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ヒントはGoPro 距離無制限のグループ通話ツール「BONX Grip」が生まれたワケ

2018年2月28日、インキュベーション施設「Plug and Play shibuya」にて、スポーツ×テクノロジーをテーマにTechベンチャー6社の経営陣がトークイベントを開催。成長産業の一つとして注目されているスポーツビジネスの発展に向けて、Sports Techスタートアップが目指す世界を語ります。本パートでは、株式会社BONXが開発した、新型コミュニケーションツールについて紹介しました。

スポーツシーンを想定してつくられた「BONOX Grip」

泉友詞氏(以下、泉):それでは、続きましてBONXさんの峯岸CFOにご登壇いただきます。BONXさんのほうは、今回のイベントに非常に気を使っていただきまして。このイベントの直前に、なんと調達を発表されたと。シリーズAですね。……4.5(億)?

峯岸孝次氏(以下、峯岸):4.5(億)ですね。

:4.5億円の調達をこのイベント前にやっていただいて、本当にありがとうございます。

おそらく今後BONXさんに関しても、いろいろプロダクトの改良であったりとか、採用も含めてやっていきますけれども、とくにこのBONXさんのすごいところというのは、ウェアラブルデバイスというのはけっこう人気なんですけれども、このヒアラブルデバイス、聞くというところの観点で特化してやってるというのが、非常におもしろいプロダクトになっていますので、ぜひよろしくお願いいたします。

峯岸:みなさん、こんばんは。BONXの峯岸でございます。最初はちょっとご紹介のムービーから、ご紹介したいと思います。

モデルの方が付けているイヤホンが、弊社のBONX Gripというプロダクトです。生活防水ですね。非常に水に強く、衝撃にも強いと。いわゆるスポーツシーンを想定してつくられたプロダクトになります。

当然イヤホンなので、電話がかかってきたら応答することもできますし、なおかつ音楽を聞くこともできると。自転車に乗っている時のいわゆる風切り音、これをキャンセルする機能が付いております。いわゆるノイズキャンセリングという機能ですね。

我々のプロダクトの本当の価値というのは、グループコミュニケーションということを実現している点にあります。この3名で、同時に通話ができるというものになります。

プロダクトの紹介から始めさせていただきました。もともと我々のBONX Gripは、実はイヤホンだけではなくて。本当の価値というのはスマートフォンの中に入っているアプリケーション、これにあります。

会話をすることができないという問題解決のために生まれた

Voice over Internet Protocolと言われる、いわゆるVoIPと言われる基幹システムというのは、弊社が独自に開発しているものになります。いわゆるSkypeですとかLINEの通話機能は、これに使われているものとまったく同じものになります。

こちらは、ハードウェアとセットで開発して、ソフトウェアとハードウェア、こちらをリンクさせることによって最大10名まで同時に通話することができると。いつでもどこでも簡単に、日本と海外でも通話ができるというシステムになります。

もともとの成り立ちなんですけれども、弊社の代表取締役が非常にスノーボードクレイジーであると。

(会場笑)

夏はニュージーランド、冬は白馬。大学在学中はほとんどスノーボードに時間を使っていたと。それで、スノーボードをやっている時の一番の問題点というのは、何人かで行ったとしても会話をすることができない。

プレイしている時に、今の状況を伝えることができないと。「今のナイスライドだね」「今のよく決まったね」とか、そういった臨場感のあるトークが、大声を出さないとできなかったと。そこを解決するために開発したのが、弊社のBONX Gripという商品になります。

もともとの着想は、アメリカのGoPro。こちらも創業者が非常にサーフィンにクレイジーで、サーフィンをやっている時の臨場感ある映像を撮れないかと、実際ライドをしている時の臨場感のあるビデオをリアルタイムに撮れないかというところで、着想しているものになります。

こちらにヒントを得て、これをコミュニケーションに応用したのが、弊社のBONX Gripになります。実は類似商品としてはいっぱいあります。トランシーバーですとか、はたまたただのイヤホン、そしてSkype、LINE、こういった商品があります。

ただしいずれも単品で、それぞれ問題がある。トランシーバーであれば音質が悪い。ハンズフリーで話せない。距離に制限がある。イヤホンだけだと、必ずスマートフォンのなにかしらと接続しなきゃいけない。Skypeだと切れてしまう。いずれにせよ、イヤホンが必要。

グループのコミュニケーションは業務シーンにもある

そこで、スマートフォンのアプリケーションとハードウェアをスポーツ向けに開発したのが、BONX Gripというプロダクトになります。

我々がフォーカスしているのが、1対1のコミュニケーションじゃなくて、1対多、10人でのコミュニケーションとか、そういったことを想定しています。

どういったユースシーンかというと、当然スノーボード用に開発された商品なので、雪山での遊びには使えるんですけども。もちろんランニングですとか、釣りですとか、はたまた自転車、サバゲ―とか、そういったグループでやるアクティビティに活用されてきています。

なんで、実際我々の商品を販売しているチャネルというと、ムラサキスポーツですとか、ゼビオ、ヴィクトリアとか、そういったいわゆるスポーツの小売店ですね。そちらを中心に販売しています。

一方で、グループでコミュニケーションをするニーズはスポーツシーンだけではなくて、意外に業務シーンにもあると。そこで開発したのがBONX for Businessと、こちらもアプリケーション専用となります。こちらは1対10だけではなくて、30人まで同時通話が可能というソフトウェアになります。

こちらのユースシーンですと、とくに小売店、はたまたイベント、アグリカルチャー、あとは建築の施工現場とか、飲食店ですね。リアルタイムで多人数で会話をしなきゃいけない、情報共有をしなきゃいけないというユースシーンにも活用できるということで、30人まで人数を増やして使用できるようにしたのが、このBONX for Businessということになります。

基本的にはスポーツの分野で、耐久性、先ほど見ていただいた防水性ですとか、ユーザビリティ、基本的にはスマートフォンを使わなくても、このBONX Gripに付いているボタンだけで操作できるという点を活かして、なにか仕事をしながら会話ができるという点に特徴があります。

スマートフォンが登場してようやくプロダクトが完成した

もともとがスポーツから始まっているので、スポーツテックと我々が捉えているのがどういうことかというと、実はそんなに新しいセクターではなくて、古くは20年前からあると。

ご存知、これは(NIKEの)エアマックスですね。これはソールに空気を注入するという技術ですけれども、これも言ってみればスポーツテックです。テクノロジーを活用して、スポーツシーンに、ユーザーに新しい体験をもたらす。ただ、なかなかスポーツという文脈で言うと、いい商品をつくっても、いいテクノロジーをもたらしても、説明商材であるがゆえになかなかユーザーには響かないんですね。

そこでNIKEがやっていることは、商品をアンバサダー、この例で言うとマイケル・ジョーダンですとか、タイガー・ウッズという人の協力を使ってユーザーに拡大していくと。

どちらかというと、テクノロジーを販売しているというよりは、そのテクノロジーを使ったエクスペリエンスをユーザーに提供している。その体現者として、こういったスポーツシーンにおける、クエストという第一人者ですね。こういったものを活用している事例になります。

では、我々のスポーツテックは今どういう状況かといいますと、当然、以前の電話では我々のテクノロジーというのはまったく活用できない。

携帯電話ができたからといって、スノーボードの時にスノーボードをやりながら携帯電話が使えるかというと、これもできない。スマートフォンが登場して、ようやく我々のプロダクトというものが完成します。

いわゆる我々の言うテクノロジーというのは、どうしても通信、はたまたエレクトロニクスと、あとソフトウェア、そういったところにかなり依拠しているものになります。新しい商品であるがゆえに、説明商材であると。

「実はこれ、10人まで使えるんですよ」「防水・耐久性があります」「どんなに過酷な環境でも使えます」「もともと雪山で使うことを想定しているので、非常に弱電波環境でも会話できるように、通信環境は最適化してあります」「うちはソフトウェアベースの技術ですよ」。

企業と人のコラボレーション

その中で課題というと、我々というのは、やっぱり1人ではできないと。我々1社では、ユーザーに対してなんのエクスペリエンスもなかなか提供できないと。やっぱりコラボレーションが必ず必要だと。なにとコラボレーションするかというと、やはり企業と人というところになってきます。

我々が進めているのは、まず第1弾としては、企業サイドとしては日本スキー場開発というところとコラボレーションしています。実際にBONXを使ってもらう、BONXを体験してもらうということで、日本で一番スキー場を持っている日本スキー場開発とタイアップしています。日本スキー場開発の中で、ラッピングしてもらったり、BONXの広告を出してもらったり、テストユースをしてもらったりと、そういったことを進めています。

もう一方、やはりエクスペリエンスとして感動してもらえないとなかなか買ってもらえないというところで、ここで人の出番になってきます。これ、ブランドン・セメナックという、いわゆるアメリカのマウンテンバイク業界のスーパースター的な人なんですけれども。Red BullのRampageで優勝している人です。

この人ともアンバサダー契約を締結して、いわゆるバイシクル分野、自転車の分野でBONX Gripを拡販するという役割を担ってもらっています。NIKEのゴルフでいうタイガー・ウッズですとか、そういった存在ですね。

はたまた今度、自転車という分野で言うと、グループサイクリング、多人数でレースをするという文脈で言うと、ツール・ド・フランスのナショナルチームであるオランダのLottoNL-Jumboというグループですね。世界で18チームしかない、いわゆるナショナルチームの中の1チームです。

こちらとタイアップして、彼らをアンバサダーとして、我々のBONX Gripのサイクリングモードでのユースシーンを拡販してもらうと。浸透させてもらうということを想定しています。

駒沢公園に会社がある理由

実は釣りという文脈でもかなり使えるんですけれども。そこは木村建太さん、いわゆるバスフィッシングの中で日本でNo.1といわれる方とタイアップして、彼にBONX Gripを使ってもらって、かつ、SNSとかで発信してもらって、こういった使い方ができるということで、ユーザーにペネトレーションしてもらう、ということを我々はやっています。

それで、外部の力を借りるのはあれなんですけれども、やはり「人」のところですね。ここはもう本当に、先ほどの3名の方とまったく同じです。我々でもっとも重要視しているのは、「我々のカルチャーにフィットするか?」というところですね。我々のカルチャーって、先ほどの野球ですとかサッカーとかとは違って、もともとスノーボードから発祥しているので、どっちかというと横乗りのカルチャーなんですね。

実は我々の会社は駒沢公園にあるんです。なぜかというと、スケボーパークが近くて、業務中に時間があった時にスケボーができるから。そんな理由で駒沢公園にあります。やっぱりそういったカルチャーに共感してくれる方が一番です。

次に、やはりスタートアップなので、スタートアップってやっぱり将来をつくっていくということが非常に大事になってくる。とすると、一緒に将来をつくるという気概を持っている人、そういったいわゆるパーソナルな部分というのが、一番すごい大事になると思っています。

最後にまとめますと、我々はプロダクトをテクノロジーの分野で開発しています。このBONX Gripです。ただし、本当に1人ではできなくて。会社でいえば企業ですとか、スーパースター級のスポーツメーカー、スポンサー、こういうのとタイアップしていかなきゃいけない。

そういった人たちとのタイアップを進めていくうえでは、やっぱりうちのカルチャーと合っている人というのが、一番の必要条件になってくるんだと思います。以上です。ありがとうございました。

(会場拍手)

:はい、ありがとうございました。このあたりのIoT領域はVCサイドの人たちも非常に注目している分野でもあるので、今年は調達する企業が多くなるんじゃないかなと思います。

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