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大学生が考えるコロナ禍の生活~暗黒期との付き合い方~(全3記事)

「かわいそう」と言われた世代はめちゃめちゃおもしろくなる 今の大学生に贈る「暗黒期」を乗り越える思考法

日本財団ボランティアセンター主催で開催されたイベント「大学生が考えるコロナ禍の生活~暗黒期との付き合い方~」の模様をお届けします。新型コロナウイルスの影響を受け、思い描いていたキャンパスライフを送れずにいる大学生。この“暗黒期”を抜け出し、前を向いて歩んでいけるきかっけを作るためにはどうすればよいのか、大学生の2名とグローバル教育推進プロジェクト(GiFT)ファウンダー辰野まどか氏が考えます。本記事では、コロナ禍で「振り返り」の時間ができたことについて語られました。

3つのゾーンで振り返る「自分の居場所」

辰野まどか氏(以下、辰野氏):じゃあ、(コロナ禍での生活を)がんばったという大前提で、ぜひかすみんとサクランに、そしてもちろん見ているみなさんにも一緒に考えてもらいたいなということがあるので、ちょっと聞いてみてもいいですか? 

先ほど私がお見せした、自分の、言ってみれば「楽ちんな居場所」ですね。そこを広げていくために、海外に出たり新しいチャレンジをしたり、いろんな経験をしていくんですけれども。これにはもう1つ使い方があって、振り返りにも使えるんです。

樋口佳純氏(以下、樋口):なるほど。

辰野:例えば私が17歳の時に世界に出た時のあの時の思い。つらかったけど、今思い起こせばあれがあって今があるとなれるのは、実はこれを使って振り返れたからなんですね。自分の居場所を確認するという意味でも、自分はこの2年間のコロナ禍で、いったい何を学んだだろうか。

あえて私は、手で円を描いているんですけど、これはみなさんも手で、3つ丸を描いてもらいたいです。コンフォートゾーンとラーニングゾーンとパニックゾーンですね。ここに文字を入れてもらいたいんです。

コロナがなかったら経験できなかったことがある

辰野:今この2年間のコロナ禍をあらためて思い出すと、自分はどんな学びや気づきがあっただろうか。もちろん変わらない自分という、コンフォートゾーン。それはすてきなことなので、変わらなかった自分というのもありながら、何があったかを少しお話しいただきたいんです。

でも、もし2年前にコロナがなく、普通にちゃんと大学生活を送れていた場合と比べて、コロナがあったから、絶対に普通だったらやらなかったこととか、経験したことや、チャレンジしたことがいっぱいあったと思うんです。

それはどの大人、どんな人たちも経験していない新しい経験だったと思います。どんなことがこの2年間あったか、お二人からぜひ書いたものを見せてもらいながら、教えてもらえたらと思います。

樋口:私はこんな感じです。すみません。ちょっと遠くて見えにくいですかね。

辰野:すばらしい。

樋口:ありがとうございます。私もあえてこのイベントが始まる前に、サクランと一緒に手書きをしました。私のラーニングゾーンを紹介します。

辰野:お願いします。

コロナ禍だったからできたこと

樋口:私はコロナ禍で、家で活動する時間が長くなったなと感じています。その時間を何か有効活用できないかなって考えた時に、私は資格の勉強で時間を多く使ったかなって感じています。

何の資格かと言いますと、私、国際観光学部で旅行・観光について学んでるんですけど、国内旅行……ちょっと正式な名前は忘れちゃったんですけど(笑)。そんな感じの資格だったと思います(※国内旅行業務取扱管理者)。

辰野:(笑)。就活までには覚えておいたほうがいいかも。

樋口:そうですね(笑)。ちゃんと覚えておきます。

辰野:それで、それで? 

樋口:日本国内の旅行・観光地域や観光名所などの名前を覚えて、その資格勉強に時間を使いました。

辰野:いいね。もしかして、ネットでその場所を調べたりとか。

樋口:そうですね。やっぱり文字だけを追っていくと限界があると感じたので、Google Earthで実際に航空写真などを見ながら、この温泉地はここにあるんだ、という感じで。ちょっぴり家で旅行気分を味わっていました。

大野さくら氏(以下、大野):楽しそう。いいですね。

辰野:楽しそうだね。

樋口:サクランはどうですか? 

大野:私のも、ぜひお願いします。

辰野:すごいね。サクランもいっぱい書いたね。

大野:見にくいですね。お話しします。いろいろオンラインになっていたので、オンラインのセミナーだったり、ボランティアに関するイベントだったりに、1年生の前期はよく出ていたなと思いますね。

そこで出会った、ボランティアを通じて友だちになった人は今でもずっと話したりします。いろんな地域に友だちができたのも、コロナ禍じゃなかったらなかったことだなとよく思うので書きました。あとはサークルの選び方も、オンラインでもできるようなものということで、手話をやってみたりしました。

よくオンラインの場とかで、自分自身を振り返るような機会をいただけたので、そこで自分自身を振り返ったりして、このイベントでもすごく役に立ってます。オンラインでの話し方の勉強にもなりましたし、オンラインイベントの企画もこんなふうにできたので、学びのある期間だったなと思っています。

樋口:すごい。たくさんありますね。

コロナ禍でやらざるを得なかった「立ち止まって振り返る」時間

辰野:私から、2人にもうちょっと聞いてもいいですか。

樋口:どうぞ、どうぞ。

辰野:今サクランが「振り返る」という言葉を書いてくれたんだけど、よく大学生と話すと、自分と向き合う時間がすごく増えて大変だったという人と、それがよかったという人とかいるんです。

人生、受験の時は受験で忙しいし、テストが忙しかったり、友だちと遊ぶのが忙しかったり、遊ぶのが忙しかったり。いろいろあって、立ち止まって自分と向き合うことは、本当に意志を持ってやらない限りは、ふだんなかなかできないと思うんだけれど。今は1周回って、もうやらざるを得ないぐらい止まっちゃったじゃない。

でもその中で、どんなふうに自分に向き合ったりとか、そこからどんなことを得たのかなということを教えてもらえたらと思うんですけど、いかがですか。

大野:そうですね。振り返りですよね。何もかもオンラインになってしまって、やりたいと思ったこともなかなかできず。でもこのままでいいのかなと思った人も、きっと多かったと思うんですよ。

私も同じように思って、何かできることないかなとか、自分のしたいことって本当は何だったかなと考えるようになって、そこから「自分が(本当に)やりたいことはなんだろう」とか、「今までどんなことをしてきたんだろう」とか、「どんなことならできるかな」ということが入り口になって、自分自身のことも振り返ったりできるようになったんじゃないかなと今は思います。

辰野:おー、すごい。

大野:その時は大変なんですよね。

辰野:うん、うん。そうだよね。大変だよね。

大野:そういうことを考えていろいろな場所に参加した結果、こういうお話をする場とか、イベントに出て自分自身について考えることができるような場をいただけ。

自分と向き合う時間はつらい

大野:流れに身を任せるじゃないですけど、飛び込んでみてやってみることをして、いろいろ自分自身について考えたり、自分の興味について考えたりができたんじゃないかなと思いますね。でもなかなか、そういう入り口とかきっかけとかがないと難しいですよね。道は険しいので。

辰野:ねー。でも、そこで1回自分で振り返って、自分が本当に何したいんだろうとかもやもやというのにちゃんと向き合えた。

大野:そうですね。

辰野:すてきだと思う。

大野:毎日ちょっとずつ考えたらいいかなと思います。ずっと考えてたら疲れちゃうので。

辰野:そうだね。実は私自身も会社を10年前に立ち上げて、ずっと全力疾走してきたわけ。いろんな国でお仕事してるから、毎月違う国に行ったり、たくさんのミーティングがあって。土日も休みなく働いても、楽しくて止まらない。

大野:すごい。

辰野:ずっとそんな感じで働いていたんだけど、やっぱりコロナでぐっと止まったことで、今までにしてきたことを振り返れたり、このまっさらな中で、次の時代のために何ができるだろうかというのを考えました。私もけっこう「うえーっ」てなりました。つらいじゃん、そういうのと向き合うのって。

「うぇー、つらいな」って思いながらも、向き合えてよかったなと思っているけど。かすみんはどうだった?

「かわいそう」と言われる世代はめちゃめちゃおもしろくなる

樋口:私もそうだなぁ。サクランの話を聞いていて、私も自問自答する時間が増えたかなって思いました。ある日、両親に「今の大学生って本当にかわいそうだね」という言葉をかけられて。「大学生って、私ってかわいそうなんだ」って思ってると、ずっとネガティブになってしまって、このままでいいのかなって。本当にサクランと同じですね。

これで私の大学4年間は終わってしまうのかなと考えた時に、「何かにチャレンジしないともったいないな」って答えが出て。それからいろんなことにちょっとずつチャレンジするようになったと思います。

辰野:すごいすてき。そうだよね。今回、「大学時代はどんな暗黒期がありましたか」ということを打ち合わせで聞かれた時に、何だったっけなぁって思い出して、今のかすみんの言ったことにすごく共感したんだけど。実は私の世代って、就職の超氷河期の一番底を打った、大変な年だったんだよね。

樋口:そうだった。

辰野:そうなると、当然周りの人たちから「かわいそうだ」と。周りの人を見ても本当に大変だった。底辺の底辺で、本当に就職できないという時代だった。なんだけど、今思うと私の世代から「社会起業家」と呼ばれる、社会問題・課題を解決するために起業をする人たちが増えたように感じています。

大野:そうなんですか。

辰野:でももしかしたら、その「無理ゲー」な……無理ゲーという言葉なのかわからないけど、就職するのが大変で、普通の就職じゃない中で新しく自分たちが何ができるかと考え始めることができたから多くなったんだと思います。もちろんすぐ脚光を浴びることはなかったけど、10~20年後の今、すごくリードしているような社会起業家たちは、まさに就職氷河期を経験したからなのかなと思っています。

そういう意味で、他の世代から見たら「かわいそう」って言われるかもしれない。でも私は20年ぐらい青年育成ばっかりやってて強く感じているのは、この世代はめちゃめちゃおもしろくなるだろうなと思っています。

「こうあるべき」が崩れて生まれる、今までにない発想

辰野:みんなずっと「こうあるべき」と思って育ってきている。こう勉強して、こういう大企業に行って、こうしたら幸せになれるよという。以前からそれが崩れつつありますよとは言われつつ、今は前提が全部壊れちゃっている。オンラインでビジネスできちゃうんじゃない? とか。

大野:なるほど。

辰野:今もGiFTがやってる海外研修の同窓生が7ヶ国をつなぐプログラムをやっていたり、コロナ禍で困っている子どもたちを元気づけるボランティアワークとかをやっていたり、今までぜんぜんできなかったことをどんどん始めている感じがあります。

10~20年後、「コロナがなかったら今こんなにオンラインでやってないよね」「コロナがなかったら、この発想は絶対生まれてなかったよね」ということが、私が今「社会起業家が~」とか言ってるようになると思うんです。

「いや、私たちの世代も大変って言われてたんだけど」とか言いながら、SDGsをあっさり達成しちゃったり。「あのお陰で」と言えるぐらいのインパクトが起きてるなとは思ったりするんだよね。

樋口:なるほど。視点を変えれば反骨精神が生まれたりするんじゃないかなと。

辰野:そう。そう。ぜひ今見ている方々も。

大学生がコロナ禍で経験した「ラーニングゾーン」

樋口:そうですね。みなさんもどう思っているのか気になってきた頃ですので、今の私たちが書いた、このラーニングゾーン、コンフォートゾーンの紙を、今ご覧になっている学生のみなさんにも、ぜひ想像していただきながらチャット欄に送っていただければと思います。みなさんのラーニングゾーンを、私もぜひ聞きたいなと思っています。

辰野:コロナ禍だからこそ実は手に入れたもの、学んだり成長したこと。どんなのが出てくるでしょうか。

樋口:どうですかね。

辰野:いろいろみなさん質問してくださっていたんですね。ありがとうございます。あー、おもしろい。「通学時間がなくなった分、本をたくさん読んだ」。

大野:いいですね。

辰野:これはいいね。

樋口:私は逆かなって思ったんですけど。私は高校生の名残で、通学時間に単語帳とかを読む時間が確保されていたんですけど、逆に通学時間がなくなってしまったので、本を読む時間はなくなってしまったかなって。だからすばらしいですね。

辰野:すばらしいですね。「漫画を読む」はコンフォートゾーンに書いてあったよね。

樋口:そうです。漫画はよく読みます!

辰野:いいですね。おもしろい。「Web型イベントに積極的に参加するよう心がけました」。これもね。2人はどう? オンラインイベントとか参加した? 

大野:私はたくさん参加してましたね。ハードルが低いので。

辰野:そうだよね。ミュート、カメラオフにしちゃえば、別にパジャマでも参加できちゃうしね。交通費もかからないしね。

10~20年後に「コロナがあったから今があるんだよね」と言える

樋口:続々ときましたね、ありがとうございます。「コロナ禍で自分を見つめ直し、進路変更をしました。5月からカナダの学校で、大学1年生からやり直します」。

辰野:すごーい!すてきですね。

樋口:すごいです。

辰野:人生変えちゃった。これ、10~20年後に「コロナがあったから今があるんだよね」って言えちゃうやつですよね。

大野:かっこいい。

樋口:ぜひぜひ、体に気をつけて。カナダで充実した学びができるといいですね。

辰野:すばらしい。応援してます。

樋口:「頻繁に服を買いに行けなくなった時期に、自分で古着をリメイクして作ってました」。

辰野:おもしろい。

大野:すごすぎる。

辰野:これは楽しいね。私もチャット保存しておきたくなっちゃうくらいおもしろい。すごい。

樋口:自分でミシンで縫われたんですかね? すごいですね。

辰野:でも確かに、ふだんはやらないもんね。SDGs的にはすばらしいことだし、世界に1つしかないお洋服を自分で作っているんですもんね。そして、そして? 

樋口:「私は京都在住で、外国人観光客が少なくなったことで、今まで興味のなかった地域の祭りや寺社仏閣について調べていました」。

辰野:なるほど。実は私も鎌倉に住んでるんですけど、ふだん外国のお客さんがすごく多くて。日本人も含めて、観光客だらけなんですけど、今は本当に人がいない。

樋口:大変ですよね。

辰野:そう。だから逆にこの機会に学べちゃいますよね。確かに、今だからこそできることを生かしてますね。

樋口:ありがとうございます。「対面開催予定だった大学の学園祭を、オンライン版に切り替え企画を立て直したのはラーニングゾーンでした」。

辰野:すごい。これも一生自慢できるやつですね。

樋口:そうですね。企画を一から立て直した。すごいですね。

辰野:学園祭をオンラインで、しかもこれは自分がリーダーのほうにいる感じですよね。

樋口:企画側ですよね。ありがとうございます。「留学に行けるかどうかを考える必要があったので、リアルタイムで、海外の情報収集をする習慣がついた。留学は中止になってしまったけれど、学部での勉強にもつながるようになった」。そうですよね。留学は今厳しい時期ですけど、こうやってできることを1つずつやるのは大切ですよね。

辰野:あっさり行けちゃう時は、エージェントの人とか旅行会社とかを挟んで、シュシュって行けちゃうので。ちゃんと自分でリアルタイムで調べて、情報収集を丁寧にやれたのはすごいことですよね。これは頼もしい。

樋口:みなさんすばらしいですね。

辰野:グッジョブですよ。すばらしい。すごいなぁ。

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