イクメン議連座長の柚木氏からメッセージ

安藤哲也氏(以下、安藤):今日のレジュメの一番最後に、提言「父親時間の創設 日本版パパ・クオータ制度の導入」ということが載ってると思いますけども。これ実は「イクメン議連」という先ほど言った、永田町で生まれた超党派のイクメンパパ議員たちと、あとファザーリング・ジャパンとか成澤区長とか駒崎君とかと一緒にやってきた活動です。

これについてイクメン議連の谷合さんから、メッセージいただきましたけれども。同じ共同座長をやってる、民主党の柚木さん、ちょっとDH席で。

柚木道義氏(以下、柚木):今ご紹介いただきました、超党派イクメン議連の発起人で。先ほどの谷合さんは公明党で、私は寺田さんと同じ民主党なんですが、共同座長を努めております柚木道義と申します。

一緒にイクメンサミットの時に、少し前なのですが、提言を出しました。

安藤:25年ですね。

柚木:そうですね。これを説明する前に、1つ私から宮崎さんにエールを送って大丈夫ですか? 

安藤:どうぞ、どうぞ。

柚木:宮崎さん、イクメン議連にぜひ入っていただけると話聞いてますが。

安藤:ああ、そうなの?

柚木:男女問わず育休を取りたい人はちゃんと利用できる制度を、議員であれなんであれ作ったほうがいいと思うんです。ちなみに私は利用せずに、4歳の娘と2歳の息子がおります。ただ、私も実は宮崎さんのことは他人事じゃなくて。たまたま自分の最初の子が生まれる時に国会の招集日だったので、「応召延期願」というのを出したんです。

で、それを調べた記者さんが、国会議員で初めて妻のお産に立ち会うために「応召延期願」を出したから、取材したいって。私は勇気がなくてお断りしたんです。やっぱりその頃は、そんな政治状況じゃありませんでした。正直、我々は本当に厳しい立場だったんで。

でも、ここでは勇気を出してこういったかたちで取られるということであれば、そこはしっかりぜひそれを貫いていただくことで、いろんなことをたぶん経験もされると思うので。それを制度に活かしていただくことがみなさんにいろんなかたちでフィードバックできることになると思います。

イクメン議連でぜひ制度を一緒に作っていけたらと思いますので、頑張りましょう。

男性育休を妨げる、いくつかの壁

それで、政策提言を、1つ1つ、パパ・クオータ制度を実現していくということは非常に。ここ(配布レジュメ)にそれぞれ書かれておりますが、重要かつ、いろんな面で有効だと思うんです。

私たち、イクメン議連って、まず最初にお金の壁があると。つまり、男が取ると、女性より(男性が)給与が多少多い家庭が多いと思うんですが、そういうことも含めてまずお金を壁を打ち破ろうということで、育休の給付金を5割~3割に引き上げる。これをイクメン議連でみなさんと一緒に取り組んで実現することができました。

次は、意識の壁。心の壁ですね。これを取り払おうというのがまさに「イクジイ」とか「イクボス」とかいろんな取り組みが企業さんでも。今日も代表の方がたくさんいらっしゃってます。

その先に、今度は制度の壁という部分が、これ全部同時進行ですが、こういうことが書かれてるところがありまして。パパ・クオータの部分をわかりやすく、これは成功事例があります。このなかに、男性の育休を取るために、私は2番のところは、本当は二分の三ですが、100パーセントというのもありだと思ってますね。

ノルウェーで実はやって、1991年に、ノルウェーも全然男子社会だったのが、4パーセントの男性の育休が、このパパ・クオータ制度を4週間導入して、100パーセント給料を保証したら、3年後には70パーセントまで男性の育休が増えました。うまくいったから4週間を6週間にしたら、さらに3年後に90パーセントの男性が育休を取るようになったんですね。

安藤:女性の首相も2回取ってますよね。

柚木:そうです。ちなみにノルウェー、ストルテンベルグさん、もう首相やめましたが、2回育休とってます。ですから出生率も先進国のなかでベスト5、2ポイント近い。総理が2回も取ってるんですよ、現職で、育休を。そういう国です。ですから、給与保証もしっかりするし、男性のトップが取ることが、つまり国家経営のトップが取るということが非常に重要だということが1つあります。

たくさんの相乗効果がある

それから、成澤さんも本当にイクメントップということを、地でいかれているんですが。こういった自治体、広島も含めて、いろんな取り組みをすることで男性の育休を支援する。

例えば、企業で、結局なにが問題かというと、代わりの要員を確保することが非常に問題なんですよね。当然、男性も法律で書かれてますから、育休法に。取るべきなんですが、制度の壁・心の壁があって取れない。これをちゃんと取れるように応援してる自治体では、出生率が有意に上がってるんですよね。

ですから、こういう4番目のような取り組み、それから「企業子宝率」を公表している福井県とかも参考になると思います。ぜひこういうことを、自治体から、国も地方も、成澤さん一緒に、以前やらせていただきましたが、そういうことも取り組んでいくことで相乗効果になると思います。

それから、5番目のところも実は今後非常に重要になってくると思います。両親学級・母親学級・父親学級とありますが。これは、みなさん、あの「母親手帳」というのが物議を醸しましたが、これは「両親手帳」といえばすむ話なんですが。

両親学級を行った人は非常に育休、つまり男性の育児・家事参加にそのままつながっていく可能性も高いですし。もう少し前倒しで教育段階から、そういうことをしっかりと、子供たちがそういう意識を持って大人になっていくように。

こういうことで、下のほうに書いてるいろんなプラス効果に繋がっていきます。男性が育休を取ると、実は非常に夫婦関係もある意味よくなって、そして子供さんの数も、これは結果としてですよ、出生率を上げるためじゃなく、結果として増えたり。

離婚減にもつながる

逆に取らない人と取る人、休日に子供さんと過ごす時間が6時間と0の家で、2人目を生む確率が7倍違うとか。あるいは2歳で離婚される方が5割いますけれども、やっぱり男性がしっかり家事・育児に理解をしめすことでそういう部分も減らせていけたり。

あと、発達障害の方が非常に増えてますが、それには虐待とかいろんなリンクがあって。特に女性の方が1人で抱え込んで、そういう状態に陥る方が多いので、男性がそこをしっかりシェアしていくと。

こういうようなことで、いろんな副次的な効果も生まれていきます。地域活動に参加する男性が増えれば、例えば性犯罪が減ったり。さまざまな相乗効果が、見込まれていきます。そのために非常に重要なのは先ほどのお話にもありましたが、やっぱり働き方の見直しということですね。

これをやった企業、先ほどサイボウズの方からもありましたが、国際的にもちゃんと結果が出てます。エビデンスがあります。グローバル企業で、ちゃんとワークライフバランス、女性に限らず男性も含めてしっかり制度がある会社は、利益率がそういう制度がない会社よりも2倍です。シカゴ大学の山口教授がそういう調査を出されてます。

そういうことを日本でもしっかり、こういったところが中心となってやっていくことが大事だと思います。

国会議員の役割とは

安藤:そうですね。柚木さん、これは3年前のドキュメントなんで。ぜひもう1回、できれば寺田さんとか宮崎さんとかに議連に入ってもらって、もう1回バージョンアップしたものを、ぜひ提言していきたいなと思うんですが、どうですか? OK? 

宮崎謙介議員(以下、宮崎):頑張りますよ。

寺田学議員(以下、寺田):最後に宮崎さんからいろいろ話すと思いますが、宮崎さんが言いにくいことも含めて、今の話と絡めていきたいんですが。今日は議員の育休はどうかっていう話なので、今、宮崎さんが言われたこともあるので、お話したいんですけれども。

本質的な国会議員の仕事ってなんだ、役割ってなんだってことを、1歩突き詰めて考えて欲しいんですよね。たぶん宮崎さんへの批判としては「お前、本会議の採決とか、私達が与えた唯一の権利を放棄してまで育休するのか」って言われているんですけど。じゃあ、本会議とか採決とかにひたすら出てることが、皆さんから託された役割を本当に果たしているのかっていうところを考えて欲しいんです。

いや、いますよ。スキャンダルを起こして党を離れて、ただ本会議でひたすら立ち上がって採決だけ加わっている人がいる。それがいいのかって話になるんです。  

安藤:寝てる人もいっぱいいるじゃん(笑)。

寺田:いっぱいいますよ。

区議長さんなんかと違って、議員っていうのは衆参合わせると700人超えます。こんなに大量の人間が議員として役割を果たす、本質的な役割は一人ひとりが問題意識を抱えて一所懸命にその問題意識を解決するために努力をするということが、採決よりもなによりも増して皆さんから託されている問題であって。

だから、そういう意味でいうと、彼が育休をとって、ものすごい育児の「うわー、つれー」というところやって、「これはやっぱり当事者意識持たなきゃいけないな、どんどん制度考えていこう」と言って、今、柚木さんが話されたようなことをどんどん進めていくってことが本質的な議員の役割で。

そういうことをやってる人が「あの人働いてるよね」であって、「いや、採決に加わらないのはけしからん」というのは、それでうちら議員は「オッケー」って言われるんだったら、うちら簡単ですよ。

なので、そこをちゃんと見て、僕は国会議員の育休制度を作ることはどうでもいいと思ってる。それこそ本当に社会を変えるような仕組みを、頭固い上の方々にガチガチぶつかりながらやる原動力を、育休をもって蓄えて、本質的な議員の仕事を果たすのが大事なんじゃないかと思っています。

安藤:代弁したのね。今のね。

寺田:言うと、角が立つんですよ。

柚木:宮崎さんは地元でぜひ、私も実は、2012年、民主党が政権から転落した最も厳しかった選挙。あのとき私イクメンのポスター作って貼っていたので、ものすごい批判、そして賛否両論ありました。「こどもの心、みんなの安心」というコピーで、1人目の子供もおんぶして。

実際、私の妻が航空会社勤務で3泊4日くらい帰ってこない仕事をしてたので。自分が政府に入った時に、子供を連れて岡山と往復もしたりしながらやってました。そのなかでいろんな大変なことがわかって、それを制度に変えようってことでイクメン議連を始めたんですよね。

世の中の女性は、これを毎日やってるのかって思いました。ですから、ご自分がそういうことされるなかで必ず、まさに「もう頑張れ!」という人出てきますから。そこはやはりそういう方々に対して自分の経験をしっかりフィードバックするということを腹をくくってやっていただければ、それが必ず恩返しにつながると思います。

今は、党のいろんなアレがあるみたいですけど、ぜひ党を超えてやっていただきたい。