グローバル展開の成功パターン
岡島悦子氏(以下、岡島):ありがとうございます。まだまだ伺いたいんですが、いったん会場に振らせていただいて、ご質問をいくつか取りたいと思います。
質問者:海外展開展開していく際に、日本での成功パターンを変えていく必要があったところとか、新しく発見した成功パターンとか、そのあたりのお話を聞かせていただきたいです。
出澤剛氏(以下、出澤):メッセンジャーアプリに限った話でいうと、やっぱりスマートフォンの各国のシェアが10~20パーセントくらいに上がるタイミングで参入してそこで目立つっていうのが一番効率がいいんですよ。ユーザーがどんどん自然発生的に増えていくっていう環境になるので。
ただ、もうその時代は世界各国でほとんど終わっているので、いかにローカライズできるかっていうのが肝になってきています。
欧米のサービスだと1つのプロダクトをつくって「これを全部世界統一だ」という感じが多いんですけど、我々はすごい丁寧にそれぞれのマーケットで、機能レベルのローカライズをやっています。
残念ながら、そこに共通した成功の法則ってなかなかなくて、それを1つひとつ戦略を立てながら、刺さったものに対してリソースを追加投入していくみたいな感じでやってます。
中央でコントロールするかローカルに任せるか
守安功氏(以下、守安):グローバル展開の仕方として、大きく2つ手法があると思っています。
1つが中央でコントロールして、開発とかマーケティングを中央のやり方でドカーンとやってくという中央集権的なやり方。
あるいは、そのローカルにチームをつくってやり方も任せてしまって、「ローカルで戦ってくれ」という2パターンあるかと思っています。どっちがいいということもないと思うんですけど。
ウチの場合、あんまりうまくいかなかったのは、その中間みたいな感じでやろうとすると、「コントロールもしようとするんだけど(ローカルに)任せて」っていう感じでやると、やっぱりコミュニケーションも難しい。
日本だとある程度阿吽の呼吸で、ここまではここで考えて、あとは現場でやってという(ことができる)。
そのいわゆるボトムアップ型とある程度トップで決めるところが、海外に展開していくとなかなかうまくいかなかったですね。
ウチだとそれをかなりローカルに寄せて任せるようにしています。今、中国とかうまくいき始めてるんですけど、このあたりもやっぱりプロダクトのタイプというか……。
Facebookとかもそうかもしれないですけど、ワンプロダクトでいけそうなもの、ローカライズがそこまで重要じゃないものであれば、ワンプロダクトでドカーンといったほうがいいでしょうし。
それがゲームのコンテンツによって、カルチャーとか遊び方とかが国によって違うものが多いのであれば、もうローカルに任せちゃったほうがいい。
そのあたりはプロダクトの質によって違うんでしょうけども、中央集権的にやるのか、ローカルにほぼ任せてやるのか。そこはやっぱり決めておかないとうまくいかないと思います。
川邊健太郎氏(以下、川邊):ウチはライセンスを受けて日本でやってるドメスティックな会社ですので、特にないです。
中国はとにかく自動翻訳を使わないことですね。大変なことになりますんで、自動翻訳は使わないようにしてください。そんな感じです(笑)。
岡島:ありがとうございます。
次の事業をつくりはじめるタイミング
質問者:先ほどヤフーさんのお話の中で、「親子関係」というお話がありまして、荒ぶる父と優しい母と、共感できる比喩でイメージが湧きやすかったです。
LINEさんについても同じような形で、親子関係について出澤社長からお伺いすることはできないでしょうか?
出澤:はい(笑)。常日頃からお答えしてるんですけど、基本的には事業展開というのは日本のボードで決めているので、先ほどの例えでいうと優しいお父さんで、よしよしと見守ってもらってるという感じです。
もちろんファイナンスとかいろいろなことを、大きな意思決定に関しては当然100パーセント子会社なんで相談してやってますけど、事業展開に関してはLINEで決めてやってるっていう感じです。
川邊:優しそうな人だよね、あの人ね。1回ご飯食べたけど、本当に優しそうで羨ましかったなあと思いました。でも、信念強そうだよね。
(会場笑)
岡島:よろしいでしょうか? じゃあ、後ろお願いします。
質問者:次のビジネスへの1手を決めるタイミングについてお伺いしたいです。
私たちベンチャーは人、物、金もかなり限られてる中で、「1つのプロダクトをどれだけ磨き上げるか」みたいなところに専念すべきだと思うんです。
少しずつ安定稼働してくる中で、次に投資しなきゃいけないタイミングもおそらく来ると思います。その見極めのタイミングをぜひ教えていただければと思います。
川邊:これはスターフェスティバルの岸田(祐介)社長に直接言ったことがあって、やっぱり今の事業が一番うまくいってると実感した時に、他の事業をつくり始めたほうがいいと思います。
岡島:それはなぜかっていうのもちょっとだけ。