外資系はなぜ、簡単にクビを切れるのか
西村博之氏(以下、ひろゆき):でもさっきの切りやすく雇いやすい話というのは、実は全員が非正規雇用になるという話と一緒ですよね。
城繁幸氏(以下、城):私はそう言っていますよ。1億総非正規と言っています。
ひろゆき:じゃあ全員が全員、派遣社員になると。
城:派遣じゃないですね。全員が全員直接雇用の非正規。
ひろゆき:直接雇用をしているけれども、いつ切られるかわからない。
城:そうです。
ひろゆき:それはアメリカ型な感じですよね。
城:アメリカ、イギリスもそうだし、欧米も基本的にホワイトカラーはそうですよ。
ひろゆき:はい。
城:一般事務とかブローカーは違いますけれども。
ひろゆき:そういえば日本の外資系は、何で簡単にクビ切れるんですか?
城:あれは正式に言えば、雇用期間の定めのない正規社員じゃないんですよね。
ひろゆき:あれ正社員じゃないの。
城:いわゆる日本的な意味の正社員じゃないです。
ひろゆき:じゃあ、外資系の会社と同じ仕組みを日本の会社も使えばいいじゃないですか。そうしたら、来月からクビと言えるんですよね。
城:やっているところは、ありますね、やろうとしているところは。
ひろゆき:そうなんだ。
城:野村証券とか、そうですよ。
リクルートの人材流動化の仕組み
ひろゆき:さすがジョーズ・ラボ、詳しい。何かいい話聞いた。それを使って雇えばいいんだ。じゃあそれを使って日本中の会社が雇えば別に、労働ビッグバンをやらなくてもよいの?
城:そうですよ。
ひろゆき:そうなんだ!
城:リクルートさんも、そうですよね。
ひろゆき:そうなんですか?
城:リクルートも6割から7割ぐらいは契約社員にしている、3年ぐらいの。だけど偉いのは、あそこはちゃんと社内で労働ビッグバンをやっていますから、普通の従来型の正社員も採っていますけれども、全く格差がないですし。
3年型のやつがちょっと1回延長して6年契約の間に、6年まであるんですけれども、その6年の間に課長になって、正社員の部下をこき使うやつも結構いますから、偉いですよ。
ひろゆき:じゃあ、労働ビッグバンという形でそういう仕組みをつくらなかったとしても、いつでも雇えるし、いつでも切れるようにして、雇用を流動化させたほうがいいだろうという。
城:できなくはないですよね、みんなを説得すれば。
自助努力できる人が少ない現代日本
ひろゆき:でも逆に会社のほうで優秀な人が逃げちゃうという、恐怖感というのもあるわけじゃないですか。要は一生懸命教育して育てても、スルッと辞めてほかのところに行っちゃうんだったら、その人の教育という社員教育をしなくなるじゃないですか。
自助努力をして自分でスキルを上げていける人は勝手に賢くなると思うんですけれども、会社がやらなくなると結局みんな成長しないで、だらだらしたままという。
城:それは確かにあるかもしれない。外資とかだと基本的に、会社があんまり研修に金かけないので。年俸に含めて払っているから自分で受けろというスタンスなので、それはありますよね。いいんじゃないですかね、自助努力で自分で努力するようになれば。
ひろゆき:でも世の中、自助努力できる人少ないじゃないですか。だって大学だって別に勉強しなくても卒業できるし。
城:それもちょっと書いていますけれどもね。それもだから日本型雇用の裏返しですよ。
ひろゆき:アメリカの大学は卒業するの、すごい大変じゃないですか。
城:はい。
ひろゆき:だからアメリカの大学を卒業したやつは基本的に自分で努力ができるやつだ、だから雇っても大丈夫だろうとなるんですけれども、日本の大学は努力しなくても誰でも卒業できるじゃないですか。
城:要領がよければ。
ひろゆき:そうすると教育システム自体が変わらないまま始まっちゃうと、単に要領のいいいやつというのがだらだらと仕事をしていて、きちっとどんどんスキルを上げていくという生産性の高い人というのは、増える確率というか、増える波が減りません? 社員教育をやらなくなったら。