「スタートアップとはカルト宗教であり、シェアオフィスからは生まれない」--Square・元COOキース・ラボイス

Lecture 14 - How to Operate #4/6

Paypal創業当初の幹部としても名高い、Squareの元COO・Keith Rabois(キース・ラボイス)氏が起業家育成講義に登場。本講義では、会場から寄せられた質問に、キール氏が回答します。

給与形態をふたつにわける

学生:あなたは報酬の透明化について話したと思います。特に従業員が自分の価値と自分の給与が等しいと考えている場合にどうするのかを知りたいです。私なら、給与帯に分けると思います。

会社の誰もが同じ給与で働くか、あるいは他の全ての規則、全てのエンジニアと同じように、素晴らしい経験に対して高い給与を出すかです。

キース・ラボイス氏(以下、キース):スティーブ・ジョブズがNeXTでやった方法は、高い給与帯と低い給与帯に分けることです。高い経験と低い経験があるとして、低い経験の場合は全員一律に、例えば85,000ドルとします。そしてもしあながたすごい経験を持っているのなら、例えば13,000ドルにして、そのふたつだけにする。これがNeXTがインフレーションに対して行ったことです。

学生:スタートアップでは、食事以外にこだわるべきものはありますか?

キース:食事以外にどんなディティールがあるか、ということですよね。彼らが使うラップトップです。今や、これは誰もが持っているものになりました。しかし5年前は、例えばそれがDellみたいなコンピュータと醜いモニターでコストがかかっても、性能のいいマシンを与えることは利益になりました。十分にリソースがあり、今の経済システムの中で競争できるだけのすさまじい才能がある人たちには、最高の仕事をしてもらうために、最高のツールを与えるべきです。

人々に成功してもらうためにはどうしたらいいのかについて、厳密に正しく考えましょう。仕事をしているときに集中力を削いでいる、取り除くべきものはなんでしょうか? 1日を価値あるものにするために、彼らに与えられるものはなんでしょうか? これを毎日のことに分割して、自分で解決していくべきです。

スタートアップの経営者は、カルト宗教の教祖たれ

学生:もしスタートアップの環境にいるとして、どうやってそうしたものを最適化するのでしょう? 資金は常に限られています。

キース:これはとても、とてもいい質問です。私が考えるに、まず最初に必要なものは、自分のオフィスです。私はシェアオフィスというものを信じたことはありません。ピーターがこれについて少し語っていますが、全てのスタートアップとは、カルト宗教なのです。空間を共有しているところでカルトを作り上げることは非常に困難です。カルトとは、あなたが世界中の誰より優れていると思わせる必要があります。だから世界中の誰もやっていないような方法で、物事に当たらなければならないのです。

他の人たちと物理的にスペースを共有していれば、そうしたことを教え込むのは困難です。なのでまずはそこからはじめるべきですが、これは優先度の問題です。誰にとってもリソースは限られていますが、それではゼロが幾つなら気にしますか? 10ドルは気にしないでしょう。100ドル、1,000ドル、10,000ドル、そして1,000,000ドル、10,000,000ドル。端数処理がエラーを起こすまでです。

つまり何がもっとも重要なのか、ということを考える必要があるのです。そして私はそれは、質の高いオフィスだと思います。

これは従業員の採用にも当てはまります。なぜなら求職者はこのことに非常に敏感だからです。オフィスに入れば、そこがどんなカルチャーなのかよくわかります。私はよく、オフィスに入った瞬間に、投資すべきかどうかわかることがあります。入るや否や投資はしたくないと思うときもあります。入った瞬間にすごい、素晴らしいと思える瞬間があるのです。人々がどうやって一緒に働いているか、どれほど一生懸命仕事をしているか、そしてどれくらい集中を欠いているかを伝える言葉はありません。

セコイア・キャピタルのローロフ・ボーサは、YouTubeについて面白いことを言っていました。私がYouTubeの本当に初期に投資したときに、成功するかどうかはまだわかりませんでした。しかしローロフは、シリーズAの投資をYouTubeに行いました。そして一緒に取締役会にいたとき、彼は「YouTubeはうまくいくだろう」と言いました。

私は「どうしてそんなことがわかる?」と尋ねました。すると、彼は「そうだな、ポートフォリオに入っている会社に行くたびに、半分のオフィスはランチの時間にYouTubeを見ているよ」と言ったのです。

(会場笑)

私はそれは、素晴らしいサインだなと思いました。こうした小さいことを汲み上げることで、いろいろなことを予測できるようになります。

新しく人を雇うのではなく、昇進によってマネージャーを作る

学生:新しいマネージャーが、若者の信頼を得るためにはどうしたらいいでしょう?

キース:シリコンバレーのほとんど全ての良いマネージャーは昇進しています。なぜなら彼ら個人の高いパフォーマンスが能力主義的なカルチャーの中で評価されるからです。そこでPayPalでは、規則なんてくそくらえという人だけを昇進させました。ピーターは、ゼネラルマネージャーというものを信じていませんでした。

PayPalの立ち上げ初週にキャンパスの周りをジョギングしていたとき、彼が私に、調子はどうだい、といったCEOによくある質問をしてきました。それから会社にマネージャーが必要かどうかという議論になったとき、彼は、「いや、マネージャーはいらない」と言いました。ただ人を昇進させるべきだ、と。

エンジニアリングのVPはひとりの最高のエンジニアで、デザインのVPはひとりの最高のデザイナーで、プロダクトのVPはひとりの最高のプロダクトに関わる人間で、どうやってマネジメントをするかは後から学べばいい、と。

この方法の利点は、士気を落とさないことです。誰もが自分の上司が自分よりその仕事ができて、上司から学ぶことができると知っているからです。マネージメントの技術は後から学べばいいのです。規律とスキルを持っていない、単にマネージメントが得意な人を昇進させれば、士気は落ちてしまうでしょう。そのため何かについて卓越することができれば、次のタスクは他の人に卓越した仕事をさせることになると私は考えています。

しかし人は、実際にやりながらでなくては学べません。本を読むだけでギターを演奏する方法については学べません。マネージメントを実際にすることに挑戦しますが、大抵すぐにうまくはいきません。

そのため個人からマネージャーになるためにはどうしたらいいのかという戦略とクラスを作りました。これは大変困難なことです。人々が間違って理解しているもののひとつに、時間の配分があります。私は自分がカレンダー監査と呼んでいるものを行うことを勧めます。何に時間を使って、マネージメントと編集がどれくらいなのか、そしてライティングはどれくらいなのかということを月ごとに明確にして、時間をかけて最適化していくのです。

上司ではなく、かつてマネージャーだった人間をメンターにつけることもありました。なぜなら上司は、どれくらい商品が出荷されているのかなど、複雑な目的を持っているからです。しかしメンターはあなたを成功させるために、あなたに集中することができます。

異なるものをひとつに繋ぎ合わせて一貫性を持たせる

学生:一貫した企業の声を示すためにできる例をもっと教えてください。特に企業が成長している場合です。

キース:私はデパートの全てのコピーに目を通します。しかし他の分野では、それは行われません。求人のウェブサイトを見てみましょう。コンバージョンファンネルと同じ質には絶対になっていないでしょう。

例えばカスタマーサポートは、同じ質に達していない古典的なエリアです。そのため、カスタマーサポートもプロダクトと同じように取り扱う必要があります。エンジニアリングチームとデザインチームを持っているなら、そのチームを世界で通用するようにしなくてはなりません。

普通、別々のエグゼクティブがいる大きな会社では、ほとんどのエグゼクティブは別の会社で経験を積んできていて、それを今の会社にもたらしてくれます。それを相互に教えあうようにしなくてはならないのです。仮にGoogleのエンジニアVPとして雇われたとしましょう。これはアップルから来たデザインリーダーとは全く違いますし、全く違う方法で仕事をするでしょう。

それをどうにかして繋ぎ合わせて、お互いに相手のスタイルを学びあうようにするか、あるいは自分自身のスタイルを作り上げて、それをエグゼクティブに教えなくてはなりません。これはいつも出てくる問題ですが、やらなければいけないことは、会社のプロダクトをよく見て、別の声を持っているものを探せば沢山見つかります。

マネジメントの秘訣は、2週間に1回は直接会うこと

学生:どうやってマネジメントをするかという戦略について、もう少し話して貰えますか?

キース:これについての標準的なアドバイスは明示的に思えますが、アンディが「だいたい2週間に1回は1対1をやるべきだ」と言った1982年当時は、非常に革新的でした。一部の人たちは毎週と言いますが、私は2週間以上になるべきではないと思うので、多くの企業では1週間が理想的だと思います。

こんなことわざがあります。直接の報告は週に5~7回すべきだ。これは1対1で会うことを毎週やるべきだという考えに基づいています。直接の報告は、1対1をたくさん入れてそれでも仕事を終えなくてはならないことを考えれば、週に1回がいい考えだと思います。このアジェンダは、マネージャーによってではなく、マネージャーに報告する従業員によって作られるべきです。

1対1は主に従業員のために行うものです。そのため「幾つか話したいことがある」と入ってきてもらわなくてはなりません。毎回これを繰り返してもらうことが理想でしょう。事前に箇条書きのメールをもらってもいいくらいです。そうすれば、ただ空を飛んでいて落ちないようにするだけでなく、十分考える時間があるでしょう。

これがおそらく、もっとも良い構造です。何かについて非常によくできて本当に才能がある人が、長い間自分に確信を持って働いているとしたら、1週間ではなく2週間にしてもいいかもしれませんし、1ヶ月にしてもいいかもしれません。しかし1ヶ月を超えたことは、私の経験の中ではなかったと思います。

砲と弾の割合は、1対10から1対20がベスト

学生:どういった場合に、妥協して砲ではなく弾として人を雇えばいいのでしょうか。

キース:質問は、妥協して砲ではなく弾をたくさん雇うのはいつか? ということでした。定義から言えば、砲よりも弾の方を多く雇う必要があります。このふたつに、比率があります。問題はこの比率です。比率が一定を越えると、非常に悪い状態になります。

もしあなたがその会社の唯一の砲で、50人エンジニアがいる場合、10人しかエンジニアがいないのと同じ状態でしょう。それ以上の仕事はできないからです。これはリソースを無駄にしています。あなたの承認、サイン、編集を待っているたくさんのエンジニアがイライラすることになります。ただ待たせて人を苛立たせるだけです。

例えばエンジニアリングであれば、だいたい1対10から20が正しい範囲なのではないかと思います。新たな砲が来るまで、それ以上のエンジニアは必要ありません。デザイナーは少し違いますが、弾は多めに必要です。

そしていいリーダー、いい砲というのはなんとなく自分でわかっているものです。これを正しく行う方法は、ひとつしかありません。自然の傾向として、チームの頭数は多い方が重要です。私が20人部下を持っていて、サムが10人で、あなたが3人だったら、私が一番重要で、あなたよりサムの方が重要、というようなことです

まず何を終えなくてはならないかをXに書きます。そしてチームの人でそれを割るのです。これがパフォーマンスを考える上での評価基準になります。驚くべきことに、このYは全く増えていきません。これは本当にうまくいきます。非常に明確になるようにしましょう。

投資した会社には2週間に1回は訪問する

学生:ベンチャー投資家としては、どれだけ頻繁に会うかということですか?

キース:質問は、ベンチャー投資家としては、どれくらい頻繁に自分の会社と関わって、会っているかということですね? 一般に我々が投資をするときは、少ない金額のシード投資からはじめます。そしてシリーズA、シリーズBとステージを進めていったときは、取締役会に参加して、設立者やCEOに2週間に1回ほど会っています。これが基本です。

これくらい情報を得ていると、問題なく進んでいるか、何か問題が起きているかはすぐにわかります。これは限定された目的のためのものです。最近は、驚くべきことに、テキストメッセージでやり取りをしています。CEOのひとりなどとは、いつもSnapchatでメッセージを送りつけてきます(笑)。

(会場笑)

あまりやりたくないのですが、世界は変わってしまったということなのでしょう。でも2週間に1回は、直接会うミーティングをしたいと思っています。ベンチャー投資家というのは、心理カウンセラーになるようなものです。私のオフィスに来ると、椅子がふたつ横に並んでいて、小さなテーブルが真ん中にあって、座って「何かありましたか?」と聞くんです。

(会場笑)

それから私がやることは、これは考えてみたか、この人には会ってみたか、これはやってみたか、というようなことです。たくさん質問をして答えを返すだけなのですが、私のすることの90%はそうしたことです。

求人の優先順位について

学生:もしあなたが砲を持っていて、スタートアップの会社がうまくいっていて、プロジェクトを進めていても、常に求人をしていくべきだと言っていたと思います。このバランスはどうやって取ればいいのでしょう?

キース:優先度をどう考えるかによりますね。例えばサムが自分の講義の中で、全ての企業は求人を1番に、2番に、あるいは3番に続けていくべきで、これはスペクトラムになっている、と言っていました。一番優先度を上げたときで、25%くらいがいい比率なのではないかと思います。

新しいマネージャー以上に、CEOにとってカレンダー監査は有効だと思っています。私はときどき、そうでないCEOとも働くことがあります。繁盛してはいたのですが、ある日カレンダーを見せてくれるように強要しました。それをする前は、これをダメにするところでした。私が何か、やっていることを紙に書き出して議論をして、カレンダーを出したとき、絶対に一致しなかったのです。絶対にです。

彼らは求人をもっとも頻繁に行っていました。半分のCEOにとって、求人は優先度が最も高いように思われます。こんなに大きなブロックがカレンダーに載っているのを見たのははじめてでしたが、リソースとインプットを優先度順に割り当てていかなくてはなりません。カレンダー監査は、不幸にも、うまくできるソフトがまだありません。あればいいと思うのですが。

実際に誰かのGoogleカレンダーを文字通り取り出して、手で時間を足していったのです。これは狂気でした。しかし何が最も優先されるべきかを考えるとき、これが最もいい方法なのです。もしお金を稼ぐことが最も優先度が高いなら、100%の時間を求人に費やすべきではないでしょう。その時間は、実際にある程度達成したと言えるまで、お金を得ることに費やすべきです。

会社の立ち上げ当初は、徹底的に細部にこだわる

学生:表面的には、矛盾するアドバイスがあるように思います。A+のタスクだけをやって、重要でないことを人に頼むようにしよう、とおっしゃったと思いますが、逆に受付のために何ページもやるべきことを書き出すべきだ、細部に注目しろ、ともおっしゃいました。このふたつのゴールをどうやって調和させたらいいのでしょう?

キース:これはとてもいい質問ですね。質問はまず、細部が重要だということと、優先度リストの一番上しかやらないということをどう一緒にやるのかということです。どうすればいいのでしょうか? 健康的な組織でさえ、マニュアルを書くようなことは必要になります。ユーザーが見るものとは逆のものです。

私は細部を正しく作り込むべきだという話に隠れている哲学は、企業の本当に本当に本当に最初の段階でやることが重要だということだと思います。なぜなら新しい企業は、自分たちで決定をしていかなくてはならないからです。なので、文字通りそれを全てやる必要はありません。

もしこれをやらなければならないとしたら、組織の基盤がまだ固まっていないということを意味します。つまり、最初に会社をはじめるときは、細部を正しくし、誰もが正確で、あらゆるタスクを行っている人が同じように考える必要があるでしょう。

そしてこれが大きくなってくれば、自然に自分の企業と同じ考え方の人間が採用されやすくなりますし、逆にそうできない人は雇われないでしょう。いずれのチーム、いずれのリーダーも、そうできない人を見なくなっていくでしょう。

これはどうやってスタートするかという話です。そして文化の鍵は、ルールです。これは意思決定のためのフレームワークなのです。そして文化に基づいて意思決定を行う人々ができたら、あとはただ見ているだけでいいのです。そうすれば、誰を昇進させて、誰を移動させるべきか、すぐにわかるでしょう。

どうやら時間切れのようです。皆様ご静聴どうもありがとうございました。

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