日本にベーシックインカムが導入されたらどうなる?
DMM亀山会長・メタップス佐藤氏の未来予想

第2回「DMM亀山会長、メタップスCEO佐藤氏とお金2.0について語る!」 #3/8

DMM亀山会長がバーチャルおやじユーチューバーを目指す「かめっちTV」が遂にスタート。第2回目のゲストは、メタップス株式会社社長の佐藤航陽さん。今回は佐藤氏の著書『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』の内容を踏まえて、現在世界各国で導入が検討されている、ベーシックインカムについて考えます。

日本にベーシックインカムは導入される?

佐藤航陽氏(以下、佐藤):ちょうど今日インドでベーシックインカムが2年以内に導入されるみたいな話があったじゃないですか。あれが導入されると(2.0の世界に)本当に近づいていくんじゃないかなと。

亀山敬司氏(以下、亀山):日本ではベーシックインカムは導入されると思う?

佐藤:けっこう時間かかると思いますけど、生活保護ってすでにベーシックインカムに近いんじゃないのかなって思っていて、あの対象が広がっていくだけですよね。

亀山:生活保護の人が誰だって決めるぐらいなら、一律払っといたほうが効率は良いよね。後はプラスの働いた分ってことだよね。

佐藤:「後の問題はその中でやってね」って言うほうがわかりやすいですよね。

亀山:それに対応している公務員の数を減らせたりとか、効率的にはなるんだろ?

佐藤:文化とか科学とかは一気に発展しそうですよね。

亀山:最低限の生活で盆栽育てるとか、YouTuberになるとかでも、選択肢としてはあるって話になるよね。

佐藤:昔の貴族の時代とかヨーロッパの時代とかって、暇な人が科学やったりとか哲学やったりしてますよね。

亀山:そこから芸術が生まれたりするからね。

佐藤:効率とかお金儲けとか考えずに探求していく人たちが新しいノーベル賞とか取っていくと思うんで、相当世の中が進むんじゃないかなっていう気はしますけどね。

亀山:逆にいうと、そういったふうになるのと、一方で競争が激しくなる?

佐藤:なるような気がしますけどね。ただ自己責任の度合いが大きくなっていくので、最低限の生活になるんですけど、アップサイドの「もっと欲しい」っていう人にとっては、けっこう競争が激しくなってきますよね。残酷な世界になりますよね。

亀山:そういうもんなのかな?

佐藤:上はもうとことんまで行きますし。たぶんYouTuberも競争激しくなってきますし。いろいろな領域が競争が激しくなる。

仕事が趣味になる時代

亀山:お金儲けの競争じゃなくて、いろんな意味での競争ね。タダでも仕事がしたい仕事の奪い合いみたいなことがあるかもしれないな。仕事してなかったらつらいじゃない。YouTuberとか趣味がある人はいいんだけど、俺は趣味がないからやることないよね。

佐藤:亀山さんは、仕事が趣味なんでしょうね。

亀山:仕事ってやっぱ一番「いいね」がわかりやすくない?

佐藤:報酬がありますし。

亀山:報酬もらえるってことは極上の「いいね」みたいなもんじゃない。自分のやったサービスだろうがモノだろうが、認めないと報酬を払ってくれない。無責任な「いいね」よりはさ、身銭切ってお金払ってくれると「本当にいいんだ!」「買ってくれたんだ!」みたいな。

佐藤:1周して、もしかしたら「仕事ってすげえよかったね」って話になるかもしれないですね。みんな暇になって「またやりたいな、あれ」と。

亀山:「残業させてくれ!」みたいな(笑)。今、残業流行ってないけど「もっと働かせてくれ!」みたいな感じになる可能性はあるんだよね。

佐藤:世の中がやりがいに飢えてるっていう時代になったら、それが逆に欲しくなりますよね。

亀山:今の若いやつのほうが、NPOとか社会貢献みたいなことを俺たちのころよりは考えてる気がするけど、お金をいくら持つよりも、社会のためになることで承認されるってことだろ?

佐藤:ある程度生きていけるっていうのはありますよね。30年前、40年前に比べるとみんなそこそこ裕福なんで。仕事も一応ありますし。

亀山:みんな食うのに困ったことはないわな。子どもの頃、これが欲しくて買えなかったとか、飯がちょっと足りなかったっていう時代の人からすると。

佐藤:何とかなるよねと。

亀山:現代はゆるいベーシックインカムみたいなものだよね。

佐藤:これがさらに持ち上がる感じですね。表現でいうと、みんな実家暮らしになるみたいなイメージですね。国民全員実家暮らし。

亀山:考えたらDMMアカデミーはベーシックインカムみたいなものだよ。お前ら実家暮らしで、ここが実家だよ(笑)。佐藤のとこは今どうなの? まかりなりにも上場会社で社長やってるじゃない。そしたら「そんなこと言ってないで株主に責任果たせよ」とかって。

佐藤:言われますけどね。

亀山:言われるだろそんなん。「お前資本主義の中にどっぷりいるじゃねぇか」みたいな(笑)。

株式市場=儲けるための場所

佐藤:逆にわかりやすいなと思って、今回『お金2.0』を書いて思ったのが、株式市場とか株式会社っていうのは、単純に儲ける目的のものだなって。違う経済も生まれてきたので、それぞれ社会的な価値、経済的な価値あと内面的な価値っていうのは、活動を分ければいいんだなっていうふうに感じられるようになりましたね。

僕は昔、全部1個のこの場所でやろうとしてたんで、会社の中ですべてやろうとしていたんですけど、そこまでする必要ないなと。違う道はあるなと。だから会社っていうのは収益を上げるっていうのに割り切れる場所だなって最近考えるようになりましたね。

亀山:自分の生きる場所は会社と別の場所があるみたいな。

佐藤:いろいろな場所がいっぱいあるなと。

亀山:その辺でちゃんとやっとかないと、『お金2.0』でいろんなことを言ってたら怒られそうじゃない。社員とかに怒られない? 株主総会でつるし上げにならない?(笑)。

佐藤:ならないです(笑)。

亀山:会社の社長としては稼いで、別のことを実現するの難しいし、そこはそこで義務を果たすみたいな感じかな。

佐藤:それはそれの役割のある場所があるなと感じましたね。亀山さんみたいに本当にプライベートなカンパニーならいくらでもやれると思うんですけど。

亀山:ごちゃまぜにできるよね。

佐藤:資本市場だと役割は収益を出すっていうところに。

亀山:俺もこれで一応、この中では権力者で強いかもしれないんだけど、俺がアカデミーでお金を使いすぎたりとか、儲からない事業部をちょっと長めに見ていると、儲かっている事業部の社員たちは「俺たちには『稼げ稼げ』って言ってるくせになんだ」と思うよね。その辺が難しいバランスがあるから、その辺はそれで怒られてんだよ。「高い会社勝手に買うんじゃないよ」みたいな(笑)。

佐藤:分けちゃえばいいんじゃないですか?

好きにできるから好きにできない

亀山:すごい極端なこと言うと、俺は配当取ろうと思えば取り放題だし、なんだかんだ言いながら最後の最後好きにできるっていうとこがあるじゃない。だから逆に言うと、好きにできないっていうところがあるわけよ。あったら使えないっていうのがあるじゃん。核ミサイルみたいなもんだよ。

佐藤:押しちゃっていいんじゃないですか。ぜんぜん使えるんじゃないですか? 使えないって思い込みなんじゃないですかね。

亀山:押しちゃうとどうかな。アカデミーとかは、個人的な発想から始まってビジネス化できるなんてまだ……。とりあえず俺は投資だと長い目では思ってるんだけど、あんまりめどが立っていない中でけっこうやってるとこあるじゃん。どうかな? そこが難しいような気がするんだよな。

佐藤:いけるんじゃないですかね。例えば、来年手足が動かなくなることがほぼ確実にわかっていたら押しません? 5年10年続くって考えると今じゃないなって思うかもしれないですけど、あと365日位しかないなってのがおおよそわかっている状況で。

亀山:それで言うと、会長っていう会社の立場があると、そこでの責任みたいなのがあるから。俺が会社をどっかに売却でもして「完全引退しました」って言うと別の形なんだけど、一応この社内を食っていけるようにとか、未来を持っていかないといけないっていう基本の立場があるから、そこに縛られてるのかな。

佐藤:その立場を自分のエゴが上回るときはないんですか?

亀山:自分のエゴね〜。

佐藤:永遠にそうとは限らないじゃないですか。もしかしたら「最後は俺のエゴを通したいよね」と。

亀山:そこまでのエゴになるものがないんだよね。例えば、すごい俺が狂っちゃうようなかわいい女の子が出てくるとか(笑)。どっかの国家を作るんだ、宇宙行くんだみたいな。まだそこまでのものが出てこないから、まあないかなって感じ。

佐藤:わかんないですよ。リミットが見えたら思い浮かぶような気がします。そこが聞きたいですよね。

亀山:何か期待されてるね。どんなふうになったら期待に応えられるのかな。

莫大な資産をもし使い切るなら

佐藤:どうなんだろうなぁ。本当に大きな会社の創業者とか見てて思うのが、凄まじい使い切れないほどのアセット(経済資源)を持つわけじゃないですか。でもみんな使わずに死ぬじゃないですか。あれが大量に世の中に投下されたら若干世の中変わるはずじゃないですか。でもおっしゃるとおり、立場があったりとか、残す人がいたりするので、最後使えないと思うんですけど、もし使ったら何をするんだろうなと。

亀山:それで言うと、俺がけっこう考えたのは昔はビジネスに徹底してやった上で、引退してからとにかく俺の好きな、例えば社会奉仕したりとか、そういうことにバンと全部会社を売った金でやろうとか思ってたことはあったね。

でもよく考えたら、いつ死ぬかわかんないから、そんなこと言ってる間にたぶん最後までそれはできないなみたいなのは思ってる。

そう思ったときに会社としてギリギリ、教育だろうが海外のアフリカとか、投資だろうが、あくまで5年後10年後の投資だっていう言い訳がほしい。

佐藤:どういうことですか?(笑)。

亀山:俺が「恵まれない子たちに寄付するために会社の金使うんだよ」って言うと、会社の奴らは「だったら給料あげて下さいよ」ってなる。

「それはわかるけど、それっていろいろな困っている人がいるけど、会長の趣味ですよね」「たまたまそこに目が行っただけでしょ」ってなるじゃない。

佐藤:でも「そうだよ」って言ってもいいんじゃないですかね。

お金を使う言い訳が欲しい

亀山:それよりは会社の奴がワイワイやってるほうが今は楽しいわけ。周りの困った人に比べると、社員への思いのほうが多少あるということ。だけど一方で、いろんなことをやってみたいから、会社のために「投資なんだ」っていう。まずそこの前提がどうしても俺には必要になるわけ。

佐藤:大義というか。

亀山:そうそう、大義がね。

ただ、この頃思うのは、意外といいことをやろうと思うと儲かっちゃうなみたいな。昔は「稼いだらいいことができるかな」と思っていたけど、最近はそうでもないみたいで。

社員とか見てても、能力がある奴より誠実な奴とか、真面目な奴のほうが結局会社に残ったり、会社を儲けさせたりしてるわけよ。

そいつらに大した思惑はなくて、単にいい奴だったみたいな。会社も結果的に社会にとっていいことをいくらかやってくと、そこに対して力が来て、それが結果で儲かって、また別のことができるみたいなことはあるかなって最近思ってきた。

亀山:昔は計算して、ナニ足すナニ引くはいくらだから、いくら利益が出るなってことばかり考えてきたんだけど、いい事をすることもありかなみたいな。

佐藤:そういう話を『お金2.0』で書いておきました。

亀山:あら、そうなの!? いいこと書いてるじゃない!(笑)。

佐藤:代わりに書いときました(笑)。言いたいだろうなと思って。

ただのいい人はちょっと違う

亀山:やっぱり頭の中で打算が必要なわけよ。ただのいい人っていうのは俺からするとちょっと違って、自分たちの力で解決できるものが必要だから。

良くあるじゃない。金持ちがいっぱい稼いだ後に最後に天国行きたいからあっちこっちに寄付したり。俺だけ天国行っちゃうよみたいな。それって宗教観もあるんだろうけど、その罪悪感のもとにいいことをするとか。

佐藤:人から奪った何かを返してるってイメージですかね。

亀山:俺なんか猪子(チームラボ)に「メディチ家」とか言われるから調べてみたのよ。メディチ家はそもそも銀行家でいっぱい稼ぎまくってたわけ。荒稼ぎしたけど後半になって「やっぱりいいことしないと神様のところに行けない」とか言い出して、いろんなアーティストを育てるとか、教会に寄付するとかあったらしい。

俺は別に死んだ後に天国があるとあんま思ってない。結局それって宗教観。自分たちが誰かの世話になるではなく、自分が稼ぎながらもやりたいことやる。そんな感じなんだよね。結果的にいいなと思ったものをやったら最後に戻ってくる、そんなイメージ。

佐藤:それも『お金2.0』に書いときました。メディチ家も書いときました。

亀山:メディチ家も出てくるの!? すげーな(笑)。

佐藤:昔はお金を稼ぐっていうのと世の中に返すっていうのが分断されてたじゃないですか。それを分断しないで、リアルタイムに同時に行けるっていう時代になってきたので、世の中にいいことをしながら、お金を儲けながらを同時に。

亀山:俺もいきなりポクっと逝くかもしれない(笑)。同時並行でできないかっていうのが今の考え方なんだよね。

佐藤:やれてますもんね。

亀山:いいことばかりしてきたわけじゃないし、稼ぐためにあれやこれやいろんなことをやってきたし、なんかかんだ言っていい人ぶってるの。

佐藤:亀山さんがすごいのは、世の中の流れを感じ取ってると思うんですよね。お金儲けだけしてても拡大できないっていうことを無意識に感じてるから。お金以外の価値って存在してて、そこも拾わないとこれ以上やっていけない、 拡大できないと無意識に気づいてるから。だからちゃんとDMM.makeとか、ああいうのに投資しておいて、結果的に儲からなくても、おもしろい人たちが来てくれて寄ってきてくれれば自分はまだ生きていけるっていうのがどこか頭の中にあるからですよね。

亀山:なるほど。俺も考えてるんだね実は。

佐藤:頭の中で考えてます。感じ取ってます。それを言語とか論理に落としてないだけ。

亀山:じゃあ『お金2.0』を読むと、俺「ふんふん」ってうなっちゃいそう?

佐藤:「これ貰った!」ってなります。

亀山:じゃあちょっと勉強してみようかな。

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