デジタルによる教育サービスの可能性

長谷川敦弥氏(以下、長谷川):今、うちは教育も障がい者の支援もやっていて、インターネットビジネスにチャレンジしている最中なんですけど、ベースは店舗型でやっているんですね。

そのモデル自体がわりと完成されているので順調にいっているんですけど、より模索しながらチャレンジされているのがスマートエデュケーションさんだと思っていて。

実際に今どうですか? 社会性と経済性の両立という観点で、マネタイズはどれぐらい進んでいるのか。

池谷大吾氏(以下、池谷):おかげさまで僕らは本当にデジタル1本で、ほとんどの売り上げがB to Cの知育アプリですけど、業績含めて順調ですね。

というのは、お母さんのスマートフォンがふえてきたという話と、それで育児ができるんだというか、少しずつお母さんたちが価値を感じ始めているんじゃないかなと思っていて。

おかげさまでユーザーもすごくふえてきたので、そこはすごく手応えを感じています。

ただ、僕たちもそれだけではあまり満足してなくて、お母さんたちがスマートエデュケーションのすべてのコンテンツ使っているわけではないですし、まだ断片的にしか理解されてないと思っていて。

なので、今でも伸びてますけど、まだまだ見えてない潜在市場というのはすごいたくさんあると思っていて、デジタルだけでもまだまだ伸ばせるなと思っています。

長谷川:なるほど。

池谷:3年前と今は全然違いますね。

成長する知育アプリ市場

長谷川:国内での体制は何名ぐらいでやられてるんですか。

池谷:今、プロパーで20人ぐらいですね。

長谷川:なるほど。

池谷:我々の場合はデザイナーとエンジニア、アプリをつくっている人がほとんどの会社ですから、プラス10人ぐらい専属で業務委託でやると。それを含めると30人ぐらいの部隊になると思います。

長谷川:なるほど。

池谷:自分たちでつくるばかりではなくて、例えば最近やった「はらぺこあおむし」のアプリがあるんですけど、それもアイルランドの会社がもともとつくってるやつを我々が商社的な動きをして、「日本ではもっと売れるはずだから一緒にやろう」と言って。

彼らのテクノロジーを我々がうまくプロデュースするというのも始まりましたね。自社ラインだけではなくて、他社のものも含めてお母さんたちに伝えていくという感じになってきたかと思います。

長谷川:踏み込んだ話、月商とかって今どんな感じなんですか?

池谷:これ、非公開ですね(笑)。おかげさまで順調ですけどね。僕らの場合は粗利がすごく高いので、非常に伸びてきたかなという感じはすごくしますね。

起業したときは本当に(ユーザーは)ほとんど無料で使ってて、たまに(有料で使う)みたいな感じでしたけど、事業も僕らはサブスクリプション、月額制ですから。ずっと払っていただけるお客さんもそうですし、最近はブランド価値も出てきたので。

長谷川:ファンがつきだしてるんですね。

池谷:講演会とかでも知っている人多いですよ。「Gocco知ってます」「こどもモード知ってます」とか、結構認知度が高くなってきたかなと思っていて。我々としては、本当にそういった面では結構おもしろい市場になってきたなというのは。

将来の目標を見据えた人材と資金の使い方

長谷川:黒字化自体は、どのタイミングで達成されてたんですか。

池谷:いや、うちまだ赤字です。

長谷川:そうなんですね。

池谷:ちょうど5期目が始まったんですけど、4期連続で赤字ですね。

ただ、黒字化にするのはあまり難しくなくて、既存の動いているアプリ、サブスクリプションのアプリだけを考えるともう完全に黒字の状態で、次のものをつくっていたり、新しい動きのために投資をしているんですよね。

20人のうちほとんどのメンバーをそこへ突っ込んでいるところなので。あんまり小さいビジネスをつくる気はなくて、よく言うんですけど、レゴであったりディズニーであったり、ああいうところを狙いたいと思っているので、ワールドワイドで記憶に残る会社をつくりたいというのが僕の野心なんですよね。

そのために資金調達も相当していますし、それを細々使って延命する気はあまりないので、基本は「勝負だ」という感じで突っ込んでいます。

国内市場と海外市場の戦略

長谷川:いいですね。グローバル展開も結構早い段階から、ブランドもつくられてチャレンジされてるじゃないですか。あれは実際にはどうなんですか?

池谷:実際には結構難しいです。最初は先進国中心でやっていて、ダウンロード数は伸びるんですけど、マネタイズが難しいです。

これはゲームも同じで、スマートフォンって日本が最もゲームの市場がでかかったりするじゃないですか。そういったマーケットの中ではマネタイズは正直厳しいかなと思っています。

実は最近少し海外の流れを変えていて、育ちきった国よりかは、ASEANであったり、そういった国で伸ばしていこうというふうに少しストーリーを変えてます。

長谷川:そうなんですね。

池谷:いろんな契機があったり、今投資している新しいことがあるので、そっちも含めてなんですけど。今はそういった意味で、その辺を変えていかないといけないので。

盤石な国内市場をきっちり伸ばしつつ、海外に関しては少し方向性を変えながら進めているという感じだと思います。

日本の教育に足りない「考える力」

長谷川:教育の問題を解決していくという、原点に立ち返った議論もさせていただきたいんですけど。今、日本の教育の問題点はどのあたりにあるとお考えですか。

池谷:シンプルにいうと、考える時間がすごく少ないと思うんですね。我々はやっぱり21世紀型教育にすごく共感していて。

ご存知のとおり、2020年にようやくセンター試験がなくなるとか、知識詰め込み主義で偏差値評価をして日本はこうなったみたいな。僕らがつくってるスマートデバイスも全部日本のものでもないし。

やっぱり日本人に足りない個性であったり、考える力とかというのがものすごい少ないと思っているんで、そこに隙を感じています。

例えば、幼稚園で僕らがやってることも、「うちのアプリ使え」じゃなくて「プレゼンやれ」とかそういった話なわけです。1年間やれば立派なプレゼンができるようになるわけであって。

今まで教育って、先生が同じ情報を伝えて、「覚えろ」とか「しゃべれ」とか、そういうことをやってきたわけで。それはもちろん必要なんだけど、これからはもっとこういう場で我々よりもしゃべれるような、そういった子を育てていかないと。やっぱり個を光らせて、それを表に出していく力が(必要になってくる)。

長谷川:いいですね。

池谷:考える力というのはポイントかなと思っていて。そういった教材をつくる。それってまだまだ全然できることだし、空白地帯なんで。

今でも教育の現場でほとんどやられてないですから。それを考えると、まだまだ市場は大きくなるだろうなと思います。

長谷川:確かに。まだまだ解決されてない大きな問題ですもんね。

池谷:教育市場というのはやればやるほど空洞があって、さっき言ったように、本当にやる気と能力さえあれば変えられる領域ってあって、うちやLITALICOさんがやっているのって全体の変えるべき課題の中でいうと、こんなもん(小さい)みたいな。

長谷川:そうですね。