『ティール組織』で考える、これからの会社のあり方

青野慶久氏(以下、青野):それでは、ここからはゲストをお招きしてパネルディスカッションに移りたいと思います。ぜひ大きな拍手でお迎えくださいませ。よろしくお願いします。

(会場拍手)

よろしくお願いします。すごいメンバーでしょ。これでみなさんに満足していただいて、あとの株主総会はスッとやり抜けるという作戦です。

(会場笑)

今日はどうもありがとうございます。非常に恐縮なんですけれども、お一人ずつ自己紹介をいただきながら、お話をうかがっていきたいと思います。最初は塚越さん、よろしくお願いできますでしょうか?

塚越寛氏(以下、塚越):あっ、座ったままでいいんだよね?

青野:座ったままでけっこうです。

塚越:(自らの帽子に触れながら)「今日は(会場が)キャンプの雰囲気になってるから、帽子はかぶってたほうがいいよ」とかって言われたもんで。

青野:お似合いです(笑)。

塚越:塚越と申します。昭和12年の生まれですから、ただいま81歳です。実は21歳のときから経営者的な立場です。非常に小さな会社を、やらざるを得なくなりました。

なんと、60年間トップみたいなことをやっています。長い経験から出る、ある種の変な屁理屈が出てまいりました。それでいいかどうかは、ちょっと疑問に思うときもありますけれども、自分の考え方というものは確立できてるかなという気がしております。また後ほど紹介させていただきます。塚越です。どうぞよろしくお願いします。

(会場拍手)

青野:続きまして、岡田さん、よろしくお願いできますでしょうか。

岡田武史氏(以下、岡田):みなさん、こんにちは。今、私は、青野さんの出身地の愛媛県の今治で「FC今治」というプロサッカー……プロじゃない。まだプロになれてないな。J1・J2・J3とあって、その下のJFLに属しているチームのオーナーをやっております。

会社としては、株式会社今治.夢スポーツの代表取締役会長ということです。今までチームづくりをやってきて、会社経営を始めてからは4年が経ちます。死に物狂いで「みんなに給料払わなきゃいけないのが、こんなに大変なことなのか」という思いです。

チームづくりと共通の面もあるし、まったく違う面もある。そういう意味で、この歳になってまた新たな発見です。今日は塚越さんにいろいろ教えてもらおうと思って、やってまいりました。よろしくお願いします。

(会場拍手)

青野:続きまして、崔さん、お願いできますでしょうか。

崔真淑氏(以下、崔):エコノミストの崔真淑と申します。

今日はキャンプをイメージということだったのですが、キャンプの格好がなかったのでピクニックの格好をしてきたんです。けど、背景の緑と同化してしまいました。

青野:(笑)。

:私は、今何をしているのかですが、3足のわらじを履かせていただいています。

1つは、学術研究者として、一橋大学大学院の博士後期課程で株主と経営者のコミュニケーションについて研究しています。「株主がわちゃわちゃ物を言ったほうが企業はよくなるのか、それとも逆なのか」とか、「信頼される経営者の特徴とは何なのか」であるとか、「悪さをする経営者の特徴は何なのか」とかを研究しています。それが1つ。

2つ目が、この学術研究のベースをもとに、メディアを中心に経済解説、株式市場の解説をしています。メディアの仕事です。

そして3つ目が、そうした知見であるとか経験を活かして、社外取締役や企業のアドバイザーとして、客観的な目線で企業を見るという実務的なこともさせていただいています。

なので、今日はもう好き勝手いろんなことを発言させていただこうと思いますので、よろしくお願いします。

青野:よろしくお願いします。

(会場拍手)

あなたの会社の色は何色?

それでは、今からパネルディスカッションを始めたいと思います。いくつか業務連絡があります。このパネルは前編と後編に分かれています。今から14時20分ぐらいまで、50分ぐらいが前半戦ということになっております。

後半戦はみなさんからの質問をたくさんお受けします。それでは、パネルにいく前にみなさんに1つアンケートをとってみたいと思います。先ほど嘉村さんからティール組織についての解説をいただきました。

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

Redの原始的な組織からティール型組織まで、いろいろあります。質問は「みなさんの属している組織は何色ですか?」ということで(笑)。

では、「Redに属しているぞ」と。「ちょっとマフィアっぽいぞ」という組織の方はいらっしゃいますか?

(会場笑)

あら、いない? 誰も見てないと思いますので、遠慮なく言ってくださいよ。Redの次は、Amber。いわゆるヒエラルキーができた組織だという方はいらっしゃいますか? 

(会場挙手)

Amberは、まぁまぁ、たくさんいらっしゃいますね。その次がOrangeですね。能力主義、実力主義みたいな会社・組織だという方?

(会場挙手)

あっ、多い! 

嘉村賢州氏(以下、嘉村):やっぱり多いですね。

青野:Orangeが多いですね。

嘉村:はい。

青野:その次の段階ですね。次はカルチャーもちゃんとできていて、一人ひとりの多様性を重んじるGreenの組織だという方はいらっしゃいますか?

(会場挙手)

おっ、Green多いな。

嘉村:Greenもそこそこ。

青野:いらっしゃらないかもしれませんが、もう1段先の「売上目標すらねえぞ」みたいな、ティール組織だという方はいらっしゃいます? 

……これはいないかな。じゃあ、やっぱりOrange・Greenあたりがマジョリティということですね。

「死に物狂いにならないと潰れちゃう」 岡田氏だけがRedの理由

青野:このパネルの前に、実はお三方には「どこに属しますか?」というのを聞いています。こちらのスライドに出てますね(笑)。

(会場笑)

ねえ。Redですよ。岡田さん。

岡田:俺だけ? 誰もいないの?

(会場笑)

青野:岡田さんがRed。

嘉村:会場に1人います。

青野:あ、会場で1人いましたよね。どうしてRedにされたんですか?

岡田:Redというか……まず、経営も何もわからないのに、最初東京とかいろんなところから6人集まって会社を立ち上げました。まだ経理業務もなんもなくて、会社の貯金通帳しか信用できないわけね。貯金通帳を見て「あれ、これひょっとして3ヶ月後、給料払えなくなるな」とかね。働き方改革は大事なんだけど、これはあんまり言っちゃいけないんだけど、死に物狂いで働かないと本当につぶれちゃうんですよ。

(会場笑)

昔、『HARD THINGS』という本が流行ったでしょ。みんなで事務所に寝袋で泊まって働いてる、アメリカのスタートアップを描いている本で。これを社員に読ませて「これがスタートアップだ」と言ってたんです。

(会場笑)

でも、やっぱりそれじゃダメなんだなと。その頃から経営の本を読み漁って、いろんな人に教えてもらいにいきました。それでもやはり失敗しながら、やっとここまできました。

例えば、雨が降ってお客さんに900人しか来てもらえない。でも、この来ていただいた900人は絶対に逃したくない。僕は試合後に飛んでいって、出口で「ありがとうございます!」と1人ずつ挨拶するんだけど、その危機感はほかの社員にはぜんぜんないわけ。

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