、そんな経緯で。どこかきっかけがあったとかはないですけれども、割と自然な流れで。

司会:ありがとうございます。最後の質問で、ちょっと残り30秒ぐらいなんですけれども、Ustreamをご覧の方にも向けて、佐藤さんご自身のモットーというか、よく「座右の銘」という言葉があると思うんですけれども、もしそれをお持ちでしたらその言葉を、もしそれが具体的な言葉として無い場合は、こういう事が若い方にとってこれからチャレンジ、ベンチャーする上で大事なんじゃないかという事がありましたら、お聞かせください。

佐藤:座右の銘っていうのは特に無いんですけれども、今のインターネットの産業はもっともっと面白くできるという風に理解していてですね、特により若い人たちとか若い企業が、見た事もないような将来を作れるような、そういう土壌が整ってきていると。そういう意味では、このIVSというイベントにも、そういった志が高い人たちもたくさん参加しているし、またこれをご覧になっている方の中にも、そういう次のチャレンジャーというのが沢山控えているんだと思うんですね。で、明らかに層が厚くなっている。

起業家コミュニティの層っていうのは、私がその事業を始めた当時と今を比較すると、明らかにその厚みを増していて、優れたエコシステムになり始めているっていう実感があって、これをより大きな果実に変えていくっていうのは、もっともっとこの業界とか産業に面白い人たちが参加してきて、活躍を見た人たちがまたその影響を受けるという、大きなムーブメントに出来る気がしているんですよね。

それを是非業界の方々と協力したり、競争したり、切磋琢磨しながら一緒に作り上げていくという。これはすごく大きな画だと思っていて、その画をみんなで描いていくっていうのは、すごくやりがいのあるというか楽しい仕事かなと思うので、こういったイベントを通じて、また魅力的な人たちとたくさん出会えるのを楽しみにしています。

司会:ありがとうございました。