LinkedIn創業者リード・ホフマン「起業家は常に“両方”を取れ」 自分を信じながら疑い、柔軟で頑固に

Lecture 13 - How to be a Great Founder #2/3

世界最大のビジネス特化型SNS・LinkedInの創業者Reid Hoffman(リード・ホフマン)氏が起業家育成講義に登場。本講義では、スタートアップで数々の死線をくぐりぬけてきた彼が、逆境を乗り越える思考法について語ります。

自分が仕事をするのか、人に仕事をさせるのか?

リード・ホフマン氏:創業者がよく直面する問題として、自分が仕事をすべきか、それとも人を雇って代わりに仕事をしてもらうか、というものがあります。

古典的なこの問題には、「両方やる必要がある」と答えます。両方やるだけでなく、ときどき片方を100%やって、さらにもう片方も100%やって、数学的にはおかしいですが、時には両方100%やらねばならないです。

素晴らしい創業者になるためには、パラドックスに行き当たります。そして私がよく話す、もうひとつのパラドックスは、柔軟であると同時に頑固であれということです。

なぜかというと、起業家は。逆境にめげないようにビジョンを持つようにとアドバイスされます。他の人が持っていないビジョンを持って、道通りに進んで、困難を切り抜けて、さあ着いたぞ! というようなことです。そして、同じくらいよくされるアドバイスに、データと顧客に耳を傾けろ、というものがあります。ピボットしよう、柔軟であれと。

つまり素晴らしい会社創業者になるためには、いつ頑固になって、いつ柔軟になるべきなのかということが重要です。

私が最もよくするアドバイスは、なぜこの会社が他の会社と異なり素晴らしいアイディアを持っているのかについて、投資計画を明確に持っておくべきだということです。あなたがこの戦場で考えなければいけないことは、投資によって自信を持つべきなのか失うべきなのか、ということです。自信があるのなら、頑固になって同じ道を進み続けるべきです。

PayPalや、LinkedInや、Airbnbのような、私が関わってきたたくさんのスタートアップは、なぜこれがいいアイディアだと思ったんだろうと自分を疑いたくなる様な、死の谷を歩く時期を何ヶ月も経験しています。

例えばPayPalは2000年の8月ごろには月1200万ドルの赤字を出しているのに、費用曲線は指数関数的に上がっていました。私たちは所得もなく、自信を失っていました。しかしこの現状をどうにかするために何かをするべきなのかということを考え、次の行動としました。

自分を信じるべきなのか、疑うべきなのか?

別の話をすれば、信じるべきなのか、疑うべきなのかということも重要です。自分があるべきだと思うビジョンに向けて、わき目も振らずに進んで行くべきなのでしょうか。

素晴らしい会社の創業者になるためには、自分が何をやりたいのかをはっきり持っておくことと、ネガティブなフィードバックや批判に耳を傾け、投資計画を変えるべきなのか常に疑っていくことの両方が必要なのです。疑うことは、必ずしも自信を失うことではありません。自信を持ちながら、同時に疑いも持っているべきなのです。

このふたつをどのようにひとつにしたらいいのでしょうか。内側に焦点を合わせて、プロダクトを作り、世界や競合を無視すればいいのでしょうか。あるいは逆に、外側に焦点を合わせて、人に会って集合知を駆使すべきなのでしょうか? 答えはもちろん、両方です。

素晴らしい創業者になるための重要な条件のひとつは、こうしたラインをまたいで柔軟に行ったり来たりできる能力があることです。時には片方を90%でやって、別の時にはもう片方を80%でやるのです。

今の問題がどのようなものであるか、すべての思い込みは捨て問題解決の為に仕事を分担すべきです。

ビジョンに沿うべきか、データに従うべきか?

また、ビジョンを重視すべきなのか、データを重視すべきなのかも重要です。こうした話題になると、データにのみ従うべきだ、という人がいます。多くの起業メソッドは、データを集めて、それに基づいて判断をするように言っています。

しかしデータは、自分がこれから向かおうとしているビジョンのフレームワークの中にしか存在しないのです。ネガティブなデータにより、考えを改めるべきだと迫ります。そうした中で、自分が何をしようとしているのかという具体的なビジョンを常に保つべきです。具体的なビジョンを持っていれば、それは大きなビジョンに繋がっていきます。

例えばPayPalは「新しいグローバルな決済方法」と書かれたTシャツを作りました。私がピーターに言ったジョークは、「私たちはもうグローバルな新しい決済方法を持っている、それはドルだ」というものです。聞いたことがあるでしょう?

(会場笑)

ずいぶん長い間つかわれたジョークですからね(笑)。私たちは本質的には、ドルを取引しているのです。これはBitCoinや他のサービスでも同じです。重要なのは、私たちが誰もが商取引を行える新しいユニバーサルネットワークを、エレクトロニクスを使いあらゆるビジネスに導入するのだ、というビジョンを持っています。

このビジョンから、まずは銀行モデルを考えました。そして次に考えたのは、借金モデルです。そして最終的に、商取引モデルを考えついたのです。それはビジョンとデータの統合によって実現しました。データはビジョンのフレームワークの中にあります。そしてデータからわかることは、ビジョンにも影響を及ぼすのです。

リスクを取るべきか、取らないべきか?

極めて重要な鍵をお伝えします。我々はリスクを取るべきなのでしょうか、それとも最小化すべきなのでしょうか? 

通常、起業家や会社の創業者は、リスクを取る人々だと思われがちです。他のリスクを恐れる臆病な人たちと違って、リスクを取るのだと。確かにこれは事実で、リスクを取ることは必要です。そしてリスクに賭けるのかを一貫して考えることが大切です。なぜなら、ほとんどの人が反対するようなリスクこそが、本当に大きいチャンスだからです。

あなたが起業家としてリスクを取るときに必要なスキルセットとは、どうやってインテリジェントにリスクを取るかを考えることです。一度リスクを取ると決めたら、今度は狙った効果を得られる確率を上げ、他のリスクを最小化するかを考えなくてはなりません。ただ「リスク? なるようになるさ、気にしない、さあ行こう」というのではだめです。

リスクに向き合う為には、イメージを持つことが大切です。どのようにしてこのことを考えればいいのか、という感覚です。さきほど投資計画を決めておくということについて、私が述べたことに戻ります。投資計画を決めておくというのは、これから進む方向を決めて、弾数を揃えておくことです。

例えば初期のLinkedInでは、開かれた専門家のネットワークによって、誰もが利益を得るように考えていました。企業を含めて誰もが、私たちが進みたいビジョンを共有し実現したいと思ってくれ、それ故にマスマーケットに広がり利益をもたらす規模にまで大きくなると考えていました。そうした物は、投資計画となります。投資計画に基づき初期の求人や、事業の拡大や、他のことが可能になる資金を得られるのです。

投資計画があるとき、信頼性は増しているのだろうか、それとも減っているのだろうか? マーケットからデータを得たり、賢い人たちに話を聞いたとき、自分の中の信頼性は変わるだろうか? それこそが、本質的にリスクを最小化する方法なのです。

例えば、PayPalの本当に最初期に、モバイルにお金をかけよう、簡単だからPalm Pilotにお金をかけようという計画を立てました。しかし、実際にはPalm Pilotにかけた資金が無駄であることが、プロダクトをリリースする前にわかりました。私はマックスとピーターのところに行って話をしました。私たちは難しい事態に直面していました。

おっと、Palm Pilotが何かみんな覚えていないかもしれないですね。Palm Pilotは初期のPDAです。私たちはPalm Pilotが中心に存在していて、レストランに行くと誰もがPalm Pilotを持っているように考えて計画しました。地雷原に行き当たってピボットが必要なとき、今や伝説となったマックスが来て言いました。メールと同期させよう、メールの支払いがバックボーンにあるのだから、と。素晴らしいアイディアだった為、私はその方向にピボットしたのです。

長期的なビジョンか、短期的なビジョンか?

さあ、もう1つ古典的な二択があります。長期的なビジョンを持つべきなのか、もっと近い射程の、ローカルな問題を解決すべきなのか? 繰り返しになりますが、答えは「両方」です。こうしたパラドックスは、間に飛び込まなくてはならないのです。

常に長期的なビジョンは頭に持っておくべきです、なぜなら自分が向かうべき方向を見失ってしまえば、ある日自分が全く出口のない場所にいる事に気がつきます。しかし目の前にある問題を解決することに集中していなければ、冷水をかけられてしまいます。

このふたつを合わせることを考えたときに出てくる質問は、短期的には、今日やらなくてはならないことはなんだろう? 今日は成果を上げられただろうか? 今週は成果を上げられただろうか? そして、全体的にはちゃんと道筋に沿っているだろうか? という事です。

それでは、これがどのようにして経済的に、あるいは戦略的に機能するかの例を出しましょう。人々はよく、プロダクトの戦略がスタートアップには必要だと言います。プロダクトのアイディアがあって、会社を作ろう。しかしもっと基礎的な戦略は、通常プロダクトの流通です。これはインターネットにおいても企業においても、何においても同じです。

どんなにプロダクトが素晴らしくても、自分が繋がっていない顧客には届かないのです。そのためプロダクトが何かよりも、プロダクトの流通のほうを基礎として持っていなくてはならないのです。

そしてさらに基礎になるのが、財務です。なぜなら資金がなくなれば、全ての成果は消えてしまいます。どんなにいいアイディアだったとしても、うまくいきません。そのためよい戦略を実行することを考えた時は、今の資金調達、そして次の資金調達のことを考えていなくてはなりません。そしてそれについて重要な関係を築く必要がありますし、次のビジネスのための新たな資金調達だ、ということだけ考えて執行していくわけにはいきません。

プロダクトの流通と財務はどうしたらうまくいくのだろう?ということを、ひとつに繋ぎ合わせて行くのが、重要な戦略だと考えています。

素晴らしい創業者になる方法は、たくさんある

さあ、それではどうしたら自分が素晴らしい創業者だとわかるのでしょうか。これにはあるスーパーパワーが必要です。一般的に言って、ソフトウェア業界では、高い成果を出す人であることは役に立ちますし、人を説得してネットワークを作るようなリーダーシップも役に立ちます。そして、自分が道筋に沿っているかどうかを判断する力があります。

自分の投資が計画に沿っているかどうかを信じることと同時に、偏執的である必要があります。そしてそれを正しく行っていて、学び、人を集め、人脈を築くということが、一般的に言って、素晴らしい創業者にたどり着く方法です。

さて、私は意図的に、この5人の白人男性の絵を出しました。彼らが古典的には理想的な創業者であるとされています。しかし事実としては、創業者は非常に多様で、全く異なる分野について非凡な才能を持っています。

なぜなら全く異なる問題を解決する為に全く異なる起業がされるからです。私はジェンダーや人種等の古典的な意味で多様性と言っているのではありません。年齢の多様さや、経験の多様さなどです。ジャック・バウは、今やっていることを始める前は教師でしたよ。

一歩先もわからない霧の中を歩く力を持つ

どのようにして平坦でない道のりを乗り越えるのか、どうやって人脈を周りに築くのか、会社を設立しようとしたとき直面する常に異なった難しい問題を、どのように人を集めて解決していくのかということです。これについて考えて欲しいことは、ひとつのスキルセットだけではできない、ということです。

学び受け入れる能力を持ち、自分を駆動するビジョンを持ち、全ての力をそこに投入し、人脈を築くということが、素晴らしい創業者であるということなのです。それを霧のなかの平坦でない地平で行う力が問われるのです。

起業家はいつも自分がやっていることが上手くいくとわかっているのでしょうか? そんな事はありません。気が狂ってでもいない限りは。まあ、狂気もときどき役に立ちますが。

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