Indeed買収は、熱意と議論で上層部を説得した

小林雅氏(以下、小林):残り20分くらいなんで質疑応答に。会場から質問とっても大丈夫ですかね? 我こそは質問したいって方、挙手をしていただければマイクを持って行きます。どなたかいらっしゃいますか?

質問者:Indeedの買収に関してお伺いしたいんですけれども、結構巨額な買収だったと思います。かなり大きな決断になったと思うんですけど、それをいわゆるアメリカ、異国の地の会社を買収するっていうのを、どうやってリクルート内部、特に上層部を説得したのかなというのとその経緯をできればお伺いしたいなと思いました。

出木場久征氏(以下、出木場):あれを通して思ったのは「リクルートはいい会社だな」って思いました。僕がピューっと行って、当時検討段階で80億くらいの売上げの会社を「これ絶対いいです! 間違いねえ!」って言ったら、「買おう」みたいな話に。

(会場笑)

いろいろもちろん話しますし、戦略とかも大事なんですけど、やっぱり僕は本当にいい会社だと思ったんで、もう腹から言ってるわけですよ。「これ絶対いい! 今のうちに買うべきだ!」っていう話でいってるわけなんで、信じ切ってる馬鹿な奴はもうしょうがないじゃないですか。だから段々みんなに感染した感じだったと思うんですよね。

それはもちろん最初は「お前、その金額で馬鹿じゃないの?」みたいなところもあったんですけど、でもいい会議っていうか、いい議論ができて、じゃあこれは勝負しようっていうことでやろうということになった。だから議論の過程もすごいよかったと思いますし、いい買収だったと思います。

質問者:ありがとうございました。

小林:大丈夫ですか? 他、お願い致します。

シリコンバレーで金の卵を獲得するには、経営幹部が現地にコミットすること

質問者:いろいろ教えていただいてありがとうございます。うちの会社も勉強になります。特に聞きたいのは人材の採用の話で、それぞれシリコンバレーとかテキサスとかニューヨークで採用されるのにあたって。

たとえば青柳さん、おっしゃる通りでシリコンバレーに行く理由は唯一、光る金の卵がいるはずだと思ってる中で、GoogleのサーチやってますとかFacebookの何やってますみたいなピカピカの卵を、他の並いるベンチャーのアップサイドの高いオファーを蹴らせてうちに来させることをやる上において「こうやったらうまく行く」みたいな、あればそれぞれの方に教えていただきたいです。

青柳直樹氏(以下、青柳):私から説明させていただくと、いくつかあると思っていて。ひとつはその地域にすごくコミットをしているというところですね。日本の会社が失敗するのは偉い人を現地に送っていないというのがあると思います。

やっぱり私が採用していてこれ響くなと思ったのが「俺はサンフランシスコに住んでいる」ということが「あ、こいつはここに賭けているんだ。だからハシゴ外さないな」っていうのは、優秀な人であればあるほどそこを重要視したなと思います。

採用のときに必ず聞く質問もあるんですけど、必ず言っていたのは「僕はずっとサンフランシスコに住んでいて成功するまで帰らないし、成功しなかったらこの会社クビだね」っていうことを言うのがすごく重要でした。

あと2つ目はコンペンセーションのところだと思っていて、雇用の制度が違います。僕は必ずしもアメリカ的な制度がいいとは思わないですが、やりやすいといえばやりやすいです。

ある種のフェアさみたいなものがちゃんと通っていれば、そこは全然上場企業でも未上場でも仕組みを合わせてやればいいかな? と思って、そこはどっちかっていうと手法論。

最後、これはひとつ目の話にも関わってくるんですけど、結構時間をかけるっていうのをやりました。私はアメリカの後任を時間かけて採用したんですけど、知り合ったのは1年半前くらいのB Dashという別のイベントだったんです。そこで知り合ってからお互い半年に1回とか意見交換をしていました。

ちょうど次の自分の後任採用するぞっていうシーズンに20人くらいリストアップして、全員と会っていたんですね。

その中で一応、リストの1番上にいたのがそのB Dashで会った人で、その人が採れたんですが、それはやっぱり時間をかけてそのコミュニティの中でグリーという存在を上げていって、その中で優秀な人が「お前グリーのアメリカのヘッドになるんだ、それはいいオポチュニティだね」「直樹知ってるよね」みたいなところまでいって、初めてできるのかなと思っています。

やっぱりCOOレベルまで行っている人は、ローカルコミュニティにおける自分のレピュテーションとか気にすると思うんですね。

要約すると、ちゃんと経営幹部が現地にコミットすること、そこでネットワークに根を張って行くこと、最後はテクニックとしてのコンペンセーションですかね。シリコンバレーなんで特殊かもしれないんですが。

小林:ありがとうございます。

報酬面で勝てなくても「ミッション」に共感してもらうことが重要

小林:どうですか、出木場さんは?

出木場:まずローカルへのコミットは絶対必要だなと思いますし、僕も子ども2人と嫁さん連れて誰も英語できずに行ったんですけど、そういうのはやっぱりベースとしては。もちろん第1に、ベースのベースとしてまずIndeedを使うっていうのは、これは採用にかけては1番大事なことなんですけど(笑)。その次に大事なことはローカルにコミットするっていうこと。

あとそれからもちろんコンペンセーションの話もあるんですが、我々でいうとよくコミュニケーションしてるのは、さっきも話した通りですね。僕らもう国籍でいうと何ヶ国かもわからないんですね。そういう人たちがなぜここにいるのかっていうのは、背中にI help people get jobsって書いてあるんですけど、これは我々の会社のミッションですね。

「我々がなぜここにいるかっていうと、このミッションを達成するためだ。このミッションを達成するために我々は優秀な奴を集めてる」と。どんなに優秀でもこのミッションに共感できないんだったら来るなって逆に言ってる。

やっぱり大手の競合に、コンペンセーションやストックオプションを含めた報酬面で勝るというのはなかなか難しいのもあって、「ミッション」の話をしていくことの重要さは非常に大きいと思いますね。

おもしろいものを作っていれば、自然と人は集まってくる

小林:川村さんどうですか?

川村真司氏(以下、川村):僕はまた特殊事例なのかもしれないですけど、うちは結構簡単で、とにかくおもしろいものを作れてるかどうかしかないです。やっぱりデザインとかプランニングで効果のあるものを作ってるか? ってことでしか評価されないんで、それを絶えずやり続けるっていう。

お金のためのおもしろくないプロジェクトは受けないし、いいポートフォリオがあるんでクリエイティブな人材はそれを見て向こうから来てくれるので、そこは困らないで済んでいます。

あとはおっしゃってたみたいに、それをやってきたファウンダーがちゃんと海外に来てコミットしてる。うちの場合は今パートナーが4人で、2人が東京を回してて、僕ともう1人清水っていうのがニューヨークのほう回してるんで、先ほどの話じゃないんですけど、ちゃんとそこにコミットして「こいつらがいてやってるんだったら大丈夫なんじゃないか?」と思ってもらえるんだと思います。

「こいつらがこんな安い給料でやってるんだったら、俺らもちょっと相談乗るよ」みたいな(笑)、逆に憐れまれるみたいなことが結構ありまして。それでなんとかなってる。

あとはマーケティングとか、特にクリエイティブ業界の内輪の話になっちゃうんですけど、やっぱり大手代理店的なメソッドとかが結構頭打ちになってて単純にワークしないとか、もしくはおもしろいものが作れない環境になってきていると思います。

やっぱりデザイナーとかクリエイティブの人間って単純で、おもしろいものとか世の中で話題になるものを作りたいんですよね。それがひいてはブランドの価値にもなると思ってやっているから。

だからそれを作れる場所がどんどんなくなっちゃってるんで、変な話アメリカとかでは今優秀な人が、みんなフリーランスになっちゃってるんですね。だからどこもすごい探してるんですけど、代理店のストラクチャーの中にみんな入りたがらないんです。

だからもしクリエイティブディレクターを探されてる人がいたら、あんまりそういうとこに行かずにフリーランスを採ったほうがいいです。そこにすごい人が集まってるので。

なので僕らみたいなちっちゃい会社は、そういうところで「おもしろいことやりたいんだけど大きいところに入らない」っていう人がドンドン応募してくれるので、今ちょうどリクルーティングするにはいいシーズンになってます。ただ逆に言うと、クリエイティブではなくて、ビジネスのほうを担当してくれる人を採るのがすごい大変。それを今苦戦しながらやってるという感じです。

小林:なるほど、ありがとうございます。回答になってますかね?

アメリカ進出のメリットは、圧倒的なスケールの大きさ

小林:あと1、2問くらい行けるんですけど。

質問者:よろしくお願いします。やっぱりお聞きしたかったのは先ほどから人材を採る難しさとか、日本の企業のルールをそのまま適用できない難しさとか、それからすでに相当いろんなところで成熟、先行してるマーケットだと思うんですけども。そういうマーケットに日本の企業が入っていく魅力っていうのは、どういうところに感じてらっしゃるんでしょうか? 

アジアとかそういうところはまだこれからなんで、先に手を付けるっていうのはあると思うんですけども、あえて先行してるマーケットのアメリカに入っていくっていうところの魅力について教えていただければと思います。

小林:どうですか、青柳さん?

青柳:僕は2つあるなと思っていまして、ひとつは圧倒的なスケールだと思っています。日本とアメリカで似たようなアプリのサービスをやっていますが、ヒットした時のスケール、可能性みたいなところがすごい大きくって。

これは困難がいくらでもあるんですけれども、より大きくなろう、より多くの人にサービスを届けようと思うともう避けられない道。これが1番わかりやすいですね。事業成長を実現する方法だと思っているので、そこがやってみての魅力だと思っています。

日本だとCMなどでグリーを知ってる人は多いんですが、海外だと最初全然知らなくって、入国管理のところで「グリーってお前テレビドラマの『glee』か」と言われるところから始まったんですけど。

最近入国したら「お前の会社のアプリ、俺やってるよ」って見せられて、「Welcome to the United States」って言われて。全然4年で変わったなというのがあって、自分たちのサービスを届けられる人たちが多くいるっていうのが魅力で、それを1回知っちゃうとやめられないです。

もう1個はシリコンバレーだからかもしれないですけど、いろいろ洗練された経営みたいなものがあると思っていて。僕はどっちかというとベタベタでやっていたんですけど、やっぱり現地の人たちとかコミュニティで話してると「あ、日本でそういうマネジメントの仕方する人っていないよね」とか、そういうところをたくさん感じられて。

グリーは上場してからも創業者の田中(田中良和氏)や山岸(山岸広太郎氏)、藤本(藤本真樹氏)など、創業からのメンバーを中心に経営していて、お互い学びながらやってはいるんですけれども。

異質なものに触れて自分を高めるみたいなところが、自分で意識しないとできなかったなというところがあって、アメリカで買収した会社のマネジメントとかとやってると「全然違うわ」という新鮮なところががある。

会社としても経営をより高めていくっていう意味では、異質なものも学べるところがあっていいなと思います。その2つが、僕がすごくいいなと思っていることです。