応援メッセージのご紹介

安藤哲也氏(以下、安藤):ありがとうございます。ここで、応援メッセージが届いているので、ご紹介したいと思います。

まずは、三重県知事の鈴木英敬さんからコメントが届きました。

「フォーラムの題名が示す通り、世の中の空気を変えるのが政治家の役割であり、男性の国会議員の育休は前例がないからこそ、取得するのがまさにパイオニアだと思う。私1人目の子どもが生まれた時、様々な声がある中で育休を取得しました。

自ら育休を取って再認識したのは子どもと一緒に向き合うための姿勢づくりは最初が肝心だということ。そして、少子化対策や女性支援だけではなく、『男性』と『働き方』を変えることなしにはあり得ないと日々実感しています。本フォーラム開催で、男性の育休が普通に取得できる社会に変わってくきっかけになることを切に願っています」

続きまして、イクメン議員連盟という永田町にある国会議員の皆さまの超党派の議連がありますが、ここの共同座長、公明党の参議院議員である谷合正明さんからです。

「参議院議員2期目に2人目の子どもが生まれた時、私も国会議員の育休制度が必要と感じ、スウェーデンの制度にある『代理議員制度』等を参考に問題提起を試みました。

しかし、現実の壁は高く、取得には至りませんでしたが、広く日本社会に仕事と生活の調和をもたらしたいという思いは、4人の子を持つ今も変わりません。働き方改革は女性活躍、少子化対策に資することは間違いないです。皆さんの活発な議論を心より期待します」谷合議員でした。

そしてもう一方、広島県知事の湯崎英彦さんも先日の朝日新聞でコメントを出していますね。「子育てしやすい環境作りは国家の最重要課題の一つ。制度を作るかどうかは問題ではなく、実際に子育てに関わることが重要だ」ということです。

6年前に育休取得した成澤区長

続きまして、文京区長の成澤廣修さん、お待たせしました。この流れしかありませんね。湯崎さん、鈴木さんに先駆けて6年前になりますね。2010年の……。

成澤廣修氏(以下、成澤):うちの子は今年、小学校ですよ。

安藤:全国初の区民長の育休取得をされた文京区長の成澤廣修さんです。よろしくお願いします。

成澤:ようこそ禁断の世界へ。すごく頑張っているなと思います。たぶん苦しんでいるんだろうと思うし、「苦しめ、ざまあ見ろ」とも思っています。

(会場笑)

私が「なんちゃって育休」というものを宣言したときも、まずは日本の母となる方から「男性が育児休暇を取るなどというのは、古き良き日本は男は黙って外で仕事。女は家庭で家事・育児。それが日本の良き伝統なのだから、お前がやろうとしていることは女々しい」と言われました。“女々しい”という字は女、女しいと書くわけですから、いかに性別役割分担意識が、この国に根付いているのかということだと思います。

そのことは今、世論調査を取っても変わりがないので、今回宮崎さんが提起をしている問題そのものは大賛成だし、子どもとママと向き合ってもらいたいと思うし、育休中にマスコミの取材は絶対に受けてはダメですよ。絶対に子どもとママとの間で、しっかり濃密な時間を過ごしてもらいたいなと心の底から思っています。

今日が「頑張れ、宮崎」の決起大会になるのもあまりにも面白くないので、僕だったらこうしたんじゃないかというのを申し上げたいと思います。

私は、実は内緒で育休らしきものを取ろうとしました。その時は議会が開かれる可能性があるので、議会には話をしておこうと。当然、決裁が滞ると職場に迷惑が掛かるので、役所の管理職には話しておこうと。

それともう一人話してしまったのが、あそこにいる安藤さんで、あの人がマスコミに漏らしたから、僕は大変なことになっちゃったんです。すべてはあの人が悪いのです。

でも漏らしてくれたおかげで、ここにいる青野さんが引っかかって、「日経に出るよ」という一言によって、禁断の世界にこの人も入ってしまったということなんです。だからきっかけは、僕はなんでもいいと思っているんだけれど、今回のやり方はあんまり上手じゃないという気もしています。

制度化を目的化しないこと

先ほどのお話にも出ているように、大事なのは男性議員の育休を制度することを目的化するのではなくて、どう働き方の見直しをこの国がやって、男性も女性も「イコールパートナー」として、しっかり家事や育児に取り組むことができるのかということをを議論すべきだと思います。

そのためには、議員の育休の制度化ではなくて、もっとほかのアプローチ方法もあっただろうし。例えば、働き方の見直しをすれば、フランスの育休制度の制度設計は育休期間中にほかの会社で働くことも認められています。

このように育休中は家事育児に専念していて、労働行為を100パーセントしてはいけないという制度設計も、これは子供や奥さんと、当然、稼がなければ飯が食えないわけですから。そういったことを組み合っていく時にも、非常に緩やかな制度設計をしていくことが大事だと思います。

育休を1ヶ月取ると宣言されているけれども、その期間中に僕はどんどん働いたっていいと思うし、大事なことはやったほうがいいと思います。だからそこはあまりガチガチに考えないでやられたほうがいいと思います。

後は、介護の問題。今は子どもができる男性の国会議員というのが増えてはきているけれども、まだ国会議員の皆さんたちは、おじいちゃんたちが多くて。いろんなことを言う人がいるけれども、介護のことを考えたら自分の父親や母親は、介護が必要になるということが、すぐ来るはずなんですよ。

晩婚化、晩産化が進んでいれば我が家がそうでしたけれども、子どもの育児と介護が連続しています。ですから、どうせ制度を作るなら介護まで含めて、しっかり国会議員の皆さんたちも、議論をするべきだろうと思っています。

安藤:はい、ありがとうございます。まさにその通りでプライマリーバランスが出来るのかという話しではないので、でもあれですよね。成澤さん。結局、宮崎議員も「なんちゃって育休」なのですよね。

成澤:「なんちゃって育休」でいいんですよ。さっき偉そうにいった鈴木英敬という三重の知事は、私が第1号で取った時は、危機管理上の問題があると私にかみついたのですよ。

(会場笑)

安藤:そのなかに飛び込んだのも私です。

成澤:自分が知事になってみたら、育休中に県から外に出るはずはないので、危機管理上の問題はないことがわかったのです。「私も若気の至りでした。成澤さんごめんなさい。」と手打ち式をやりました。

安藤:実は三重の鈴木知事は2人目が予定されていて、この間電話で「育休とるの?」と聞いたら、「取りたいのだけどね、ちょうど5月は伊勢・志摩サミットがあるのでね」とちょっとハードな状況になっている感じでした。

目立つ人が育休を取得することの意義

今、ご紹介ありました禁断の世界に引きずり込まれたもう一方。サイボウズ社長の青野さん。今回の宮崎さんのアクションどのように思われますか?

青野慶久氏(以下、青野):もう素晴らしいですね! 本当に素晴らしいの一言です。僕はサイボウズという会社をやっていて、いわゆるITベンチャー、ワーカホリックでまったく育児休暇を取るタイプではなかったのですけど、偶然、成澤さんのところのお子さんと長男がまったく同じ誕生日で。

私は文京区民ということもあり、近所で会うくらい近くて、それがご縁で「会社の広報に繋がるから取っておいたほうがいいよ」って言われて取ったのが……、まぁそんなもんですわ。

取ってみてわかるのが、異常なまでの重労働だなと。これを女性1人に押し付けていたら、子供を作る気なくすということが、自分で体験を持ってわかったので、今は広げる活動のために時間を押さえてやっています。

目立つ人がやることが、どれくらい大事かってことなのですよね。私も会社の社長という立場で取ったわけです。こうするとやはり空気が変わるんですよね。それまで女性社員、ママさん社員が短時間勤務で5時くらいに会社を出る時、「すみません、ちょっとお迎えがあるので」と申し訳なさそうに帰っていたのですけれども、僕は去年、3人目の子が生まれて半年間4時退社をしていました。

僕が最初に「すみません。失礼します」って出ていくわけですよ。

それを見ていたら、「あれでいいのか?」みたいな空気になるわけです。時短で働かれるママさん、パパさんが元気よく退社していくのを見ると、やっぱり空気が変わりますよね。そうすると、この会社では子育てしていいのだと。

どんどん今、産休の方が増えていって。10人以上の方が今、同時に産休に入っている。いわゆる子宝企業になっています。だから、目立つ方がされると本当に空気が変わるのが大事。そこだけでね。大拍手を送りたいと思います。

空気が変わり、会社のイメージアップにも

安藤:はい。ありがとうございました。今、青野さん年間講演が100本以上になっていますよね。これは本業じゃないですからね。育休社長としての講演が100本ですから、まさにこれが会社の広報になっている。

イメージアップ。そして育児をしながら働ける優秀なエンジニアを集めていますよね? もう大手に負ける気がしないと言っていますよ。この人。優秀な人材を集めて。

青野:中途社員の素晴らしい採用ができていまして。最初は大企業に入ってきたけど、結婚や出産を前に「この会社で長く働けるのか?」と思った方が僕らのところに来てくれるんです。この人材不足のなかで、とてもよい採用ができています。本当にやったもん勝ちです。空気が変わったなと感じました。

安藤:ありがとうございます。宮崎議員。今はやはり、広報にもなり、イメージアップにもなる。自民党はせっかく少子化対策、子育て支援、力を入れてやっている。これをもっとプラスに僕は転換させることが、僕ら的には考えなのだけれども、1月14日の朝日新聞を見ると、取得の動きに党内から批判が出ている。「メディア対応は君の手において沈黙するしかない」と。

(会場笑)

安藤:せっかく広報としてチャンスなのに、それを自ら潰しているような状況について宮崎議員、一言お願いします。

(会場笑)

宮崎:あの……ノーコメントでお願いします。

どっぷり育児に専念してわかること

安藤:それもコメントですからね。それについて一時、Twitterでいろいろ言っていた議員の方のなかに野党の方がいらっしゃったんですけれども、お隣の寺田議員。今日は是非論ではないので、その話ではなく、寺田さんも一児のパパですが、今回の宮崎議員のアクションについてコメントをください。

寺田学氏(以下、寺田):寺田です。よろしくお願いします。正直に言って、宮崎さんがあのようなかたちで「育休を取りたい」と言ったことに、これくらい国会内から批判がきて、世の中からも批判がきているのを見て、窮屈な国だと率直に思いました。

その根底になにがあるかなと思うと、育児に対する社会的地位がもの凄く低くて、特にそういう現状なので、男性が取りたいなんていうと「そんなもん女性にやらせとけばいいだろ」という全体の空気があるのだろうと思いました。

だからこそ、それが議員であろうがなんであろうが、妻に任せるものではなく、父親としての当事者意識をいかに持てるかが大事だと思う。それが、多くの男性に広がれば、育児ってやっぱり大変だし、育児って凄く尊いよなってことで、社会的地位が上がり、育休を取ることに対して皆が寛容というか、ウェルカムになっていく。

なので、宮崎さんが取られて、僕自身10年国会議員をやって、一回落ちた瞬間、子供ができたので、幸か不幸か育休を取る、取らないの議論に乗っからなかった。今2人目を頑張っているのですけど。

安藤:取りますか?

寺田:取ります。

(会場拍手)

寺田:取る、取らないというか、休みますよ。僕が無職の間に子供ができたので、丸1年間、妊婦の10ヶ月とその後の1年間ずっと一緒にいて、育児そのものに関わったので、やはり大事だと思う。

それはそれでわかりながら、もう1人できた時の2人いる時の大変さというのもあると思うので、僕が宮崎さんにお願いしたいことは、先ほどから「なんちゃって育休」でもいいからと言うのですが、僕は1ヶ月どっぷり取ってほしいと思います。

僕も自分の秘書のなかに男性が3人いるのですが「育休を取れ取れ」と言って取らせました。3人いたうち1人は物凄く喜んで帰ってきたのですが、もう1人の方は「頼むから用事をくれ!」と「外に出る用事をくれ!」と。

やはり3か月までの、寝られない、つらい環境のなかでとにかく外に出たいという声があったので、ちょっと仕事があるという理由があれば外に出られるのですよね。

そうではなくて「1か月は専念する!」と言ってどっぷりやってほしいし、僕としては歳費を堂々と貰ってほしいと思います。そこで「歳費はいりません」と言ったら育児休業を取ることに対する後ろめたさの表れに近いので、僕はしっかり頑張ろう。

(会場拍手)