「2つの顧客」の満足を追求する
リクルート流、サービスデザインについて執行役員が語る

UXDesign -サービスをデザインする- #2/4

リクルート REAL 第2弾
に開催

社会人から学生まで、挑戦者を応援するキャリア観形成イベント「REAL」。第2弾として開催された今回のテーマは「UXDesign -サービスをデザインする-」。パネルディスカッションやテーマ別座談会を通して、自身のキャリアについて考えるきっかけを提供します。本パートでは、リクルートテクノロジーズで執行役員を務める・岩佐浩徳氏が登壇。リクルートという会社が組織として、UXデザインやサービスデザインにどのように取り組んでいるのか、ということについて話しました。

提供:株式会社リクルートホールディングス

会社としてUXにどう取り組んでいるのか

坂田一倫氏(以下、坂田):では、引き続きテーマ2に移っていきたいと思います。テーマ2では、先ほどテーマ1で扱ったポイントを振り返りながら、実際にそれがリクルートでどのように装着されているのかといったことを事例と共に紐解いていきたいと思います。

登壇者は3名。岩佐、反中、酒井よりそれぞれの事例を発表していただきたいと思っています。ではさっそく、岩佐に発表をお願いしたいと思います。岩佐さん、お願いいたします。

岩佐浩徳氏(以下、岩佐):みなさん、こんにちは。さっそく始めさせていただければと思います。

僕からは、リクルート社、分社していろいろな会社があるんですけれど、リクルート全体として、こういったUXデザインやサービスデザインに対して、どういうふうに組織立てて取り組んでいるのかについてお話できればと思います。よろしくお願いします。

簡単に自己紹介いたします。松村と竹部と一緒で、僕も多摩美術大学の情報デザイン学科を出ております。リクルートに、実はプロパーでして、1994年入社なので、今、22年ぐらい経っています。

現在は、リクルートテクノロジーズとリクルートキャリア、ここの執行役員として、ITやマーケティング周りを見ています

なにをやってきたかというと、リクルートってもともとは紙の会社だったんです。情報誌を出していた会社だったので、ネットをぜんぜんやっていなかったんですね。僕が入ったのは、R&Dの部門でして。その当時から、「いつか紙だけで戦える時代は終わる、そのときにリクルートがちゃんと別のプラットフォームとして商売できる状態を作ってほしい」と。10年後にリクルートが“潰れてもいいような状態を作る”ということがミッションでありました。

そこからインターネットの立ち上げをやったり、いろんなプラットフォームのR&Dを通しながら、どういった面がメディアになっていけるのか、みたいなことを模索していきました。

世の中的にもインターネットが爆発的なプラットフォームになってきたなかで、会社全体がネットサービス化していっています。ここを話し続けると時間が終わってしまうので、いろいろやってますという言うぐらいにしてまして(笑)。

約300人がUXデザインに携わる

では、リクルートってどんな感じなんですかね、と。僕も実は入社するときに、リクルートがなにをやってる会社か知らないで入ったんですけど。現状の連結の売上高としてはこんな感じです。1兆3千億円ぐらい。EBITDAで言うと、1,900億円ぐらいの規模感です。

紙媒体267、ネットサービス200、アプリ350くらいあり、実はすごい数のサービスがあります。

これがリクルートホールディングスという全体の図になっていまして、今は領域単位で分社化していますので、こういう構造になっています。

今、私は、横断組織のリクルートテクノロジーズに本籍があるんですけれど、だいたいほとんどは事業会社に出向兼務というかたちで入っていまして、横断でそのマーケティングの支援をしています。

リクルート全体でいうと、名前だけ数えるとだいたい300人ぐらい「UXDっぽいこと」をやってる人たちがいます。UX周りをやっている人が300人いる会社って、そんなにないんじゃないかと思います。

リクルートが持つ「2つの顧客」

これがリクルートのなかで「リボンモデル」と呼ばれているチャートです。うちがやっている商売は、だいたいこのモデルがベースになってます。

カスタマーサイドとクライアント、ここにはいろんな企業さんがいらっしゃるんですが、それぞれのニーズをここで結びつける、マッチングを通じて、そこから換金化をして、我々としては事業継続をすると、これがベースのモデルになってます。

ですので、我々はカスタマーだけではなくて、「2つの顧客」と言っているんですが、この2つの顧客がうまくちゃんと集まって、動いて、マッチングするというものをサービスのなかでも考えています。

これらの特徴としては、うち、物を作ってないんですね。メーカーさんと違うところとして、サービスが主の商品になってます。今言った2つの顧客、どちらも我々にとってはユーザーさんです。

就職や結婚という、人生の転機。みんなが初めてそこに取り組むようなところに、我々は伴走してサービスを行うということが中心となっています。

最近は、ここのモデルから、ちょっと染みだしたようなかたちでもサービスがどんどん動いています。これは「スタディサプリ」という、「受験サプリ」と言われていたものがブランドチェンジしたんですけれど。受験生の「不」を解消しようと、よりユーザーサイドに寄り添ったサービスだったり。

ホットペッパービューティーを使っていただいている方もいると思うんですけど、実は「サロンボード(SALON BOARD)」というクライアント向けのプラットフォームがありまして。これを美容室さんが毎日チェックをしながら、「予約入ったかな?」というようなことをやってらっしゃったり。

「Airレジ」これは小売店、小規模な店舗で、そんな大規模なレジを入れられないという方に対して、フリーでレジを提供するというようなサービス。

リクルートの価値作りというところのベースに、カスタマーやクライアントのいろんな「不」があるんですよね。なかなかお金が出せないとか、情報ってなかなかわからないというような「不」に着目して、我々はサービスのデザインをしています。

サービス特性に合わせてデザインしていく

では、このなかでさっきの話にあったようなUXデザインが全体的にどう動いているのかという話になるんですけれど。

さっきの「リボンモデル」に、実際の体験がオーバーラップしてくるというところで、ここにUXデザインの考え方を持ち込んでいます。なので、持ち込む領域としては、こちらのカスタマーサイドもありますし、クライアント側の体験というものもデザインするというイメージです。

かつ、これはうちのなかでやっている事業の成熟度、サービスの成熟度なんですけれど。よくアーリーステージだったり、グロースステージとかって言われると思うんですが、うちの事業のなかにもいろんなフェイズの事業があります。

我々はそのなかでも、開発もそのフェイズに伴った開発の手段・手法というものをやっていきますし。我々のなかでも、それに付随したUXの、さっき言っていた「やり方」ですね。そういうものをアジャストしながら取り組んでいます。だから、一律で同じやり方というものではなくて、そのサービス特性に合わせたやり方で、そのデザインをしています。

最近だと、うちってけっこうポータル的なサービスが多いんですけれど、なかなか今の我々が動かせている、ちゃんとサービスを提供できている人って、ある程度「良し悪し」とか「何をすればいいか」ということがわかっていて、能動的にちゃんと行動ができる。ざっくり言うと、こちら、わかる・動けるのセグメントの人向けのサービスになってると思っていまして。

そうじゃない人。なかなか動けないとか、自分ではなかなか判断できない人というユーザーさんが、マクロに見るとものすごく世の中にも増えていると認識していて、こういった方々に「何を提供していくんだ?」という話を内部では考えて、次のUX、ユーザー体験を検討しています。

これがセグメントと思ってるかたちでイメージしているものなんですけれど。いま現在のうちの事業のなかでいくと、ブランディングだったり、集客だったり、サービスだったり、サポートみたいなものがやはりすごく大きい企業なので、それぞれのセクションが、例えばそれぞれのお財布を持って、そこのなかでぐるぐる回すという。ほとんど今の日本の企業というのはそういう構造になっています。

本当はぜんぶ一貫した体験設計をしてしかるべきと思っているんですけれど、この「セクショナリズム」というものが弊社にもまだありまして。ここをうまく繋げていくということが、でききっていないので、それをUXDをベースとしながら、それぞれのセグメントの体験を、どんなアタッチポイントにおいても繋がっていくものを設計をしていくことを今、指向して動いています。

なので、さっきの「リボンモデル」に、この「オートメーション化」をレイアウトさせていくことを考えています。

できることを増やしていく、育成の考え方

UXデザインという領域って、UXデザインと一言で言っても、ものすごく領域が広い。いろんなことができないとものが作れないと思っているので、「育成」ということがものすごく大事だと思ってます。

我々がどう取り組んでいるか。とくに今みたいな世界を指向していこうとすると、もっとテクニカルなことを知りにいかなければいけないこともどんどん増えていく。

ちなみに、これはテクノロジーズ社のなかのサービスデザイン組織がこうなってますというイメージなんですけれど。サービスデザインを行う上で、こういった職能を細分化して、機能グループにしています。

なので、まずブランドをちゃんと習得したいとなったらここに入ります。ですけれど、この主務でどんどん強みを活かしていってもらって、最終的には、これが全部できるような、人材にみんなになっていただきたいということがベースにはあります。ですので、どこかに入ったらそこでもう終わりではなく、むしろそこを早くクリアして、どんどんほかを食っていってくださいという発想で、この組織運営を行っています。

ここもちゃんと定量化して、なかでケーパビリティを広げていくというアセスメントも作りながら、ちゃんと上司とメンバーで「次にどういうケーパビリティをなにで伸ばしていこうか?」と話しながら、ミッションとも連動させながら、会話をすることに取り組んでいます。

基本的にはなにがしかのサービスにコミットをして、そこの目標をどう達成するかということが、おおむねの仕事にはなるんですけれど。さっきご紹介したような世界を作っていくためには、今動いているサービスでそれを全部入れようとしても、なかなかすぐにはできないので。やはりどうしてもR&D的にちゃんとそれを研究することも必要です。

うちのなかで言うと、これはメンバーにもよるんですけれど、だいたい20パーセントぐらいはそういった開拓、R&Dをちゃんとミッションとして、それを推進してもらうことをやっています。

リクルート全社で一貫した体験を提供

最後になりますが、リクルートは分社化をしていて、国内の主要な事業会社だけでも7社、すべて含めると140社近い連結子会社が存在します。

いろんな社名の会社に分社化しても、「『じゃらん』はライフスタイル社のサービスだ」って認識はないと思うんです。なので、今ホールディングス体制というかたちにはなっているものの、やはり、これ全部がリクルートのサービスだと思っています。

我々は基本的には、全部のリクルートサービスを、いろんな接点を通じて、それがちゃんと一貫性がある体験を提供するべきだと思っています。こういった「ONE RECRUIT体験」をちゃんと提供できるように、組織を動かしながら取り組んでいるところです。

僕からはこれで以上とさせていただきます。ありがとうございます。

(会場拍手)

坂田:岩佐さん、ありがとうございました。

岩佐の話のなかにも、1つ特徴的なキーワードがあったと思います。「リボンモデル」と呼ばれてるものは、我々の対カスタマー・対クライアントにサービスや体験を提供する際の基盤として、何十年も前から続いているものです。

いろいろと記事に取り上げられていたり、紹介されていたり、リクルートテクノロジーズのブログがあったりするので。そこでこの「リボンモデル」で培った、これに従ったユーザー体験設計ないしは、クライアント体験設計についても紹介しているので、ぜひ見ていただければと思います。

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