現状分析のコツは「分解」すること

相生昌悟氏(以下、相生):コンサルに関しても、ここ(現状分析)が一番、詰まってるところが多いと思います。

西岡壱誠氏(以下、西岡氏):その企業を知る、みたいな?

相生:はい。どういう視点で見ていくかと、最初この本(『東大生式 目標達成思考』)で、現状分析するときに、目の前にあるもので分解しようって言ってるんですよ。

東大式目標達成思考−−「努力がすべて」という思い込みを捨て、「目標必達」をかなえる手帳術 

例えば、テストを受けて全然できなかったと。これはもう、言ってしまえば現状分析なんですよね。でも、テスト全然できんかったって言われても、そこからなにかをつなげようとしても、なかなか難しいじゃないですか。だから、分解しようと。

まず、テストってことは、大体5科目とか9科目でできてるじゃないですか。だから、それ(5科目)にわけたら、1つの「テストできんかった」っていう問題が、5つにわかれるじゃないですか。

西岡:確かに、英語ができなかったのか、数学ができなかったのか……ってことだな。

相生:そうそう、そう見たら、もしかするとできてたやつも見つかるかもしれない。そういうふうに5つに分かれるじゃないですか。今のは「科目」という軸で分解したと。さらにそこから、「分野」にも分けられると。数学だったら、確率ができませんでしたとか。

西岡:二次関数ができませんでしたとか。

相生:いろいろあるじゃないですか。それでさらにバッておりると。となると、さっき科目で分けたのが、分野にも分かれたと。さらにもっとやれば、同じ問題でも、レベルが全然違うものってあるじゃん。めっちゃ応用、発展レベルの問題であるとか、あるいはめっちゃ基礎的な問題であるとか。

西岡:計算的な問題だったらできるんだけど、みたいなね。

相生:そう。これ、どっちができるかできないかで話が全然変わってくるんですよね。

西岡:たしかに。

相生:基礎的な問題すらできないのか、それとも、基礎とか応用はできるけど、発展はできないとか。それによってやることが全然変わってくるんですよね。いまのは結局「レベル」で分解したというふうに、どういう軸に基づいて分解するかということが、かなりこの目標達成思考を実行する、実現するうえで大事になってくると同時に、一番難しいところ。

問題を分解する「軸」の置き方で、分析の答えは変わってくる

相生:コンサルとかも、結局企業の現状を見るわけですけど、「企業の経営がやべえ」というのも現状じゃないですか。でも、デカすぎると。でも、これをどういうふうに、軸に基づいて分解するかによって、出てくる答えは変わっちゃうんですね。例えば、局ごとに分けるとか、っていう方法もあるかもしれないし。

西岡:そうだよね。でも、もしかしたら新規事業部とかが赤字とか出してるってなっるかもしれないけど、でも赤字出てるからって、本当にその事業が悪いのかっていうと、また広い視野でみないといけないもんね。

相生:そうなんですよね。

西岡:敵を知り、己を知れば……とかっていいますけど、己を知るっていう難しさっていうのはあるんだろうね。我思う故に我ありかもしれないですけど。

相生:ただ、迷ったら、手を動かしてみようっていうのが僕のおすすめの方法ですね。

西岡:手を動かしてみる。

相生:はい。頭に思いうかんだことをひたすら書くと。

西岡:なるほどね。浮かんだことを書くんだ。

相生:はい。日本語の表現とかどうでもいいので、テストやべえ、何でやべえとか、特に国語やべえとかっていうふうに、どんどん広がっていけばだんだん見えてくることが結構あるので、まずはフォーマットにとらわれずに、白いただの紙を用意して、

西岡:今自分が思うことを書いていく。

相生:思い浮かんだことを、思い浮かんだ順に書いていくみたいな。っていうのを、最後、いっぱい書いたうえで、全体を俯瞰してみたら、「あれ、自分って現状こうじゃん」っていうふうに見えてくることが結構あるんですよね。

西岡:メモ書きでね、真っ白な紙に書いていくみたいなね。

相生:そうそう。

西岡:なるほどな。ただ、ぱっと白い紙渡されても、最初は戸惑う、できないってことが結構あるような気がするんだけど、でも、慣れてくるとそれができるようになってきて、できるようになってくると自分が分かってるっていう状態になっていくってことなのかもしれないね。

相生:浮かばなくてもいいから、とにかく手を動かせと。何でもいいから手を動かせっていうところですね。

西岡:なるほどなー。いやー面白いな。

目標達成のためのステップは9つ

西岡:こんな感じでいろいろ話してきましたけど、なんか質問とか、みなさんのほうで今のタイミングであればおっしゃっていただきたいですし、今日ちょっと来ていただいている人もいるわけなんですけれども、なにかご質問などがあればちょっと伺いたいなと思ったりするんですけれど。

参加者:えっと、ちょっと基本的なことなんですけど、現状把握が一番難しいってことは聞いててすごく腹落ち感があったんですが、そのための最初の1歩というか、その把握するためのアクションを続けていく最初が一番つらいと思うんですけど。その最初のつらさをどう乗り越えていけばいいのかなと、ちょっといまモヤモヤと考えていたんですよね。

西岡:あー、なるほどね。

参加者:けっこう、やり始めってなんか結果がうまく出なかったり、なんか「こんなことしてる」って言いにくかったりして、孤独になっちゃったりとか、けっこう僕が自分で実際やっててつまづくことがたくさんあるので、そこをちょっと。最初の勇気というか、踏み出すためのところを少し聞けたら嬉しいです。

相生:そうですね。僕、ちょっと話そうか。確かに現状分析は始める時が一番大変だっていうのはおっしゃる通りだと思うんですけど、この本の中には書いてるんですけど、最初、「現状、理想、方法論」の順番でやってくれというふうにお伝えしたんですけど、これ、もっと詳しく言うと、やるステップが9つあるんですよ。ここ、色がこう、3重になってて。これ「それぞれ3つずるあるよ」っていうこと。

西岡:あー、確かに3重になっている。

相生:見えますかね。目標達成だけ1色で、あと、3色じゃないですか。実はこれ、意味があって、これ、3+3+3=9なんですよね、この9つを順にステップでやっていこうって書いてるんですけど、

西岡:ってことは、現状分析にも、理想把握にも、方法論構築にも、(ステップが)3つあるんだ。

根本的に自分がどうなりたいかを把握する「大理想把握」

相生:そうそう。3つ大きさがあって、最初、現状、理想、方法論って順番でやってくれってお伝えしたんですけど、厳密には、一番最初に「大理想把握」ってのをやるんですよ。

西岡:大理想把握。

相生:そう。大理想把握ってのを一番最初にやるんですね。で、ここで、根本的に自分がどうなりたいのかっていうことを把握するんですけど、結局やっぱり、自分がやり始められるか、行動を起こせるのかどうかっていうのは、目標があるかないか、理想があるかないかってことに尽きると思うので。

そこで行くと、まず大理想把握ってのをやるようにこの本ではおすすめしてるんですけど、例えば「東大に受かりたい」っていうのも、大理想把握にはいってくるんですよね。その、大きい目標があって、それを把握した上で現状把握に移るので、ある程度目標を把握した段階で、現状分析というアクションに移るというところが大事だと思います。

西岡:なるほどね。

相生:多分、この目標、理想を考えるっていうのは、楽しいことが多いと思うんですよ。自分の明るい未来を想像することが多いと思うので。

西岡:そっちを先にやったうえで、現状をもっていこうねってことなんだね。

相生:はい。っていうのが、僕の答えです。

『ドラゴン桜』作者が語った、「強烈な目的意識」が必要な理由

西岡:なるほどね。そこでいくと、それにかぶせてっていう感じになるんだけど、まったく同じことを思っていて。やっぱり理想からだと思うんですよ。というのはね、『ドラゴン桜』の三田先生がいるじゃないですか。三田先生とよく話すわけですよ。『ドラゴン桜』って、究極的にいうと、非常にひどいマンガで。

相生:(笑)。怒られますよ。

西岡:目標もないような人がいっぱいいる中で、「お前ら東大に行け」って言うんだよ。桜木ってやつが。で、「そんなこと言われたこともなかった」っていう人たちが出てきて、そっから動き出すっていうストーリー構成になってて。いま2もやってるけど。2も全く同じだったんだよ。

で、なんでこういうようなやり方にするのかっていうのを三田先生に聞いたんだけど、その時に言ってたのが、強烈な目標設定というか、目的というものを与えられると、人間って動けるんだと。だから、東大とか、自分がもう「ここにこうしたいんだ」というふうに思うものっていうのを人間なにか与えられると、「そうか、あのために頑張るんだ」みたいな感覚っていうのが芽生えて、一歩踏み出せるようになるっていうことがやっぱりあるんだと。

だから、今の人たちに不足しているのは強烈な目標設定なんだと、マインドセットなんだというようなことを三田先生はおっしゃってて、「あーなるほどな」と思ったんだよね。確かにそういう要素はあるよなって思って。だから、やっぱりさっき言った大理想把握っていうところをやってみるっていうのは、すごくいいことだと思う。

相生:夢を見せるってことですね。

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