「一番重要なビジネススキルは編集力だ」 Squareの元COOが語る、経営者が身につけるべき5つの能力

Lecture 14 - How to Operate #1/6

Paypal創業当初の幹部としても名高い、Squareの元COO・Keith Rabois(キース・ラボイス)氏が起業家育成講義に登場。本講義では、キース氏がビジネスにもっとも重要なスキルとして「編集力」を挙げ、編集にまつわる5つの要点を解説しました。

バカでも運営できる会社を目指す

キース・ラボイス氏(以下、キース):どのように会社の運営を行うかについて話していきましょう。これまでの授業で、たくさんの凄まじく役に立つ人材を雇えていることと思います。ある程度の数の人たちに愛されるプロダクトを作れているでしょうし、資金も調達できているでしょう。そして、これから会社を設立しようとしているわけです。プロダクトをなんとか形にして、今度は会社を作り上げたいと考えるでしょう。

GMのプロダクトより、GMの会社の方が、ずっと難しいだろうと言われています。理由は、人は不合理に動くからです。このことは、みなさんの人生の中で、両親・恋人・兄弟・姉妹・先生などによって既にご存知のことでしょう。会社を作るということは、あなたが知っているような不合理な人たちを集めて、ひとつの建物に入れて、少なくとも1日12時間は一緒に生活するということです。

そのため会社を作るには、まずエンジンを作る必要があります。最初にしなくてはいけないことは、これから何を組み立てようとしているのかを、ホワイトボードに綺麗に美しく魅力的に描き出すことです。しかし実際にそれを実行しようとすると、それはこうなってしまうでしょう。

テープで穴を塞いでなんとか保っているような状態になるはずです。実際にこれを維持するためには、たくさんの英雄的な努力が必要になります。これが、人々が週に80時間とか100時間働く理由です。スタートアップには、磨き抜かれた完璧なパーツがあるわけではないからです。

もちろん最終的には高いパフォーマンスのマシンを作り出したいと思っているでしょう。誰も毎時、毎分心配していなくても済む様な。Ebayについて私たちがよく使っているジョークがあります。それは、「火星人がEbayを乗っ取っても、世間がそれに気づくまで6ヶ月はかかるだろう」というものです。

そういった状況を、最終的には作り出したいのです。あるいはウォーレン・バフェットが言うように、バカでも運営できる会社にしたいです。実際、彼らはやがてそうすると思います。

つまり基本的にはこれがあなたの欲しいものです。バカでも運用できる高性能なマシン。

経営者の責務は「風邪」と「死に至る病気」を見分けること

さて、リーダーとしてのあなたの本当の仕事はなんでしょうか? それについて書かれた本は1冊しかありません。1992年にアンディ・グローブによって書かれた少し古い本です。彼が言うリーダーの仕事の定義は、責任を持つべき組織のアウトプットを最大化することです。これはCEOやVPを含みます。例えばあなたがVPなら、プロダクトチームやマーケティングチームにも影響を与えますから、関連組織に関しても責任もあることになります。

インプットではなくアウトプットに注目する必要があります。評価についての古いことわざがあります。「やったことと成果を混同するのではなく、成果だけを見なくてはならない」、これはとても豪華で素晴らしいことのように感じられるかもしれません。ひょっとしたら、大きな組織を運営して、アウトプットに責任を持つということに興奮する人もいるかもしれません。

しかし実際には今日学ぶことは、スムージーを頼むことや、受付に正しい電話応対を教えることや、時給10ドルで従業員に仕事を手伝わせるようなことです。

最初に会社をスタートするときは、全てがぐちゃぐちゃに感じられるでしょう。もしプロセスが多すぎて先行きが見えすぎるなら、イノベーションとクリエイティビティが足りない証拠です。新しい問題が毎日起きているように感じている時にあなたがやるべきことは、病院で負傷者を優先度をつけていく様なものです。幾つかの問題に見えることは、風邪と同じく放っておけば治るものです。しかし、幾つかの問題は、一見風邪に見えますが正しい診断がされなければ、命に関わります。

何が風邪で、何が命に関わるのかを考えるためのフレームワークを持たなければいけません。

編集の本質は「単純化」

Squareで学んだ最も重要なことのひとつは、「編集」という概念です。14年間いろいろな会社を運営してきた中で、仕事について考えるための最も良い喩えだと思っています。実際、ひとりひとりの従業員にこれを伝えて、自分が編集をしているのか執筆をしているのかをわかるようにすることは簡単です。

これは自然な構造なのです。誰かに仕事を頼まれたら、その仕事は執筆的なのだろうか、編集的なのだろうかと考えることができます。さて、編集があなたの仕事を表す最も良い喩えだとして、編集とは具体的に何をしなければいけないのかを見て行きましょう。

編集者がする最初のことは、赤ペンを取り出して線を引いて直しを入れていくことです。まぁ、現在はオンラインでやりますが。オンラインとオフラインで共通しているものは、いらないものを消去していくことです。

編集者の最も重要なタスクは、物事を単純化することです。そしてこれは、多くの場合省略を意味します。チームの全ての人に対して物事を明確化し単純化することがあなたの仕事です。単純化すればするほど、人々のパフォーマンスも高くなります。人は複雑な優先度を持ったものを理解して追っていくことはできないのです。

だから1つ、2つ、あるいは3つ程度に物事を抽出しなくてはなりません。そして繰り返しができるフレームワークを使って、頭を使わずに繰り返せて、他の人に繰り返しを教えることができて、夜も繰り返せるようにしましょう。

複雑だ、という言い訳を許容してはなりません。たくさんの人は、これは難しすぎる、複雑すぎるとあなたに言うでしょう。他の人は単純にできるかもしれないが自分には無理だと。

それは間違っています。世界はたった140文字で変えられるのです。

歴史上最も重要な会社を、単純なコンセプトを説明することで作ることができます。

50文字以下でプロダクトを売ることができます。

あなたが同じやり方で会社を作れない理由はありません。

全てを単純化することを自分に強いましょう。イニシアチブ、プロダクト、マーケティング、あなたがする全てのことです。赤ペンを取り出して、物事を消去しはじめましょう。

編集者がするふたつ目のことは、質問を明確にすることです。論文をプレゼンテーションしたとき、貴方は何を言われましたか? 曖昧な部分について「それはどういう意味なのか?」と聞かれませんでしたか。「これについての例はあるのか?」と指摘されませんでしたか。みんながあなたのことを見ているとき、本当にすべきことは、たくさん質問をすることです。

それは、単純で基本的な質問です。例えば「これを7日間試すべきだろうか、それとも6日にしておくべきだろうか」というような。「競合に対するアドバンテージはなんだろう」というような基礎的な質問かもしれません。投資家も同じで大量の物事についての大量の質問をして、ずっと答えさせ続けます。

1つ、あるいは2つか3つか4つかもしれませんが、とにかくこの会社にとって重要な物事に絞り込んで、それだけに集中すべきです。それにより決断がしやすくなり、決断を素早く下せるようになります。その結果、日常の雑務に煩わされず正確な答えを導くことができるようになります。細かいディティールやデータは必要ありません。

これは難しいことですし、練習が必要なことです。一旦できるようになれば、アンディ・グローブの様にパフォーマンスを30%〜50%アップさせることができます。

リソースの配分はボトムアップを目指す

次にすることは、リソースの配分です。

構造を編集することは、編集者が常にしていることです。彼らは編集者を中東から連れてきて、中東に進出し、今度はシリコンバレーに移ってきています。シリコンバレーの方がもっと面白くなっているからです。あるいは他の雑誌や出版物と競争するために、スポーツ分野に移動していきます。このようにたくさんのリソースを配分して、次はここに行こう、次はここで競争しよう、と言うことは、トップダウンです。そして次の月・次の四半期・次の年度で、中東への進出はちょっと退屈だし旬じゃないな、これ以上やるのはやめて他のことをしよう、となるのです。

そうではなく、ボトムアップで進めることもできます。ジャーナリストが自分で記事を考えるように、自分と働いてくれる人自身が独創性を発揮できるようにするべきです。

一般的にGoogleを含むレポーターが閃きによって自分の興味を持った記事を思いついて、ひとつかふたつを編集者に提案します。しかし編集者は、Googleを使え、これが自分の欲しい記事だ、とは言うべきでありません。稀にそうすることはありますが、それがジャーナリストのする主要な仕事ではありません。時間を経た先のゴールとは、赤いインクを使う量を少なくすることです。

そのため、仲間と上手くコミュニケーションが取れているかのひとつの指標は、何が重要で何が重要でないかについて、赤いインクで修正しなければならない量がどれくらいかということです。ときには赤インクだらけで真っ赤になってしまう日もあるでしょう。それは悪いことではありません。しかし次の月、次の月となるにつれて、赤いインクの量が増えていって、さらに次の四半期ではもっと増える、というようなことはあってはなりません。

その為自分がどれくらい赤いインクを使っているかを常に確認しましょう。

会社のあらゆる活動に一貫したメッセージを持たせる

直感的ではないかも知れませんが、もうひとつ重要な編集者の仕事とは、発言を一貫させるということです。もしThe Economistを読んだ人がいたら、ひとつの一貫した主張があることに気づくでしょう。The Economistのどの記事を取り出しても、同じ人によって書かれたような気がするはずです。あなたの会社は、ウェブサイトもPRも物理的なプロダクトも、求人ページに至るまで、ありとあらゆるものが同じ人によって書かれたようになっているのが理想です。

これはとてつもなく実現するのが難しいことで、自分でやってしまいたくなる衝動にかられるでしょう。設立者自らこれをやるのは悪いことではありません、しかし長い目で見るなら、ずっと全てを一貫させて自分自身で編集するのはやめた方がよいでしょう。全てが一貫している様に人を訓練すべきです。

もしあるウェブサイトが求人ページととても大きく違って見えてしまうようなら、それがなぜなのかを考えることからはじめましょう。報告が混乱してるのでしょうか? 担当しているリーダーが、会社の方針を理解していないのでしょうか? これは時間をかけて直していかなくてはならないのです。全てが同じに見える、という目標をまずは目指していきましょう。

これを実践するのはとてもとても難しいことです。ほとんどの企業が、ひとつくらいは同じと言えない部分が混ざっています。これを行っていることで名高いスティーブ体制のAppleでさえ、内部で使っている求人ツールがAppleのプロダクトらしいか、と聞かれれば誰もがノーと答えるでしょう。絶対に100%にはなりません。しかし可能な限りそこに近づこうとするべきです。

新しいことは面倒を見て、慣れていることは任せる

次のトピックは、仕事を頼むことです。さきほどと同じように編集の喩えで言うならば、この世界のほとんどの仕事をしているのはライターです。編集者は実際にあらゆる出版物のコンテンツを書いているわけではありません。これはあなたの会社にも当てはまります。

仕事のほとんどをやってはいけません。そしてたくさんの仕事をやるための唯一の方法が、人に任せることです。人に任せることの問題は、実際はあなたが全ての責任を取らなくてはならないということです。CEOは言い訳はできません。あっちの部署のこの人が失敗したんだ、発表することはできないのです。

それではどうやって仕事から退かずに仕事を任せることができるのでしょう。これは非常に難しいことです。他に任せ過ぎて仕事から退いてもいけませんし、細かいこと全てに口を出しすぎてもいけません。これは両方とも罪なのです。

※続きは近日公開!

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