ダメなところはさらけ出して解決する

質問者:ご登壇の皆様すごいカッコよくて。

国光:言われるね(笑)。

質問者:何でカッコいいと感じるかというと、オープンで奔放で自分らしくて全部出していてカッコイイと思っていて。そういうところは普段どういう自分の磨き方をしているとできるのかなと思って。ぜひ参考にしたくてお伺いしました。

国光:そういうところで言うと、全部をさらけ出してるって言うと最近の僕じゃないかなあと思っていて。最近IT業界の中で面白い遊びが出来始めていて。基本的に、寝ている俺を撮ってさらして上げるというのがなんとなく遊びっぽくなっていて。段々年とってくると11時とか12時になると眠くなるのね。どこに行ってもゴロッと寝ちゃうんだよね。

最初は寝ている写真を上げているだけなんだけど、落書きされたりとか、挙句の果てに(洋服を)パッとめくってお腹をさらされるわけだよ。歳いってちょっとお腹が出てきてるから、ここのさらされたお腹のところが……。俺結婚してないからね。未婚で婚活中にも関わらず中年のこの腹をさらされるわけだよ。

それで俺思ったんだよ。さらした奴にね、カチンッときて「消せ」って言おうかと思ったけど、現状コレじゃん。ってことはここをなんとかしようと思って、最近朝走るようになってね。京都に来てからもずっと朝ちゃんと走って。不健康が売りだったの。不健康のほうがカッコいいじゃない。酒飲んでグワーって感じのほうが。でも年取ってくるとやっぱり体調が悪くなってくるとやる気がなくなってくるのね。だから思うのは、基本、ダメなところはある。

でもそこを隠すんじゃなくて、とりあえずさらけ出しちゃった後で、今そうですよと。でもこれをなんとかしましょうと。だからさらしきった後で、そこで止まらない。そこをなんとか直してやろうということが重要かなと。ただ会社の社長やってるとIR担当とかいて、そこのところからは怒られるけどね。社長止めてくださいと。たださらけ出してクリアするところが重要かなと。

真田:質問は何だ!? (笑)。

国光:え? なんでしたっけ? (笑)。

小澤:それの重要性は分かったと。ただ何でそういう人間ができあがったのかと。

国光:知らないよ(笑)。

質問者:それは昔からだったんですか? それとも何かきっかけがあって今の姿になったんですか?

国光:いや昔から。なんかきっかけあった人います?

小澤:川田さん何か言いかけた?

川田:基本的に周りにどう見られているかなんてこのへんの人たちは意識していないですよ、それほど。もちろんIRに怒られてあれ言うなこれ言うなとか、そういうのはあるけど。

基本的にはここにいる人たちは皆常に何かの問題を解いているわけですよ。さっきのWhatとHowの話があったと思うんですけど、Whatはかっちり皆決まってて、Howをひたすら解いているわけですよ。問題解く時って数学の証明やるのと一緒で、数学の問題解いてるときに自分を意識しているかって言ったら、全く意識しないのよ。とりあえず解くための最も合理的なアプローチをひたすらやってると。常に頭は動いて考え続けて、手も動かしてると。数学の問題を解いてるわけよ、ひたすら。

その姿が出ているだけで、別に「数学解いてるときは斜め四十五度がカッコよく見えるかな」なんて誰も考えてなくて。意識していないです。完全に自我がないっていう状態ですね。だからいいんだと僕は思います。

自分の短所を認めるには努力が必要

小野:いかがでしょうか、解決しました?

質問者:解決はしていないんですけれど……。

国光:まっ、基本は自分のままをさらけだす。そういう感じのところをやっていると段々慣れてくるし、もう一ついいのは、やり続けると周りも「そういうもんかな」って思って割と許してくれるようになるから。とにかくまず帰ってパンツ一丁の写真をフェイスブックに上げよう。そこをやれば吹っ切れるじゃない。自分の中に何かのバリアがあるんだよ。一旦それを解き放とう。とりあえず、今日帰ったらパンツ一丁の、格好いいパンツ穿いていただいてだよ、写真を上げよう。どう、できるかな?

質問者:(苦笑)。

国光:じゃいいや、上半身裸でいいや。まずは。上半身裸の写真、これはどう? いけるよね?

質問者:いけます……。

小澤:自分の中の問題は、僕らの話はさておき。さらけだすことができないってことなんですか?

質問者:はい。

小澤:自分を貶めるじゃないですけど、いわゆる自虐ネタとか、カッコつけ野郎ムカつくとか。孫(正義)さんがいい例だけど。ご自分のハゲのことものすごいネタにするわけですよね。面白いじゃない。人間愛されるよね。それを狙ってやる人と、国光さんみたいに全く狙わないでやってる人がいて。ただコミュニケーション戦略でいうと、自分のことをちゃんと自分らしく、カッコつけすぎずに素のままでいられる人ってやっぱり好かれるのよね。それは努力してでも、僕はやったほうがいいと思う。

だからその努力の一つはひょっとしたら家に帰って裸になることかもしれないし。国光さんはナチュラルボーンだから。なろうと思ってもなれない。でもこういう人いるのよ。あなたは多分今なれないんだから、努力をする。何が恥ずかしいのかって自分で見極めて、自分の欠点を言うことが恥ずかしいのか。合コン行って自分を隠す?

合コンで必ずあるトークが「俺、芸能人のあの人知ってるんだよ」と。「俺は真田さんの友達だから」というのが1つ。もう1つ感じるのは、新卒の採用面接をやっていて、長所と短所を聞いたときの短所の答え方なんですよ。

「短所はなんですか?」って聞くと。「私はどうしても人に気を遣いすぎてしまって、自分が出せません」と。それ長所だよね!? 結局、短所を短所と言えない。これを聞いたほうは何もおもしろくなくて。

僕は短所を聞いて、「こいつイケてるな」って思ったときが1回あって、「いやぁ、僕本当に気が小さすぎて、というか心が小さすぎて、ムカつくやつの上履きに画鋲入れちゃうんですよ」って。短所だな、それ! めちゃくちゃ短所じゃないか!

国光:悪いやつですねえ(笑)。

小澤:悪いやつなの! でも笑っちゃいますよね? 初めて聞いたよ、漫画だよ漫画。画鋲だよ、画鋲!? それはネタかもしれないんだよ。でもそれは聞く側の心にグッと入ってくるんだよね。「オモロイなあ、お前! それこそ俺が聞きたかった短所だよ」と。

だからやっぱり自分でそういうのを出せるか出せないか。恥ずかしいっていうところこそ、人の魅力なんだよ。それはカメラの前でもね……。

(突然ゴリラの真似をする小澤氏)

小澤:……とかができるかどうかなんだよ。

国光:怒られる! 怒られるよ! あなた結構えらい人なんだからね!?

小野:ちなみに全員シラフですのであしからず。

国光:(質問者に)ちょっとあのポーズやってみよう! ここで。

小野:いいですね! じゃあチャレンジ。こんな機会なかなかないですよ。

小澤:俺のほうがどんだけリスク抱えていると思うんだ! 三兆円の会社だぞ!

(小澤氏と質問者がゴリラの真似をしながらステージを横断)

小野:素晴らしい! 拍手をお願いいたします。何か変わりましたか?

質問者:はぁ、はぁ……(息切れ)。ちょっとだけ、最初の一歩を踏み出せたような気がします。

小野:続いての質問者の方よろしくお願いします。

法律なんてクソくらえ! 全部変えていい

質問者:9月から起業しているんですけど、質問が抽象的になるかもしれないんですけど、僕の欲求というのがあって、ルールを変えたいという欲求がすごいあるんですね。もっと言うと壊したいというか。でもルールって極端なこと言うと犯罪とかもルールを壊すことになるじゃないですか。ここにいる人たちって0.0何%の人だと思うんですよ。例えば発達障害的な……。

国光:オイオイオイ! 勘弁してくれ!(笑)。

小澤:とんだ侮辱だよ!

国光:どうなってるんだよ。

川田:さっきの見ちゃったらなあ(笑)。

質問者:いや、すごい重要だと思ってて、一歩間違えると社会不適合者というか。

国光:勘弁しろよ、お前!

質問者:それはいい意味で言ってるんですけど……。

真田:俺、多動症だったね、子供の頃。

質問者:そうだと思うんですよ。

(会場笑)

小野:我々のほうが教えを乞う感じですね(笑)。

質問者:つまりそうじゃない人は社会にたくさんいて。こういう社会不適合者で成功している人以外の社会不適合者の人はいっぱいいて。僕の場合も社会不適合者なんですよ。ルールがすごい気になって、ルールを破りたくなるんですね。けどそれだったら例えば学校だったら苛められたり、社会全般でも、企業やってて叩かれたりとか、堀江さんみたいに逮捕されたりするじゃないですか。社会のルールに触れた時って。そういう大きな話じゃなくても今まで生きてこられて、若い頃とかルール違反して失敗した例と成功した例が聞きたいんですけども。

真田:僕も子供の頃からルールが嫌いなほうで。ルールに対していちいち「なんでそのルールが必要なのか、そのルールに価値があるのか」ってことを常に考えるタイプでした。何も考えずにルールだから素直に従う人のほうが世の中の数としては多いんだけれども。一方で僕は「そのルールなんでなの?」って必ず先生に聞いていましたね。

社会のルールで途中から守らないといけないルールと潰したほうがいいルールがあるって考えるようになりましたね。さすがに立場もあるんで犯罪者になるわけにはいかないから。それは守らないといけないルールだけれども。いわゆる業界慣習みたいなルールっていうのは破ることによって成長している会社っていっぱいあるじゃないですか。

一言でルールって言わずに、守らなければいけないルールなのか、変えることによって良い事が起こるルールなのか、そこは区別したほうがいいと思いますね。どんなルールが嫌なんですか? 具体的には? 例えばどのルール破りたいと思ってますか。

質問者:今やっているのは仏教界のお寺のベンチャーみたいなやつで。仏教界に競争原理を導入したいっていうのがあるんですけど。銀行に怒られたりとか。補助金を申請するときとかに「すごい危ないよね」みたいな感じで止められたりとか。

真田:やろうとしていること自体が危ないから止められたり?

質問者:京都でそういうことを実際に止められました。

国光:そのへんに関しては真面目に答えると。ルール破る破らないでいくと、結局法律なんかどうでもいいのね。法律って言うとみんな「守らなくちゃ」っていうけれど、そんなバカなことはなくて。何のために法律があるかって言うと、我々人間が生きていくうえで、皆が勝手なことしていくとめちゃくちゃになっちゃうから、皆がより良く生活していくためにルールを作っているっていうのが法律なのね。

でも当然時期によってそういうのって変わるじゃない。状況とかって。だからその時の環境が違ったらどんどんルールって変えていったらいいのね。ただそこの一番の基本は世の中をより良くするっていうのが重要で。

たとえば今まさに楽天も含めて薬をネットで売る。これ一応法律でダメとかいいとかあるじゃない。売って何が悪いって感じじゃん。本当に危ないやつだけはアレだけど危なくないっていうやつは売ったほうが便利じゃん。田舎の人とかも買えたりお年寄りも買えたりで便利じゃん。って感じでどんどん変えていったらいいのよ。

だから一番重要なのは皆の中でもわかるところでいくと、結局何が正しくて何が正しくないかっていうのはわかるはずなのね。本当にそれすることが世の中の皆にとってタメになるかどうかというのは、明確にわかると思うから、自分の中で。その中で本当に自分がやるのがタメになるって思うなら、法律なんてクソくらえ。そこは全部変えてやれ。

自分の利益とか欲のためにそれを破っちゃダメ。でも本当に世の中のためっていうのであればどんどん破っていい! ちょっと好感度上げてしまったわ(笑)。

小澤:本当にいいこと言うなあ!

グレーゾーンへの攻め方は慎重に

川田:異論、異論!

国光:異論!?

小野:異論お願いします。

川田:法律どうでもいいと言うけれど、ギリギリのことをする人ほど法律よく分かってますよ。だから直感的には明らかにデッドボールなんだけど、実はちゃんと厳密に見ていくとストライクみたいな。そういう球の投げ方。内角超ギリギリの投げ方。やる人はきちんと法律見てますよ。

確かにインターネットが出来て、昔インターネットが無かった頃の法律を無理やり適用されちゃって吊るし上げられている会社はいっぱいあるんだけども、きちんとやってる会社というのは一応論理立てて「これこれこういう理由でセーフなんですよ」というギリギリを研究して、普通に考えるとデットボールで皆怖くてやらないんだけど、研究している人は内角ギリギリにバシッと投げてくるんですよ。

だから僕はちゃんと研究したほうがいいと思いますよ、法律を。で、内角ギリギリにちゃんと投げる。そのロジックはちゃんと説明できるようにしておいて、対外的にはきちんと説明する。そのアプローチがおすすめ。

真田:大体ルールって、ルーラー側はルールを破った人に対する制裁権を持つわけじゃないですか。これは宗教界の戒律とかもあるだろうし、国の法律もあるだろうし、プロ野球機構の中のルールみたいなものもあるし。ルールを破った人に対して制裁権を持っているケースが多いんですよ。

だからルールを破るんだったら中途半端に破るんではだめで、戦う覚悟を決めて、最後罰せられようがぶっ潰すところまでやらないと。中途半端にやるとね。僕小学校のときにルール嫌いだったっていう話しましたけど、小学生の時に「その先生の授業は聞きたくない」と思って。

じゃあどうやったら聞かなくていいかって考えて。「先生の代わりに俺が授業できる。この先生よりも俺のほうがまともな授業ができるから」って言って。先生が前で教えているのに対して、俺は後ろで教え始めて。「俺の授業のほうがいいと思う人は机をひっくり返せ」と言って。半分以上の生徒が机をひっくり返して俺のほうの授業を聞くようになって。それによって俺は授業を聞かなくて良いようになって。

でもその後もう揉めまくりで。最終的には親が頭を下げて。「ちょっと待て、頭下げるな、俺は何も悪いことしてないぞ」みたいな。でも親が頭下げてチャンチャンみたいな。そうなりましたけどね。やる時はルール破るって決めたら覚悟決めてとことんやらないと、中途半端にやると制裁受けるだけですよね。

国光:最後まとめると。

小野:小澤さんも多分喋りたがってる。

志がホンモノなら、ルールは変えられる

小澤:そうでもないけど(笑)。どこまで破りたいかだよね。結局自分の思いがね。ルール破りたいって言ってる割には銀行からガタガタ言われて、てすごい違和感あるわけ。知るかと。銀行に頼るなと。銀行に怒られたら不満感じるなんて。それだけだと「銀行……。バカだなー」って思って。

やっぱり志が高くて。それを通すために障壁が銀行であったり法律であったり人様の何かであっても手を上げ、それでも自分のこと抑えられないくらいの衝動を持っているんだったら、突き進めよと思うよね。俺、本当思う。明治維新とか好きなんだけど、あんなの法律もクソもない、人まで殺してるんだから。革命とはそういうことだよ。マンデラなんて30年くらい牢獄にいたでしょ。でも本当に正しいことやるためには捕まってもやってるんだよあの人たちは。

俺ああいうのが死ぬほど好きで。それが見つけられている人はすごいと思う。さっきの最初手を挙げられた人。法律とかビジネスの世界で言ったら川田さん正しいと思う。ただ本当に人生をかけて何かやり抜きたいということが見つかって、そのために身を賭してやるっていうのがある人間は幸せだなって僕は思う。

僕ゲバラとかも大好きだけど、あの人キューバ革命に参加してるけど実はアルゼンチン人だからね!? カストロって人がキューバからアルゼンチンに亡命してきたときにすごい意気投合しちゃって。俺たちがフィリピンに行って革命やって、フィリピンの法務大臣になってるようなもんだから。本当に国を変えようとか世の中を変えようと思ったら、先達の利権とかその人が良かれと思ってるルールと相反しちゃうんだよ。そのルールというのが法律であり、仕組みってやつ。

それが、インターネットをものすごく上手に活用するとぶっ潰せるんだよ。多分ここにいる人たちがインターネットが死ぬほど好きなのは、革命気質を持っているから。今までの既存の体制をぶっ潰してやるって心から思ってるわけ。それは思いが強ければ強いほど、正直法律にどうのこうのって。銀行? とかないね。あなたがどのくらい強い想いを持ってルール嫌いだって言ってるかだよね。

正直それが低いレベルなんだったら、ちょっとアウトサイダー気取ってやればいい。そうじゃなくて世の中、俺が思ってる最高の世界があって、今はこうだけどこうしたら絶対よくなる! って思っていたら、周りの人はちゃんと話をしたら賛同してくれるし。

わかる人とわからない人って必ず出てくる。わかる人と一緒に、しっかりとその世界を目指して自分なりに頑張るということだ。一生かけて行けるかどうか。行けない人がほとんどよ。もっというと見つからない人は多いよ。俺だって分かんないよね。あなたは見つかりかけているんだったら、それをとことんまでやった上でその手法論というはあんまり細かい、銀行とか言っちゃだめだよ。

質問者:すみません、最初の質問に答えてもらってない……。

国光:あれ? なんだっけ。

小野:お前ら答えてないと。こんなに小澤さんが一生懸命語ってくれたにも関わらず。

小澤:ちょっと! 恥ずかしいじゃないか。

国光:でもなんか良い話してくれたからそれでいいよ。

小澤:俺たちが満足しちゃったよ。

小野:ぜひ明日から革命を起こしていただくということで。

国光:仏教界変えちゃえ!

Yahoo!ショッピングで行なった、発想の転換

質問者:すみません、あんまりネタ的なものはないんですけど小澤さんに質問があって。どこかのネットの記事とかで、Yahoo!の改革で自宅のタンスとかでしまっているちょっとした物も売りに出せる世界にしたい、と仰っていたと思うんですけれど。そこに関してなんですけど、今までYahoo!を使っていた方以外にも、ショッピングとかに出店したことのない人も巻き込んでいけるような形で作らないと、そこまでいけないのかなあと個人的に感じました。それを仕掛けるのはどういうふうに考えているのかなというのが質問です。

意図は、僕が今考えているのは、プロフェッショナルスポーツのスキルノウハウや考え方、例えばダルビッシュさんの考え方というのを、もっと色んな人に、小中高大学で野球している人に知ってもらい、自分自身の学習に役立てたりする世界を作りたいなと思っていて。日本は野球っていう面で見ても本当にプロの考え方とか全然、ものすごいものなのに……。

小野:それってショッピングの話に繋がるのかな? 手短にしないとそろそろ小澤さん飽きてきているから、答えてくれないかもしれないよ。

質問者:OKです。じゃあとりあえず……もういいです(笑)。さっきのところで、どういうふうに文化作りみたいな。今まで使ったことない人を巻き込んでいくみたいな。

小澤:あまりに特定された質問なのでこの場でやるのが適切なのか分からないんですけど。インタビューまで読んでいただいてありがとうございます。これは皆さんになんとなく伝わるように一般化した話をしなければならないと思っているんですけど。

とあるサービスを作るときに、Yahoo! ショッピングって、かなりセグメントが切られていますよね。インターネットでモノを売りたい法人というような形でサービスを作ってきましたと。それって400万事業者の中の10万事業者あるかないかぐらいかもしれないね。今回Yahoo!ショッピングを僕が改革しましょうと言った時に、タンスの中の物まで出す、つまり個人が出店できるようにしましょうと。

個人になった瞬間に全然世界観が変わるんで。対象が、1億2千万人から子供とお年寄り引くと7000万人くらいになります。マーケットを広くとったわけです。

楽天イーグルスのライバルは「居酒屋とカラオケ」

これをプロ野球の話で言うと、マーケットを変えるというのはサービスを作るときとかルールチェンジのときにすごく重要で。ここにいる川田さんがDeNAを経営されていて、僕は楽天イーグルス。直接はやってないかもしれないんですけれど。僕が楽天イーグルスやるときに、東北でプロ野球チーム作るときの一番の問題点で、メリットでありデメリットだったのは「プロ野球チームを見たことが無い」ということ。日常的にプロ野球チームが存在しない。

巨人、ヤクルトがある東京にもう1チームできるとなると慣れ親しんでるけど、仙台にはなかった。そのときにどう考えるかというと、最初は物珍しくて来るかもしれないけど、飽きるんだね。皆さんだって大阪や東京に住んでるかもしれないけど、日常的に球場行く人ってそんなにいないじゃないですか。

それだと、仙台というのは100万人住んでて。キャパシティが2万人の球場作ったら60%シェアで120万人を年間で入れないといけないと。つまり全員が1.2回くる。これはありえないわけですよね。ということは特定の10万人から12万人を年間で10回から20回来させなきゃならない。これはエライことですよ。プロ野球ファンだったら来ますよ。でもそんなプロ野球ファンができるかどうかっていうのはね。楽天イーグルスって初年度38勝97敗ですよ。クソ弱かったら来ないわけ。最初っから弱いとわかってるの。

それは何故かというと、僕らのチームというのは前の年、近鉄とオリックスって5位と6位だった。このチームを合併させて弱いほうをいただいたんですよ。それは弱いに決まってるだろうと。プロ野球チームを作るときに「これは負けるぜ」と。だから勝つのを楽しみにして来ているお客さんをアテにしたら絶対ダメだと。ここがゲームチェンジなんですよ。

ほとんどの球団にヒアリングしたら「優勝したら来る」「勝ってればお客さんは喜ぶ」と。でも僕らは負けが決まってるわけですよ。じゃあどうするんだと。じゃあお客さんを変えようと。インターネットショッピングにおけるモノを売りたいという方が、事業者の中で10万社だとすると、そうでなくて個人に切り替えたように、「違う」と。

夜の7時から9時、ナイターを見ている時間帯にどこでお客さんがお金を使ってるかを調べて、居酒屋とカラオケ屋をライバルにしようと決めるわけです。プロ野球チームを好きにさせようではなくて。今まで居酒屋に行ってたお客さんが、あの球場に行っても面白いなと思っていただけるようにしようと。そういう風にするわけです。

居酒屋とスタジアムの一番の差はなんだか分かりますか? 四人で行った時に、居酒屋は対面で座ります。球場は横に座るんです。その結果、端と端に座った人が会話ができない。居酒屋は対面で座るから会話ができる。居酒屋はプロ野球の試合やってないのに3時間持つ。球場はプロ野球に興味のない人からすると3時間座ってられないんですよ。ここで、重要なのはコミュニケーションだってことに気づくわけです。

であれば居酒屋がライバルだったら、うちのスタジアムには、対面で座れるシート作っちゃえと。"たまたま野球をやってる居酒屋"にしようと。これが発想の転換です。その結果初年度、そのシートを数十席作りましたと。チケット販売開始3分から5分で必ず売り切れる。2年目はそれを数百席増席して、3年目はその席を数千席増席して。常に売り切れる。

負けても儲かる球団へ

おかげで我々は、プロ野球チームが勝とうが負けようが、合コンで使われ会社の飲み会で使われ。メシをうまくしトイレをきれいにすると。プロ野球チームがやってる居酒屋なんて豪華じゃないですか。それがたまに勝つんですよ。大喜びですよ。それをやったのが初年度の黒字だし、それ以降多分DeNAのスタジアムもそういうコミュニケーションが取りやすい……?

川田:ボックス席にした。

小澤:それでロッテもこれを真似した。そうして我々もゲームのルールを変え、成功事例を持って、さきほど川田さんも仰ってたけども、自分が成功すると相手がついてくる。僕らはパ・リーグに参入して初年度からいきなり6球団中1チームだけ黒字だったの。その結果何が生まれたかというと、朝日新聞から『97敗、黒字。』という本が出た。でもそれはビジネスのトップだった僕としては120点なわけよ。

勝敗に関わらず収益が出せる企業なんてこれは最高ですよ。近鉄が僕らの球団の前にやってたときの売上が20億、僕がやって70億円ですよ。利益が、近鉄はマイナス40億、僕がやったらプラスの2億ですよ。42億円改善できるんですよ、一年で。これは発想の転換でいくらでも変えられる。僕はそういうのをその時から知ってるんだ。そういったことをやってるのがずっと積み重なってて。今のYahoo!ショッピングの話になってる。

プロ野球は僕がやる前は70年の歴史があった。70年やってて良いところと悪いところもあるけれど、ちょっと視点変えるだけで20億の売上が、三ヶ月プランしただけで70億になる。40億の赤字が2億黒字でるようになるんです。それを見た他の5球団、もしくは11球団が真似をするんですよ。

その結果何が起きてるかというとパ・リーグがめちゃくちゃ儲かるようになってきている。これは話したうちの一つで、そんなことを5個も10個も20個もやるわけですよね。いまだに僕は巨人に年に二回呼ばれて、コンサルをやるんです。「どう思う?」って。そういうのを色々積み重ねた結果、ショッピングでもゲームの変更をしたと、そう思ってください。以上です。

小野:非常に何にでも通じる話でしたね。ありがとうございました。