エネルギーが有り余っていた

佐俣アンリ氏(以下、佐俣):ここからの2人はぶっ飛びな感じがするので、何を考えて学生生活を送っていたかというのを聞きたいです。じゃあ、まずは安部さんどうですか。

安部敏樹氏(以下、安部):1年生とか2年生のときですか? 僕は花火を打ち込んでましたね(笑)。大学には必ず守衛室ってあるじゃないですか。いつも考えていたのは「守衛室にあんなに人は要るのかな」ってことだったんですね。夜なのに3人とか4人とかいて、それは国の税金でやる必要があるのかと思って。

じゃあ、俺らは仕事を作る必要があるだろうということで、渋谷で飲んだ後の夜中2時くらいに大学に戻って、花火を打ち込みまくるということをずっとやってました。

毎週金曜になると、ドンキで大量に買った花火をバンバンバンバンバン! って。友達10人くらいで無線を使ってチームワークを組んで、「プランΔ(デルタ)だ!」とか言って臨機応変に守衛さんと戦うというのを、1・2年生のときはやってました。こういうのでいいんですかね(笑)?

でもまぁ、僕は起業をしたいって思ってたわけじゃないので。気づいたら、事業として回したほうがいいようになっていたので、法人をたてて仕事になってきているという感じです。もしかしたら、起業がしたい、起業ありきという部分ではちょっと違うのかもしれないなと思ってましたね。

佐俣:エネルギーが余ってたんですかね?

安部:やっぱり大事ですよね。何をするにしてもエネルギーがないと。エネルギーがあり余っていれば、変な話、たくさん失敗してもいいじゃないですか。あり余ってんだから、ちょっと分けてやれって感じで。最初からエネルギーがないと、「効率よくやろう」とか言い出しちゃうわけなんですね。

基本的に、効率よくやろうとしてる人はうまくいかないんで。最初からエネルギーがあり余ってトライばっかりしているうちに、「あっ、ここの金脈当てたぜ」みたいなことが出てきて、うまくいくので。エネルギーは大事ですよ。

何かできないかとをずっと探していた学生生活

佐俣:僕は、安部さんの話にすごく同意ですね。僕のまわりには学生の頃に起業して会社を大きくしたやつがいっぱいいて、彼らの学生の頃のプロフィールを見てみると、いわゆる「意識が高い学生」なんですね。ツイッターのプロフィールで、「○○大学/○○/○○/……」って、いっぱいスラッシュが入ってるような(笑)。

要は、いろんな活動をしているわけです。言行(石田言行氏)も、学生の頃のプロフィールを見せてもらったら、学生団体の人です! って感じでした。僕はそれでいいと思うので。やっぱり、エネルギーがあり余ってるんですね。

ちなみに僕が学生のときに何をやっていたかというと、1・2年のときはずっと体育会をやっていて、ボート部で年間300日合宿っていうすごく夢のある生活でした(笑)。日本で1番練習してたと思います。それで、腰を壊して運動ができなくなっちゃったので、突然ニートになったんですね。大学なんて通ったこともなかったし、筋トレしかしてなかったので、何もできない。

あまりに暇すぎたので、家に置いてあったカメラを使って、写真部に入って1年間で10万枚くらい写真を撮ってたんです。そのときの写真の仲間が、raksulの共同創業者なんですけど。とにかく、僕も学生の頃はやることを探してたのかな。パワーが余ってたので、何かできないかと探してたんですね。安部さんはそれが花火だったんですね?(笑)

安部:花火だけじゃないですけどね!(笑) ありとあらゆることをやってた気がします。

起業をするつもりは全くなかった

佐俣:何をやってたんですか?

安部:今の仕事につながるという意味では、ホームレスの人たちの炊き出しをやったりとか。それは、もちろんホームレスの人たちを助けたいという気持ちもあったんですけど、単純に興味があったということもあります。

あとは漁船に乗ったり、旅行もいっぱいしてましたね。いろんなところを旅して、一緒にやって、みたいな。あとは、やっぱりモテたいじゃないですか。いかに女の子にモテるかというのはずっと考えてましたね。

佐俣:結果はどうでした?

安部:あんまり成果は出なかった(笑)。でも、そこで効率を求めちゃいけないわけですよ。いかに効率よく女の子を落とすかじゃなくて、とにかくアタックをしてみると。それが大事だと思いますね。

佐俣:ありがとうございます(笑)。溝口さんはどういう学生生活でした?

溝口勇児氏(以下、溝口):僕は大学に行ってないんですけど、高校生のときは平日は6時くらいまでサッカーをして、7時からマクドナルドでバイトみたいな。土日は引っ越しのバイトとかをやって。

僕は自分で生計を立てなきゃいけない複雑な環境だったので、バイトに明け暮れてました。

佐俣:気になるんですけど、そこから今の起業に至るまでにポイントはあったんですか?

溝口:いろいろあるんですけど……高校生のときに佐川急便に就職が決まってて、楽しくなさそうだなと思って華やかそうなスポーツクラブのトレーナーを始めたんです。で、負けず嫌いだったのと、上の人が簡単に言うといけすかなかったんですよね。

そのとき出会った言葉で、和久さん(和久平八郎・ドラマ『踊る大捜査線』)が「正しいことをしたけりゃ偉くなれ」と言ってて、それでどんどん偉くなっていこうとステップアップしていくうちに、世の中にはおかしなこと、不条理なことがたくさんあるなと思って。

起業なんてまったくしようとも思ってなかったんですけど、結果的に起業せざるをえなくなった感覚ですかね。

(安部:大きくうなずく)

佐俣:なんですか?(笑)

安部:怒りは大事だなと思って(笑)。不条理ふざけんな、みたいな。頭が沸いてるおじいさんとかいるじゃないですか。あぁいう人たちになんで従わなくちゃいけないんだろうというのはすごくあって。そういう人たちが作った仕組みというのは頭が沸いてるわけじゃないですか。

就活して就職して、それに従います! って言ってもしょうがないわけで。世の中のためになんないじゃないですか。頭が沸いてるやつはぶん殴っていかなきゃだめだってことに、すごく共感を持ちましたね。

不条理を打破するために影響力を持ちたかった

佐俣:お二人はだいぶロックンローラーな感じで……(笑)。再現性があるかって言われるとなさそうな感じですけど。でも、怒りとか強烈なエネルギーとか、もっと自分がっていう……溝口さんは「自分がイチローになればいい」と思ったのがきっかけだったとインタビューで聞いたんですけど、そういうことですよね?

溝口:僕が23歳のときに大きなスポーツクラブの支配人をやることになりまして、従業員も20人強いて、ひとつの環境のトップになったんですね。そこが僕の至らなさもあってなくなることになったんですけど、なくしたくなかった。

その地域はドーナツ化現象みたいなのが起きていて、中心地のお店なのでもっと稼がせようということで始まったお店だったので、行政も関係してたんです。だから市長とか市議会議員とかに「会えないか」とアポを取ろうとしたり、役所の入り口にたむろして見つけようとしたりしたんですけど、なかなか会えなくて。

ようやく1時間の約束で時間をもらえて、すごく時間をかけて事業再建計画を立てていったんですけど、そのときにさっき言われてたような頭がイカれてるおじさんに「時間がないから15分にして!」って言われて。

15分一生懸命プレゼンするんですけど、まったく話を聞いてくれない。思ったのが、どうしてこいつは俺の話を聞いてくれないんだろうと。そのときに、「自分がイチローだったら絶対聞いてくれたのに」とトチ狂ったことを思って(笑)。

佐俣:それは、イチローみたいなスターになってれば、全部聞いてくれただろうってことですか?

溝口:そうですね。純粋に影響力というか。さっきの「正しいことをしたけりゃ偉くなれ」というのと近くて、助けたい人を助けたいとか、不条理を打破したいとなったときには、影響力、チカラがないと難しい。

そのチカラを持った存在というのが、僕の中での代名詞ではイチローだったんですよね。ただそれだけの話で、イチローになれたらなと思って。それもひとつの起業のきっかけですね。

想いを言葉にすることが大切

佐俣:言行は、起業に至るターニングポイントというのは人生であったの?

石田言行氏(以下、石田):起業する、起業するって言ってると、起業しなきゃいけない空気感になっていくんですよ。

佐俣:じゃあ、周りに持ってかれたってこと?

石田:そうじゃないですかね。でも想いを言葉にする、口にするっていうのはすごく大事だと思っていて。何か言われたときに「僕は起業したいです」って。ある意味では逃げ場をなくしていくんですよね。どんどん逃げ場をなくしていって、結局そうしたっていうか。

「言葉」と「行動」って書いて「言行(いあん)」って読むんですけど、言ったことを実際に行うっていうのを僕自身の人生の決めごとにしていて。僕の場合は、さっき言われてた「起業が目的」のパターンだったんですけど、とにかく起業するんだっていうのは周りに言い続けてましたね。

結果やりたいことが漠然と決まっていって、起業したって感じですね。ターニングポイントっていうポイントはなくて、ゆっくり時間をかけて作り上げていったという形だと思います。

起業したい学生へのアドバイス

佐俣:今、ここに来てるような学生の方が「起業したい」って言ってきたら、何てアドバイスする?

石田:えー、したけりゃすればいいし……(笑)。する気がないならしなければいい、とだけ……。

本当に自分自身の問題なので、起業するのが全部正解だとはまったく思ってないです。夢を叶えたいとか、やりたいことがあるとか、純粋に「勝つ」っていう欲求がないと勝っていけない世界だと思うので。

学生起業家というと、成功率では低いほうだと思うので、そこで勝ち抜くというのは大変なことですけど、想いが強ければやってみればいいんじゃないかなと単純に思いますね。僕は別に、促すこともしないし、否定することもしないしっていう感じです。

佐俣:仲さんはどうですか?

仲暁子氏(以下、仲):学生さんに聞かれたらですか? 起業して、ほとんど99%くらいの人は失敗すると思うんですけど、私も学生のときに失敗してよかったと思うので、やるのはやったらよくて。でも起業が目的だと、今は登記が1円でできるので(※正確には資本金が1円でも可、登記には別途費用が発生)登記した瞬間に夢が達成、みたいな(笑)。さあどうする? って感じになるんですよね。

やるんだったら最終的に世の中にインパクトを与えないといけないと思っていて、学生のスタートで売上10億とか20億とかの会社を作っても意味がなくて。最終的に時価総額1000億いきます、くらいの次のDeNAとかソフトバンクを作るくらいの意気込みでやってもらいたいので、起業が夢になって終わっちゃうのはいけないなと思いますよね。