多様な働き方ができない会社は沈没する--これからの時代を生き抜くために

どうなる?議員の育休?永田町が変われば、日本の子育て・WLBが変わる #5/9

宮崎謙介議員が育休取得を宣言したことによって巻き起こったさまざまな議論を受けて、ファザーリング・ジャパンが緊急フォーラムを開催。男性の育休ということのみならず、これからの時代に求められる育児や働き方について考えました。

日本も変わる必要性

安藤哲也氏(以下、安藤):はい、ありがとうございました。

ヨーロッパ、北欧のほうがかなり進んでますけれど。日本と似ていると言われているドイツも、男性の育休は30パーセントぐらいまで上がってきていると。これは政策ですね。家族政策に舵をきって、やはり少子化を解決していこうという官民あげての取り組み。確かドイツ銀行の頭取が、それをやっていこうということを経済界のトップとして表明したことですごく動いたと言われています。

そういうなかで日本も、そろそろ変わってかなきゃいけないんですけれど。武石先生は、この問題について、長年に渡って研究を続けていられてます。ようやく10年経って、いろいろイクメンが流行ったんだけど、僕はまだ物足りなかったの。でも、ようやく潮目が来ている感じがするんです。これについてどうですか。研究者の立場から、今のムーブメントをどうとらえますか?

武石恵美子氏(以下、武石):法政大学の武石と申します。今日はこういう場に呼んでいただいて、ありがとうございます。私は12年前、2004年に『男性の育児休業』という、すごくベタなタイトルの本を、当時東京大学、今中央大学に行かれた佐藤博樹先生と共著で出しました。あんまり売れなくって……。

男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット (中公新書)

まだ2刷りまでいってない、それくらいしか売れてないんですけれども。その頃からみると、本当に男性の育児ということが、ここにいらっしゃる皆さんのご尽力で、すごく世の中変わったなという気がします。

今回の宮崎議員の育休は、クリスマスの前くらいにテレビで拝見して、「あ、とうとうこういう国会議員の方が出たんだ」とすごく感慨深いものがありました。

特に、奥様も国会議員で、共働きで。男性のほうから、このお話が出たというのがすごくやはり象徴的で。まさに「国会議員のダイバーシティもここまできたか」とすごく感慨深いものがありました。それで、すごく応援したいんです、が。

選挙でどう判断されるか

やっぱり議論を整理しなくちゃいけないのは、育児休業って、私は民間の人事管理を専門にしてるので、一応「そこもわかってますよ」ということを言わないと、同じ同業者から怒られるので。民間の育児休業とは相当構造が違うんだろうなと思っています。

ですから、宮崎議員が、例えば「民間は無給になるのに、歳費が出るのはおかしい」とか。なにか民間と比較した議論になってしまうところが、やはりすごく違うということと、国会議員の育児休業ってなんだろうっていうことを今回考えさせていただく機会になりました。

「パタハラ」とか「マタハラ」という言葉が出てるんですが。もし宮崎議員にハラスメントがあるとすると、次の選挙でどういう……、あの、当選していただきたいですけど。そこが、京都ですよね。

私は育児を夫婦2人でやる、やっぱり男性が育児をするということについて、本当に本質的な話題を提供していただいたと思っています。

そこで、育児休業といった瞬間に「休業」ってなんでしたっけ? 例えば、国会は休まれる? じゃあ、選挙区の活動も一切しないんですよね? と、そこまでのご覚悟でやると、たぶん次の選挙で……。(選挙区は)京都だと思うんですが。私たちも応援したいと思いますけれども、そこがすごくやっぱり大事なことで。

奥様はそのぶん活躍できるので、奥様は新潟ですよね。新潟の方も旦那様に選挙に投票してくださる。「うちの金子議員を応援してくれた旦那さんの宮崎議員を応援したい」って新潟の人が応援してくれる、そういうことになるといいんですけれど。

たぶん、選挙区でどうなるかなっていうところを。私は応援したいと思いますが、そういうところがこれから結構厳しい状況なのかなと思ってます。

それで、民間の育児休業というのは「なんちゃって育児休業」ではないので、相当みっちり仕事もしないで育児に専念するという構造になっていきますので。

宮崎議員がこれからどんな育児休業を取られるのか。宮崎議員がこれから国会議員を続けられて、少子化政策とかそういうものが前進する機動力になっていただくかどうかっていうことが私たちが見る成果だと思っているので、ぜひそこを期待して、そういうふうになるように応援をしたいと思うんですが、なかなか厳しい道が待ってますねっていう感想です。

厳しい選挙になることは重々承知の上で

安藤:はい。ありがとうございました。そうですね。宮崎さんそろそろ口が開くかな、どうでしょうか。

宮崎謙介氏(以下、宮崎):一言だけ。選挙のお話がありましたけれども、それはもちろん大変不安に思っております。そういう厳しい環境に我々が置かれていることも重々承知の上での今回の話です。以上。

(会場、拍手)

駒崎弘樹氏(以下、駒崎):でも、選挙の話、「大変ですね」ってご指摘があったんですけど。選挙の話になると、「じゃあ、高齢者に3万円配ろうぜ」っていうことになるじゃないですか?

安藤:そこですか。

駒崎:だから、それを「選挙大変だよね」みたいなことで揶揄するだけだと、やっぱり日本変わらないと思うんですよね。

これから、2050年になったら人口の4割が高齢者になるんですよ。だったら、高齢者に利益誘導してったほうがいいじゃないですか。それが政治家のインセンティブでしょう? だから、それを「そうじゃないよね」ってさせていないといけないから。だから、選挙はどうあれ、もしあれだったら「選挙で落とさないように声あげていこうぜ」っていう話なだけじゃないかなって思うのね。

さっきも言ったように、彼も選挙で問われてるけれども、我々国民だって問われてると思うんですよ。彼を落とす国民なのか、そうじゃないのかっていうのは問われてるんじゃないかなと思うんです。

安藤:国会議員が育休を取れない国にしていいのかどうかっていうことが有権者に問われているということなんですね。寺田議員なにか……。

寺田学氏(以下、寺田):宮崎さんの倍、選挙をやっているので、勝ったり負けたりもしてますけれども。ただ選挙のことだけをいうと、先ほど言ったご心配がありましたけれど。選挙的に言われるのは、ぼんやりとした支援者100人よりも熱烈な支援者10人がいたほうが選挙は強いんです。

なので、今回本当にあまり中途半端なことはせず、この価値観にどっしり座って、訴えてくと必ず。保守的な京都であっても「頑張った、宮崎」と言って、馬車馬のように頑張ってくれる人がいると思うので。そこは、あんまり心配しすぎることはないのかなと僕は思います。何回かやってきた感じですが。

成澤廣修氏(以下、成澤):まったく心配ない。

安藤:じゃあ、その横で3選を果たした成澤さん、お願いします。

成澤:区議長の例で言うと、なんちゃって育休取得を理由に落ちた区議長は1人もいません。以上。

(会場、拍手)

人を変えていくしかない

安藤:いや、わかりやすい。じゃあ、浜田さん。

浜田敬子氏(以下、浜田):先ほど言えなかったんですけれども、私がなぜ『AERA』でこの問題をやろうかと思ったのか。宮崎さんがスッと(育休を)取れればやるつもりなかったんですけれど、やっぱり先ほどから出ているように非常にアゲンストの風が国会内でもありました。

すごく気になったのが、ネットを見ていると、経済界の青野さんのような方は別として、経済界のリーダーとか社長とか、そういう人たちが今、非常に冷たい意見なんですね。

これはやっぱり、その人たちは変わらないと思うんですよ。人を変えるしかないので、やっぱり次の選挙で、よりこういう人を当選させるしかないなとメディアとしては強く思っています。

動きとしては1つ違う視点なんですが、この間の朝日新聞で今日来てる岡林記者が書いたんですが。超党派で衆議院の比例名簿を男女混合にするという案が進んでいます。それは公選法の改正案として、内閣法制局も詰められているんですが、どうも自民党の幹部から潰されそうだということを聞いてます。

要は、やはり女性が議員でも増える、政治家に増えるということであれば、当事者意識をもった人が増えます。そうすると、やっぱり男性にも取って欲しいと思う。人を変えていくしかないですよね。なかなか空気を変えてく……。

今日来てらっしゃる方は絶対にもうみんな「頑張れ」っていう人たちだし、この問題の本質はわかってますけれども。この同じぐらいの数の人たちはわかってないし、ものすごい抵抗層としているわけです。

それをどう変えてくか。その人たちはどんどんリタイアしていく。やっぱりどんどんと表のリーダー層とかに出してくしかない。それはやはり有権者しかできないし。例えば社長だったら、投資家の方とかが「NO」と言ったり、消費者が「NO」って言ったりってことをするしかないですね。

それをやはりメディアとしてはどんどん報じていくし、そういう経営者とか議員を応援していくということしかできないのかなと思っています。

安藤:なるほど。

浜田:ぜひ皆さん、この議員の混合名簿が潰されないように応援して下さい。

安藤:それはそっちのテーマがあるということですね。川島ボスも戦ってきましたよね。本社と戦ったし。「なにがお前、イクボスだ」とポマード親父たちから言われたわけじゃないですか? あれ、どうやって潰したんですか? 潰し方教えて。

川島高之氏(以下、川島):社名は出さないで下さい。また潰しにかかられますから(笑)。

私は18年前から総合商社でイクメンやってきて。相当戦いました。

結局、「成果を出せばいいんだろう」という思いが僕はどこかにあって。海外にも行かない、あるいは週2回は定時退社する、週末も出ないっていう、総合商社ではありえないことをやってきたんですが。でも、成果を出せばいいんだろうということで、そこはもう1.5倍から2倍の成果を出す努力をしました。出たかどうかはわからないけど。

なぜ成果をだす努力、1.5倍、2倍になるかって言うと、やっぱりリスクを取りにいったっていうのがありますよね。部長が意見を言わない時に、僕が「こうしましょう」と言い切るとか。お客さんのところに行って勝手に握ってきちゃうとか。やっぱり、リスクを取らないと1.5倍、2倍の成果って出ないわけね。

だから今、宮崎議員は、やはりリスクを取ってる。僕は、いいことだと思うんです。リスクはあるけど、絶対リターンのほうが高いので。男性の方で育休を取ると上司に嫌われる、出世街道がなくなるんじゃないかって不安に思って恐れてる男性多いんですけど、いやリスク取りに行って下さいと。そういうことを、ぜひおすすめします。

「育休を取ると出世する」

安藤:青野さんは、育休取るとお前たち出世するから取れって言ってるんですよね、社員に。

青野慶久氏(以下、青野):そうなんです。僕は、必ず潮目が変わるから、もし今、会社のなかで男性の育休が少ないんだったら、今取っておけと。必ず後で、「お前、すごいね」と言われる日が来ると。

安藤:ダイバーシティになるわけですね。

青野:ダイバーシティですね。それが、正直いつ来るのかなって見てたんですけれど。先ほど安藤さんがおっしゃったように「ああ、ついに来たな」っていうのが僕の実感なんですよ。

安藤:そうでしょ? なんか潮目来てる感じします?

青野:そうなんですよ。潮目が来てるんですよ。だからリスク取ってないんです、実は。絶対、勝てます。僕の勝負感だと絶対勝てる。

なんでかって言うと、確かにまだ経営者は今回の問題でぶつぶつ言ってる人はいるんですけれど、勘の良い経営者は、完全に1年半前から方針転換してます。

労働人口がこう減ってますから、人を採用しないと事業縮小しないといけないってみんな気付いたんですよね。だからブラックって言われてる会社が、働き方の多様化とか、地域限定社員とか、リモートワーク全員やります、とか。

頭のよい経営者は、もう完全に変わってるんです。ここからみなさんが見るのは、頭を切り替えられなかった会社が沈没していくことを見ることなんです。もう完全に潮目は変わっているので、自信を持って乗り越えられるリスクであると、私は確信してます。

安藤:いいですね。もし選挙落ちたら雇ってもらえます?

青野:もちろん。

安藤:私、ほらって言いますよ。生活保障はそこでね。奥さんは頑張って国会議員やられると。はい、いま言質取りましたからね。お願いしますよ。

育休取っただけじゃないですよね、青野さん。働き方の多様化を進めた。そこも説明して下さいよ。

青野:そうですね。経営者がいま本当直面しているのは労働力不足です。残念ながら、第2次ベビーブームの時はね、男女合わせて200万人いたんですけど、今もう子供半分しかいないです。40年でね、日本の人口ある意味半分になったんです。赤ちゃん人口半分になってるわけです。

このなかで労働力を確保しないと死ぬっていうのが経営者もわかってきていて。そのためには女性にも働いて欲しい。高齢者にも働いてほしい。介護してる社員にも、なんとかして働き続けてほしい。育児してる人にもなんとかして働き続けてほしいっていうふうにマインドが切り替わっています。

そのためには、当たり前ですけど短時間勤務であるとか、週休3日制であるとか、リモートワークであるとか、もうこれをやらないといけない。これ働き方の多様化の流れです。これをやった会社が今や若者に人気のある会社になってきてるんです。

こんなちっちゃい会社ですけれど、転職したい企業ランキングで、僕ら、名前が入ってくるんです。大手企業の名前が全然ないのに。おもしろいですよね。

それをやった会社がこれから伸びていく。だから、働き方をまさに変えていく。小酒部さんがさっきおっしゃいましたけれど、まさに経営戦略としてこの問題を扱っていく時代になったと。

安藤:「でも、それは青野さんだからできるんだよね」って言われちゃうじゃないですか? どうしても、いまだに。だから講演が来るんですけれども。

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