持ち上げられて叩かれて…「堀江ショック」に未だ怯える若手ベンチャー起業家たち

注目若手経営者が語る成長企業の組織作り、経営者の仕事 #5/5

IVS 2014 Fall Kyoto
に開催

CA藤田晋氏が若手起業家たちに「優等生すぎて面白みに欠ける」と鋭く切り込むIVSのセッション。これに対して「10歳上の藤田氏、堀江氏らを見て学んだ反省点を活かしているだけ」と、ウォンテッドリー仲氏、じげん平尾氏、スポットライト柴田氏、LITALICO長谷川氏の4人が口を揃えて反論しました。(IVS 2014 Fallより)

藤田晋氏「若手起業家は大人しすぎる」

藤田:じゃあ、また順番に同じ質問を聞きたいんですけど。皆さん30歳前後くらいの年代で、僕は10歳上くらいですけど、僕の印象では最年少上場の村上(太一、リブセンス代表取締役社長)さんとかすごくお行儀がいいじゃないですか。突っ込みどころがないみたいな。

すごく優秀な起業家たちが多くて、僕らの頃より全然優秀なんだけど、なんか優等生だなという。なんかやらかしそうな面白さがちょっと足りない。そこで僕はこの世代を「優等生世代」……ホリエモンの逮捕を見て「やべえ、目立つと叩かれる」みたいな印象を受けたのかなと思うんですけど、優等生世代と言われることについて皆さんはいかがお感じですか。

:優等生っていうか、逆にしたたかみたいな。ロールキャベツみたいに、草食系に見えて肉食みたいな、そういう感じの子たちが多いのかなって気がしてて。

藤田:ロールキャベツ男子?(笑)

:目立たずに、やることやってるみたいな(笑)。逆に怖いというか、末恐ろしいのかなと思いますけどね。

藤田:そういうの、例えば誰ですか?

:(笑)。例えばですけど、村上くんとかもさっき突っ込みどころがないって言ってましたけど……。

藤田:平尾さんとかも結構快気なことを言うわりには、親に紹介したらすぐ気に入られそうな雰囲気で。

平尾:いやいや、ガードを固めてるだけでございますんで。しっかりガードを固めてます。

:ボロが出なそうな感じですよね(笑)。

「堀江ショック」がベンチャー界に残した残滓

藤田:ちなみに柴田さんはどう思いますか。

柴田:やっぱり10年上の世代が持ち上げられたあと叩かれたというのは、みんな原体験として持ってるんじゃないですか。それは確実に持ってると思います。そのせいだと思います。

(会場笑)

柴田:良い悪いはもちろんあると思うんですけど、良いところというか、こういうのを見て「なんだ、すごく普通の人じゃん。じゃあ俺でもできるんじゃないかな」とみんなが思ってくれると、すごく嬉しいなとは思います。エキセントリックになりきれないというところは、実は起業家として弱みであるとは思うんですけれども、そういうのを見て「普通の人だな」と思ってくれる人が増えるといいなと思います。

藤田:どうですか。

平尾:私は同年代の起業家から仲間はずれにされることが多いので、あんまり優等生というのが(ピンと来ない)……。経歴だけ見るとそういうふうに見えるかもしれませんが、どちらかというと藤田さんや堀江さん世代が時代を動かしていったところを見ながら「ああなりたい」と思って起業したタイプなので。

藤田:(他の起業家は)「ああなりたくないな」っていうのがあるわけですよ。

平尾:逆にいろいろ見てたので、反省材料みたいなのもストックはしておるんですけども、それを活かした上でやってかなきゃいけないってところと、やっぱり(自分の世代は)スピード感であったり規模感というところが物足りないなというのは感じてます。

自分もおっしゃっていただいたとおり、大きいことを言いながらも堅いところからやっていって、大きいところを虎視眈々と狙っていくようなタイプなんですけど、もっと言ってもいいんじゃないかなと思うんですけどね。

なかなか大きいこと言う人も減ってきてますし、(大きいこと)やりたいっていう人も減ってきてるのは、3人よりも2歳くらい上の自分から言うと……たぶん、半身は先輩方を見ながら、半身はこちらの皆さん(優等生世代)と一緒の思い、アイデンティティが強いのかなと思ってますね。

藤田:長谷川さんは、業務上あんまり暴れるわけにもいかないと思いますけど。

長谷川:個人的には元気が良いほうですが、世代とかを見ていて、むしろ今の30代とか40代でITの流れに乗っていって上場して、きちんと株主さんから求められる業績を出し続けているほうが、僕は逆に優等生に見えてしまうというか。今の世代、20代とか若い世代を見てると、結構いろんな分野に分散していってるんですね。急にルワンダに行って「教育を変える」と言い出したり。

ある意味、今のITの流れに乗っかるって結構優等生的な発想だなと思っていて。そうじゃない、よくわかんない行動を起こすっていう人でいくと、今の20代のほうが逆に不良が多いんじゃないかなと思いますね。

事業を売却する基準

藤田:そういう意味では、平尾さんは「次元を超える」とか、3次元とか4次元とかわけわかんないことを言い始めましたね。

平尾:はい。わけわかんないことを言っております(笑)。

藤田:あと5分くらいですけど、僕に質問でもいいですし、何か言っておきたかったことみたいな。

平尾:いいですか? 柴田さんと藤田さんに質問なんですけども、私は事業も好きだし起業家も好きだし、どちらかというとマーケットとしては永続的になくならないところで勝負してるところが強いんですけど、やっぱり育ててきた会社を……例えばサイバーエージェントさんであれば、私もFX(サイバーエージェントFX、2012年にヤフーに株式譲渡)がほしかったんですけど200億円がなかったので買えなかったんです。西條(晋一)さんにお伺いさせていただいて……あんまり言っちゃいけないですね。

やっぱり売却の選択であったり勝負強いと思うんですけど、柴田さんもそうですが、どういう気持ちで売ったりされるのかなと思って。私はどっちかというとずっと経営していきたいタイプなので……(柴田さん、藤田さんは)グレートベンチャーを作るとか、21世紀を代表する会社を作るというところで、その中の事業転換というのはいくつかあられると思うんですが。

ウチの会社は事業の失敗で撤退はあるんですが、買わせていただいた会社さんも育てた会社もどちらも息子みたいな感じで考えてるので、外に出すみたいなことはずっとやらないんだろうなと。「愛情・友情~」ですから(笑)。

そう思っておりまして、(会社を)育てていって大きくするという。そういう意味では考え方が違うんですけど、「全部やったらいいんじゃないかな」と個人的には思ってたりするんですね。

もちろん経営リソースは分散してますし、コングロマリットという言葉が出ちゃうくらい、株式市場ではネガティブというのもあると思うんですけども、それって西洋の考え方と思っていて。最近、インドだとタタ・グループとか、中国だとアリババさんとか、コングロマリットの会社のほうが伸びてる実情があると思うんですよね。

そういうところを考えたときに、何が売却観点であったりとか、そういう意思決定をされてらっしゃるのかなというのを、ぜひお二人に聞いてみたいです。

柴田:さっき申し上げたように、サービスの観点が一番大きいですね。結局そのために集めたチームなのでそれが伸びていくに越したことはないし、逆に「独立性を保ちたい」という自分のエゴにその人たちを巻き込むっていうのは、僕はいかがなものかと思っているので、そういうステージを変えるときは当然あるんじゃないかなと思っています。

そういうところがひとつですね。逆に質問したいんですけど、どの事業が一番好きとかってないんですか?

平尾:私は事業オタクなんで、全部やりたくなっちゃうんですよね。なので、割と全部好きって感じなのと、ITはどちらかというと手段だと思ってるので、いろんなところを全部やっていきたいなという感覚のほうが強くて。

ケイパビリティさえあれば多角化は絶対上手くいくと思ってるタイプなので、あとは出資比率とか経営権とかのいろんな手法を含めて多様化している中で、自分がやったほうが上手くいくのかなとちょっと思ったんですよね。

これはエゴかもしれないんですけど。そのコントロールが自分たちのほうが上手くいくのであれば、売らずして出資でやるとかそういうのもあると思いましたし。愛情が強いので、あんまり外に出したくないなというのが強かったりしますね。エゴかもしれないんですけど。

日本のネット業界はすごく特殊

藤田:ウチはそういう意味でいうとコングロマリット化してるというか、ピボットを前提として組織を作っているので。日本のネット業界はすごく特殊じゃないですか。まあ(海外と日本と)どっちが特殊なのかわからないけど、ヤフーやGMOや楽天にしてもみんな多角化してコングロマリット化していくっていうか。

この日本という市場をメインに奪い合っている感じで、アマゾンとかグーグルみたいに世界市場という形になかなかなっていないのが前提としてある。売るっていう観点は……売るのはたまにあるんですよ、ウチの会社。

FXを売った理由は本当にはっきりしてて、西條くんが辞めるっていうんで「誰がわかるの、これ」みたいになって、高く売れるんだったら売ろうよ、売れなかったら誰かが自前で学んでやろうということで、高く買ってくれるヤフーに売ったということです。まあ平尾さんが来たのは知ってるんですけど、なかなか金銭的にちょっと……。

平尾:すいません(笑)。お金が足りませんでした。

藤田:他になにかありますか? 大丈夫ですか。じゃあ最後に一言ずついただきましょうか。今日の感想でもいいですけど。

:今日は藤田さんが皆さんにズバズバ突っ込んでいて面白かったと思います。あと、皆さんステージによって話す内容だったりとか、向かってる方向とかもまったく違うので、2年後とかに集まったらまた全然違った状態になってたり方向も変わったりするのかなと。それこそが今回の比較的若手の人たちの登壇(する意味)だったのかなと思うので、そういう意味ではすごく面白かったなと思います。

長谷川:「優等生世代」って言われないように、ヤンチャにイノベーティブなことをやっていかなきゃいけないなとすごく思いました。やっぱりテクノロジーとか若い優秀な人の力ってIT業界にすごくたくさん集まってきていて、僕らの分野から見るとすごくうらやましいんですね。

ITの分野の中にも、自分たちのサービスを通してどう社会を良くできるかとか、例えば障害者の生活を改善できるかとか興味を持ってらっしゃる方がいっぱいいるんじゃないかと思うので、僕らの側からITの会社の皆さんとコラボレーションする機会を積極的に今後求めに行って、そういう力を活かして障害者の未来や教育の未来を変えていくというのをやっていきたいと思ってます。

もしこの後お時間ありましたら、お話させていただけるとありがたいなと思います。どうもありがとうございました。

CA藤田氏の総括「動きが地味」

平尾:どうしても「1兆円男」みたいになってしまって。

(会場笑)

平尾:我々は別に1兆円を目指してる会社ではなくて、規模感としてはそこまで行かなきゃいけないという目標、バロメーターの必要ラインだと思ってます。そこで考えたときに、我々の会社自体は……元々私はリクルートの出身なんですが、その前は慶応SFCの環境情報学部でやっておりまして。

情報というのは、藤田さんのところのアメーバもそうですしブログの時代になっていって、どんどん情報爆発になってくる。すると、ひとつの情報あたりの価値は通常であればデフレしていくと思っていいと思います。

分母が増えていきますので、ひとつあたりの情報の価値は下がっていく。ひとつの情報自体が無価値になっていく時代が普通に来るんじゃないかと思っていて、そこを企業の方とユーザーの方であったり、ユーザー同士の方であったり、企業同士の方々の非対称性をちゃんと埋めていくことで、皆さんのチャンスは増えてくるのかなと思ってます。

じげんはそのお手伝いをしていきたいと思ってますので、次回は「1兆円社長」というのは言わないでくださいというところで、締めにしたいと思っております。どうもありがとうございました。

柴田:今日は、4人の中でバイアウトしているのは私だけということで関連の話題が多かったんですけれども、僕が思うにMBOもIPOもM&Aも手段のひとつに過ぎなくて。今年に入ってもIPOにM&Aもすごく増えていて、この会場にいる方々も、M&Aをした方・された方が多いと思うんですけども、まだまだ少ないしおおっぴらになりづらい。

IPOとかだと、いろんな本だったり投資家の方もすごく多いのでノウハウが積まれていっていると思うんですけども、M&Aは日本だと買った側・買われた側のポストM&A、統合だったりシナジーを出していく部分のノウハウが貯まっていないと思うので、そこらへんは臆せずにいろんな情報を公開していって、どうすればM&Aで1+1が2以上になるような結果が生み出せるのかを追求していきたいなと僕は思ってます。ありがとうございます。

藤田:皆様、今日は長い時間聴いていただいてどうもありがとうございました。メンバーが30歳前後ですけど、とても良かったというか有望な人ばっかりだったので……僕から見ると、その割には動きが地味かなというのがあるんですけど。しつこいようですが(笑)。

下手なモデレーターで、今日で3回目になるんですけどもうちょっと切り込めたかなとも思うんですが。次回のIVSでは反省して、今度は熊谷(正寿、GMOインターネット代表取締役会長兼社長)さんあたりに厳しく追求していこうかなと。あるいはグリーの田中(良和)くんとかね。みんなが聞きづらい人にやっていこうと思ってますので、またよろしくお願いします。今日は皆さん、ありがとうございました。

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IVS(Infinity Ventures Summit)

IT業界の一流企業の経営者や経営幹部が一同に会し、ディスカッションやスピーチが行なわれる豪華イベント。普段は見ることのできないクローズドな経営者同士の会話や経営裏話など、日本のIT業界の最先端情報がここに集まっています。
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