投資計画では、流通と独自性が大切

リード・ホフマン氏(以下、リード):ここで質問に答えたいと思います。鍵であった創業者のマインドセットについて受け付けましょう。

生徒:どうやって自分の投資計画を補強するのかについて非常に興味があります。あらゆるスタートアップが、まさに同じ問題に直面していると思うからです。

リード:本当に重要なこととして、プロダクトの流通が鍵になると思います。

LinkedInについては、幾つかのことが重なっていました。ひとつは、2003年ごろ、ウェブは退屈でした。誰もがCGMが終わってしまったと思っていました人々はタグを綺麗にしたり、企業アプリケーションを開発したりしていました。今は状況が難しくなっています。なぜならみんながインターネットやモバイルはおもしろいと思っているからです。ノイズの中を切り抜けるというのは鍵ですね。

だから私たちの戦略は上手くいきませんでした。私たちは人々に招待を送って、仕組みを整え、PRをはじめました。初期に私たちがした正しい決断のひとつは、招待なしのサインアップを許可したことです。なぜならこのサービスについてとても熱心な人が知り合いである必要はない、だからサインアップして拡げてくれるだろうからです。

今はプロダクトの流通をめぐってさらなる困難があります。潜在的な顧客やメンバーに対して、他の競合するサービスと比べて自分のサービスを信じて時間を使ってもらうようにしなくてはいけないからです。

2003年当時は、専門家のネットワークというのはいいアイディアで、いずれにしてもそれで行こうと思わせることができました。他に見るものがなかったからです。今日では、競合は山ほどあります。そのため今日の戦略は、プロダクトの流通に関して言えば、競合との差になる最も鋭い部分はなんだろう? 他の人が知らなくて、自分が知っていることはなんだろう?ということです。

人脈こそがもっとも信頼できる情報源

生徒:誰かがあなたに会いにきたとき、どうやってその人が創業者に向いているかわかるのでしょう?

リード:どうしたらその人がいい創業者かどうかわかるか、ということですね? 基本的に私は他の人の紹介や推薦を非常に信じて紹介でしか会いません。いつも次のミーティングに出るために行かなくてはならなくなってしまうからです。だから私の興味を引いて時間を取ろうと思ったら、紹介してくれる人を探してください。

LinkedInを使ってもダメです、例えばやあサム、と言ってサムを持ち上げてバスの下に投げ入れたり……。

(会場笑)

私は紹介によって投資を決める事もあります。例えば、私がAirBnBの人たちに会ったときのことです。私が彼らのところに行って2分間で投資を決めました。私が、AirBnBはとても素晴らしいと思う、ということが出来たのは、あらかじめ紹介を受け彼らのことを知っていたからです。人脈が重要な鍵になっているということです。

人脈を作るにも論理的な説明能力が必要

生徒:テーマを見つけ出したり、その通りに実行したりするために見識は必要か? 簡潔な文で物事を説明できるような。

リード:筋道を立てて、目標が何なのかを明確にできるような能力は必要だと思います。海を沸かしたり、スイスアーミーナイフ的なことではなく、これこそが解決すべき問題なのだとはっきり言えるような、ものごとを高いレベルで明確にする力がないと、人脈を築くことが難しくなり投資家も従業員も得られません。常にやろうとしているミッションがなんなのか明確にできる必要があります。

いい方法で問題を分析する創業者に私は惹かれますが、素晴らしい創業者の中にはいい分析を披露する代わりに、自分が何をやっているのかについて優れた直感を持っている場合があります。自分がどこに向かって、何が起きているのかというような。

ビジョンを信じ続け、困難を乗り越えた

生徒:LinkedInは5年間ほど元になったサービスに比べユーザー数が半分以下という困難をどうやってのりこえたのですか?

リード:LinkedInが通ってきた道の中で、私がどのようにして方針を保ってきたかということですね。覚えている人もいるかもしれませんが、私たちはFriendster、それからMySpace、そしてFacebookの下位互換であるように扱われてきました。大きな素晴らしい巨人の隣にいる小さな存在だと毎度思われてきたのです。

私はLinkedInについて考えていたことは、投資計画をひとつのメカニズムとして考えるというところに戻ります。私は個人と組織の生活のための正しい経済システムの設計が、開かれた専門家のプロフィールだと信じ続けてきました。その世界が、本来あるべき世界だと。それがあったほうが誰もがよりよく生活できる。

私たちは誰よりもそれに近づきました。それは私が望むほど速くはなかったかもしれません。2003年の夏と秋に、私たちはビジネス用Friendsterですと言ってニュースになったわけですが、プライベート用でなくビジネス用なら参加しよう、ということで登録したユーザーが沢山いました。人々に関心を持ってもらうためには、こうしたことは重要でした。

私は未だに、LinkedInはこの世界に存在すべきだし、我々以上に近い存在はないという自信を持っています。達成するためには思った以上に時間がかかるのかもしれませんが、それはそれでいいと考えましょう。

柔軟な人を選択しろ

リード:サム君。どうぞ。

サム・アルトマン氏:例えばとってもいいと思っていたファンドが実際には全く逆で、書類では全くかけ離れているように見えるときがありますよね。最初の第一印象を誤らせてしまうものはなんだと思いますか?

リード:地雷原を抜ける方法は、実際に飛び込んでやることしかないですよね。仮説が間違っていることもあるわけです。

こうした間違いを防ぐ為に、私がやってみるのは、柔軟さと頑固さの両方を見るということです。確かに自分の言っていることについて信念を持っているのですが、私はあなたの言っていることを聞いているし、あなたがそれをどのように考えているかはともかく、懸念は受け入れますよ、という態度です。

ときどきそうした演技ができる、という人がいます。聞いているように見えるしあなたが持ってきた事柄について考えているように見えるけれど、実際には無視している、という人です。私を無視するのは別にいいのですが、一般に世の中を無視することはよくないですよね。

でも普通、創業者には受容性が必要になります。よく言うのは、「無限の学習曲線」というフレーズです。ある意味ではあらゆる企業のパターンは独自で新しいものなので、新しいものを学べるかどうかが重要なのです。

学ぶことができるか、あるいは重要なスキルセットを持っているか、エゴが邪魔をしないか、誰もが自分を賞賛すべきだと思っていないか、というような、受容性について考える必要があります。