「不倫報道ばかりしている場合ではない」
多くの日本人が気付いていない、この国の“深刻な問題”

元マッキンゼー赤羽雄二氏と学ぶ10年後の未来と働き方 #4/8

Premium Innovators College
に開催

2017年9月14日、ニッポンイノベーター塾が主催のイベント、Premium Innovators Collegeが開催されました。登壇したのは、マッキンゼー・アンド・カンパニーにて14年間活躍し、現在はブレークスルーパートナーズ株式会社にてマネージングディレクターとして企業の経営を支援している赤羽雄二氏。「10年後の未来と働き方」と題して、AIなどの発展によって急速に変化するビジネス環境や、これからのビジネスパーソンの在り方について、参加者と意見を交えながら語りました。「将来、AIに仕事を奪われる」というのは本当なのか? 技術の進歩によって私たちの生活はどう変わるのか? すべてのビジネスパーソンに贈る、10年後も生き残り続けるために必要なマインドセットを解説します。

ブロックチェーンはハッキングのリスクが非常に小さい

赤羽雄二氏:ブロックチェーンというのはインターネット上の台帳です。データを改ざんされるリスクが非常に小さく、ほぼ完全に安全で、なおかつ決済コストが安い。

スマートコンタクトというのは、たとえば、みなさんが乗っている車がガソリンスタンドに近づいていくと、車から「ガソリンを30リットル入れてください」と連絡します。ガソリンスタンドからは「1リットル120円ですが、それでよろしいでしょうか」と返信する。車は「了解、ではお願いします。」とやり取りをして、「じゃあどうぞ」と言われます。こういうやりとりが全部自動になります。

データベースは分散されているので、ヤフーがハッキングされた、ベネッセがハッキングされて何百万人のデータが漏れたというようなこともなくなります。「セントラルサーバーがない」ということが特徴です。

個人情報の漏えいの心配がなくなると、銀行がいらなくなる?

その結果、自動車会社とその子会社、子会社とその先の子会社の関係も変わります。保険も変わります。就職や採用、あらゆるものが変わり、企業が変わり、なくなるものがなくなり、生活も変わります。

クレジットカードをたくさん持つこともなくなります。IoTと重ね合わせて、目や指紋だけで個人の認証も済むのでクレジットカードのパスワードを覚える必要もありません。

これだけ大きな話なので、ブロックチェーンという言葉を初めて聞いたという人は、ちょっと感度が低い、あぶないのではと思います。

ただ聞いた瞬間に、何を考えたかが大事です。ブロックチェーンによって100パーセント他人を信用して行動できるようになるとなにが決定的に変わるのか、です。さらに言えば「個人情報の漏えいの心配がまったくなくなる」と何がどう変わるでしょうか。いちいち報告を受けたり、集計したり、監査したり、担保を受け取ったりしなくてもよくなると、なにが決定的に変わるでしょうか。

そもそも不正を行うことができない仕組みができると、なにが決定的に変わるのか。こういうことが考えられる柔軟性が要求される時代になってしまいました。

世界も変わっていく

技術の話ではありませんが、世界の状況も変わっていきます。

個人的な話ですが、私はずっとアメリカが大好きでした。スタンフォード大学に留学し、キャンパスの美しさにこの世の天国かと思いました。本当に綺麗なんですね。大学には全米トップ50に入ると言われる素晴らしいゴルフコースもありました。ディズニーの映画も大好きで、ずっとアメリカのファンでした。

ところが、米国の歴史や米国について勉強すればするほど、これはアメリカの一面であり、アメリカへのファンを生み出す策略であり、決して甘いものではないということが痛いほどよくわかりました。どう国土を広げ、カリフォルニア州をどうやって獲得したかに始まり、第二次大戦の開戦理由や不要な原爆投下、言いがかりでのイラク戦争やアルカイダ・イスラム国への支援などです。

また、歴史的に最も長いあいだ「世界一の大国」だったのは中国で、それに次ぐのはインドでした。それがイギリスが密輸販売で中国にアヘンを売りつけ、中国人を骨抜きにして莫大な富を奪いました。1840年のアヘン戦争以来、中国はつらい立場にあります。それを何とか挽回しようとしているのが、過去50年近くの中国の動きです。共産党以前の問題がすべての背景にあります。

1945年以降、アメリカとソ連の2極体制が始まりましたが、これは世界史的にも非常に珍しいことです。

それが、1989年のベルリンの壁の崩壊、1991年のソ連の解体で冷戦が解消され、アメリカ一極の覇権が始まりました。ここまで力のある一極覇権も珍しいことです。それ以来「世界の警察」を務めたアメリカがトランプ大統領のもと、「アメリカ・ファースト」に戻ろうとしているわけです。

ドナルド・トランプ大統領に関しては、ゲスな部分に関心が集まっていますが、これに惑わされてはいけません。実際に彼がやっているのがどういうことか、冷静・客観的な目で見続ける必要があります。ほぼすべてのメディアがトランプ大統領について極めてネガティブに、アンフェアに報道していますが、これにも影響されないよう、一つひとつ吟味する必要があります。

北朝鮮にあれだけの技術があれば、ピンポイントで狙うこともできる

考えていただきたいのは、自分がアメリカ大統領だったら日本をどう利用するかです。その時、日本はどういう態度をとるべきでしょうか。

北朝鮮のミサイルがグアムに向かって4発打たれるとなったときに、「日本じゃないんだ! よかった!」と思っても、上を通るわけです。日本は大丈夫なのかな、と私は思いました。みなさんもそう思われたかも知れません。

その次には「北海道と青森の間、津軽海峡の真上をうまく通せた」ということになりました。真上なら国際法上違法ではありません。「よかった、そうなんだ。とりあえずよかった」。これはもう大バカとしか言えません。

あの狭い津軽海峡(注:私は小学校3年から中3まで札幌でしたから、あの辺りの土地勘があります)の上をねらって通せたということは、「札幌を狙う」「東京を狙う」こともできるということです。

それでも、「大変なことになった。何とかしないと非常にまずい」という大きな騒動は国内で起きていませんよね。これはもう、日本人は頭がおかしいとしか言えません。経営力のなさと同じで、こんなに深刻な問題があるのにほとんど議論されず、テレビで不倫報道ばかりしている場合じゃないでしょう。

(会場笑)

さらに、自分が習近平だとしたら日本国内の米軍基地をどう思うでしょうか。中国は世界の大国だったけれどイギリスによるアヘン密輸とアヘン戦争によりひどいことになった歴史があり、しかも第二次対戦時には日本が蹂躙した。南京大虐殺が30万人なのか3万人なのか、いろいろ議論されていますが、数字上の問題ではありません。大国のプライドを決定的に傷つけたことを深く認識すべきです。その日本が、終戦をほぼ決意していて本当は必要なかったはずの原爆を民間人の上に2つも落としたアメリカに対しへいこらしている状況をどう感じるのかということです。

自分が習近平なら今の日本をどうしたいでしょうか。アメリカが沖縄から撤退したら、どうしたいでしょうか。こういうことをみなさんどれだけ考えていますか。考えていた人は手を上げてください。ほとんどいませんね。

こういう問題を考えずにいて、ただ勉強会に来てはいけません。そのくらい深刻な問題です。

これがどういうことかと言えば、ちょっと微妙な例かもしれませんが、みなさんに妹さんがいたとします。彼女がストーカーに付け回されて恐怖を感じた時に、平然として「それは気のせいだ」と言いますか。言わないですよね。これ以上に深刻な問題なんです。世界の常識では、もし侵略されたら、非常に多くの日本女性がレイプされるわけです。平和憲法の是非とは別の話です。

最後に、イスラム教ですね。イスラム教の話を考えないようにしている日本人が多いと思います。イスラム教徒は現在16億人と言われていて、出生率が高いので急増しています。あと数十年でキリスト教徒を超えると言われています。いろいろ問題もありますが、大きなビジネスチャンスもあるので、今後「イスラム教徒向けのビジネス」には注目しておく必要があります。

大企業は変革して生き残るか、退場するか

大企業の話に戻りますが、大企業は経営資源があるので変革して生き残ることもあります。それか東芝のようにどうしようもなくなって事業縮小をすることになります。日本の半導体系の会社は一緒になるとか退場するとかいろいろな形でつらい思いをしています。

中小企業は、大企業の下請になっていることが多いです。もちろん「携帯電話のヒンジの世界的シェアの6割を占めている」「iPhoneのコンデンサーの3割を占めている」という世界レベルの中小企業も相当数あります。これはすごいことです。

ただ、それ以外の数十万社は、大企業の下請、孫請になっていることが多いようです。東芝が不正会計やM&A投資の失敗などで経営危機になったら軒並み仕事がなくなるような、選択肢があまりない苦しい企業ばかりで、どう生き残りますかという話です。

ブロックチェーンを生かした革新的なプレイヤーには、仕事のチャンスがあります。ただ世界中のブロックチェーンベンチャーは英語でばりばり仕事をしています。インド人、ユダヤ人、ロシア人、イギリス人などと英語で普通に仕事できないといけません。

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